Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ 作:猿野ただすみ
リナの発言に、フェイトが驚きの表情浮をかべている。それはそうだ。プレシアさんとアリシアがあんな結末を迎えたと聞かされたばかりなのに、当のリナはこっちのプレシアさんが生きているって言ってるんだ。正直ぼくも驚いてる。
「もっと言えば、二人のわだかまりっていうか、確執も解消されてるんじゃないの?」
「リナ、さん。どうして…」
フェイトは疑問を最後まで言うことができない。
「それはね、あなたの名前が『フェイト・テスタロッサ』だったからよ」
フェイトの名前? それに一体どういう関係が。
「正確な時期はわかんないけど、アニメだと[夜天の書]事件のあと、フェイトはリンディさんの養子になって『フェイト・T・ハラオウン』になってるのよ」
「「「「ええっ!?」」」」
ぼくたちは一斉に声を上げた。お互いに察しあってる姉さんも、さすがにこれは予想してなかったみたいだ。
「え、リンディさんが義母さんで、クロノがお義兄さん!?」
「フェイトには、そうなる可能性があったってワケねー」
「えええ!?」
あー、テンパってるテンパってる。まあ、リンディさんとクロノも優しい人たちだから、フェイトが不幸になるようなこともないと思うけど、やっぱり本当の家族と仲良く暮らせる方がいい。だからアニメの世界とは違っても、この世界も間違いじゃないはずだ。
「じゃあ、両方の世界を合わせれば、フェイトちゃんにはお兄ちゃんとお姉ちゃんがいることになるんだね」
「えええ!?」
さっきと同じ反応だけど、今度はなのはのちょっとした発言に、顔を上気させている。これは、完全に夢想状態だね。まあ、めったに見られないものが見られたんだし、眼福ってことで。
……ん?
「どうしたんだい、リナ。ヘンな顔をして」
「ちょ、ヘンなって…。いや、それこそヘンなこと聞くけど、今お姉ちゃんって言わなかった?」
「え、言ってたけど。……あ、そうか。リナはここまでは予想出来なかったんだね」
でも確かに、フェイトの名前からじゃそこまでは読み取れないかな。
「ねえ、それってまさか…」
「ああ。フェイトのお姉さん、アリシアは生きてる、いや、生き返ってるよ」
「ちょっと、死者を甦らせるなんて、一体どうやったのよ!?」
確かに死んだ人を甦らせるなんて、普通に考えればあり得ないことだと思う。でも、それを説明するには…。
「それは、順を追って説明した方がいいわね」
「んみゅ、確かに」
姉さんの意見にリナが頷いた。
それにしてもこれからする話を聞いたら、さらにビックリするだろうなあ。
こほん!
逢魔さんが一つ咳をして、説明を始める。
「さて、稲葉さんの話との違いだけど、ユーノを預けた動物病院が、ジュエルシードのモンスターに襲われるとこまでは大体同じね」
うむ、まあ、そこはなのはが魔法に出会うところだから、それほど変わることはないと思ってたけど。
「違うのは、そこであたしも介入したってこと。そのときユーノから受け取ったデバイスはL様じゃなくて。
ゼルガディスソウル。ゼルを宿したデバイスよ」
「ゼル!?」
ゼルがデバイスに!? なんでそんなことが…。
「えっと、ゼディルガス? ってリナのカードの…」
「バカね、イリヤ。ゼルディガスよ」
「二人とも違う。ゼルガディスだよ」
「「……」」
「わ、わたし、ちゃんとゼルガディスって言ったよ!」
「わたしだって言ったわよ!?」
なんかイリヤたちが、懐かしいやり取りしてるのは無視するとして。
「今、ゼルがカードとか…?」
「それはあとでね? じゃないと話が進まないし」
あたしの返答に頷き。
「それもそうね。それじゃ続けるけど。
そのあとあたしとなのはは、ヌクヌクって子猫とくおんって狐、ってか妖狐を使い魔にしてるわ」
久遠って確か、元になったアダルトゲームに出てきたキャラだっけ? さすがにそこは、ネットの知識だけど。
「ヌクヌクって、万猫!?」
何? 万猫って。あとでイリヤに聞いておこう。
「ええと、それから、クロノが介入してきたときにアリサとすずかに見られてて、二人も魔法少女になったりとか」
それって、アニメしか見てないから詳しくないけど、INNOCENTってやつじゃ?
「「「雀花(スズカ)!?」」」
あ、三人はそっちに食いついたか。
「言っとくけど、並行世界の彼女じゃないからね?」
すずかは腐女子じゃないし。……ないよね?
「なんかそっちの『すずか』も気になるけど。……じゃなくて!
