Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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本日、稲葉リナの誕生日です。おめでとう、リナ!

リナ「あんた、このために前回、二話投稿したんかい!」


過去への扉

≪リナside≫

海での誕生会から8日。本日7月28日はあたしの誕生日だ。とはいえ、イリヤ達の誕生日のような盛大なお祝いをすることもなく、イリクロと美遊からはプレゼントを貰っただけ。夜には家族と一緒に外食するくらいである。

因みに。イリヤからはマジカル☆ブシドームサシのトレーデングカードゲームのキラカード(マジ嬉しい)、クロエからは1日デート券(烈火陣(フレア・ビット)で燃やした)という冗談半分からの可愛らしい財布(ピンクなのがちょっとやだ)、美遊からは誕生花であるナデシコのブローチ(他意は無いと信じたい)を貰った。まあ、色々文句も混じっちゃいるけど、やっぱり嬉しいものだ。

 

 

 

 

 

さて、それはそれとして、あたし達は今、柳洞寺へとやって来ている。実は今日、柳洞寺の境内では、小規模ながらフリーマーケットが開かれているのだ。

しかも出店料も入場料も無料なので、出店希望者の倍率は年々上昇、今年はとうとう10倍にもなり、利用スペースを増やしはしたものの最終的には抽選によって決められたそうだ。

という訳で、あたしが想像してたよりもかなり盛り上がっている。

 

「うっわあ! 思ってたよりお店もお客さんも多いね!」

「まさに、黒山の人だかりってやつね」

「わたし、こういうのは初めて…」

 

三人はそれぞれの感想を述べる。ってか、美遊ってばこういうトコにも来たことないのか。

 

「ま、とりあえず見て回りましょ。不要品販売とか、手作り商品とか、とにかくまあ色々あるから」

 

あたしが、主に美遊に向かって説明混じりで促すと、三人揃って頷いた。

そして散策し始めて僅か数分後。

 

「お、イリナズ」

「あたしとイリヤの名前、一緒にすんなあああっ! てか、また穂群原小の四神+αかっ!?」

「いや、リナも大概じゃね?」

 

と、あたしと雀花が、お互いツッコミ合いしたところで一息つく。

 

「……まあ冗談はさておき、アンタらも来てたのね。……というか、来ないわけが無いか」

「当たり前じゃねーか! ウチだって焼きそば屋台出してるぜ!」

 

なるほど。それでみんなの手には焼きそばのパックがある訳か。というか。

 

「ちょっとタツコ、海の家はどうしたの!?」

 

あたしと同じ疑問をイリヤが尋ねた。

 

「海の家は兄貴達が、こっちの屋台は親父とイリヤの兄貴がやってるぜ」

「「ええっ! お兄ちゃんが!?」」

「士郎さんが…」

 

イリヤとクロエが同時に、美遊が少し遅れて声をあげる。斯く言うあたしも驚いてるのだが。

 

「みんなは知らなかったの?」

「うん」

「お兄ちゃん、何も言ってなかったから」

 

尋ねる美々に、答えるイリクロ。

 

「それにしても龍子のとーちゃん、精力的に商売してるわね?」

 

前世の実家が商売してたこともあって、こういう態度には一目置くところがある。

 

「『せっかくの書き入れ時だから』って親父、言ってたぞ!」

 

……前言撤回。道場主の書き入れ時が飲食店収入って、全然ダメじゃない。

 

「まあ、タッツンの親だかんねー」

 

那奈亀の意見が、ある意味正解かもしんない。

……まあ、深く考えてもしょうがない。それよりも。

 

「と・こ・ろ・で! 今日はあたしの誕生日なのよねー。ま、別に深い意味はないんだけど?」

 

あたしがおどけて言うと、四人の肩がぴくりと跳ね上がる。

 

「そーいえばなんだか、お腹が空いたなー」

 

頭の後ろで両手を組み、ちらりと雀花が持つ焼きそばを見る。雀花達は一瞬怯み、諦めたかのようにため息を吐いた。

 

「しょうがねぇなあ。プレゼント代が焼きそばひとパックで済むなら安いもんだ。ほら、みんなもリナに貢いどけ」

 

雀花に促され、あたしの手には4つの焼きそばのパックが積み上げられた。

 

「まいどあり♪」

「くっ! みんな、もう一度屋台へ行くぞっ!」

 

雀花は捨て台詞っぽくない捨て台詞を吐き、みんなを引き連れ去って行った。

 

「……ええっと、リナ。それ、全部食べるの?」

「? とーぜんじゃない」

「そう…」

 

美遊は一体、何が言いたいのだろうか? そんな疑問を浮かべていると。

 

「「破壊と食欲の魔王」」

 

イリクロから、いつか聞いた二つ名を言われた。さてはクロエ、イリヤにバラしたわね? ちくしょう! 後でいぢめちゃる!

