Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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今回は視点が、目まぐるしく変わります。


導かれし力を束ね

≪イリヤside≫

ゼロスさんとディルギアさんたちの交渉が決裂して、何故かわたしたちが闘うことになってしまった。

原因は、わたしたちに丸投げしたゼロスさん。

あなたはライダー戦の時のリンさんですか!? なんて思ったけど、ここにいるリンさんが混乱するかもしれないのでやめました。

 

『イリヤさん、何一人語りしてるんですかー?』

「ちょっと、ルビー! 勝手に人の心理(モノローグ)読まないでよ!?」

『いえいえ、読むも何も、イリヤさんの思考はわかりやすいですからー』

 

むう、まったく失礼な。

 

「ほら、ふたりとも。気を抜いてんじゃないの!」

 

そう言って窘めるリンさんは、わたしが知ってるリンさんと変わりがなくって。

ちょっとだけ、安心した。

 

「イリヤ、美遊! あなたたちは凛さん、ルヴィアさんと女魔族の相手して! クロエはあたしたちと、ディルギアの相手をお願い!」

「なのはたちは青髪魔族をお願い! あたしは稲葉さんと、ディルギアに当たるわ!」

 

リナとリナちゃんの指示。

 

「ふぅん、わたしの相手はあんたたち…」

 

そう言って歩み寄ってくる、女魔族の人。

 

「まあここは、お前たちに合わせて名のっておこうかしら。

私は覇王(ダイナスト)[グラウシェラー]様配下、ルビーよ」

 

はぇ!?

 

『おやまあ、わたしと同じ名前ですかー』

馬鹿ステッキ(こんなの)と同じ名前だなんて、ご愁傷様ね」

 

……えーと、リンさん? それって煽ってない?

 

「それって私を挑発してるのかしら?

それくらい気にはならないけど…」

 

ルビーさん、……なんか変な感じだなぁ。とにかく魔族の人は、怒るというより、むしろ楽しそうな顔をして。

 

「せっかくだから、のってあげるわ!」

 

そう言って襲いかかってきた!

 

 

 

 

≪なのはside≫

リナちゃんの指示を聞いた槍を持った魔族が、首をコキコキ鳴らしながらこっちへ近づいてくる。魔族なのに、結構律儀なの。

……というか、魔族って関節無いよね。何で音がするの?

 

「やれやれ、リナ=インバースと闘え(やれ)ると思ったのに、こいつらの相手かよ」

 

落胆を隠そうともしない魔族に。

 

「なめないで。わたしたちはリナと一緒に、[闇の書]に封印されていた赤眼の魔王の残滓、[シャブラニグドゥ・ナハト]を倒したんだから」

 

バルディッシュを前に突き出しながら、フェイトちゃんが啖呵をきった。

……うん、そうだよ。リナちゃんだって、決してひとりで闘ってたわけじゃないんだ。だから。

 

「わたしたち、人間の力を侮らないで!」

 

わたしも、精一杯の啖呵をきる。

 

「それに、今の姉さんは逢魔リナ。リナ=インバースじゃないよ」

 

ゴルンノヴァを構えながら、ユーノくんが言った。

 

「……ふっ。貴様ら、よく吠えた!

いいだろう。覇王(ダイナスト)様配下、クランが相手してやる!」

 

槍の魔族、クランが構えたかと思うと、一足跳びにわたしたちの間合いに踏み込んできた!

 

 

 

 

≪クロエside≫

「どうやら、二人とも始めたようだな」

 

剣を構えたディルギアが、周りの様子をうかがいながら言う。

 

「我らには、多く語る必要もないだろう。

……ゆくぞ!」

 

ガギィッ!

 

その瞬間、神速ともいえるスピードでわたしへと斬りかかってきた!

わたしは、投影した白黒陰陽の夫婦剣、[干将][莫耶]を交差させて、その剣撃を受け止める。

 

「「クロエ/クロ!!」」

「ほう、この攻撃を受け止めるか」

 

ディルギアは、軽い驚きを含んだ声で言った。

 

「戦いにおいて、相手の弱点を突くのは定石でしょ?」

 

言ってわたしは、剣を弾きながら後ろへと下がり。

 

「もっともわたしは、弱点であるつもりは無いんだけど!」

 

干将・莫耶を投擲。回転しながら飛ぶそれをディルギアが弾き、わたしは再び投影した夫婦剣を投げ、ディルギアはそれも弾く。しかし互いに引き合う二対の夫婦剣は弧を描き、再びディルギアへと向かっていく。

三対目の夫婦剣を投影したわたしは跳躍して、ディルギアへと双剣を閃かす。

多方向からの同時攻[鶴翼三連]。わたしの依り代となっているクラスカード[アーチャー]、その英霊の絶技。

しかしディルギアは、飛んでくる剣になど目もくれず、自身の剣で下からわたしをなぎ払おうとした。その瞬間、わたしはそれを転移でかわし、ディルギアの後ろから切りつけ---。

次の瞬間、目の前の標的は消え失せ、真後ろに生まれる殺気。

---不味い!

