Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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うん、すまない。久しぶりに投稿がおくれた。


キズナノユクエ feat.イリヤ

≪イリヤside≫

朝。目覚めの気分は最悪だった。

昨日、クロが逃げ出してから。服を着たあと、リナがわたしに声をかけてきた。

 

「アンタ、どうしてクロエが怒ったのか、わかってる?」

 

わたしのことをアンタ呼ばわりするリナ。それだけで、機嫌を悪くしてるってのがわかる。

わたしは、理由はわからないけど、わたしの言い方が悪かったのはわかるって言った。そしたらリナが。

 

「そう。なら、明日までその理由について考えてきなさい。あたしからの宿題よ。

……てなわけでルビーは、ヒントくらいならいーけど、答えは教えないように」

『りょーかいでーす』

 

そんなわけで一晩、自分が言った言葉の意味を考えてみた。とは言っても、取っ掛かりがわからないので早速ルビーに聞いてみる。

 

『そうですね。それなら、わたしと出会った頃から順に思い出していってください。そのときにイリヤさんが感じたことまで、できるだけ詳しく。その中に、きっと答えはありますから』

 

いつになく真面目な口調で言うルビーに、リナ同様機嫌を損ねているのがわかった。

わたしは気持ちをあらためて、自分の言葉の意味を考えてみる。

そして、気づいた。わたしは、クロにいなくなれって言ったようなものだって。

 

−−−『元の生活』に、わたしはいた?

 

確かにそう、クロは言ってた。裏を返せば、クロがいなくなれば元の生活に戻るって言ってるみたいなもの。

……ほんとにそれだけ?

心の奥に疑問が浮かぶ。

もしそれが理由なら、ルビーはなんで、出会いのところから振り返らせたんだろう。それならお風呂場の会話だけでも答えは出たはずなのに。

そしてもう一度、最初から考え直し。今を迎えている。

 

『おはようございます、イリヤさん。それで、答えは出ましたか?』

「ん。合ってるかどうかはわかんないけど、一応」

 

ルビーの質問に、わたしは自信なく応える。

 

『そうですか。では後は、リナさんの答えあわせ待ちですね』

 

答えあわせかぁ。そんな軽い感じでいいのかな。わたしの想像通りなら、かなりひどいこと言っちゃったんだけど。

うん、それにしても。

 

「今回のリナ、結構厳しいよね」

『そうですねー。それはたぶん…、いえ、これは答えあわせが終わってからの方がいいでしょう』

 

途中で言うのをやめるルビー。だいぶ機嫌も良くなってきたみたいだけど、やっぱり…。

 

「あの、ルビー、ごめんね?」

『イリヤさん?』

 

いきなり謝ったことにルビーが驚いてる。

 

「わたしの考えが合ってるのかはわかんないけど、あそこにいたみんなに悪いことを言ったのはわかるから。だから、ごめん!」

 

ふぅ…

 

ルビーは一つ息を吐いてから言った。

 

『イリヤさんが、わたしたちが邪推してしまうような意味で言ったんじゃないことは理解してますよ。

ただ、そうですね。頭では理解していても、心、感じた思いというのは、また別だということです』

「うん…」

 

それは、よくわかる。わたしがクロに対するものも、それだからだ。

クロのことは嫌いじゃない。学校の屋上で言ってたことも、ほんとのことなんだろう。

でも。それでも、クロのことを不快に思ってる自分がいる。ほんとはそんなこと、思いたくもないのに。

きっとルビーが言ってるのは、そういうことなんだ。

 

『……イリヤさん。ルビーちゃんはもう、なんとも思ってませんよー?』

「ん、ありがと」

 

ルビーの気遣いが嬉しいけど、やっぱりわたしの心は晴れなかった。

 

 

 

 

 

登校して教室に入ると、ミユが何かを言いたそうにわたしを見たけど、結局口をつぐんでしまった。きっと落ち込んでるわたしを見て、気が引けちゃったんだろう。

わたしも、空元気でもいいから明るくいきたいけど、どうしても気持ちは沈んでしまう。

 

