Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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4話目。個人的にはリナとルビーのやり取りが好きです。

※今回からルビ導入。過去作品は順次修正します。


いざ、戦いへ

≪third person≫

リナの発言に驚くイリヤと凛。しかし、まったくと言っていいほど平然としている者もいた。

 

「あんたは驚かないのね。ルビー」

『ええ、手紙を覗き見されたときに、リナさんのことはただ者ではないと思っていましたから』

「はぁ、やっぱり。なんとなくそんな気はしてたのよね」

 

後頭部を掻き、明後日の方を見ながら言うリナ。

 

『おや、わたしに意思があると見抜いてましたか』

「まあね。喋るとは思わなかったけど」

 

そう言って笑顔でルビーに近づいて行き、そして。

 

「スリッパ・ストラーッシュ!!」

 

すっぱぁん!

 

手に持ったスリッパが、いい音を響かせてルビーの事を叩いていた。

立直りかけていたイリヤと凛は、口をあんぐりとさせている。

 

『いったあ!! なにするんですか!?』

「アンタがイリヤを巻き込んだことにかわりないでしょーが! それにイリヤのにーちゃん怪我させたのもアンタじゃないの!?」

『なんの根拠があってそんな事言うんですか!?』

 

ルビーが反論してくる。対してリナはそっと指を指す。

それに合わせて視線を向けると、イリヤが首を縦に思い切り振っていた。

 

「重要参考人」

『ちっ』

 

ルビーは口もないのに器用に舌打ちをした。

ここに至って、イリヤがハッと我に返る。

 

「ちょっとリナ。手伝うって言ってたけど危険だよ」

「それはイリヤだって一緒じゃない」

「〜〜〜〜」

 

リナの切り返しに返す言葉もない。そこに凛が口を挟む。

 

「言っとくけど、わたしはあんたのサポートはしないわよ?」

「自分の身は自分で守れるわよ。あたしまだ、実力の一端すら見せてないんだから」

 

胸を張りながら言うリナ。しかしそれは奢りなどではなく、自分の持つ能力に裏打ちされた自信から来るものである。

その様子を見た凛は、ひとつ溜め息を吐き言った。

 

「わかったわ。ついてきなさい」

 

 

 

 

 

そんな様子を校舎の陰から覗き見る者達がいた。

 

「ようやく動くみたいですわね」

 

青いドレスを着た、凛と同じくらいの年齢の金髪縦ロールの女性が言う。

 

「……」

『なにやらトラブルがあったように見受けられます』

 

イリヤと同い年くらいの黒髪の少女は口をつぐんだまま。返答したのは、少女の持つステッキだった。

デザインはルビーとよく似ている。

 

「予定の時間を幾分過ぎているようですけど…。ああ、転送しましたわ。では、こちらも参りますわよ」

 

 

 

 

≪リナside≫

いやー驚いた。

ルビーを中心に魔法陣が描かれたと思ったら世界が反転して、見た目がまったく同じ別の空間に移動してたのだ。違うところといえば立方体に切り取られた空間で、その境界線は昔のコンピュータグラフィックのような格子模様で覆われていたということ。

凛さんが言うには鏡合わせの世界、鏡面界と言うらしい。

前に高位魔族が似たような空間を創っていたけど、ただの魔法の道具、こっちじゃ魔術礼装だっけ? それが移動させたってんだから驚かないわけにゃいかないでしょ?

 

「二人とも、構えて!」

 

凛さんの声にあたしは意識を切り替える。

校庭の中央。そこの空間が歪み、両目を大きな眼帯で隠す、長い紫色の髪の女性がリ○グの貞○のように現れた。

 

「なんか出てきたっ! キモッ!?」

 

うん、イリヤもそう思うよね。

なんて事を考えていると。

 

ズドン!

