Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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内容が途中で切れていたので再投稿します。これでもダメなら二分割だな。


金色(きん)の髪の剣士と世界を越えた想い

≪リナside≫

覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」

 

バジュッ!

 

あたしの放った術が、雷となって彼に襲いかかったが、それはいともあっさりとかわされてしまう。

先手必勝、不意討ち上等で接界(ジャンプ)直後に放ってみたけど、そう上手くはいかないか。

ホントは竜破斬を使いたかったけど、もし防がれたとしたら、それはすでに宝具を発動させてしまったということ。まさにハイリスク・ハイリターン。そこまでの賭けはさすがに出来なかったのだ。

さて、今いるところは穂群原学園高等部の校庭、の鏡面界。まさか二度もここで英霊と対峙することになるとは、思いもしなかった。

再構築された空間だからか、前回破壊されたあちこちは現実世界と変わりない姿になっている。あくまで向こうの写し鏡でしかないってことなんだろう。

 

「さてと、再会のアイサツ、気に入ってもらえたかしら? ガウリイ」

 

軽口を叩くあたしに、けれどもやはりガウリイはなんの反応も示さなかった。

あたしは改めてガウリイの姿を見る。

アイアン・サーペントの胸甲冑(ブレス・プレート)やその下に見える服やズボンの色は黒、肌の色は悪く鮮やかだった長い金髪は白くくすんだ金色だ。

…逆に考えると、アーサー王もほんとは鮮やかな金髪だったのかもしれない。

それはともかく、何よりも目につくのは手に持った剣。刀身はごく普通のロングソード。しかし柄の部分は、鍔と柄尻に一種独特なデザインが施されている。

 

「…ひとまずは安心ってとこね」

『安心、ですか』

『リナさん、あの殺気、充分危険な気がするんですけど』

 

確かにルビーが言う通り、もうちょっとでも近づいたら確実に斬りかかってくるだろう殺気を放ってる。でもあたしが言ったのはそこじゃない。

 

「あたしが言ったのは彼の武器の話よ」

『あの剣ですかー?』

「彼は伝説級の剣を、生涯で二度所持してたの。

最初の剣はある事件で手放して、あたしとの旅のなかで二本目に巡り会えたのよ。あれはその一本目のほう」

 

事情を簡潔に説明する。こういうとき、敵が待っててくれるのはありがたい。

 

『では、一本目のほうが弱かったという事でしょうか?』

「ううん、その性能に優劣はつけられないわ。ただ二本目は、真名開放前からとてつもない切れ味だと思うから」

 

二本目の剣の名前は「斬妖剣(ブラスト・ソード)」。魔力を切れ味に変えてなんでもスパスパ斬ってしまう物騒な剣だ。あんなもの、ガウリイの腕で振り回されたら堪ったもんじゃない。はっきり言ってルビーやサファイアですら真っ二つにされかねない。

 

「少なくともアレは、真名開放さえしなけりゃ切れ味は普通の剣だから」

 

それでも充分厄介だけど。

…と、いつまでも喋ってたって埒があかない。

 

「さて、そろそろいくわよ!

クラスカード[ランサー]限定展開(インクルード)!」

 

ルビーに[ランサー]のカードを限定展開すると、あたしの右手にメリケンサックが嵌められる。アメリアの拳による攻撃が概念礼装として宝具化した、というのがサファイアの説明である。

 

「さらに[セイバー]限定展開(インクルード)!」

 

次にサファイアに[セイバー]のカードを限定展開、約束された勝利の剣を両手で構える。

そして一歩、足を踏み出したとたん。

 

ダンッ!

 

弾かれたかのような勢いでガウリイが飛び出したっ!

くっ、やっぱり速い!

彼の、袈裟懸けの斬撃を剣の腹で受けつつ、その力に逆らわずにわざと弾き飛ばされる。

 

爆裂陣(メガ・ブランド)!」

爆裂陣を()()()()()()()()()()発動させる。噴き上げる土砂の中を、しかし彼は突っ切ってきた。

そう、彼ならそうする。それがわかっているからこそ、あたしは既に彼との距離を詰めていた。

出会い頭に放つあたしの右拳。

しかし虚をつくことは出来たものの、すぐに剣の腹を盾にしてあたしの拳を防ぐ。

さすがガウリイ、だけど甘いっ!