攻撃態勢に入った今からでは、相手の攻撃をかわすことは…!

 

 

 

 

≪美遊side≫

「ちょっと、あの黒いイリヤ、アーチャーと同じ能力じゃない!」

 

凛さんがクロの投影魔術を見て騒いでいる。

確かに、クロの能力はアーチャーのものだけど、今は…。

 

「あら、私を相手に、ずいぶん余裕だこと」

「……くぅっ!?」

 

女魔族が放った魔力弾が、凛さんを襲う。凛さんは直前で身体をひねりかわそうとするが、胸の下あたりを軽くかすっていく。

 

「ッこの!

Anfang(セット)---! 爆炎弾三連!!」

 

3つの宝石を投げて、女魔族を爆炎に巻き込むが、傷一つ負わずに姿を現す。そこへ。

 

Zeichen(サイン)---! 爆炎弾五連!!」

 

ルヴィアさんが、さらに5つの宝石で爆炎に包む。けれど結果は変わらない。

 

『うーん、相手は精神生命体。炎のような物理干渉による力では、ダメージを与えることは難しいようですねー』

「「なあっ!?」」

 

ルビーの説明に、驚きの声をあげるふたり。

 

「精神生命体だなんて、聞いてませんわよ!?」

 

え、…あ。そういえば、凛さんとルヴィアさんはリナが説明したときには、まだ気を失っていたんだった。

 

「あら、連絡不行き届き? 全然ダメじゃないの。それじゃあ私は……」

「全力の散弾ッ!!」

 

女魔族が話している中、イリヤが複数の魔力弾を放つ。女魔族へと集中して降り注いだそれが爆煙をあげ…。

 

「不意を突いての攻撃ね。いい考えだけど、わたしを傷つけるには、些か魔力不足ね」

 

女魔族の声が聞こえる。

 

「やっぱり、あなたたちごときじゃ……!?」

 

煙が晴れて、女魔族の言葉が途切れた。おそらくわたしを見て、言葉を失ったのだろう。

何しろ、わたしの目の前の中空には攻撃用の魔力を充填(チャージ)した魔法陣が4つ、浮かびあがっているのだから。

 

「魔力4倍チャージ……!」

 

()()()()()()()()()()()()、無駄になんかしない!

 

全力砲射(シュート)!!」

 

 

 

 

≪フェイトside≫

「極天一刀・真雲切!」

 

……っぎん!

 

わたしたちの間合いに飛び込んできた、魔族クランにいち早く反応したのはユーノだった。

彼は目にも止まらぬ速さでクランの懐まで入り込み、剣を一閃させる。だけどクランも、槍の柄の部分を盾にしてその斬擊を防いでみせる。

 

「驚いたぜ、ボウズ。俺の踏み込みに反応するとはな!

……それにその武器、まさか[光の剣]か!?」

「ぼくこそ。今までで最高の真雲切を受けきるなんて。

その槍はもしかして、あなたが生み出した魔族じゃないのか?」

 

クランとユーノは互いにニヤリと笑い、同時に距離をとる。

そこへすかさず。

 

「ディバインシューター!」

「フォトンランサー!」

 

なのはとわたしが攻撃を仕掛けた。けど。

 

「ふん!」

 

クランが槍を一振りすると、わたしたちの攻撃が霧散してしまった。

 

「まだまだ…!」

『なのは、ダメ!』

「!?」

 

カートリッジシステムを使おうとしたなのはを、わたしは念話で止めた。

 

『わたしたちは今、カートリッジの持ち合わせが少ない。もし使うのなら、確実にダメージを与えられる状況じゃないと…』

『! ……そうだね』

 

納得したなのはは、クランにアクセルシューターを放ったけれど、それもまた蹴散らされる。

その隙を突き、ザンバーモードに移行したバルディッシュを横薙ぎに振り抜く。

しかしクランは身を低くしながら突進、槍をわたしに向けて突いてくる。

わたしはバルディッシュを切り返して槍を叩き、何とか切っ先を逸らしながら横へと避けた。

それを追走する形でユーノがゴルンノヴァを振るうその瞬間、クランの姿がかき消え、一瞬ののちにユーノの後ろに現れる。その右手には魔力塊が…!

