Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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タイトルに「セイバー」って入ってるけど、まだクラス判明してないんですよね。前回の「キャスター」といい、こういうのもタイトル詐欺になるんでしょうか?


セイバーの脅威

≪リナside≫

「いくわよ、イリヤ、美遊」

「「うん」」

『まあ、仕方ありませんね』

『プランCへ移行しないことを願います』

 

作戦が決まったあたし達は凛さん、ルヴィアさんを救うために行動を開始した。

あたし達は二手に別れて移動する。あたしはそのまま敵に向かっていき攪乱、その隙にイリヤと美遊は植え込みの向こうの道から近づいていき、凛さん、ルヴィアさんを救出。イリヤが二人を連れて脱出し、美遊はあたしと挟撃、敵を撃破もしくは合流して脱出、というのがプランAである。

あたしは改めて英霊を見る。全身を黒い鎧で被っているが、その下は黒いドレス姿。顔には目を覆うように黒いバイザー。手に持つ剣は漆黒に塗り固められている。明らかに剣に特化した英霊だ。

あたしが接近すると黒い騎士は剣を青眼にかまえる。よし、まずは様子見と牽制を兼ねて。

 

烈閃槍(エルメキア・ランス)!」

 

黒騎士はあたしが放った術を見ても微動だにしない。まさか剣で斬るつもりか、と思った次の瞬間。

 

ブオォォオッ!

 

突然黒騎士の周りを黒い霧が球状に渦巻きながら覆うと、あろうことか烈閃槍はあっさりと弾かれてしまった。

おにょれ、奇妙な技を!

わたしは次の呪文を唱えながら進路を左手、川の方へ移す。敵の視線をなるべくイリヤ達に気づかない方へとずらすだけじゃなく、ばか正直に進んでたら飛び道具がきた、なんて笑い話にもならない事態を防ぐためだ。

しかし凛さん達がいるせいで下手な術が使えないなぁ。まあ、とりあえず。

 

青魔烈弾波(ブラム・ブレイザー)!」

 

これならどうだ。貫通力のあるこの術は精神と肉体の両方にダメージを与える。

しかし黒い霧はこれもあっさり弾いてしまう。くそう、これでも貫けないか。

けど、なんとなくだけどあの霧の正体に目星がついた。あれはおそらく、濃密な魔力で出来てるんだろう。流動する魔力の霧が攻撃を受け流してたんだ。

ふと、嫌な予感を感じた。魔力の霧を自在に操れるのなら…。

横目に敵を見ると、その剣は黒い霧を纏っていた。

あたしは急遽バックステップを踏み進行方向を無理矢理変える。その目の前を黒い魔力の斬撃が通りすぎて行く。

あ、あぶねー。

こんなときイリヤが思わず叫んだりするもんだけど、それがないってことは美遊が口でも塞いでるんだろう。うん、出来る子だ。

さあて、黒騎士さん。もうしばらくあたしに付き合ってもらいましょうか?

 

 

 

 

≪イリヤside≫

リナが敵の斬撃を受けそうになって、わたしは思わず叫びそうになる。だけどわたしの口はミユさんの手で塞がれた。

 

「イリヤスフィールは何かあるとすぐ叫ぶってリナが言ってたから…」

 

うぅ、確かにそうだけど。でも、それが普通なんじゃないの?

 

「…いこう。早く二人の安全を確保しないと」

 

冷静ですね、ミユさん。でも確かに、凛さん達の所にたどり着かなきゃ先に進まない。わたしたちは再び凛さん、ルヴィアさんの救出のために走り出した。

 

「それにしても…」

『どうしました、イリヤさん』

 

わたしのつぶやきを聞いてルビーが尋ねた。

 

「うーんとね、リナってなんだか戦い慣れてる気がしてね」

『確かにそうですねー。いっそのこと、あとで直接聞いてみてはいかがですか?』

 

ルビーはそう言ったけど、わたしにはその勇気はない。なんとなく、リナが秘密を抱えている気がするから。それを聞いたとき、今までと同じ関係でいられるのか不安になる。だからわたしは…。

そんな事考えてるうちに植え込みの端までやって来た。息を殺してそっと覗きこむと、少し先には横たわる凛さん達の姿が。

思わず駆け寄りたくなる気持ちを抑えて敵の様子を伺と、どうやら上手いことリナが引き付けてくれてるみたい。

 

「(イリヤスフィール)」

「(うん)」

 

小声で短い会話を交わして、わたしたちは互いにうなずき気づかれないようそっと近づいていく。

その筈なのに。

敵は振り向いてこちらを見た。えぇ、な、なんで!?

