Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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逢魔リナ「ん? なに体育座りしてんの?」

稲葉リナ「いくらテンション上がってたとはいえ、前回の締めのセリフ、ノリノリで言ったのが恥ずかしくて…」

逢魔リナ「こっちのあたしは難儀な性格ねぇ」

イリヤ「……」(カチリ)

ルビー(ヘンなスイッチがはいりましたねー)


ヒロインズ・ファンタジア

≪なのはside≫

わたし、高町なのは。聖祥大附属小学校の3年生です。

クリスマスに起きた破滅の聖夜も、みんなの力を合わせて無事に解決。はやてちゃんのリハビリも順調に進んでいます。

そして3月も中旬に入った頃。

 

「ねぇ、春休みにみんなでどっか行かない?」

 

そう言ってきたのはアリサちゃん。

 

「そうだね。はやてちゃんも随分元気になったし」

 

すずかちゃんも前向きな意見を言ってくる。だけど。

 

「ゆうてもわたし、まだ自由に歩き回れるほどやないからなぁ」

 

うん、そうなんだよね。登下校ができるようになったっていっても、遠出ができるほどじゃないみたい。

 

「仕方ないよ。はやての筋力低下は病気やケガじゃないんだから」

「そうよねー。そっちならシャマルさんが何とかしちゃうんだろうけど。長年の麻痺のせいで落ちた、足の筋力だものね。地道な努力しかないでしょ」

 

ユーノくんやリナちゃんが言ったとおり、わたしたちが手伝えることってほとんどないの。

そのあとも、脱線もしつつ色々相談をしてたら、授業開始の予鈴が鳴った。

 

「もう、埒があかないわねぇ。それじゃあ日曜日にみんなで集まって、春休みの計画を立てるってことでどうよ?」

「あ、それならウチ、使ってもらってええよ?」

 

リナちゃんの提案にはやてちゃんが場所の提供を申し出た。もちろんO.K.なの。

 

「そんなことしなくても念話で相談すればいいのに」

 

ヴィータちゃん、野暮なことは言いっこなしだよ? みんなで日曜日に会う口実が欲しいだけなんだから。

 

 

 

 

 

そして日曜日。リナちゃんとユーノくん、それにフェイトちゃんが一旦翠屋(うち)に集合、お母さんからシュークリームが入った箱と紅茶が入った魔法瓶を受け取って、いざ、はやてちゃんちへ出発。

……したのはいいんだけど。

 

「やあ、始めまして。なのはちゃんとフェイトちゃんだよね?

俺の名前は如月秀美(ひでよし)

 

そこには右目の下のホクロが特徴の、きれいな顔をした男の子が立っていた。ただ、この人からは変な魔力を感じる。

なんだろう。すごく久しぶりな気がするの。

クリスマスが過ぎてからしばらく、転生者さんは現れなかったから、もう打ち止めだと思ってたのに。

 

「これから一緒にお茶でもしない?」

 

えっと、これって私が生まれる前に使われてた、ナンパのセリフだよね? 前にテレビで見た気がする。

うん、とりあえず。

 

「「ごめんなさい」」

 

あ、フェイトちゃんとハモっちゃった。

 

「なっ!? オレの[愛の黒子]が効かないだと!?」

 

やっぱり何かの魔法を使ってたんだ。

 

「はいはい。あたしたちはこれから出かけるとこだから、出直して…」

「うるさい! 外野は黙ってろ!!」

 

転生者さん、それってリナちゃんを怒らせるのに充分だよ。まあ、助ける義理もないけど。

 

「ほう、文句があるなら聞こうじゃないか」

「待ってよ、リナ…姉さん。気持ちはわかるけど」

 

ユーノくんが()()止めに入るけど。

 

「……リナ!?

そういえばその声にその赤毛、何よりそのささやかな胸は…」

「おいこら、ちょっと待て」

 

まだ小学生なんだから、ささやかなのが普通だと思うんだけど。

 

「ヘコ胸微小女(びしょうじょ)魔道士のリナ=インバース!?」

「「「「ヘコ胸?」」」」

 

わたしたちは思わず聞き返した。

 

「凹んだ胸」

 

あ、転生者さん終わった。

リナちゃんがセットアップして、転生者さんにステッキを向けながら言った。

 

「……よぅし、いい度胸だ! さあ、歯ぁ食いしばれぇ!!」

「ひゃあっ!? REVOLUTIONと同じ反応!!」

 

REVOLUTIONって何?