 

雷撃(モノ・ヴォルト)!」

拳から剣を伝って、ガウリイに電流が流れる。強力な術ではないけど軽い麻痺を引き起こすことはできる…。

 

ぐおっ!

 

なに!?

あたしはガウリイの剣に押し返され、たたらを踏む。

雷撃が効いてない? …まさか、魔力耐性か!?

もしかして[セイバー]のクラスには自動的に耐魔力がつく!? なんじゃ、そのチート性能は!!

とにかくあたしは左手一本で剣を振るう。しかし腰の入っていない軽い剣、いともあっさりと弾かれた。

あたしはその隙に空いた右手で黒鍵を取り出し、刃を編んで投擲するが、これもやはり弾かれる。

ガウリイが踏み込み、あたしに斬りかかろうとする、そのタイミングで。

 

魔風(ディム・ウィン)!」

 

()()()()()()放った突風に乗るかたちで、ガウリイから距離をとる。

次の瞬間、サファイアからクラスカードが排出される。やはり能力の高い宝具は限定展開のタイムリミットは短いみたいだ。

でも、今この瞬間はありがたい。

 

速射(シュート)!」

 

サファイアから放った複数の魔力弾がガウリイを襲うが、これまた剣で全てを弾く。

ううみゅ。判ってたこととはいえ、相変わらずとんでもない腕してるわね。しかもまだ普通の剣のままなのに、英霊の武器となってるからか平気で魔力弾弾いてるし。

直線的な攻撃じゃあ退けることすら出来ない。それなら…!

 

斬射(スラッシュ)!」

 

あたしは、ライダー戦でイリヤが使っていた魔力の刃を連続で飛ばす。その分威力は落ちるけど、広く展開した刃は弾くのには向いていないハズ。

その予想どおり後ろに下がりながら、かわしきれない分を剣で切り裂いている。

 

烈閃槍(エルメキア・ランス)!」

 

すかさず精神系の魔法を放つ。ガウリイが剣で弾こうとして。

 

「ブレイク!」

 

突然炸裂した烈閃槍を浴び、動揺するガウリイ。あたしは距離を詰めようとするが…。

 

バシュッ!

 

カードが排出され、ルビーも限定展開が解けてしまった。

くっ、間の悪いっ! でもそれならばと、ルビーに刃を編み右手で上段から斬りつける。

ガウリイはそれを剣で弾くが、刃を編んだ左手のサファイアをバックスイングし、彼の左胴を狙う。だが。

 

ガッ!!

 

ガウリイは剣を引き、その柄尻であたしの拳を叩く。

かなりの激痛に、あたしはサファイアを落としてしまい。

それを見逃すはずもなく、ガウリイは落下するサファイアを前回し蹴りで明後日の方へ蹴り飛ばし、振り抜いた足を地面にバウンドさせるように逆方向に振り、後ろ回し蹴りをあたしのお腹に叩き込もうとする。

 

烈閃咆(エルメキア・フレイム)!!」

 

なんとか完成させた術を発動させるのと、彼の蹴りを食らうのはほぼ同時だった。

蹴り飛ばされたあたしは地面を不様に転がる。一方のガウリイは烈閃咆の直撃によって、肩で息をするほどのダメージを受けているようだ。

本来なら追い討ちをかけるチャンスだけど、あたしも蹴りのダメージのために立ち上がることが出来ない。

と、突然ガウリイの魔力が高まり始める。しまった、宝具…!

「!? ■■■■ー!」

 

……え、なに?

