Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ 作:猿野ただすみ
そんな些細なことから交錯する、数多の世界。
融合した世界で出会う魔法少女たち。
魔法少女リリカルすれいや〜ず! コラボ、始まります。
クロエが衛宮家に迎え入れられて、およそ一週間。イリヤとクロエはどっちが姉かで争ったり、調理実習で争ったりと交友を深めてる。
そして本日、プールの授業でもまた、一騒動起こりそうな空気が漂っていた。
その引き金となったのは、イリヤが美遊にある提案を持ちかけたこと。
「勝負よ、ミユ!」
「勝負?」
「負けた方はアイス奢りね」
等というフラグ立てまくりの台詞を吐いてると、それに便乗した人物が。
「いいじゃない。わたしも参加させて!」
「「クロ!」」
まあ、押して知るべし、だ。そして、この三人が関わるとなれば当然…。
「もちろんリナも参加するわよね?」
あたしにも飛び火するわけで。
はあ…
予想していたこととはいえ、ため息のひとつも出ようと言うものだ。
そもそもこの勝負、あたしにはきわめて勝ち目が薄い。あたしも普段鍛えているとはいえ、イリヤと美遊の身体能力には及ばない。クロエに至っては、英霊の能力で規格外である。これでどうやって勝てと?
「せんせー、イリヤたちと勝負したいから4コース分使わせてー!」
「えー、しょうがないわねぇ。
美々ちゃん、タイム計るの手伝ってくれる? 私はあと二つ、ストップウォッチ取ってくるから」
「わかりました」
なんか、あたしが物思いに耽ってる間に、サクサク話が進んでるんですけど?
しょうがないなー、それなら打てる手は打っときますか。
「三人とも、あたしについてきて」
言ってあたしは更衣室へと向かった。
「ちょっとリナ。こんなところに連れ込んで、なにしようっていうの?」
「イリヤ、美遊。中を覗かれないように見張ってて」
クロエの質問には答えず、イリヤと美遊に指示を出す。
「リナ、まさか!
わたしと、しっぽりネットリ組んず解れつ…」
「するか、ボケェッ!!」
どげしっ!
クロエのドタマにチョップ一閃。ちなみに、イリヤの水泳キャップの下の誰かさんがウニウニと反応してるけど、取りあえずは無視。
頭を抱えてうずくまるクロエも無視して、着替えの入った袋から五つの硝子玉を取り出す。まさか、これを使う日が来るとは。
「
あたしは明かりを生み出し、さらに。
トスッ
小刀を使い、
「リナ、何を!?」
予想外の事態に、クロエは思考が追いついていないようだ。
これは好都合。ならば今のうちに。
あたしは硝子玉を、円周上に等間隔に配置し、小さく呪文を唱え。
「
[力あることば]とともに硝子玉が逆五芒星を紡ぎ。
ばぢっ
「ッ!!」
電気がスパークするような音と同時に、クロエが顔をしかめる。
どうやら成功したみたいね。
「なにを、したの?」
「まあ、取りあえず、なんか魔術を使ってみて」
小刀を引き抜きながら、あたしは答える。
「な…!?
くっ、
あたしの返しに嫌な予感がしたんだろう。慌てて詠唱を始めるが…。
「投影、出来ない…」
「え? どうゆーこと?」
「魔力を封じたのよ。こっちの魔術に効果があるかはわかんなかったけど、上手くいったみたいね」
イリヤの疑問に答えるあたし。
実はこの術、スィーフィード世界で高位の魔族が使っていたものを、人の身で使えるようにあたしが開発したオリジナルだ。当然、黒魔法に分類される。
「すごい…」
「ま、持って10分くらいの効果だけどね」
本来は半永久的に封印するものなんだけど、人の
「でもこれで、クロエの天然イカサマは使えないわ」
「ナイス、リナ!」
イリヤが親指をびっ! と立てながら言った。
「やってくれたわね、リナ」
「いや、アンタが反則級なだけだから。それに、効果もすぐに無くなるんだからいーじゃない」
「むー…」
クロエが言い返せずにむくれてる。こういうところはイリヤとよく似ているわ。うん、可愛い可愛い。
「さ、タイガが帰ってくる前に戻りましょ」
言ってあたしは三人に移動を促した。
「あー、どこいってたの? 勝負するんじゃなかったの!?」
タイガはすでに戻ってた。うーん、無駄なとこで有能ね…。
「いやー、勝負するからにはガチでいこうと思って、ちょっと準備を…」
「そっか、女の子だもんね。エチケットは大事よね」
どうやら先生はトイレを済ましに行ったと思ったらしい。ま、別にいいけど。
ともかくあたしたちは、2コースから5コースまでをイリヤ、クロエ、あたし、美遊の順で並んで立った。
「位置についてー」
タイガの掛け声とともに、飛び込み用の台に立つ。
「よーい…」
あたしたちは飛び込むための姿勢をとり。
「スタート!!」
号令と共に、一斉に飛び込んだ。
ごずっ!!!!