「おはよう、イリヤ」

 

あ…、リナ。

 

「宿題はちゃんと済ませてきた?」

「う、うん…」

「そ。じゃあ放課後にでも、答えあわせしましょうか。

……それから」

 

リナはゲンコツを作り、わたしの額をコツン、と軽く叩く。

 

「かなり思い悩んでるみたいだけど、やっちゃったもんはどうしようもないんだし、悩むだけムダよ」

「でも…!」

「別に悔やむなって言ってる訳じゃないわよ? ただ、悔やむばかりじゃなく、前を向くのを忘れるなってこと」

「あ…」

 

そうだった。

ちゃんと前を向いてれば、大事なものを見逃さない。

前に魔法少女を続けるのが怖くて逃げ出しそうになったとき、ルビーが言ってた言葉。

そうだね。どんなときでも、前を向くのを忘れちゃダメだよね。

 

「うん。ありがと、リナ」

 

ようやく少しだけ、わたしの心は軽くなった。

 

「イリヤ…」

 

その様子を感じ取ったんだろう、ミユがわたしに声をかけて…。

 

……ごす!!

 

「「ミユ(美遊)!?」」

 

突然飛んできたランドセルが、ミユの頭にヒット!

どうやらタツコがまたもや暴れだしたらしい。

 

「龍子! ハウス!」

 

軽くキレたリナが、タツコの頭に段ボール箱を被せて大人しくさせる。ちなみに、リナがやらなきゃわたしがやってた。

何事かと思って聞いてみると、夏休みの初日に海で、わたしの誕生会を開いてくれるっていう。ミミもミユに出席の確認をしてる。なんか嬉しかったんだけど、でも。

 

「わたし、龍子、那奈亀、美々。イリヤと美遊、それにリナ。あと、クロも入れて八人だな」

「あ…」

 

スズカがクロの名前を出した途端、胸が締め付けられる気がした。

わたしの様子を疑問に思ったスズカが、訳を尋ねてくる。わたしはクロとケンカをしたって答えた。

 

「あー、そりゃ確かにバツが悪いよな。でも、ま、従妹なんだし、仲直りのきっかけとでも思って伝えといてよ」

「うん、そうだね…」

 

わたしはモヤモヤした気持ちのまま、相づちをうった。

 

 

 

 

 

放課後。ミユが下駄箱のまえで突っ立ったまま動かない。

 

「美遊?」

「どうしたの?」

 

リナとわたしがたずねると。

 

「イリヤ、リナ。先に帰ってて。

今日は…、ちょっと寄るところがある」

「え…、そう、なんだ」

 

なんだかミユの様子がおかしい。気にはなるけど、このあとリナと答えあわせをしなくちゃなんないし。

結局、そそくさと去ってくミユを、ただ見送るしかなかった。

 

 

 

 

 

それから学校を出たわたしたちは、蝉の鳴き声が降りしきる中、近くの公園までやって来た。

木陰になってるベンチにわたしを座らせてから、リナが口を開く。

 

「さて、早速答えあわせといきましょうか?」

 

うう、気が重いなぁ。

 

「イリヤ、あなたの考えを聞かせて頂戴」

「うん…。

最初に思ったのは、わたしが言ったことはクロに、『消えろ!』って言ってるみたいなもんだってこと。実際クロは『元の生活にわたしはいた?』って言ってたし。

でも、それだけだったら、ルビーはどうしてあんなヒントを出したんだろうって…」

「ん? ルビー、どんなヒントを出したの?」

『わたしはただ、わたしたちと出会ったときから、そのとき感じたことも含めて思い出すように言っただけですよー』

 

リナの質問に答えるルビー。

 

