Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ 作:猿野ただすみ
……ううみゅぅ、頭が痛い。まさか自分からツッコミ入れられるとは、思ってもいなかったわ。おかげで正気を取り戻せたけど。
「えーと、なのは
あたしが謝ると、なのはちゃんは慌てて首を横に振る。
「いいえ! リナちゃ……リナさんも、悪気があったわけじゃありませんから」
ううん、やっぱりなのはちゃんは、いい子だねぇ。
しかしなのはちゃん、どうやら敬称であたしと向こうのあたしを区別するみたいね。
「そんなっ。そっちのあたしとは親友なんでしょっ!
あたしのことも『リナちゃん』って呼んでほしいのっ」
胸の前で手を組み、なのはちゃんに懇願してみたり。
「あの、それ、ふざけてますよね?」
あ、やっぱしバレたか。
「まあ、今のは冗談だけど、敬語は使わなくていいわよ。歳だって、そんなに離れてるわけでもないんだし」
そう言うとなのはちゃんは、少し驚いた表情を見せた。
「イリヤちゃんもさっき、似たこと言ってたの」
へえ、イリヤが。
びっ!
「ふえっ? なに?」
あたしのサムズアップの意味がわからず、イリヤが戸惑った顔をしている。まあ、それも仕方のないこと。イリヤはただ、自分が思ったことを言っただけなんだろうから。
こういう状況下で
クロエとのことだって、あたしがいなくても、きっと仲良くなっていたと思う。あたしはただ、裁定者の真似事をしてただけだ。
……もちろん、自分がしたことが無駄だったとは、思っちゃいないけど。
「リナ? なに、ボーッとしてんのよ」
気がつけば、あたしの顔を覗き込むクロエの姿。いかんいかん、つい考え込んでしまった。
あたしは気持ちを切り替え、クロエに聞いた。
「何でもないわ。それより、クロエもかまわないでしょ?」
「ん? 敬語じゃなくてってやつ? 別にいいけど」
そう言ってクロエは、意味ありげな微笑みをたたえる。どうやら、あたしが考えていたことに気付いているらしい。
言っとくけど、なのはちゃんとは思惑関係なく、ふつーに仲良くなりたい。我ながらこじらせてる気がするけど、ホントにそう思ってんだから仕方がない。
ぽん
肩に手を置かれて振り向けば、そこにはもうひとりのあたし。
ふっ
「やめろーっ! 哀れんだ眼差しであたしに微笑むなーッ!!」
いやー、趣味は違えどやっぱりあたし。どうやら魔女っ子アニメが好きらしいってわかれば、アニメの主人公と仲良くなりたいのはすぐに気付いた。
あたしはミーハーじゃないけど、オタク心理はよくわかるし。
「はあ…、はあ…」
どーやら落ち着いたみたいね。
「アンタねぇ、自分をからかって面白い?」
「とっても♪」
むしろ自分をからかうなんて、普通じゃできないしね。
「……まあ、いいわ。
それよりも、みんなでもう一度自己紹介した方がいいんじゃない? それに確認したいこともあるし」
ふむ、確かに。あたしはあの黒い子を知らないし、イリヤたちはユーノやフェイトのことを知らないわけだから。
「あと、デバイスの紹介もしてもらってないし」
あー、そういやこっちも、イリヤたちに紹介してなかったわね。
「了解、まずはそれでいきましょう。
てなわけでユーノ、長い話になると思うから結界をお願い」
「もう、ようやく話しかけたと思ったら、いきなりお願い事かい?」
などと軽く愚痴をこぼしつつも、しっかり結界を張ってくれるのだからありがたい。
「「それじゃ、全員集合!」」
あたしたちの号令に、わらわらと集まる互いのメンバー。
しかしこうしてみてみると、結構な人数がいるなぁ。お互い4人ずつの計8人、……いや、インテリジェントデバイスとステッキを入れれば14人(?)か。
「さて、改めて自己紹介と行きたいとこだけど、イリヤ組となのは組、どっちから行くか…」
「悩むことじゃないよ、リナちゃん。イリヤちゃんたちの方が年上なんだし、そっちからお願いした方がいいと思うんだ」
確かに、なのはの意見が順当なものの考え方だろう。
「そうね。それじゃあそちらからお願いできる? 今回はステッキたちも含めて、ね」
みんなが頷く。
「そ、それじゃ、わたしから。
わたしはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。穂群原学園初等部の5年生。みんなからはイリヤって呼ばれてます。
『これ呼ばわりはひどいですねー。ルビーちゃんは最高位の魔術礼装ですよー、と、それじゃあわたしの番ですね。
わたしはカレイドステッキのマジカルルビー、いわゆる魔法のステッキです。わたしのことは気軽に、「ルビーちゃん」と呼んでくださいねー』
なるほど。コイツは信用できないタイプだわ。胡散臭さが滲み出ている。
「わたしは、イリヤの親友の美遊・エーデルフェルト。イリヤと一緒に魔法少女をしています」
『私は美遊さまのステッキで、マジカルサファイアと申します。姉のルビー共々お願いいたします』
このパートナーは、多くを語らないタイプみたいね。美遊はちょっと、フェイトに雰囲気が似てるかもしんない。
「……わたしは、クロエ・フォン・アインツベルン。クロでいいわ」
そこでクロは、向こうのリナをチラリと見る。リナが軽く頷いたのを確認すると、彼女は再び口を開いた。
「詳しい説明は省くけど、わたしはイリヤから分離した、もうひとりのイリヤよ」
な、それは何というか。クロが躊躇ったのも理解できる。
……ん? まさか、黒いイリヤだからクロとか?