 

紫女が、鎖の先に杭のついた武器で攻撃してきた。勿論あたし達は咄嗟にかわしている。

 

Anfang(セット)−−−!」

 

凛さんが三つの宝石を構えながら言葉を紡ぐ。

 

「爆炎弾三連!!」

 

投げつけた宝石がその名のように三つの爆炎をあげた。威力は、三つを合わせてちょうど火炎球(ファイアー・ボール)ほどか。

しかし紫女には傷ひとつつかない。

 

「やっぱ魔術は無効か…!」

 

魔術が効かない? どうやら耐魔力が高いみたいね。

凛さんは「任せた!」とか言って建物の陰に隠れてしまった。ホントはツッコミたいとこだけど紫女の二撃目がイリヤを襲う。

イリヤはなんとかかわしたけど、

 

「かすった! 今かすったよ!」

 

ややパニック気味になっている。でも、今まで普通の女の子だったんだし致し方ない。

 

『接近戦は危険です! まずは距離を取ってください!』

「キョリね! そうね、取りましょうキョリ!」

 

次の瞬間。

 

「キョリーーー!!」

 

脱兎のごとく駆け出した。いやー、相変わらず足早いなぁ。

さて、あたしもただ見ていただけではない。

 

螺光衝霊弾(フェルザレード)!」

 

バックステップしながら呪文を叩き込む。

 

「■■■■ー!?」

 

よし! さほどではないけどダメージはあったみたいね。

しかしコイツ、下手な魔族より耐魔力高くないか?

 

「−−−!?」

 

突如嫌な予感がしたあたしは、咄嗟に地に伏せる。するとその上を、水平に広がった魔力の斬撃が通りすぎて行く。

斬撃は紫女に直撃し、さらに校庭の周りに張ってあるフェンスを破壊した。

あ、あぶなっ。

当然、こんなことしたのは、

「こらーイリヤ! あたしを殺す気かっ!!」

「ご、ごめん!?」

 

イリヤもあまりの事に思考がついていってないようだ。ルビー、せめてもう少し能力(ちから)のコントロールのしかたを教えてあげて。お願いぷりーず。

 

「! リナ、あぶない!!」

 

へっ? のわぁっ!!

危うく紫女の杭が、あたしの頭に命中するところだった。流石にあたしの戦闘勘も鈍っていたみたいだ。

あたしは攻撃をかわしながら混沌の言語(カオス・ワーズ)を唱える。紫女はなかなかすばしっこく、はっきり言って結構キツイ。

ただ、イリヤの斬撃が効いているのか、攻撃に先程までのキレがなくなっている。

 

冥壊屍(ゴズ・ヴ・ロー)!」

 

力あることばとともに、紫女めがけて影がのびて行く。この影に接触した瞬間、精神を破壊し、続いて肉体を滅する。しかもこれは疑似生命体なので、明り(ライティング)の強い光を当てても消し去ることはできないのだ。

紫女は本能的に察したのか、大きく後ろへ飛び退いたが、影はさらに進んでいく。

その隙に、あたしはイリヤの元へ駆け寄った。はっきり言ってまた巻き添えを食らうのは嫌だ。

冥壊屍の影は更に追いかけるが、紫女の放った杭の直撃を喰らうとあっさりと消失。再びあたし達に襲いかかろうとした。しかし、

 

「特大の散弾!!」

 

イリヤが放った無数の魔力弾が前方方向の広範囲に着弾する。それはまるで絨毯爆撃の様だった。でもこれじゃあ…。

 

「やった!?」

『いいえ、おそらく今のでは…』

「バカ! 範囲広げすぎよ!」

 

そう、凛さんの言うとおり。

広げすぎ、もっと言えば小分けにしすぎた魔力弾は、当然ながら一発あたりの威力が相当落ちる。あれじゃあ多分、倒すことは…。

その予想通り、煙の晴れた先に紫女は立っていた。

と、紫女の前の空間に突然現れる魔法陣。

 

ぞわわぁっ

 

背筋に、とてつもない悪寒が走る。

いったい、なにが…。

 

「宝具を使う気よ! 逃げて!!」

凛さんの言う宝具がなんなのかは判らない。ただおそらく、必殺技を使うんだろうということは理解した。

 

「ルビー! 出来るだけ強力な結界をお願い。あたしは、間に合うかわかんないけど大技を試してみる!!」

『わ、わかりました。イリヤさん、魔力を全部、魔力障壁、物理保護に回します!』

 

よし、さすがのルビーもこの状況では聞き分けがいいようだ。

あたしは、敵へと意識を向けた。

 