ガウリイはいきなり叫んだかと思うと、あれほど高まっていた魔力を引っ込めてしまった。

 

『なんだか、ほとんど理性がないはずなのに、自分に言い聞かせてるみたいな態度ですねー』

 

何気なく言っただけなのだろうルビーの言葉を聞いて、あたしはハッとする。

なんであたしはガウリイと打ち合える? 確かに彼はあたしを圧倒している。だけどあたしは、離れた場所から戦いを見ている分には太刀筋がわかるだけで、実際に打ち合おうものなら数合も持たずに斬られているハズだ。

 

−−−オレはおまえさんの保護者だからな

 

こと、ここにおいて、彼の言葉を思い出す。そうか、こいつはこんなになっても、あの言葉を守っていてくれたのか。

おそらく、ほんのわずかばかり残った理性の欠片を総動員して、懸命に力をセーブしててくれたんだ。

鼻の奥がツンとする。油断すると零れそうになる涙を我慢してあたしは立ち上がった。

お腹はまだ痛いけど、ルビーのおかげで戦えるくらいには回復している。なによりも彼の想いに応えるためにも、決着を着けなきゃならない。

 

「ルビー、ここで決めるよ」

『リナさんのお手並み、拝見します』

 

あたしは、今、限定展開出来る唯一のカード、バーサーカーを取り出しルビーに当てる。

 

「クラスカード[バーサーカー]、限定展開(インクルード)!」

 

掛け声と共にルビーは白いフード付きのマントに変化し、あたしはそれを羽織っていた。

あたしは呪文を唱え始める。術式はあたしが以前使っていた術と同じ。ただし力を借りる相手が違っていた。

あたしは両手に一本ずつ黒鍵を握り、同時に投擲する。もちろんそれは弾かれるが、そのときには最後の一本を取り出し彼のもとへ駆け出している。

あたしはそれを袈裟懸けに斬りつけるが、ガウリイは剣で叩き落とし、返す刀であたしの胴に打ち込んできた!

 

がぎぃっ!

 

硬い音をたてて刃は弾かれた。

バーサーカーのカードの力。それは超強度の物理保護。その能力はカレイドステッキが最大限に展開した物理強化をも超える。

あのマントはゼルの頑強さが概念礼装となったものだ。

 

あたしは両手で剣を握るような形を作りガウリイの胸に向けて、術を発動させる。

 

魔王剣(ルビーアイ・ブレード)!!」

 

手のなかに生まれた赤い光の刃が、ガウリイの胸を貫いた。

 

「■■…」

 

光の粒子になって消えゆく彼が何事か呟いたそのとき、微笑んでいたように見えたのは気のせいだったのだろうか。

 

 

 

 

 

あたしはまず、戦闘中に散乱した黒鍵と手持ちのクラスカードを回収する。ゼルガディスと戦ったとき、黒鍵を一本回収し忘れて無駄にしたため、というのは言い訳で、ホントはまだざわついてる心を落ち着かせるためだ。

ルビーが『サファイアちゃんを探しにいきます!』とか騒いでいたけど、二次遭難のフラグだから止めるよう言っといた。実際、そのすぐあとにサファイアが合流したので、あのまま探しにいってたら確実に行き違いになってただろう。

そんなやり取りをしている間にも、散乱したアイテムは全て拾い集め、後はガウリイが残したカードだけだ。

拾い上げたカードに書かれていた文字は、予想していた通り[セイバー]であった。そして他の二枚同様光を放ち、一人の青年が現れる。

青い瞳に鮮やかな金色の長い髪、スラッとした長身の好青年。ああ、なにもかもが懐かしい。

 

「よう、リナ」

 

軽く挨拶をする彼にあたしは。

 

「よう、じゃなーい!!」

 

すっぱぁん !!