 

 

 

 

≪逢魔リナside≫

クロの背後に現れたディルギアが、剣を振り下ろそうとする。そこへ。

 

「獣王牙操弾[ゼラス・ブリッド]!」

 

あたしが放った術は、クロをかわしながらディルギアへと向かう。

ディルギアは剣の軌道を変え、魔力弾を弾いた。

しかし甘い! この術は効果が続く限り、術者が操作し攻撃を続けることが出来るのだ!

方向を転換して、再びディルギアへと向かう魔力弾。それに合わせて。

 

螺光衝霊弾(フェルザレード)!」

「くっ!」

 

稲葉さんが術を放ち、ディルギアを同時に襲う。これはさすがにマズいと思ったのか、大きく後ろに飛んでかわし。

 

ずがががぁっ!!

 

複数の魔力弾を放ち、獣王牙操弾を相殺した。さすがにそう簡単にはいかないか。

 

「そうか…」

 

クロはそう呟くと。

 

投影開始(トレースオン)

 

弓と矢を出現させて。

 

赤原猟犬(フルンディング)!」

 

ディルギアへ射た。ディルギアは面倒くさそうに矢を弾く。が、矢は方向を変え、再びディルギアに襲いかかる。

そうか。自動追尾の矢か!

ならば今のうちに、と地面に手をつき増幅呪文、続いて扱う術の呪文を唱える。

すると、あたしの意図を察した稲葉さんが呪文を唱え始めた。

ディルギアはさっきと同じように、矢に向かって魔力弾を叩き込んだ、そのタイミングで。

 

「魔皇霊斬[アストラル・ヴァイン]!」

 

大地(巨大な岩だけど)に切れ味を増す呪文をかけ、

 

地撃衝雷(ダグ・ハウト)!」

 

稲葉さんが、複数の岩の錐を発生させる。

 

「ぬおぉ!?」

 

予想外の攻撃だったのだろう、ディルギアは慌てて回避をするが。

 

ざす!

 

「ぐぅ!」

 

錐のひとつに左腕が吹き飛ばされ、空に溶けるように消滅する。

 

「やって、くれるな!」

 

ディルギアは左腕を再生して、再び剣を構えた。

やっぱりこのくらいのダメージじゃ、倒れてくんないか。

……ん? なんか稲葉さんが、ブツブツと…。

 

「……試してみるか」

 

そう呟くと、稲葉さんが呪文を唱え始める。……って、これって!?

 

地精道(ベフィス・ブリング)!」

 

稲葉さんが発動させた術によって、ディルギアの足下に穴が出来る。が、ディルギアは宙に浮かびなんともない。

魔族相手にこのての術は、ほとんど意味をなさない。それくらい、稲葉さんだってわかっているはずなのだが?

 

地精道(この術)が使えた。……ってことは、この巨大な岩は、大地と同義ってことよね」

 

確かに言われてみれば。

 

「なにを喋っている!」

 

ディルギアは剣を振りかぶりながら、稲葉さんの間合いに踏み込もうとしうて。

 

「うるさいわよ!」

 

言って、青白く輝く小さな硝子玉を数個投げつけた。ディルギアはそれを気にせずに向かってくるが、硝子玉に触れた瞬間。

 

ばしゅっ!

 

「な!?」

 

硝子玉が砕け青白い閃光が放たれる。

今のは烈閃槍の光? もしかしてルークの、物に魔法の効果を込める技の応用か!?

 

「クロエ、時間稼ぎお願い!

逢魔さん、ちょっと聞いてほしいことがあんだけど」

 

そう言って稲葉さんが話したことは、あたしには驚きのことだった。

 

「……どお?」

「んむ、やってみる価値はあるかも」

 

あたしも見てみたいし。

 

「ありがと。それじゃクロエと交代、お願いね」

 

まったく、我ながら人使いが荒いんだから。

 

 

 

 

≪凛side≫

美遊が放った魔力砲を喰らったルビー。あんな攻撃を受けたら、さすがに…。

 

「……ふふ、今のは結構効いたよ」

 

なっ、あれでも倒れないの!?

爆煙が晴れたそこには、全身をボロボロにしながらも平然と立つルビーの姿があった。

 

「まさか銀髪の攻撃も囮だったとはね。人間の、しかも子供だと思って油断しすぎたわ」

 

そう言っている間にも、ボロボロだった身体はあっという間に元の、傷一つない姿に戻っていく。

 

「さて。あなたたちには、とっておきのお返しをしなくちゃ…。

ねぇ!!」

 

! 不味い!!

ルビーが4つの魔力球を作り上げる。私の見立てが確かなら、それはさっきの美遊の攻撃と同等。くうっ、完全に遊ばれてる!?