 

「ってか、町中で魔法は、……て、結界!?」

「そんなの、あなたが接触してきた直後にユーノくんが展開してたの」

「きみ、今まで気づかなかったの?」

「魔導師としては三流」

 

わたしたちが散々なことを言ったあと。

 

「てなわけで、覚悟はいい?」

「リナちゃん。非殺傷設定は?」

「ああ、忘れてわ。ありがと、なのは」

「ひぃぃぃやあぁぁ!」

 

もちろんリナちゃんが、非殺傷設定忘れるわけがないの。ただの脅しに決まってる。

 

「そんじゃあまあ、景気づけに…!

火炎球[ファイヤー・ボール]!!」

 

ぢゅごおぉん!

 

「ひでぶっ!」

 

派手な爆炎とともに、リナちゃんのお仕置き(うさばらし)が始まった。……ところで、ひでぶってなに?

 

「炎の矢[フレア・アロー]!」

「うわらばっ!」

「炎の槍[フレア・ランス]!」

「たらばっ!」

 

かにさん!?

転生者さんのうめき声に、思わずツッコミを入れちゃった。

とにかくそんな烈しいリナちゃんの攻撃で、辺りを爆煙が覆っている。そして煙が晴れたとき、そこには…。

 

「なによ、これ…」

 

わたしたちの知らない風景が広がってました。

 

 

 

 

 

「なんだかここ、なのはとフェイトが模擬戦したフィールドに似てるわね」

 

うん。リナちゃんが言うとおり、水面からたくさんのビルが建ってる姿は、わたしとフェイトちゃんが戦ったあの場所に似てる。だけどここがあそこと違うのは、空を見ればすぐにわかる。

巨大な岩が漂い、さらに上には逆さまになった建物が並んでた。

 

「……やっぱり、管理局と連絡が取れないや」

「母さんたちとも繋がらない」

「はやてたちも無理ね」

 

わたしたちはさっきから、念話でみんなに呼びかけてるんだけど、誰とも連絡がとれないの。わたしもさっきから、アリサちゃんとすずかちゃんに念話で話しかけてるけど、どっちからも返事が返ってこない。

 

「仕方がないわね。こうなったら二手に分かれて探索しましょ。

あたしとユーノ、なのはとフェイトに分かれて…」

「待って、リナ。わたし、ユーノと組んでみたい」

 

…………。

 

「「「ええっ!?」」」

 

フェイトちゃん!?

なんだか意外な人から、意外な意見が出たの!

 

「わたし、なのはとはよく組んでるし、リナとは嘱託魔導師の試験の時に模擬戦をしたけど、ユーノとはそのどちらも経験してないから、その…」

「なるほど。

確かに、お互いの戦い方を把握しておいた方が、いざという時に連携がとりやすいね」

 

あ、そういうことかぁ。まさかフェイトちゃんまでユーノくんのことを、なんて心配しちゃった。

でも、確かにユーノくんの戦い方、前とは結構違うし、一度組んでみた方がいいのかも。

 

「……まあ、確かに、そういうことなら」

 

もう。別にデートってワケじゃないんだから、そんなに拗ねなくっても…。

 

「別に拗ねちゃいないわよ!

とにかく! あたしとなのは、ユーノとフェイトで探索するってことでいいわね」

 

リナちゃんの言葉に、わたしたちは頷いた。

でもこの時、まさかあんなのがここにいるなんて、わたしたちは思ってもいなかったんだ。

 

 

 

 

 

わたしとリナちゃんが探索を開始して数分後。

 

「リナちゃん、まだ拗ねてるの?」

「だから別に拗ねちゃあ…」

「でも、冥王にさらわれたガウリイさんを心配するシルフィールさんには、もやもやしてたんだよね?」

「ちょ、なのは!? 前世(むかし)の話を持ち出すのは反則でしょ!」

 

顔を赤くしたリナちゃんが言い返してくる。うん、リナちゃん可愛いよ。

 

「~~~~」

 

リナちゃん、とうとう黙っちゃった。でも、女の子してるリナちゃんを見てると、微笑ましくなってくるの。

こんな他愛もないやり取りをしていたら。

 

『犯人さー……ん?』

 

どこかから、誰かを呼ぶ声が聞こえてきたの。いったいどこから…。

 

「なのは! あの大きな岩の上…、てかアレって!?」

 

リナちゃんが指さした方向を見ると、とんでもない状況にわたしは言葉を失った。

巨大な岩の上には二つの人影と、その正面にずらりと並ぶ大量のレッサーデーモンの群れ。でも、なんであんなの(レッサーデーモン)が!?