 

 

 

 

 

程なくして、美遊から驚きの眼差しを向けられながらも、あたしは4パック分の焼きそばを平らげる。言っておくが普段は抑えてるだけで、食べていいというのならまだまだ食べられるのだ。オマケに士郎さんクオリティで、普通の屋台の焼きそばよりも格段に美味い!

……って考えてみたら、この肉体はリナちゃんのモノなんだけど。どうやらリナちゃんも、結構いける方だったみたいね。

 

「ふわぁ、わたしは前から知ってたけど、ホントによく食べられるね」

「ユーノが言ってたさっきの二つ名、物凄く納得ね」

「何言ってんのよ。こんなの淑女の嗜みでしょ?」

「「「それは無い!」」」

 

あたしの意見は三人に一蹴された。納得いかん。

 

「さあ、リナの妄言は置いといて、いい加減お店巡りしましょ!」

「妄言て…」

 

クロエも結構辛辣だ。どうやらこの件に関して、あたしの味方はいないらしい。

とはいえクロエの言ってることも、もっともである。フリーマーケットに来てやったことは、雀花達と話をして、あたしが焼きそば食べただけだ。これでは確かに意味がない。

 

「ま、いいわ。それでどこ行く?」

「「「お兄ちゃん(士郎さん)の屋台」」」

 

……そうだよねー。焼きそば食べたの、あたしだけだもんねー。……なんかごめん。

 

 

 

 

 

「よっ! みんな来たな」

 

焼きそばを焼いていた士郎さんが、あたし達を見つけて声をかける。どうやら再購入しに行った雀花達から、あたし達の事を聞いてた様だ。

 

「もー、お兄ちゃん! どうして教えてくれなかったの!?」

 

頬を膨らませ怒るイリヤに、ハハハと笑いながら士郎さんは答える。

 

「いや、どうせみんなもフリマに来ると思ってたからな。驚かせようと思って黙ってたんだ」

 

まあ、そんな事だろうと思ってたけど。

 

「もう、お兄ちゃんってばお茶目なんだから」

「いや、お茶目って」

 

士郎さんはちょっとたじたじとしているが、クロエが言ったことが正しい。

 

「そ、それより、焼きそば食べるんだろ? 四人分…で、いいんだよな?」

 

士郎さんは一瞬言葉を濁した後、あたしを見る。どうやら、雀花達が再購入しに来た理由も聞いていた様だ。

 

「もちろんです」

「だよな」

 

さすが士郎さんは慣れたもんである。美遊が目を見開いて驚いているが、気にしないでおこう。

士郎さんは出来上がってパックに詰められたものではなく、焼き途中のものをちゃちゃっと仕上げてパックに詰めていく。

 

「はい、出来たてだ。リナちゃんには肉多め。誕生日だからオマケだよ」

 

おう、さすがは士郎さん。こういう事にはやたら気が利く。これが女性問題だと、どーしてあんなに朴念仁なんだろ。

 

 

 

 

 

今度はみんな仲良く焼きそばを平らげ、本格的に各お店で物色を始める。アクセサリーの部類は誕生日のプレゼントで貰ったばかりなので、それほど興味は湧かなかった。どうやら他の三人も同じらしい。

本やゲーム、後は食器や小物等、色々と見て回り、あるいは購入する。

そして敷地の中でも人通りのない、本堂の裏へと回ってみた。するとそこには。

 

「ふふふ、この場所に気づいた幸運な者達が現れたようね!」

「「「「藤村先生!?」」」」

 

そう。立ち上がったかと思うと腕を組み、強者感を出す藤村先生(冬木の虎)がそこにいたのだ!