「うん。でもあの答えって、お風呂場の会話だけでも出るんだよね。それで考え直して出たのが…。

わたしは、みんなとの出会いを無かったことにしたい。

そう言ってるようなもんだったんじゃないかと…」

「……」

 

リナは黙ってわたしをみつめてる。

 

「わたしが魔法少女になったのはルビーが詐欺紛いの方法で契約したのが理由だし、カード集めだってリンさんたちと出会ったのが原因だもの。

そしてそれがなければ、クロが現れることもなかったと思う」

 

そうだ。だってクロは…。

 

「ねえ、リナ。クロが怒ったのって、自分が否定されたって思っただけじゃなくって、みんなを否定したって感じたからだと思うんだ。

クロが普通の生活を望んでたってことは、()()()()()()()()望んでたんじゃないかなって」

 

わたしは魔術の世界はよくわからない。ただ、クラスカード回収の時みたいなのは、その、ほんの一部でしかないんだと思う。

だからこそ、普通の生活をしてるわたしが人との縁を切るようなことを言ったのが、クロには許せなかったんじゃないか。

わたしはその考えを包み隠さずにリナに言った。

 

「……驚いたわね」

 

ほえ?

 

「それ、あたしが思ってたことと、大体一緒よ? まあ、最後のあたり、あたしは考えすぎかもとも思ったけど。

それでもクロエは、みんなとの出会いを否定した、とは思ったでしょうね」

『それは間違いないと思いますよ? わたしだって少なからず思いましたし、おそらくサファイアちゃんに凛さん、ルヴィアさんもその思いは抱いていると思います』

 

ううー、やっぱりそうだよね。

 

『ところでリナさんは他人事のように言ってますけど、そんな思いは抱いてないんですかー?』

 

びくっ!

 

思わず身体が震える。リナ、そしてミユは、わたしの言葉をどう思ったんだろう。

 

「いやー、あたしにとっては他人事だし?

だってあたしたちの出会いは、イリヤが魔術に関わるはるかに前よ? はっきり言ってイリヤが巻き込まれなけりゃ、あたしだってここまで深入りしなかったわよ」

『あー、そういえば、そうでしたねー』

 

そっか。確かあのとき、わたしが戦わなきゃいけないって知って、思わず茂みから飛び出してたっけ。

……ん。

 

「ねえ、リナ。今回わたしに厳しいよね?」

 

わたしは今朝、ルビーに尋ねたことを、直接リナに聞いてみる。

 

「……あー、そうね。それは…」

 

ビビビビ……

 

リナが答えようとしたとき、突然けたたましい音が鳴り響いた。

 

「な、なに!?」

『サファイアちゃんの救援信号です。リナさんの(オーブ)では、そのような音で伝わるようですね』

 

救援信号!? 何が起きたっての!?

 

「やっぱりあの子、クロエから呼び出しくらったわね」

 

!!

 

「行くわよ、イリヤ!」

「……うん!」

 

リナに促されて、わたしたちはミユの元に向かった。

 

 

 

 

 

転身したわたしはルビーの誘導のもと、リナと共に上空を進んでいく。

そして海岸線沿いの林の上にさしかかったところで、二人を見つけることができた。二人は互いに剣を構えて、今にも斬りかかろうとしてる。

わたしは慌ててルビーに魔力を込めて。

 

斬撃(シュナイデン)!」

 

二人の間へと斬撃を飛ばした。

そしてわたしたちは二人の間へと降り立ち。

 

「二人とも、戦いはやめ、て!?」

「こんの大馬鹿モンがぁーッ!!」

 

リナが、取り出したガラス玉をクロとミユの足下に投げつけると、地面が大きく吹き上がった。うーん、ちょっとやり過ぎな気も…。

 

「っつう…」

「痛い…」

 

クロとミユがムクリと身を起こして…、って?