レッサーデーモンが一斉に放った炎の矢を、人影は左右に分かれて避けきった。さらに二人は、斬擊と砲撃で一体ずつデーモンを倒した。もしかして、あの二人も魔導師なの?

ううん、今はとにかく、あの二人を助けないと!

 

「いくよ、レイジングハート」

 

わたしはレイジングハートをカノンモードにして構える。

 

「ディバイン……バスター!!!」

 

出力を抑えた砲撃が、半数くらいのデーモンを消滅させた。

 

「次、リナちゃん!」

「O.K.

『黄昏よりも昏きもの

血の流れより紅きもの

時の流れに埋もれし

偉大な汝の名において

我ここに闇に誓わん……』」

 

リナちゃんの呪文詠唱のさなか、残ったデーモンたちがこっちめがけて炎の矢を飛ばしてきたので、わたしはリナちゃんの前に出て、それを防ぐことに専念した。

 

「『我らが前に立ち塞がりし

すべての愚かなるものに

我と汝が力もて

等しく滅びを与えんことを!』」

 

リナちゃんの詠唱が終わって。

 

「竜破斬[ドラグ・スレイブ]!!!」

 

放たれた赫い闇によってデーモンたちは一掃された。

 

「えっと、大丈夫なの?

出力は調節したつもりだけど…」

 

わたしは二人の前に降りたって、尋ねてみる。すると。

 

「本物だ。本物の魔法少女だ…」

 

……魔法少女に、本物とか偽物ってあるのかな?

そんなことを考えてると、リナちゃんがわたしの隣に降りたつ。

 

「あなたたち、大丈夫? 巻き込まれたりしなかった?」

 

リナちゃんが尋ねると、予想外の答えが返ってきた。

 

「「リナ!?」」

「……へ? どうしてあたしの名前を?」

 

ほんとに、なんで?

 

 

 

 

 

わたしはどう話を切り出したらいいのか思い悩む。多分他の三人も、同じ思いだと思う。それを断ち切ったのは。

 

『まったく。みなさん、なにだんまり決め込んでるんですかー。せっかく魔法少女同士の邂逅が叶ったんですから、ここはキャッキャ、ウフフと自己紹介を繰り広げる場面ですよー?』

 

銀髪の子のデバイス……じゃないよね。魔法のステッキが自己紹介するよう促した。

 

「まあ、確かに、そのヘンテコステッキの言う通りね」

『ヘンテコとはひどいですねー。ルビーちゃんは最高位の魔術礼装なんですからー』

 

魔法のステッキ、ルビーちゃん? がリナちゃんの発言に文句を言ってるけど、なぜかリナちゃんの方が正しいような気がするの。

 

「えっと、うん。確かに、ルビーの言うとおりだね。

それじゃあわたしから。

わたしはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。穂群原学園初等部の5年生です。

みんなからはイリヤって呼ばれてます」

「……美遊・エーデルフェルト。イリヤのクラスメイトで親友、です」

 

美遊さんは少しぶっきらぼうだけど、イリヤさんの親友って言ったときは少し照れた表情になって可愛いの。

それじゃあ今度は、こっちの番だね。

 

「わたし、高町なのは。聖祥大付属小学校の3年生です」

「あたしは逢魔リナ。なのはのクラスメイトで、五歳の頃からの親友よ」

「あの、イリヤさんたちは、どうしてここに?」

 

わたしたちは、あんな訳のわかんない状況でここに来たけど、イリヤさんたちはどうだったんだろう。

 

「うーん、どうしてって言われても、(すい)……、体育の授業中に気がついたらここにいたから。

そう言うなのはちゃんたちは、どうだったの?」

「え? ええと、わたしたちは進級前にお出かけするから、その相談でお友達のおうちに行く途中に色々あって、気がついたらここに…」

 

さすがに、リナちゃんのお仕置きは言えないの。

……あれ、何だろう。二人の様子がおかしい?