アースラではあたしの前世を話したことで、すずかから【スレイヤーズ!】のことを聞かされて、その作者がいるからスィーフィード界の術が使えることが解ったのよ。因みに今は、L様がバックアップしてるのが大きいわね」
『そうよ。あたしの力がなけりゃ、この空間でスィーフィード式の術は発動しないもの』
なるほど。そういう意味では、あたしと似た感じなのね。
「そしてフェイトが、ジュエルシード覚醒のために術を放つとこだけど。
放ったのは覇王雷撃陣[ダイナスト・ブラス]だったのよ!」
「えっ!?」
あたしは思わず、フェイトちゃんを見る。すると彼女は恭しく頷いた。
「実はその頃、プレシアさんはデバイスに身体を乗っ取られていてね。そのデバイスの人格が……」
逢魔さんは、ものすごく嫌そうな顔をして。
「
ぶふぅっ!?
あたしは思わず吹き出した。いや、よりにもよってアイツが!?
「そして、時の庭園でナーガと対峙したんだけど、そのときのぶつかり合いが原因で次元震が発生、その影響でアリシアのエレメント体…、魂が目覚めたの」
ようやくアリシアのくだりか。しかし偶然とはいえ、アリシアの魂が目覚めるなんてね。
「そして、アリシアの蘇生の話を持ち出したのがゼル。ゼルは[白輝の聖母]の力を借りた術によってアリシアの蘇生を成功させたわ」
『なお蘇生の条件は、甦るべき身体があることと、その魂が身体の近くにあることですね』
レイジングハートが補足説明をする。ってか、なんでアンタが?
「それからなのはとフェイトのラストバトルは、時の庭園のあと。星光収束斬[スターライト・ブレイカー]は、あたしが教えた混沌の言語[カオス・ワーズ]をなのはが組み立てて作り上げた、[白輝の聖母]の力を借りた
「そのあと術の構成を弄ったら、結界破壊まで付いちゃったの」
なにそれ。なんか凶悪度がさらに増してない!?
「まああとは、ユーノが
なんだろう? 映画1作目だけですごい疲れたんだけど。
「そのあと、何故かやたらと現れる転生者の内のひとり、……名前忘れた。そいつから、転生特典のデバイス[ゴルンノヴァ]を譲り受けたわ」
転生者に特典って、そんなのがゴロゴロいる世界って一体。譲り受けた経緯は、まあ、
「そしてA's編だけど、こっちはもっとすごいわよ。何しろ、フェイトたちが海鳴にやって来た日、10月上旬には無印? メンバーの誰かと、ヴォルゲンリッターのメンバーやはやてが出会ってるんだもの」
へ? 出会うの早すぎない?
「しかも、ボルケンはひとり増えて5人。その最後の1人がアメリア」
な、アメリアまで!?
「ついでに教えといたげるけど、ナーガはアメリアのお姉さんで、フルネームはグレイシア=ウル=ナーガ=セイルーンよ」
ちょっと? あの二人が姉妹!?
いや、確かに殺しても死ななそうなところは、あの子の頑丈さに通じるものがあるけど…。
「まあ、その辺は置いといて」
投げっぱなしかい!? あたしもよくやるけどっ!
「ユーノが捨て子だったり、拾われた赤ん坊の時から所持してたデバイスのひとつがL様、[ナイトメアハート]だったり」
ユーノ、結構重いな!?
「守護騎士を騙って、魔力蒐集するヤツが現れたり」
ずいぶんオリジナル展開になってきたわね。
「その内のひとり、シエラってのがドゥールゴーファ使ったり」
「って、ちょっと待ったぁ!!
シエラにドゥールゴーファって、まさか、黒幕の正体は!?」
「魔王の腹心のひとり、覇王[ダイナスト]よ」
まぢか?
「あとは…、なんか色々ありすぎてこんがらがってくるわね。もう、重要なポイントだけでいい?」
「うん。あたしも内心、ツッコミ疲れたから」
実際、よくパニクらないと思う。
「OK。
それじゃまず、こっちの世界にはゼロスも来ているわ。目的は[写本]の処分。ただしまだ見つかってないわ。
次にL様とレイジングハートだけど、古代ベルカ神話の神、[金色の魔王]ルシフェリアと[白輝の聖母]オリヴィアナ姉妹の人格がその正体よ」
な!? もしかしてそのふたつ、ロストロギアなんじゃ。口には出さんけど。
「あ、これも大事ね。シエラの支配によってリニスが敵として現れたわ。色々あって、取り戻すことに成功したけど」
リニスが!? でも、本来ならいないはずの家族が戻ってきたんだ。よかったわね、フェイトちゃん。
「それから[夜天の書]の改変プログラムの正体は、赤眼の魔王[ルビー・アイ]。シャヴラニグドゥ・ナハトよ」
おいこら。
「アメリアがホリー・アップしたのは、関係ないとして…」
え、赤ずきんチャチャ!? なにそれ、すごく気になるんだけど!