 

「ふ、藤村先生も出店してたの!?」

「その通りよ、リナちゃん!」

「でも、どうして境内の裏に…」

「ひょっとして、ハズレくじ引いたとか?」

「イリヤちゃん、クロエちゃん。別にわたしの運が悪いとかじゃないから。わたしは敢えてここを選んだの」

「一体、なんの思惑が…」

「美遊ちゃん、わかってないわね。こういうのは隠れたところにあった方が、掘り出し物がありそうで興味が湧くじゃないの!」

 

みんなの意見にそれぞれ答える先生。てか、一見下らない理由に見えて、そこそこ的を射てはいるようだ。人間心理としては非常に正しい。けれども。

 

「さすがに目立たな過ぎない?」

「まあね。でも毎回のことだし、来た人達はみんな何か買ってくれるし。何より趣味みたいなもんだから」

 

なるほど。ま、確かに藤村先生は前に出てガンガン行くか、変なところで異常に凝るかのどっちかって感じではあるわ。

 

「さ、説明ばかりでも何だから見てって頂戴。高くても千円そこそこだから、何か買ってってくれると嬉しいかなー?」

 

ふむ、そりゃそうだ。フリマの店員と立ち話に明け暮れててもしょうがない。

さて、一体どんなものが…って。何やらひとつ、非常にあたしの気を引くものがあった。それは。

 

「何? この、虎の顔がプリントされた魔法瓶は?」

 

クロエが、あたしが気を引かれてた魔法瓶について尋ねた。

 

「ああこれ? もう十年以上も前から家にあるものなの。しばらく行方不明だったけど、この間蔵から見つかったのよ」

 

ふみゅ。しかし長いこと放置されていたにしては、ホコリが染みついたり、酸化して変色したりって様子は見られないわね?

……それに。これを見てると、なんか胸がざわついてくる。一体何だというのだ。

 

「リナ?」

「……あ、なんでもない!」

 

心配そうに尋ねるイリヤに軽く答え、顔を上げる…と? 何だか不思議そうな表情で、藤村先生があたしを見つめていた。

 

「……先生?」

「あ、ごめんねー?」

 

先生は謝るとあたしから視線を外す。こっちも一体何だというのだ。

 

「ええっと、説明の続きだけど、その魔法瓶、実はとても貴重なものなの。この品は、持ち主の願いを何でも叶える魔法の瓶。そう。これまさに、伝説の魔法瓶なの!」

 

……なんだろう。一気に胡散臭くなったのだが。というか、なんでも願いを叶えるって、まるで聖杯じゃないの。そんなもん、そこらに転がっててたまるか!

 

「なんだか急に胡散臭くなったわねー」

「クロエちゃん、そんなこと言わない!」

 

クロエのツッコミに、先生は胸の前で手を組み、イヤイヤしながら返した。

 

「……なんだかリナが、ふざけてやってるときみたい」

 

おう!? そ、そうか。あたしがわざとカワイ子ぶると、あんな感じなのか。というかイリヤには、あんな風に見えるんだ。

 

「……まあいいわ。話の種に買おうじゃないの。何より、リナが物凄く気にしてるみたいだし」

 

ありゃ。やっぱクロエにはバレてたか。

 

「ありがと。本当は千二百円だけど、わたしの可愛い生徒だし、オマケして千円でいいわ」

「さすがタイガ、太ってなくても太っ腹!」

 

調子いいなー。ま、あたしも似たようなこと言うけど。

先生は魔法瓶を新聞紙で包み、紙の手提げ袋に入れると、お金を受け取るのと引き換えにクロエに手渡した。

 

「それじゃあ次へ…」

「あ、ちょっと待って。リナちゃんとちょっと話したいことがあるの」

 

うん? あたしに話?

 

「ええと、わたし達は席を外した方がいいでしょうか?」

「うーん、そんな大した話じゃないけど、外してくれた方が有難いかな?」

 

尋ねた美遊に先生はそう返した。という事は、あたし個人に関わる話って事か。

 

「……わかりました。リナ。わたし達はリナの特訓場所で待ってる」

 

なるほど。確かにあそこなら、待ち合わせには最適だろう。

 

「了解。話が終わったらすぐに行くから」

 

あたしが答えると三人は頷いて、本堂の裏から立ち去っていった。

 

 

 

 

 

「それで先生、話ってのは何ですか?」

 

あたしが尋ねると、先生は神妙な面持ちになる。藤村先生がこんな表情になるなんて珍しい。

 

「ねえ、リナちゃん。あなた、5、6年前にもここに来なかった?」

「はい?」

 

何なのだ、藪から棒に。ええと、5、6年前って事は、あたしがこの世界に転生したかしないかの時期よね? 少なくとも転生してからなら、こんなこと言われたらさすがにすぐに思い出せるだろう。だが転生前だと、いくらリナちゃんの記憶を引き継いでるとはいえ、さすがにちょっと曖昧な部分がある。

 

「ええと、もうちょっと具体的な情報がないと、なんとも言えませんが」

「そう、そうよね。実を言うと、わたしも今し方思い出したんだけど、この場所で、さっきの魔法瓶に触れて倒れた女の子がいたの」

 

どくんっ!