 

あたしはスリッパで彼の頭を叩いていた。

 

「おい、リナ。何をするんだ!?」

「何をするんだ、じゃない、わよ…」

 

彼の胸ぐらを掴みながら言うあたしは、しかし想いが溢れだしてきて止まらなくなる。ああ、もうだめだ。

あたしは彼に体を預けるようにして泣きだした。

ガウリイは黙ったまま、あたしの頭に優しく手をおく。それだけであたしは、心が落ち着いていくのがわかった。

 

 

 

 

 

「あー、悪かったわね」

 

完全に落ち着いたあたしは、言いながらガウリイから離れる。はっきり言って今、メチャクチャ恥ずかしい。顔が赤くなってるのが自分でもわかるくらいだ。

 

『なるほど? 先ほどの行動は複雑な乙女心を隠すためだったんですねー?』

『ツンデレですか』

 

その考察はやめれ。

 

「乙女、なのか?」

 

何が言いたい、ガウリイ。

 

『いやー、なかなか乙女らしい反応だと思いますけど?』

「いや、こいつ死んだのオレより後だぞ?」

 

ぴきいぃぃっ

 

『ほほう、ちなみにガウリイさんはお幾つまで生きてらしたんですか? そもそもリナさんとはどういったご関係で?』

「オレは九十手前くらいまで生きたかな。関係もなにも、オレ達夫婦だったから」

 

いかん、固まってる間に話が進んでるっ!

 

『なるほどー』

『……』

 

う、ルビーとサファイアから生暖かい視線を感じる!?

 

『リナさまは転生者ですから、そういうこともあるかと思ってましたが…』

『リナさん、人生経験が豊富なんですねぇ』

 

くうぅ、よりにもよってルビーに弱味を握られてしまった。しかも人生経験豊富って、絶対別の意味含んでるよね!?

 

「まあ、今は逆行してるけどな」

「アンタはだまれっ!」

『おや、図星を指されて怒ってますよ』

 

ちくしょう、あたしは人をおちょくるのは好きだけど、おちょくられるのはイヤなのよっ!

 

「…………ふぅ」

『おや、リナさん。どうしました?』

「宝石翁にいーつけちゃる」

 

ざわざわ、ざわざわざわ…

 

『な、なに言ってるんですか。連絡先なんて知らないくせに』

「手紙にロード=エルメロイⅡ世って代理人の電話番号が書いてあった」

『さて、時間もないことですし、ちゃっちゃと聞くこと聞いちゃいましょう』

 

よし、とりあえずこれで、この件に関してはおちょくられる事はないだろう。弱味を握られていることには変わりはないが、そうそうバラすような真似はしないだろう。サファイアも抑止力となってくれると思うし。

さて、ルビーの言い分じゃないけど、確かに時間もない。

 

「ねえガウリイ、あなたも何か、情報があったりするわけ?」

 

一応聞いてはみるけど、彼の記憶力じゃあなぁ。

 

「おう、そーいや言わなきゃなんないことがあったな」

 

お、今まで忘れてたとはいえ、こいつがちゃんと記憶してるとは!

 

「ええと、…………なんだっけ?」

 

ずでどしゃ!

 

あたしは盛大にコケた。

 

「ガ、ガウリイ、あんたねぇ…」

「わぁ待て、冗談だ! ちゃんと覚えてるって!」

「だからあんたのそれは冗談に聞こえないのよ!」

 

はぁはぁ…、無駄に体力使わせんじゃないわよ。

 

「悪かったって。

それでオレが伝えることは2つ、このカードはまだ応用が利くらしいってこと。そしてもう1つは…。

聖杯を守り通せってことだ」

「聖、杯? なによそれ」

「いや、オレにはわからん」

 

ガウリイが頬をかきながら言う。まあ、期待はしてなかったけど。

と、ガウリイの体が光始め。

 

「時間か」

「なによ。そんだけの情報しかないのに、ずいぶん時間に余裕があったわね」

「おまえさんが泣くのを見越してたんだろ」

「!!」

 

一瞬で顔が火照ってしまった。

 

「じゃあな、リナ」

 

そんなあたしに微笑みながら、ガウリイは消えていった。まったく、ずるいやつだ。

しかし、聖杯か。どんな意味があるのかはわからないけど、この騒動はかなり根深いということか。

あたしは一抹の不安を抱えつつ、鏡面界を後にした。




リナとガウリイの組み合わせは最高ですね。ホントはもう少し絡みを入れたかたなぁ。

次回「イリヤ脱落!? 魔法少女と覚悟」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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