 

「ええと、あれ、もうすぐ夏休みだよね?」

「え、もうすぐ春休みじゃ…」

 

えっと、あれ? どういうこと??

 

『わたしたちとなのはさんたちが来た場所とでは、時間軸にズレがあるんでしょうねー』

 

時間軸のズレ…。つまり、わたしたちかイリヤさんたちのどっちかが、未来から来たってことかな?

……なんだかルビーちゃんが、含み笑いしてるのが気になるけど。

 

「ところで、二人はなんであたしの名前を?」

「え、……あーっ、そうだっ! 向こうに連絡入れないとッ!」

 

ひゃあっ!? ……あー、びっくりしたの。

でも、そうだ。レッサーデーモンなんかが大量にいるような場所なんだ。フェイトちゃんたちに連絡とった方がいいよね。

 

「フェイトちゃん、ユーノくん。聞こえる?」

「あなたたち無事なの?」

 

リナちゃんも一緒に呼びかける。

 

『なのは、リナ。こっちは羽根つきのレッサーデーモンに襲われたけど、何とか平気』

 

やっぱり向こうにも…。

 

『途中で助けてくれた人がいて、助かったよ』

 

あれ? それってもしかして、イリヤさんたちが連絡とってる人たち、かな?

 

『ただ、そのうちの一人が…』

 

ほえ? どうしたの?

 

『もうひとりの、リナなんだ』

「ええっ! そっちにもリナちゃんがいるの!?」

 

わたしは思わず、大きな声を出してしまった。

 

『今、なのはの声が聞こえたよ』

 

あうう~、恥ずかしい。

 

「どうやら、みんなで落ち合うことになりそうだね。

それに関しては、こっちにいるリナに任せることにするよ。なんだかもう、話がまとまってるみたいだし」

「わかったわ。それじゃあ気をつけて」

『姉さんとなのはも』

 

んー。ユーノくん、気を遣ってくれるのはうれしいけど、そこはリナちゃんだけでいいんだよ?

リナちゃんはこういうの、気にしないと思うけど、特別扱いされたらやっぱり嬉しいと思うんだけどな。

 

 

 

わたしたちが待ち合わせ場所にやって来た、少しあと。こっちに近づいてくるフェイトちゃんたちの姿が見えた。と、そう思った瞬間、一人だけスピードを上げて着地。そして。

 

「ホンモノだーっ!!」

 

そう言ってわたしに抱きついてきたのは、もうひとりのリナちゃん。えっと、これってどういう状況?

こっちのリナちゃんの話によると、わたしは本物の「リリカルなのは」らしい。そして、あることに気付いた美遊ちゃんが言ったのは。

 

「【魔法少女リリカルなのは】は、リナが借りてたDVDのタイトル…」

「あ、レンタルDVDショップでの…」

「そうよ。この子は【魔法少女リリカルなのは】の主人公、高町なのはよ!」

 

わたしは驚きよりも、むしろ納得していた。だってそういう存在が、わたしのスグ近くにいるから。

…………。

 

「ところで、いつまで抱きついてるのかな?」

 

さっきから、イリヤちゃんに似た褐色の肌の子の視線が痛いんだけど。

 

「んー、もう少し~」

「えぇい! いい加減にせんかーいっ!!」

 

すっぱぁん!!

 

リナちゃんが振るうスリッパの乾いた音が、この空間に響き渡りました。

 

「やっぱり、リナといえばスリッパね」

「うん。リナっていえばスリッパだね」

 

なんだか褐色の肌の子とフェイトちゃんが、意気投合してる気がするの……。




今回のサブタイトル
PSPゲーム「ヒーローズファンタジア」から

今回、いいタイトルが浮かばなかったのでテキトーです。ユーノがいるけど「ヒロインズ」ということで。

今回、なのは側の経緯をちょろっとやろうと思ったら、トリップするまででかなり文字数を使ってしまい(主に転生者のせい)、開き直って前回の引きまで書いたら、大幅に文字数を超過したという間抜けっぷりです。
因みに転生者の特典は【Fate/ZERO】のディルムッドのものですが、なぜか仕様が【Fate/Grand Order】のCランクになっていたため、なのはたちには効果がありませんでした。転生の(女)神は意地悪です。

次回「星空のむこうの国」
見てくんないと
突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)!!」
(by イリヤ)
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