しかし、そこで動いたのはイリヤ。

 

「クラスカード[ランサー]、限定展開(インクルード)!」

 

以前出会った方の美遊が使っていたのと同じ、カードを使った宝具の擬似展開。美遊が使っていたのはセイバーの[約束された勝利の剣]だったけど、今回イリヤが展開したのはランサーの[刺し穿つ死棘の槍]。

心臓を貫く必中の槍だけど、実は別の効果をもたらす使い方もある。それは。

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)!」

 

この槍の投擲使用。命中するまで追いかけ続ける、必中の槍となるのだ。

イリヤが放った槍はルビーの腹を穿ち貫く。

 

「がはぁ」

 

魔力球は消え、ルビーが片膝をつく。

 

「おのれぇ…!」

 

怒りを滲ませ睨みつけてきた、その時。

 

『みんな! 大技の準備をしながらリナのトコに集合よ!』

 

(ステッキの)ルビーとサファイアから、クロの声が聞こえた。

 

 

 

 

≪ユーノside≫

ぼくが剣を一閃させようとしたその時、クランの姿が消え、後ろから殺気と魔力を感じた。

ぼくは、踏み込んだ右足を軸に回転しながら、ゴルンノヴァを横薙ぎに振り抜く。

 

ザシュッ!

 

「ガアァッ!?」

 

光の刃はクランの腹を深く裂いた。

バランスを崩しながらも、ぼくは後ろへ飛び退き。

 

「アクセルシューター!」

「プラズマランサー!」

 

なのはとフェイトが放った魔法が、クランに命中する。

 

「おおおお…!」

 

クランは雄叫びをあげ、こちらを睨みつける。

 

「てめぇら…!」

 

槍を支えにして立つクラン。かなり効いているみたいだ。

と、その時。

 

『みんな! 大技の準備しながらこっち来て!』

 

姉さんが念話でこんなことを伝えてきた。

 

 

 

 

≪ルヴィアside≫

クロエの指示のもと、(ワタクシ)たちはミス・イナバの元へと向かいます。追加の指示として、相手をしていた魔族(ルビー)をディルギアと合流するよう誘導しながら、ということでしたから、三人まとめて一掃しようということですわね。

美遊(ミユ)はすでに、[セイバー]のカードを限定展開しています。

実は(ワタクシ)、元の世界で限定展開するところを見ているらしいのですが、あちらの世界のマジカルステッキ(ルビー)に操られていた為に、その時の記憶がないのですわ。

全く、ミス・トオサカが言うとおり、あれは本当に馬鹿ステッキですわね。

……話が逸れましたわね。(ワタクシ)たちがわざと右へ、左へと移動しながらミス・イナバの元へ近づいてゆくと、クロエが声をかけてきました。

 

「イリヤ! これ、リナからよ!」

 

そう言って、1枚のカードをイリヤスフィールへと投げてよこします。

 

「クラスカード[()()()()]、限定展開(インクルード)!」

 

飛んできたカードを確認もせず、彼女は走りながら限定展開しました。その手には、変わった意匠の剣。

その刃を外し、

 

「光よ!」

 

そのかけ声と共に、光の刃が形成されます。それを見ただけでも、途轍もない力を秘めた宝具だということが判りますわ。

そして(ワタクシ)たちは、ミス・イナバの元へと辿り着き…!?

なんですの? 光の刃が増幅されてますわ!?

……まさか、魔力の増幅!? ミス・イナバの狙いはこれでしたの!?

 

「みんな、『せーの』でいくわよっ!」

「リナさん、それ、わたしのセリフなの!?」

 

ミス・イナバのセリフに、ナノハが訳のわからないことをおっしゃってますが、今は無視ですわ。

(ワタクシ)たちはそれぞれに、攻撃態勢に入り、

 

「せーの!」

 

ミス・イナバのかけ声と共に、その力を開放させ…。




今回のサブタイトル
TV「スレイヤーズTRY」神魔融合魔法の一節から

今回、結構長めになりました。
色々書きたいことはありますが、とりあえず補足。
凛は元の世界では、第五次聖杯戦争の参加者でアーチャーのマスター。ただしAATMでは真名は知らない模様(作中未記載)。
他の英霊の宝具についても知っているが、おそらくアサシンのみ例外(アサ次郎か呪腕さんなので)。
因みに、AATM時空に元からいるイリヤもマスター。
以上、元の作品に詳しくない人向けの補足でした。

一応最後の部分は次回、稲葉リナ目線で詳しくやる予定です。

次回「勝利はあたしたちのためにあるっ!」
見てくんないと、
「「暴れちゃうぞ!」」
「「やめて」なの」
(by Wリナ & イリヤ& なのは)
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