「あとは…、ユーノが実は、ガウリイの転生体だったってことね」
あたしは、この話で一番の衝撃を受けた。
ゆっくりと、ユーノに視線を向ける。
「……記憶はあるよ。人格はぼくのままだけど」
少しだけ、ズルいと思ってしまうあたし。
自分にとっての彼でないのはわかってるんだけど、逢魔さんのことを羨ましいと思ってしまう。我ながら未練がましいなぁ。
「稲葉さん、大丈夫?」
「……ん、問題ないわ」
あたしは気持ちを切り替えて答えた。
「そう。それじゃあ最後に。リィンフォースは消滅させずに済んだわ。L様のおかげでね」
それは、はやても大事な家族を失わずにすんでよかったわね。
「L様、グッジョブ!」
『んっんっ! もっと褒めてくれてもいいのよ?』
『ルシフェ姉さん、その調子に乗るところは改めた方がいいですよ?』
『それがあたしのいいところっ!』
『……』
あたしが言うのもなんだけど、レイジングハートもねーちゃんには苦労してるみたいね。
「それで、あたしの話は役に立った?」
「……そうね。むしろアニメのなのはたちより、安心して背中を預けられるってのはわかったわ」
別に、アニメのなのはたちが頼りないと言ってるわけではない。ただ、アニメよりも厳しい状況で、アニメよりもより良い結果を導いてきたのだ。これは信頼するには充分すぎるだろう。
「どうやら納得がいったみたいだね。それじゃあ結界を解くよ?」
ユーノに言われた瞬間、急激に嫌な予感が膨れあがる。同じ感覚を得たのだろう、逢魔さんと視線が合う。
「みんな伏せて!」
結界が解かれた瞬間、念話で指示を出されたのであろう、なのはちゃんが叫んだ。あたしたちふたりは背中合わせに立ち、
「「風魔咆裂弾[ボム・ディ・ウイン]!!」」
同じ術を同時に放つ。
相乗効果による暴風を上回る爆風によって、周りにいたレッサーデーモンたちを吹き飛ばした。
そう、あたしたちはレッサーデーモンに取り囲まれていたのだ。
「ディバイン・バスター!!」
一条の光が
「今のうちに上空へ!」
なのはちゃんの言葉に、あたしは慌てて
「クロエ!!」
バカか、あたしは! クロエは空を飛べないじゃない!
とって返し、クロエのそばに降りたあたしは、風の結界を弱めて…。
どぐわぁぁん!
激しい衝撃によって弾き飛ばされた! しまった、炎の矢を喰らったか!?
弱めた結界では、炎の矢の威力を相殺しきれなかったようだ。
「リナ!」
クロエがあたしの元に駆け寄ろうとするが、レッサーデーモンに阻まれ応戦する。それは上空のイリヤたちも同じだった。
パアァァァ……
突然、屋上の中央に魔法陣が浮かび上がる。
……! この魔法陣は!?
グガァァァァ!!
大きな雄叫びをあげて現れたのは…!
「
まずい! あたしは吹き飛ばされた衝撃で、まだ身体を動かすことが出来ない。対する魔王竜は、身体は小さめだけど、人ひとりを踏み潰すのは訳ない。
こちらを見た魔王竜は、ゆっくりと近付き、あたしを踏みつけんと足を上げ。
そのとき。
魔王竜はわずかにバランスを崩し。
あたしを超えた先に足をつき、さらに二歩進んで立ち止まる。
……たす、かった?
「リナ、大丈夫!?」
投影品の射出でデーモンたちを倒し、駆けつけたクロエがあたしに肩を貸して立ち上がらせてくれる。むぅ、助けに来たはずなのに、助けられる羽目になるとは。
そのとき。上空から聞こえた、ユーノの声。あたしは一生忘れることはないだろう。
「……ホントに、ドラまただ」
今回のサブタイトル
「スレイヤーズ」リナの代名詞的な二つ名から
今回、話の構成でかなり苦労しました。途中で逢魔リナが、説明を重要なポイントだけにした理由、自分も同じです。
思考がこんがらがったままグダグダと書いていたら、タイトル回収出来ない思いましたから。
次回「時計塔」
見てくんないと
「鶴翼三連!!」
(by クロエ)