Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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今回はスレイヤーズ8巻まで(第一部)のネタバレがあります。かなり端折ってますがご注意ください。


スレイヤーズ!

≪リナside≫

「リナの、秘密…」

 

小さく呟き、固唾を飲むイリヤ。どうやらイリヤも、あたしが秘密を抱えてることに薄々感付いていたみたいね。

 

「リナ。私とルヴィアは、あんたが秘密を抱えているのを知っているわ。

でも、いいの? 私たちにそれを明かしてしまっても…」

 

凛さんがあたしに気を使って尋ねた。まったくこの人は…。

 

「魔術師って、知らないことを知らないままにして平気でいられるもんなの? あたしのイメージでは、もっと知識に貪欲な人達だと思ってたんだけど」

「ッ!! それは…」

 

凛さんが顔を赤くして言葉をつまらせる。どうやら凛さんも、魔術師らしからぬ気遣いをしているのは自覚してるようだ。

 

「冗談よ。凛さんのそういうとこは嫌いじゃないし。

……そうね。秘密を明かす気になった一番の理由は、勇気がないのを言い訳にして隠し続ける自分に嫌気が差したのよ。だってそれは、イリヤたちを信用してないってことだから」

 

さっきの大浴場での、あたし自身の発言。クロエに絆云々言ったけど、秘密を明かしてないあたしこそ、みんなとの絆を蔑ろにしてたんじゃないか。そう思ったのだ。

 

「リナ!? でもそれは、簡単に打ち明けられるような秘密じゃないからって…」

 

以前にあたしが言ったことを美遊が代弁してくれる。ありがと。でもね、美遊?

 

「ええ、確かにそう言ったわ。

でも、あたしの秘密は、誰かに迷惑をかけるようなものじゃないの。相手が口をつぐんでくれてれば、なんの問題もないものなのよ。

だからあとは、あたしがどれだけ相手を信用してるかってこと」

「……」

 

あたしの弁に、美遊は何も言い返してはこなかった。

ちなみに、お父さん、お母さんはこの理論からはずす。だって、どう考えても悲しませることになるし、かなりデリケートな問題だからだ。

……でも、いつかは話さないと、いけないんだろうな。

はっ、いかん! 勝手にしんみりしてる場合じゃなかった。

 

「まあ、そんなわけで、みんなにはわたしの秘密を聞いてほしいのよ」

「……うん、わかった。わたしも今まで聞けなかったけど、リナがそう決めたんならわたしも覚悟を決めるよ」

 

イリヤ…。

 

「でも、ママが一緒でもいいの?」

「あらー、私は仲間はずれ?」

 

クロエの言葉に、全然困ってなさそうに言うアイリさん。

 

「うん、まあ、いちおー信用はしてるから。そのかわり、士郎さん以外のご家族への説明、お願いね?」

「シェロ以外? どういうことですの?」

 

あー、そこは知らんかったか。

 

「んー、お兄ちゃんは養子だから、正真正銘の一般人なのよ」

「あら、そうだったのですか?」

 

よし。ナイス、クロエ。説明の手間が省けたぞ。

 

「さて、と。こんな話をしてても埒があかないし、そろそろ本題へ入るわよ」

 

その言葉に、みんなの視線があたしへと集中した。

 

 

 

 

 

「まず、前提となるもっとも重要なことだけど。

あたしは、異世界からの転生者なの。憑依ってかたちの、ね」

「え…、転生って、生まれ変わりみたいなやつ?」

 

さすがイリヤ。一般人代表のオタクらしい切り返しね。

 

「なんか今、失礼なこと考えなかった!?」

「ううん、きっと気のせいよ。

それよりイリヤ。あたしは憑依って言ったでしょ? つまりあたしの魂は、とある理由でこの身体に入り込んだってこと」

「とある理由?」

「いえ、それ以前に異世界からの転生という話自体、俄には信じられませんわ」

 

うむ。凛さん、ルヴィアさんが言う疑問や言い分はもっともだ。あたしだって当事者じゃなければ、簡単には信じられなかっただろうし。

 

「それじゃあとりあえず、あたしの前世の話をしましょうか。手短にね」

 

 

 

 

 

−−−あたしは剣士にして天才魔道士のリナ。リナ=インバース。

郷里(くに)の姉ちゃんに、

 

「世界を見てこい」

 

と言われて旅に出てからはや数年。長いことあたしの周りをウロチョロしていた、自称あたしのライバル、その実ただの金魚のうんちだった彼女も、ここのところ目にしない。

そんなわけで、今日も今日とて盗賊いじめに勤しみつつ、お宝奪って懐を潤してたんだけど…。

 

 

 

 

 

「って、ちょーっとまったぁ! いきなりめちゃくちゃ突っ込みどころが多いんですケド!?」

 

ううみゅ。冒頭でいきなり話の腰を折るとは、って、冷静に考えれば現代社会に当てはまらないことばかりだな、こりゃ。

 