「さて、あたしの番ね。
あたしは稲葉リナ。剣士にして天才魔道士よ。
そっちのみんなもわかってるとは思うけど、前世は異世界の魔道士、リナ=インバースよ」
やっぱり。
さてと。今度はこちらのターンね。
あたしたちの紹介を終えて、次はいよいよなのはちゃんたちの番である。
「えっと、それじゃわたしから。
わたし、高町なのは。聖祥大附属小学校の3年生です。ある事件がきっかけで、魔法少女をやってます」
それって、ジュエルシード回収からのP.T.事件でいいのよね? あとで確認しとこ。
『わたしはなのはのデバイス[レイジングハート・オリヴィアナ]。デバイスは魔法の補助システムと考えてください』
おおう。いきなりアニメとの違いが出たわね。日本語で会話してるし、何より名前が[レイジングハート・エクセリオン]じゃないときた。
「わたしはフェイト・テスタロッサ。なのはのクラスメイトですが、時空管理局の嘱託魔導師をしています」
むう…、フェイトちゃんの名前が、やっぱり気になるわね。
『私は[バルディッシュ・ヘキサ]、マスター・フェイトのデバイスです』
こちらも日本語での会話で、[アサルト]ではなく[ヘキサ]か。どうやらこちらのデバイスは、日本語がデフォルトみたいね。
「ぼくは逢魔・S・ユーノ。なのはたちとは別の世界出身だけど、今は逢魔家に養子に入って、地球で暮らしてるんだ」
なるほどね。だから[ユーノ・スクライア]じゃないんだ。
『私は[ゴルンノヴァ]…。とある世界の、魔王の武器の異相体です』
「え、ゴルンノヴァって、光の剣!?」
「それに、魔王の武器って…」
イリヤと美遊が驚くのも当然だろう。あたしもさっきの戦闘で、もしかしたらとは思ったけど、さすがに驚きを隠せない。
「どうやらあなたたちも、少しは知識があるみたいね。
さてと。あたしは逢魔リナ。フェイトと同じく、学校に通いながら嘱託魔導師もしているわ。
苗字でもわかると思うけど、ユーノとは義理の姉弟よ。
そしてそっちのあたしと同じく、前世は異世界の魔道士、リナ=インバースよ」
うーん、わかってても、やっぱりヘンな気分ね。つまりは[スィーフィード世界]の[並行世界]ってことになるんだろうけど、もうなにがなんやら、ね。
『ふっふっふっ……。
キタキタキタキター!!!!』
「な、なに!?」
『このコラボが始まってから苦節4話目! ようやくあたしにセリフが回って来たわっ!! 作者、許すまじっ!!!』
コラボって、このデバイスは一体…!?
『ほほう。状況を弁えずメタ発言をぶっ放すとは、なかなか、一廉ならぬ方とお見受けします』
ルビーはなんか、シンパシー感じてるみたいだし。
『あら、アンタ見る目があるじゃない。
あたしは[ナイトメアハート・ルシフェリア]。またの名を…』
「L様」
『そう、小説のあとがきで、あの手この手で作者を、……って、違うわぁっ!! いや、違わないけどっ!!』
向こうのリナ、……逢魔さんが呟いた一言に、ツッコミを入れる
なんだろ、この寸劇。
『と・に・か・く! あたしのまたの名は[金色の魔王]よっ!』
…………なん、だと!?
