Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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6話目、前回に続き説明回ですね。ルビーはホントに妹思いなんですよ?


退っ引きならない魔術的事情

≪リナside≫

深夜0時5分。未遠川横の公園。あたしたちは大敗を喫した。うん、そりゃもう見事なまでの大惨敗だった。

 

 

 

 

 

0時ちょうどにあたしたちは鏡面界へと接界(ジャンプ)した。

しかしそこにいた英霊は上空一面に魔法陣を敷き、魔力の熱線を雨あられのように撃ち込んでくる。ルビーの張った魔術障壁(ランクA)をも突破してきた。

わずかな隙をついて、美遊が砲射(シュート)を、あたしも爆炎矢(ヴァ・ル・フレア)を放ったが、その攻撃はどちらも魔力指向制御平面っていう障壁によって、弾かれる。

そして英霊は竜巻状の風の結界であたしたちを閉じ込めて、止めの一発をどかーん! ときたわけである。離界(ジャンプ)が後わずかでも遅れていたら、あたしたちは全滅していただろう。

 

 

 

 

 

「どういうことですの!? カレイドの魔法少女は無敵なのではなくて!?」

『ルビーサミング!!』

 

ルヴィアさんがサファイアに当たっていたら妹思いのルビーに眼球攻撃を食らってた。ちびっこ向けの番組なら「よいこはまねしないでね」ってテロップが入るわね、絶対。

 

『魔法少女が無敵だなんて慢心もいいところです』

「…ごめん、わたしも無敵だとちょっと思ってた」

 

をいイリヤ。それはちょっと夢見すぎだぞ。

確かにルビーは、あたしが見ても規格外の魔術礼装だと思う。でも、何事にも例外というものがある。

相性の良し悪しや能力を使いこなせない、といったことだ。

実際、前回は能力を使いこなせていなかったし、今回はおそらく相性が悪いんだろう。

まったく、障壁や魔法陣の向こう側を飛んでる敵にどうやって攻撃を当てろとゆーんだ。

 

「…あの障壁も問題だわ」

『攻撃陣も反射平面も座標固定型のようですので、魔法陣の上まで飛んでいければ戦えると思いますが…』

 

凛さんも同じことに頭を悩ませているらしい。サファイアが分析から導き出された回答を言ってるけど。

ううみゅ。空を飛ぶ術はあるけど問題があるしなぁ。

 

「そっか。飛んじゃえばよかったんだね」

 

へっ?

その言葉に振り返ってみると、そこには宙に浮くイリヤが…。

てか、なんでじゃああ!?

 

「なんでいきなり飛んでるのよ!?」

「イリヤ、飛行術なんていつの間に覚えたのよ!?」

「強固で具体的なイメージがないと浮くことすらむずかしいというのに…」

 

凛さん、あたし、ルヴィアさんの順にぶつけた疑問に対してイリヤの答えは、

 

「魔法少女って飛ぶものでしょ?」

 

である。

いやー、なんとも頼もしい思い込み。

なるほど、これが「空想」を元に「現実」に「奇跡」を「具現化」させるってことか。空想の元は、とーぜんアレね。

 

「…負けてられませんわよ、美遊(ミユ)! あなたも今すぐ飛んでみせなさい!」

 

いやー、ルヴィアさん。強固で具体的なイメージってあなたが言ったんでしょ。それとも美遊も、とてつもない空想力の持ち主とか…。

 

「人は、飛べません」

 

…うわ、想像をはるかに下回る夢のなさ! あんた、ホントに小学生!?

 

「そんな考えだから飛べないのですわ!」

 

ルヴィアさんは「特訓ですわ!」て言いながら美遊を引っ張っていった。因みに凛さんへの捨て台詞も忘れていない。ブレない人だ。

 

「ところでリナ。あんたは空飛べたりするの?」

 

さすが凛さん、抜け目がないわね。

 

「『翔封界(レイ・ウイング)』っていう飛翔の術はあるわ。けど、戦略には組み込めないでしょうね。コントロールが大変だから」

「なるほど、ね。了解」

「ねえ、何がダメなの?」

 

うーん、さすがにイリヤには理解できないか。

 

『イリヤさん、リナさんはコントロールが大変だと言いましたよね?』

「うん」

『魔術の行使にはある程度の集中力が必要なんですよ。ですがその術のコントロールに集中力のほとんどが割かれれば…』

「ほかの術が使えない?」

『そういうことです』

 

ルビーってば、普段はあーだけど、こういうときのサポートはしっかりしてんのね。

 