「あー、ごめんイリヤ。前置きしとくべきだったわね。

あたしの前世の世界、仮に向こうの神の名をとって『スィーフィード世界』ってしとくけど、そこはモンスターも生息する、中世ヨーロッパみたいな雰囲気のファンタジー世界なのよ。

姉ちゃんに関しては、そういう人だったって理解してください…」

 

最後に怯えた表情になったのだろう。イリヤは何も言わなかった、が。

 

「でも、盗賊いじめって…」

「悪人に人権はないっ!」

 

美遊の言葉を遮って、びしりっ、と言うあたし。

うん、このセリフは言ってて気持ちいい。こっちでこんなこと言ってたら、ただの問題児だからねー。

 

「……てなわけで、話を続けるわよ」

 

 

 

 

 

−−−とある盗賊団をぶっ潰したあたしは、その残党に追われていた。さすがに延々追いかけっこする気などないあたしは、森の中を通る道の真ん中で立ち止まり、盗賊たちと相対して迎え撃とうとする。そこへ、金髪長身の青年が介入、あっという間に盗賊どもを倒してしまった。

彼の名はガウリイ=ガブリエフ。色々あって、彼はあたしの旅に同行することになる。

しかし、それでことは収まらなかった。あたしが盗賊のアジトから持ち出したあるモノを狙う奴等が現れたのだ。

あーだこーだ色々あって連中の一人、ゼルガディス=グレイワーズに捕まったりもしたが、彼は裏切り、ともに逃げだし、ガウリイとも合流、と、そこまではよかったんだけど。

敵のボスは欲していたものを手にし、それがきっかけでその内に封印されていた、七つに裂かれた「魔王」の一体が復活してしまったのだ。

魔王の強さは桁違いだった。普通なら勝ち目はないに等しかっただろう。だけれどあたしは、ガウリイの持つ伝説の武器「光の剣」に「闇を引き込む術」を上乗せし、わずかに残った、魔王に乗っ取られた彼の力を借りて、魔王を打ち倒すことに成功したのよ。

 

 

 

 

 

ここまで語り終えたとき、部屋はしばらくの間沈黙に包まれていた。その静寂を破ったのはルビーだった。

 

『……えーと、魔王を倒したって言われましても。確かにバーサーカー戦のときのアレは凄かったですけどー…』

 

あー、さすがにルビーでも、魔王云々は信じられないかー。まあ、あたしだって誰かからこんな話聞かされたら、なにホラ吹いてやがる、って思うだろうし。

ただ、間違いは訂正しとかないと。

 

「ルビー、アレは魔王倒したやつじゃないわよ? そもそもあの術じゃあ、魔王を倒せないし」

『え? そーなんですか?』

 

そう。もっと言えば、今のあたしが使える術で、魔王相手にまともなダメージを与えられる術など存在しない。

 

「あの呪文、[混沌の言語(カオス・ワーズ)]って言語で編まれてるんだけど、その冒頭部分に、『黄昏よりも昏きもの、血の流れより紅きもの』って文言があるの。それを指し示すのが、スィーフィード世界の魔王。赤眼の魔王[シャブラニグドゥ]のことよ」

「……つまり、『あなたを倒すために、あなたの力を貸してください』って言ってるようなものだってことね?」

 

さすが凛さん、的確な表現ね。……てか、あたしもガウリイに説明したときに、こんな表現したような?

 

「……まあ、そんなわけで、魔王に使ったのはより高位の魔王の術よ。ただ、今は魔力が足りなくて発動できないけど」

『!?

リナさま、まさかそれは…!』

 

あ、さすがにサファイアは気がついたか。

 

「サファイア、それについては後でね。まだ、話が途中だから」

「えっ、まだ途中なの!?」

 

てっきり、あたしの過去話が終わったと思ったんだろう。イリヤが素頓狂な声をあげた。

 

「そうよ? せめて小説でいうところの第一部完、くらいまでは聞いてもらわないと。

ちなみに今ので1巻が終わったくらいね」

「第一部!? ……えっと、それって何巻くらいまであるの?」

 

あたしはしばし考え。

 

「一部だけで7〜8巻かな?」

 

ずげしゃっ!

 

みんなが一斉にテーブルに突っ伏した。うーん、アイリさんのこうゆーリアクションは珍しいかも。

でも今の話、そんなに長くはないと思うんだけど…。

 

「……いきなりラスボス倒して、まだ1巻」

 

あー、そういうことか。いや、まあ、言われてみれば確かに…。

 

「うん、言いたいことはわかったけど、もーちょっとだけ付き合ってね」

 

萎えそうになる気持ちにカツを入れ、あたしは話を続けた。

 

 

 

 

 

−−−その後、アトラスシティでの事件を収め、ガウリイとともに旅を続けていたんだけど、あたしたちは指名手配を受けることになる。その主は、あたしが魔王とともに倒したはずの、あの男だった。世間的には聖人君子で知れ渡っていたために疑問に思われなかったようだ。