 

あたしの胸の鼓動が跳ね上がる。

 

「すぐに目を覚ましたんだけど、凄く調子が悪そうだったわ。その後どうなったかわからないけど、あの子、無事だったのかなって思って」

「その子が、あたしに似てた…?」

「そうなの」

 

ズキリと頭が痛む。そして、()()()()()

確かにあたし(リナちゃん)は、6年前にもこの場所へ来た。そしてさっきと同じ様に、先生から魔法瓶の説明を受け、そして瓶に触れ願ってしまった。

 

---わたし、魔法少女みたいな力を使いたい!

 

……と。そして、眠っていた魔術回路が一斉に開いてしまい…。

 

「……それ、()()()です。今、思い出しました」

「本当!? あの子、やっぱりリナちゃんだったんだ」

「はい。あの後、謎の高熱を出して入院してしまって。でも、今はこの通りです」

「そうだったの!? でも無事で、本当に良かったわ」

 

先生の言葉に、胸が痛む。本当のリナちゃんは、もう…。

 

「……それじゃあ先生、みんなが待ってるので」

「あ、引き止めちゃってゴメンね?」

「いえ」

 

あたしはそんな胸の内など一切おくびにも出さず、笑顔で返したのだった。

 

 

 

 

 

あたしの足取りは重い。まさかこんな真実を知るとは、思いもよらなかった。これもみんなタイガのせい! ……などと責任転嫁出来ればいいのだが、さすがに今回はそんな気力も出ない。

そもそもそんな魔法瓶を信じて願わなければ、こんな事…に……は………って、ちょい待ち! それってつまり、あの魔法瓶には本当に聖杯並の能力(ちから)があるって事!? それって滅茶苦茶やばいじゃないのっ!!

 

 

 

 

≪イリヤside≫

「ねえ。リナ待ってる間暇だし、()()、試してみない?」

 

クロがいたずらっ子の様な表情で、そんなこと言った。

 

『イヤー、クロさんってば、なかなかのチャレンジャーですねー』

 

わたしの髪の中から飛び出したルビーがそう切り返す。うん。本物とは思ってないけど、ルビーの言うとおりだと思う。

 

「まあね。本当にそんな力があるなんて思っちゃいないけど、やっぱりこういうのって試してみたいと思わない?」

 

聖杯の力があるわたし達が言うのもなんだけどね? でもまあ、クロが言うことも理解できる。

そうなると、ルビーをとるかクロをとるかって事だけど、ハッキリ言ってわたしは、誘惑には非常に弱い。

という訳で。

 

「うん。やってみよう!」

「イリヤ…」

 

ミユが呆れた目で見てるけど、気にしたら負け!

 

「さて、そうなると何を願うかって事だけど」

「ねえ、こういうのはどうかな?」

 

わたしが思いついたことを語ると。

 

「なるほど、面白そうね」

「確かに、わたしも気になってた」

 

クロと、そしてミユまで乗り気になる。これで願い事は決まった。

わたし達は包装を解いた魔法瓶を中央に置き、胸の前で手を組んで、心の中で願い事を言う。

……段々恥ずかしくなってきた。そろそろやめようか。そんな事を思った、そんな時。

 

『待ってください! 魔力量が段々と上がっていきますよッ!?』

『これは、以前クロさまが願ったときに起こした魔術事象に匹敵しますッ!!』

 

ルビーとサファイアが騒ぎ、魔法瓶が光り輝いて。それが治まったとき、その声は聞こえた。

 

「おーっほほほほ! このわたし、白蛇(サーペント)のナーガを呼んだのは、どこの誰かしら!!」




今回のサブタイトル
神のみぞ知るセカイOAD『天理編・邂逅』主題歌「未来への扉」から

……という訳で、重い話の後、ついにアイツが来ちゃいました。

次回「スレイヤーズ☆かーにばる」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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