「まあ、今日の所はお開きね。明日はちょうど学校も休みだし、いろいろ戦略練ってみるわ」

凛さんのその言葉が、解散の合図になった。

 

 

 

 

 

でもって翌日。あたしはイリヤとともに、郊外にある林の中の開けた場所にやって来た。

そしてここに来た理由はというと。

 

「林の中で特訓とか、ずいぶん地味だよね」

 

そう、イリヤのために魔力の運用効率を含めた飛行訓練の付き添いである。

 

『舞台裏なんてそんなもんですよー』

「そうそう。それを表に出さないのがプロってもんよ」

「魔法少女のプロっていったい…」

 

そこは深く考えたら負けよ、イリヤ。

 

「そんなことより! 早く早く!!」

「うぅ、わかってるよぅ」

『いきますよー。

コンパクトフルオープン!

鏡界回廊最大展開!!』

 

ルビーの呪文? とともにイリヤの身体がキラキラにつつまれて、例の魔法少女のコスチュームへと変身した。

 

『魔法少女プリズマイリヤ推参!!』

「まさに魔法少女の変身シーン! いやー、いいもん見させてもらったわ」

「〜〜〜恥ずかしいよぅ」

 

恥じ入るイリヤがまたよろし。

 

「魔法少女はやっぱり、なるもんじゃなくて見るもんよね」

『おや、リナさんは視聴者側のスタンスですか』

「魔法少女の戦い方は真似してみたいけど、変身したいかどうかは別ね」

「う〜、やっぱりこの格好って自殺もんなのかなあ」

 

まあたしかに、あたしもあんな格好したくないわね。

 

「さあ、そんな事よりもイリヤの飛行訓練を始めましょ」

 

 

 

 

 

イリヤは訓練の前に、アーチャーのカードの限定展開をためしてたけど、弓しか現れず使えないカードだということが判明しただけだった。

 

 

 

 

 

イリヤは上空で移動と停止を繰り返してる。極力魔力を抑えた状態での飛行を覚えてるのだ。

イリヤは魔法に関してはズブの素人である。ひとつの行動に関しても無駄に魔力を消費している。それを矯正するのも目的としてるんだろう。

とはいえ。

 

「イリヤー、そろそろ休憩にしましょ。根の詰めすぎはよくないわよー」

「はーい」

『いやー、汗にまみれながら特訓をする魔法少女というのも、結構そそられるものがあるんですけどねー』

 

ルビー、オヤジくさっ!

…と、危ないあぶない、また忘れるとこだった。

 

「ちょっとルビーに聞きたいことがあんだけど」

『はい?』

 

ルビーが顔(?)だけをこちらに向ける。どーでもいいけどこのステッキ(ルビー)ってば、グニグニ動いて気持ち悪いわね。

 

『あのー、リナさん?』

「ああ、ごめん。それでなんだけど、この間あたしのこと、ただ者ではないって言ってたじゃない。あれってどういう意味かなーって」

 

そう。あたしはただ手紙を覗き見てただけ。あれがどうしてただ者じゃないと?

 

『えーと、ご本人も気付いてはいらっしゃらないようですけど、リナさんからは空間の歪みのようなものを感じます』

 

……はい?

 

『もちろん、はっきりこうとは言えません。一部とはいえ、平行世界への干渉ができるわたしだから、ようやく気付けるレベルですしねー』

 

そんなことになってたのか。異世界への憑依転生が関係してるんだろうか。

それに、なぜか使える黒魔術にも関係がある?

あ、魔術といえば。

 

「そういやあんた、別体系の魔法云々のとき、みょーに理解が早かったけど、あれも何かあるワケ?」

『ああ、あれですか』

 

そう言ってからルビーはイリヤをチラッと見る。

 

『それならまず魔術の定義について話しましょう』

 

魔術の定義…。魔力や触媒を使って様々な現象を引き起こすこと、ってわけじゃなさそうね。

 

『魔力や触媒を使って様々な現象を引き起こすことなんですが…。どうしましたリナさん、変な顔をして』

 

うるさいやい。

 

『ま、ともかく、他の手段で再現できるものを魔術と呼んでいます』

「ええっと、どういうこと?」

 

やっぱりイリヤには難しいみたいね。

 

「つまり、たとえば火を起こす術なら、マッチやライターを使えば火を起こせるから魔術に分類されるってこと?」

『そういうことですね。一方、現在の技術では再現不可能なものを魔法と呼んでいます』

 

あ、なるほど。それで納得がいったわ。

 

「…あたしが『魔法の認識』って言ったから、別体系って言葉に納得したのね」

『はい。魔術師と魔法使いでは大きな差がありますから』

「大きな差ってどのくらい?」

 

イリヤが尋ねると。

 

『そうですねー。月と太陽くらいですか?』

 

いや、大きすぎだろ!?