 

「ミユ、なに、その格好? 新コス!?」

「ええっ? その…!」

 

ミユは髪をお団子にして、青っぽい袖無しの服に膝上丈の黒いスパッツ、手甲と具足を身につけ、手には約束された勝利の剣(エクスカリバー)。うん、なかなか新鮮かも。

 

『イリヤさん!』

 

ルビーの呼び掛けに反応して振り向くと、クロがわたしに斬りかかって…。

 

「『セイバー』、限定展開(インクルード)!!」

 

ガギィッ!

 

リナが限定展開した剣で、クロの攻撃を受ける。

クロは一端さがってわたしに言う。

 

「いい加減にして。今さら出てきて、お姫様気取りしないで!」

 

さらにミユが続けて。

 

「イリヤ。話し合いは、もう終わってる。クロに共存の意思はない。だったらここで…」

「ふざけんじゃないわよ!!」

 

その言葉を断ち切ったのはリナ。

 

「そりゃアンタたちの話し合いでしょうが! あたしとイリヤはまだ済んじゃいないわよ!」

「なに言ってんのよ。イリヤは昨日…」

「あれは凛さんとの会話。クロエとじゃないわ!」

 

さすがにクロも、これには反論できなかったみたいで、押し黙ってしまう。

 

「……さあ、イリヤ。言いたいことがあるんでしょ?」

 

わたしはコクリと頷いて、クロと向かい合い、意を決して言った。

 

「クロ、ごめんなさい!」

「え…?」

 

唖然としてるクロを無視して、わたしは言葉を続ける。

 

「わたしが深く考えずに言った言葉のせいでクロを、ううん、みんなを傷つけちゃった。

わたしはただ、みんなと出会う前の生活を、()()()()()()()過ごしたかっただけなのに…」

「イリヤ…」

 

ミユが少しホッとしたように呟いた。

 

「わたしは逃げないよ」

 

それは、バーサーカーと戦ったときに、わたしが誓ったこと。そして、ここに来る途中でリナから聞いた、リナが厳しかった理由。

 

「起きてしまったことを、無かったことになんてしない」

 

その言葉の重さをわたしに伝えたかったんだ。

 

「関わった人や友達を見捨てて、前になんか進めない。

クロだって、その事は知ってるはずだよ。だって…。

クロは、わたしなんだから!」

 

わたしの言葉に顔を俯かせてクロは言った。

 

「……ズルいわよ、そんな後だしジャンケン。

今さらそんなこと言われたって、わたしの心のわだかまりは、簡単に消せやしないのよっ!!」

「クロ…」

「それに! 貴女には帰る家と迎えてくれる家族がいるわ。けど、わたしにはそのどちらもない!」

 

クロは言って白と黒の剣を構えて。

 

「わたしたちは二人。でも、与えられた日常はひとつよ。

暫定(いつわり)の日常はもうおしまい! もう逃げないって言うなら、わたしと戦いなさい!」

 

「あーもー、なんでわかってくれな…」

 

ゴウン…!!

 

「い…?」

 

ドシャン!

ギャルルル!

 

「のおおおおッ!?」

 

く、車がジャンプしながら突っ込んできたっ!?

 

ギャギャギャッ

ドォン!!

 

車は、木にぶつかって止まった…!?!?

 

「あのベンツェは、まさか…」

 

リナが呟いた。って、ベンツェ? え、それって…。

 

「もー、久々に帰ってきたっていうのに、家にいないんだから」

 

この、声は…!

 

「あれ? ドアが開かないわね。」

 

ガン!

 

「まっ、まままま…」

 

車のドアを蹴り開けたのは。

 

「ママ!?」

「やほー。ただいま、イリヤちゃん。もうすぐ夕飯だから迎えにきたわよー」

 

な、なんでママが!?

気が動転したわたしは、ただガクガクと震えることしかできませんでした。




今回のサブタイトル
前回と同じです

というわけで、前回の裏、イリヤパート+αです。
リナ、先生してるな…。
そしてウジウジイリヤのせいで執筆が進まなかったという。

次回「聖杯戦争」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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