 

『敵は直感のステータスが高いみたいですよ!』

 

直感が高いって勘がいいってこと? そんなのあり!?

なんて考えてる間にも剣に黒い霧を纏わせている。リナは、…まだ呪文が間に合わない? ええと、どうすれば…!?

…ふと、視界に何かが横切る。敵の顔に投げつけられたのは、宝石?

 

ドゴォッ!

 

宝石は爆発を起こし敵を巻き込んだ。

 

「くっ、やってくれるわ。この黒鎧!」

美遊(ミユ)! 一度距離をとって立て直しを…!」

「リンさん!」

「ルヴィアさん!」

 

リンさんとルヴィアさんが立ち上がる。二人ともお腹には深い切り傷が…。

 

「イリヤ、美遊! プランC!!」

 

リナの声にハッとする。そうだ、プランC!

脱出が難しくても凛さん達が意識を取り戻していた時の作戦。それは。

 

「リンさん、ルヴィアさん!」

「これを!」

 

わたしとミユさんは手にしているカレイドステッキをリンさん達へと投げ渡す。ルビー達も飛行能力を使ってたから一直線に二人の手元に届く。

それを受け取った二人の姿が魔法少女のものへと変わった。

リンさんは赤い衣装に猫耳と尻尾の姿。ルヴィアさんは青い衣装に犬耳と尻尾の姿。うん、端から見るとやっぱり恥ずかしいね。

 

 

 

 

≪リナside≫

うあ、凛さんとルヴィアさん、すっげーはずかすぃカッコ。理性がない筈の黒騎士まで呆気にとられてる気がする。

どうやらからかわれたらしい凛さんは、ルビーを地面に何度も叩きつけてる。

 

「この服を着こなすにも品格というものが必要なのですわ」

 

ああ、やっぱり彼女(ルヴィアさん)はアイツに似てるわ。服の趣味は違うけどセンスがずれてるとこが。

 

「って、今はそれ処じゃないでしょ!!」

 

あたしのツッコミにハッとする二人。

まさにそのタイミングで二つの黒い斬撃が二人を襲う。それは上手くかわしたけど黒騎士はさらに斬撃を飛ばしてくる。

 

「気をつけて! その攻撃は剣圧に魔力をのせて放ってるわ!」

 

イリヤ達の所へ移動しながら凛さん達へ注意を促す。

はっきり言ってあの黒い霧はかなり厄介である。並みの攻撃じゃ突破できないし、斬撃に乗せてくると魔術障壁だけじゃ防御できない。そうなると二人のコンビネーションが大事になってくるんだけど…。

 

ドグワァン!

 

な!? ルヴィアさんが上空から黒騎士めがけて複数の魔力弾を撃ち込んだ。命中はしてないけどそもそもこれは目眩ましと見た!

その予想を裏付けるように凛さんが爆煙から黒騎士の後ろに飛び出してきた。振りかぶったステッキを黒騎士めがけて振りおろすけど、それを剣で受け流す黒騎士。

見るとルビーの輪っかの先には刃がついている。ぱっと見は両刃のナイフだけど、敵と打ち合えるってことは魔力で出来てるってとこか?

凛さんは引き続き黒騎士としのぎを削りあっている。というかこれって魔法少女の戦い方じゃないでしょ。

でも実は、やり方としてこれは正鵠を射てるのだ。あの刃が高密度の魔力で出来ているなら黒い霧も突破できるだろうし、残りの魔力を各防御力の強化にまわすことができる。

 

「リナ」

 

ようやく合流したあたしにイリヤが口をひらく。

 

「リンさん達、勝てるかな」

「さあ、まだなんとも言えないわね」

 

はっきり言って凛さんは黒騎士と対等、とまではいかなくてもそれに近い状態で戦ってる。けど、凛さんは全力なのに対して、黒騎士はまだまだ余力を残している。

つまり、向こうがギアをあげる前にいかにダメージを与え倒すことができるか、という戦いなのだ。

 