しかし、あたしとイリヤの表情を見たルビーはこう続けた。

 

『言っときますけど、わたしとサファイアちゃんを創ったジジイ…、その人が魔法使いですよ?』

 

ああ、そうか。性格はともかく、これほどの魔術礼装は凛さん達魔術師どころかあっちの世界の魔道士、かのレイ=マグナスですら創れたかどうか…。月と太陽でもまだ多めにみてるかも。

 

『どうやらリナさんには納得していただいたみたいですね。イリヤさんは…』

「リナほどわかってないと思うけど、魔法使いがすごいのはわかったよ」

 

イリヤもルビーを引き合いに出されて納得はしたみたい。まあ、素人目に見てもルビー達のすごさはわかるもんね。

 

『さて、もう少し休んだら特訓の続きを…』

「? どうしたの、ルビー」

『うえ…』

 

うえ? …って、上からなにかが落ちてくる!?

 

『二人とも避けてください!!』

「うえぇぇぇえ!!」

翔封界(レイ・ウイング)!」

 

あたしとイリヤが文字通り飛び退いたその場所に、それは落下した。

 

 

 

 

≪美遊side≫

まさか、あんな方法で飛び方を教えようとするとは思わなかった。サファイアが物理保護を最大にしてくれたから助かったけど、本来なら原形すら留めていなかったはず。

着地点にはクレーターすら出来上がっていた。

 

「ミユさん? なんで空から…」

 

え…、イリヤスフィール。それとリナ。

飛んでる。リナなんてカレイドステッキの力も借りずに。

そんなリナがわたしのすぐそばに降り立つ。

 

「ちょっと美遊。あんたどうして空から? ひょっとして、特訓と称して上空からルヴィアさんに突き落とされたとか?」

「!? そう、です…」

 

まさかこうも見事に言い当てられるなんて。

 

「ほんと、なんか変なところでアイツに似てんだから…」

 

? 誰のことだろう。けれど今は…。

 

「…空が飛べなくちゃ戦えない。…その、教えてほしい、飛び方」

「あー、あたしのは戦闘に向いてないのよねー。…ねぇイリヤ、美遊にあんたのイメージの元を見せたげなさいよ」

「えっ!?」

 

イリヤスフィールのイメージの元?

 

 

 

 

 

イリヤスフィールの家でわたしが見せられたのは、二本のステッキで戦う女の子が、空を飛ぶシーン。所謂アニメーションだった。

なにこれ、物理法則も何もかもがデタラメ。

 

『これを見たら美遊さまも飛べるようになるのでしょうか?』

 

ううん、おそらく無理。

飛んでる原理がわからなければ、具体的な飛行イメージにも繋がらない。

その事を航空力学や動体力学を使って事細かに説明していたら、

 

『ルビーデコピン!』

 

ルビーからデコピンを食らった。リナはスリッパを掲げながら悔しそうにルビーを睨んでいる。

 

『美遊さんは性能は素晴らしいみたいですが、そんなコチコチの頭では魔法少女は務まりませんよー?』

「プロならもーすこし柔軟に考えなきゃね?」

 

え、リナ? 魔法少女のプロってなに?

 

『そんな美遊さんにはこの言葉を贈りましょう。

人が空想できること全ては起こり得る魔法事象。

わたしたちの想像主たる魔法使いの言葉です』

「つまり、あれでしょ? 考えるな! 空想しろ! って、納得いかない顔ですね」

 

うん。イリヤスフィールは少し馬鹿っぽい。

 

「ようするに、空を移動する手段は飛ぶだけじゃないってことね」

 

あ…。

 

「…少し考え方がわかった気がする」

 

わたしは立ち上がり、

 

「また、今夜」

 

そう言ってその場を後にする。

そう、この方法ならきっと上手くいく。

わたしは絶対に足手まといにはならない。いや、なる訳にはいかない。

わたしは胸の奥で、強く誓った。




ルヴィアさんは、凛さんと対峙するときはあの女魔道士っぽい言動になることが多くなりますが、普段はもっと思慮深いひとです。ただ、普段でも時々ああなります。

次回「穿つとき! キャスターを倒せ!!」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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