黄昏よりも昏きもの

血の流れより紅きもの

刻の流れに埋れし

偉大な汝の名において

我ここに 闇に誓わん

 

あたしは、向こうの世界の魔王、[赤眼の魔王(ルビー・アイ)]の力を借りた術、[竜破斬(ドラグ・スレイブ)]の詠唱を始めた。

この術は仕掛けた相手の精神をズタズタにし、余剰エネルギーを爆発という形で物理的な破壊をする強力なものだ。

いくら耐魔力が高くても、これの直撃を喰らえば仕留められるはず。でも。

 

騎英の(ベルレ)−−…」

 

だめ! 向こうの方が速い!!

後はルビーに頼るしか…。

この時のあたしはそう思っていた。

 

 

 

 

≪third person≫

凛達が敵と対峙し始めたころ、校舎の裏手に現れた魔法陣から二つの人影が浮かび上がる。

先程の金髪縦ロールと黒髪の少女だ。

 

「どうやら本当に魔術は効果がないみたいですわね」

 

金髪縦ロールは、校舎脇に退避している凛を見てそう結論づけた。

 

「ですが、まだ手を出さないように。敵が大きな隙を作ったとき、最大の一撃でトドメをさしなさい」

「はい」

『元マスターは卑怯ものと評します』

 

素直に返事をする黒髪の少女に対し辛辣な言葉をぶつけてくるステッキ。

 

「黙りなさい! これはあくまでもカード回収のための戦略です。卑怯ものというのは遠坂凛(トオサカリン)のような者をいうのですわ」

 

この台詞でも判るように、彼女と遠坂凛の仲は非常に悪い。

お互いの能力には信頼を置いているが、お互いに信用しあうことなどあり得ないと思っている。まさに犬猿の仲、というやつだ。

 

『お二人のいさかいに巻き込むのはご遠慮ください』

「向こうが仕掛けてこなければ考えてみてもよろしいですわ」

『不可能という事ですね』

 

ステッキは、やれやれとばかりに溜め息を吐く。

 

「それにしても…」

 

彼女は戦いを見ていて気になることがあった。リナの存在である。

魔術が効かないはずの敵に、魔術で対抗している。しかも自分の、いや、自分達の知らない術だ。

 

(あの少女は何者ですの…?)

 

時計塔の魔術師として、とても興味深い存在であった。

 

(いいえ、今はそれどころではありませんわね)

 

彼女は気持ちを切り替える。

戦況はまさに宝具発動の体勢に入ったところだ。

 

「さあ、おいきなさい! 遠坂凛(トオサカリン)に目にものを見せてさしあげるのです!」

 

その言葉に頷き、黒髪の少女は敵に向かって一歩を踏み出す。

ステッキを持つのとは反対の手には、槍を持つ男の絵が描かれたカード。

 

騎英の(ベルレ)−−…」

 

敵が宝具の真名解放をしようとした同じタイミングで、

 

「クラスカード『ランサー』、限定展開(インクルード)

 

少女がカードをステッキに当て言葉を紡ぐ。すると、ステッキの姿が血のように真っ赤な槍へと変わる。

少女は槍を力強く握り、敵の元へと一気に詰め寄った。

 

刺し穿つ(ゲイ)−−」

「!!」

 

敵も気がつき振り向くが、刻すでに遅く。

 

死棘の槍(ボルク)!!」

 

少女の槍が胸を貫いた。

 

「■■■!!」

 

敵は声にならない声をあげ、光の粒子となって消滅する。後には一枚のカードが残されていた。

 

「『ランサー』接続解除(アンインクルード)、対象撃破」

 

槍からカードが排出されステッキへと姿を戻す。

少女はカードへと近づいて行き、

 

「クラスカード『ライダー』 回収完了」

 

それを手に入れる。

 

「「だ、誰!?」」

 

イリヤとリナは、ただ一言呟くことしかできなかった。




金髪縦ロールと黒髪の少女、ステッキの名前は次回持ち越し。狙いではありますが、名前を隠したままの会話って難しいですね。
戦闘シーンは、脳内補完でお願いします。

次回「平穏を乱すモノ」
見てくんないと、あばれちゃうぞ!
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