ずりずりずりー…
ぱたん
…………。
「いっ……たあああーいっ!!
顔中いたい!!」
「ちょっと、何なのよコレ!?」
「……ッッ!!」
三人とも、目茶苦茶痛そうね。かくいうあたしも目茶苦茶痛い。
「なんで水がなくなって…」
そう。イリヤが言う通り、あたしたちは水のないコンクリの床に顔面から突っ込み、そのまま慣性の法則で滑っていったのだ。これで痛くないわけがない。クロエなんて、×2だし。
「
こっそり治癒魔法をかけとくあたし。
しかし異常はそれだけではなかった。
自分たちが今いるところを含めて、その一部を水没させているビル群。なんだかどこかで見たような。
そして上下逆さまに漂う建築物。そちらもビルが多いけど、公共施設っぽいものや、大きな時計台なんかもある。しかもこちらも、一部を水没させている。一体どーなってんだ?
さらには巨大な岩が漂っていたりもする。
「えっと、どゆこと?」
混迷をきわめたイリヤが呟いた。
イリヤと美遊は魔法少女に転身し、空から周りの様子を伺う。
一方のあたしとクロエは、ビルの屋上を飛び移りながら、周辺の偵察をしている。
……なんで翔封界で上空を行かないか。実はクロエにかけた術が解けたあと、二人で行動することを条件に学校の制服を投影してもらったのだ。
で、あたしの翔封界、総重量と速度と高度の総和が術者の力量に比例する。つまりクロエを抱えた状態だと、高度をあげればスピードが出ないしスピード出すなら水面近くを飛ばなきゃなんない、というわけだ。
そして今、あたしがどういう状態かというと、クロエに背負われていた。
だって仕方ないじゃない! あたしにはビルを飛び移るなんて、出来ないんだからっ!
「いやー、リナが全面的に頼るなんて珍しいわー」
ニヤニヤしながら言うんじゃない! ……まったく、もう。
はぁ、イリヤと美遊はきちんとやってるのかしら?
わたしはミユと一緒に上空、……てより空中かな? そこを飛び回りながら辺りを見て回ってた。
「うわー、広いね。
いったい何なのかな、ここ。鏡面界に似た雰囲気だけど…」
「ううん。実数境界の格子模様がないし、構造物もデタラメ。鏡面界とはまた違う、凄く曖昧な空間…」
う〜ん、こんなメンドーな事をするっていえば。
「めちゃくちゃな事態にはもう慣れっこだけど、今回のはちょっと突拍子もなさ過ぎじゃない、ルビー?」
『おっと、わたしを犯人扱いですか、イリヤさん?
残念ながら、今回わたしは関与しておりませんよ。巻き込まれた、あわれな迷子ちゃんです』
えっ、そうなの? てっきりルビーが犯人かと。っていうか。
「それじゃ、どうするの?」
『さーて、どうしましょう?』
なっ。巻き込まれたのに楽しんでない!?
『犯人を探しましょう』
そう言ったのはサファイアだった。
『この空間は人為的なものと思われます。
見たところ、複数の空間が相似性を無視して融合しています。どこかの世界で多次元方向に移動、あるいは膨張展開する何かが起こったと考えるのが自然かと』
『まー、次元創成の失敗あたりが原因でしょうね。ねじれ位置の世界が、いくつか巻き込まれた感じです。
たまにあるんですよね、こういうのー。迷惑な話です』
……???