「イリヤ、美遊。とにかく今は、二人の戦いをしっかり見ときなさい」

「「え…?」」

「イリヤは発想に優れてるし美遊は戦い方の知識があるみたいね。でも二人とも戦い慣れはしていない。だから戦う姿を目に焼きつけんのよ。所謂見取り稽古ってやつね」

 

あたしの言葉にイリヤが一瞬複雑な表情をして見せた。なんか変なこと言ったか、あたし。

ま、それでも二人は素直に戦いへと目を向けてくれた。

はっきり言ってイリヤ達には戦ってもらいたくはないけど、今さら止めさせることもできない。それなら、ちゃんと戦いを見せて勉強させる方がよっぽどマシだ。

凛さんと黒騎士との剣の打ち合いはまだ続いている。が、黒騎士の打ち込むスピードが急激に上昇した。マズい、ギアをあげてきた!?

凛さんが大きく振りかぶり黒騎士へ切り下ろそうとするけど、黒騎士の左手が、ルビーを持つ手のうち前に来ている左腕を押さえ込む。そして右手にもった剣がバックスイングで凛さんの右脇腹を切りつけようとする。

 

「物理保護全開!!」

 

凛さんの指示のすぐあとに黒騎士の剣が脇腹へと決まる。が、剣は凛さんの身体を通らない。

凛さんが黒騎士になにか呟いたかと思うとルビーを相手の右脇腹に押しあて、

 

砲射(フォイア)!!」

 

(ゼロ)距離からの砲撃をぶち込んだ。結構ダメージがあったのだろう、慌てて距離をとる黒騎士。

そのタイミングを見計らっていたかのように、凛さんの隣りにルヴィアさんが立っていた。どうやら準備が出来たようだ。

そう、凛さんはルヴィアさんが何かの攻撃の準備をしてるあいだの、囮を務めていたのだ。

ルヴィアさんの後ろの空間には六つの魔法陣が描かれていた。イリヤと美遊も、ようやく二人の意図が掴めたようだ。

 

「シュート6回分のチャージ完了。…ちょうどさっきの敵とは立場が逆ですわね」

 

そう、二人が狙っていたのは高火力による敵の殲滅。

 

「「斉射(フォイア/シュート)!!」」

 

凛さんのフォイアにルヴィアさんのシュート、さらにチャージされた6発分が同時に解放され黒騎士にまとめて着弾する。

その破壊力は凄まじいもので、着弾点から後方へ楕円形に大地を、川の中央付近にわたって抉っている。物理的な破壊力だけを見たら竜破斬(ドラグ・スレイブ)並じゃなかろうか。

 

ぞわりっ

 

なっ、この感覚は!?

 

「オーッホッホッホ!! 楽勝! 快勝! 常勝ですわー!」

 

ルヴィアさんがまたアレみたいになってるけどそれどころじゃない!

 

「まだ終わってないわ!」

「えっ、リナ!?」

「またですの!?」

「アイツの殺気が膨れ上がってるっ!!」

「「!!」」

 

そう。黒い霧を発生させた辺りから感じられるようになった殺気が、とてつもない大きさになっているのだ。

二人が慌てて視線を戻すと、川の水を割って黒騎士の姿が現れる。手に持つ剣は、黒い膨大な力を纏っていた。

そして黒騎士は宝具の真名を口にする。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

その名は、世界的に有名な伝承に登場する聖剣だった。

そうか、あの英霊の真名は…!

 

 

 

 

≪イリヤside≫

黒い黒い極光の暴力は、一瞬で二人を飲み込み鏡面界を両断した。

すべての希望が断たれ、かつてない絶望に触れた時。

かちり、と−−−。

わたしの中で何かが外れる音がした。

何が起きたのか、よくわからなかった。

ただ、怖くて、悲しくて、どうしようもなくて、何が起きようとしているのかもわからなかった。

そしてわたしの記憶は、ここで途切れる−−−。




ついにセイバーの宝具発動。
ホント、彼女の場合有名すぎて、Fateシリーズ知らない人でも宝具の名前で正体がわかってしまうという。
という訳で、次回からリナの敵の個体認識名が変わります。(キャスターにも個体認識名、つければよかった)

次回「いざ撃たん! 模造の聖剣と魔王の魔術!!」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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