「[金色の魔王]って、[ロード・オブ・ナイトメア]!?」
「混沌の海、そしてこちらの世界における、[根源]と同質の存在」
イリヤと美遊が驚愕の表情で、逢魔さんのデバイスを見つめる。
「でもノリツッコミって、ずいぶん軽い性格してるんですけど?」
確かに、クロエの言うとおりね。なんだかイメージと、ずいぶん違うよーな。
「だって、L様だよ?」
「うん。L様だよね」
「L様だから当たり前だね」
「結論。L様だから」
いや、だからL様って…。
「L様は、ライトノベル【スレイヤーズ!】のあとがきに登場する[金色の魔王]そのものであり、分身でもある存在よ。性格は、まあ、ご覧の通りってことで」
「ちょっと、なんで[金色の魔王]がラノベに出てんのよ!?」
スィーフィード世界の創造主が、なんで小説のあとがきに?
「【スレイヤーズ!】って、リナちゃん…、リナ=インバースが主役のファンタジー小説だよ」
あたしが主役!? なんでそんな…、いや、リリなのの世界があるんだし、充分あり得るのか?
「リナ、主人公だって。すごいじゃない」
「からかうんじゃないわよ、クロエ」
あたし自身に主役である自覚がないのだ。はっきり言って、戸惑いの方が強いくらいである。
「あの、それよりも、さっきリナが言ってた気付いたことってなんだい?」
ユーノがあたしに尋ねる。
「それって、わたしたちがアニメの登場人物ってことじゃないの?」
フェイトちゃんの意見は、半分正解で半分不正解である。
「あたしが気付いたことはね、あなたたちがアニメのリリカルなのはの登場人物じゃないってことよ」
「「「え?」」」
なのはちゃん、フェイトちゃん、ユーノが驚きの声を上げる。そりゃそうだろう。何しろ、さっきまでのあたしの会話を根底から覆しているのだから。
もっとも逢魔さんは、このことを予測していたみたいだけど。
「色々と違いはあるんだけど、一番の決め手はそっちの世界に
「あ、そうか。もし【マジカル☆ブシドームサシ】の中に
うん、そうなんだけど。たとえが如何にもイリヤらしい。
「まあ、そんなわけで、あたしがアニメの方を知ってる分、その差異から、いざというときの行動で齟齬を来さないとも限らないわ。
だから、あたしがこれからアニメの内容を説明するから、あとでまとめて違いをチェックしてほしいのよ」
「そうね。こちらとしても、その方がありがたいわ」
あたしの意見に逢魔さんが賛同し、他の子たちも頷く。それを確認したあたしは、リリカルなのは、それも劇場版の方を話し始めた。
理由は、なのはちゃんとフェイトちゃんのバリアジャケットが劇場版のデザインに近かったから、そちらで起こったことも劇場版寄りなのでは、と思ったから。
あたしはその内容を、事細かに説明をした。
リナ、さんが話した内容はわたしにとって、なかなか衝撃的なものだった。彼ら、彼女らが関わらないだけで、こうも変わってしまうものなのか。
何よりも衝撃を受けたのは、母さんたちのこと。アニメ…、物語とはいえ、そちらのわたしはどんな想いを抱いたんだろう。
……想い? ううん、違う。それは、そっちのわたしが[夜天の書]に取り込まれた世界が、その全てを現してる。
わたしが気になったのは、
『フェイトちゃん、大丈夫?』
わたしの様子が気になったんだろう。なのはが念話で語りかけてきた。
大丈夫だよ、なのは。心配しないで。
「……とまあ、大体こんな感じなんだけど」
リナさんは話し終えると、こちらへと視線を移した。
? ……なんだろう。
「実は最初の自己紹介のときから、フェイトちゃんに関しては予想してたことがあんのよ」
え、予想?
「それを言う前に、ひとつ聞いときたいんだけど。
[闇の…]、ううん。[夜天の書]事件はもう終わってるのよね?」
「ええ。解決してからもう、3ヶ月近く経ってるわ」
リナがリナさんの質問に答えた。
「うーん。じゃあ、やっぱりそうなのか?」
やっぱり?
「ひょっとしてだけど、フェイトちゃんのお母さん…、プレシアさんって、生きてるんじゃない?」
……え? どうしてわかったの?
今回のサブタイトル
小林弘利「星空のむこうの国」から
いやー、スランプって怖いですねぇ。話の流れは決まってるのに、どうやってそこに持ってくのかが出てこない。
というわけで、遅れてすみませんでしたっ!
次回「ドラまた」
リリカル、マジカル…
「お・し・お・き・よーッ!」
どぎゅるるる…
「ぐはぁぁぁ…!!」
(by 電動ドリルを持ったL様の手 & 作者)