「えーと、子供にもわかる言葉で話してほしいのですが…?」
『つまるところ、ここから脱出したかったら、どこかにいる犯人さんをサーチ&デストロればいいってわけです』
「犯人かぁ…」
んー、無駄だと思うけど、ダメ元、かな? わたしたちは近くに浮かぶ、比較的大きめの岩の上に降りて。
「とりあえず呼んでみる?」
これで出てきてくれれば話は早く済むんだし、やるだけやってみよう!
……考えてみれば、これがフラグになってたんだろうなー。
「おーい、犯人さー……ん?」
後ろから強烈な気配がして、ゆっくりと振り返ると。
グルルル……
ええと? なんだか有名RPGのデーモン系モンスターみたいのが、わんさかいるんだけど…?
ガアアアア!!
モンスターが一斉にほえると、全てのモンスターの前に10本前後の火の矢が現れた。
『あれはリナさまが使われていた、フレア・アローでは…!?』
『さすがにAクラスの魔術障壁でも、あれだけの物理的熱量は危険ですっ!』
「と、とりあえず…ッ!!」
オオオオ…!!
モンスターたちのフレア・アローが一気に襲いかかってきた!
「散開!!!」
わたしたちは左右に跳んでそれをかわしたっ!
「ミユ!」
「わかってる!」
二人とも、ステッキに魔力を集めて。
「
「
わたしとミユの攻撃が、それぞれのモンスターに直撃して消滅させたけど。
「……一匹づつじゃ、焼け石に水だね」
「うん…」
そう。わたしたちの前には、岩の上を埋め尽くさんばかりのモンスターの群れ!
うーん、こうなりゃ一旦逃げようか?
そのとき。
「いくよ、レイジングハート」
上空から、わたしの知らない声が聞こえた。
上を見上げると二つの人影が。そのうちの一人が、杖に魔力を集めて構えている。
「なにか、来る!」
「ディバイン……バスター!!!」
強力な魔力砲がモンスターたちの
「次、
え…。リナちゃん?
『黄昏よりも昏きもの
血の流れより紅きもの…』
「こ、これって…」
「ドラグ・スレイブ!?」
上空で詠唱する呪文に、わたしとミユは、ただ呆然とするしかなかった。
モンスターたちは、わたしたちより上空の二人の方が危険だと思ったのか、空に向かってフレア・アロー飛ばしていく。でも。
ばしゅうぅぅ…
命中しそうなものはすべて、最初の攻撃をした子が防いでいる。
『……我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを!』
そんな中、呪文の詠唱が終わって。
「竜破斬[ドラグ・スレイブ]!!」
破滅をもたらす赤い絶望が、残りのモンスターたちすべてを消滅させた。
「えっと、大丈夫なの?」
変わった形の杖を持ったツインテールの、多分わたしと同じか少し下くらいの女の子が、わたしたちの前に降り立ち尋ねてきた。
「出力は調整したつもりだけど…」
こ、これは…。
「本物だ。本物の魔法少女だ…」
わたしたちみたいな、なんちゃってなんかじゃない! これはリナじゃなくてもテンションあがるッ!!
……って、そういえば。
タイミングを見計らったかのように、遅れて降りてきたのは。
「あなたたち、大丈夫? 巻き込まれたりしなかった?」
わたしたちの知る人物と、顔も声もまったく一緒で。
「「リナ!?」」
「……へ? どうしてあたしの名前を?」
わたしたちに名前を呼ばれ、まの抜けた顔で驚くのはまさしく、リナその人でした。
今回のサブタイトル
神坂一「スレイヤーズ」呪文の一節から
というわけでついに始まりました、「ドラまた☆リナ × リリカルすれいや〜ず」、タカヒロオーさんとのコラボです。
原作プリヤの「リリなの × プリヤ」が元になってますが、原作よりも複雑な状況になってます。まえがきはTVシリーズのなのはを意識して書いてみましたが、あの雰囲気はやっぱり難しいですね。
そして今回、アイツが出ます。Gに似たあの男です。一体どういう活躍を、するのか、しないのか。出番はまだ先ですが、乞うご期待です。
次回「魔法少女リリカルなのは」
リリカル、マジカル、(小説)がんばります!(作者)