あたしたちはことの真相を知るため、彼のいるサイラーグへと向かう。

途中、ゼルと再会し、彼とともに行動していたサイラーグの神官長の娘、シルフィール=ネルス=ラーダと出会う。

その後の襲撃などを経て、神聖樹(フラグーン)の内部に隠れたんだけど、そこにも彼らは現れ、そこが決戦の地となったわ。

結果として、あたしたちは勝った。サイラーグの壊滅という爪痕を残して…。

 

あたしとガウリイは、シルフィールを親戚のおじさんのもとに送るため、セイルーン王国へ向かうことになった。するとそこでは、お家騒動の真っ最中。あたしとガウリイもバッチリ巻き込まれた。

そこであたしたちは、第一王位継承者の娘、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンと出会う。

暗殺者(アサッシン)ズーマに狙われたり、大きな虫みたいな魔獣に襲われたりして死にそーにもなったけど、お家騒動はなんとか解決、そのあとに裏で糸を引いてた魔族も倒し、なぜかアメリアも一緒に旅立った。

 

旅を続けるあたしたちだったけど、あたしはマゼンダって女に魔ほ…、魔術を封じられ、さらにゴタゴタのあと、みんなとはぐれてしまったわ。そのときあたしを助けてくれたのが、謎の神官ゼロス。

その後、またもや再会したゼルと一緒にアメリアと合流。さらにガウリイと合流して伝説の魔獣を倒し、敵の野望は潰えた。今回も魔族が関わってたけど。そしてゼルも仲間に加わって、あたしは旅を続けたわ。

 

さらにその後ゼロスが加わり、ズーマと決着つけたり、実はゼロスは魔族だったり、彼に導かれてやって来たディルス王国の王都が火の海になったりと紆余曲折の末に、竜たちの峰(ドラゴンズ・ピーク)に辿り着く。そこで黄金竜(ゴールデン・ドラゴン)の長ミルガズィアさんと出会い、伝説の魔導書から知識を得たところにあたしを付け狙う魔族の親玉、魔竜王(カオス・ドラゴン)が現れた。しかし彼は、冥王(ヘル・マスター)に倒される。

 

冥王はガウリイを拐い、サイラーグに来るように告げた。あたしたちはガウリイを助けるためにサイラーグへと向かう。

冥王の策略に窮地に陥ったあたしは、魔王を倒した術、その完全版を使い、なんとか、結果的に冥王を滅ぼし、アメリア、ゼルと別れ、ゴタゴタで失った「光の剣」の代わりとなる剣を探すため、ガウリイと二人旅立ったのよ。

 

 

 

 

 

「……とまあ、これで第一部完、てとこね」

「なんだか、とんでもねー人生を送ってらしたのですね」

 

ルヴィアさんが感想を述べる。なんか語彙がおかしい気もするけど、きっと疲れてんのね。

あたしは話を続けた。

 

「そのあとも色々あったけど、それは話さなくても問題ないから端折らせてもらうわね。

郷里(くに)に帰ったあたしはガウリイと結婚して、沢山の子や孫、ひ孫に看取られて、130歳でその人生を終えたわ。

そして、全ての始まりの場所にして終わりの場所、混沌の海で出会ったのよ。この身体のほんとの持ち主、稲葉リナちゃんに。

あたしは混沌の海に消えていくリナちゃんから記憶と想いを受け取って、この身体に転生したの」

 

話終えたあたしは、ほう、と息を吐く。すると。

 

「リナってば、わたしたちより年上だったの!?」

 

クロエが驚きの声をあげた。うん、確かに、前世を勘定に入れればね?

 

「あー、ええと、リナ、さん…?」

「やーね、凛さん。呼び捨てでいーわよ。こっちでは今年で11歳だし、精神年齢だってイリヤたちより、ちょっと上程度まで若返ってるから」

 

転生してからだと、約六年だしね。

 

「そう?

それじゃリナ、さっきの過去話なんだけど、所々歯切れの悪い言い方してたわね? 特にヘル・マスターを倒した辺りのところ。結果的にとか言ってたけど、あれって一体…」

 

うっ、やっぱり気になるか。出来れば言いたくなかったけど、仕方ないわね。

 

「いやー、実は術の制御失敗して、力を借りた魔王に身体を乗っ取られちゃったっ! てへ♪」

 

あたしは言って片目を瞑り、ぺろりと舌を出した。




今回のサブタイトル
神坂一「スレイヤーズ」シリーズ1巻タイトルから

ついにリナが、自らの秘密を打ち明けました。
しかしこのカコバナ、粗筋としては間違ってないはずなのに、実際に小説読むのとイメージが違う。重要なポイント飛ばすだけでこうなるとは…。

さて、リナがこんなダイジェスト形式で話したのは、このあと話すことの補足的なものだからです。そうでなければ原作小説のように、とんでもなく長い話を延々と話しますから。
ちなみに作者視点で言えば、読者に対して必要以上のネタバレをなるべく減らすためでもあります。説明しないのは不親切ですが、必要以上のネタバレは余計なお世話、ということです。
この作品はあくまで、「プリズマ☆イリヤ」がベースですから。

次回「遥けき彼方より、此方まで」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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