Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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ようやく、シリーズ最終回です。


さくらと時空(セカイ)の扉

≪リナside≫

「リナちゃん、楽しそうだね?」

「え…、桜ねーちゃん? どうしてここに?」

 

ウォータースライダーを滑り終えたあたしは、何故か目の前にいる桜ねーちゃんに疑問をぶつける。

 

「ふふふ、リナちゃんがいるから、ここに来たに決まってるでしょ?」

 

それが本当なら、まるでストーカーじゃない。いや、それマジで怖いんだけど。

 

「おい!? 僕を無視すんじゃねーよ!」

「あ、ツンデレワカメ」

「誰がツンデレワカメだっ!」

 

あたしから少し離れたところにいた、ワカメこと間桐慎二さんが文句を言う。煽り耐性ねーでやんの。

そして慎二さんの横にはイリヤたちがいる。

 

「驚いた? 今日は兄さんとここに来たんだけど、たまたま知世ちゃんを見かけて事情を聞いたの」

「それでわたし達が滑り降りてくるたびに、こうして驚かせてたってワケ」

 

呆れた表情で言うクロエ。いやむしろ、普段はアンタがそれやってる側だろ。

 

「別に僕は、こんな所来る気は無かったんだ。ただ、桜がどうしてもってせがむから、仕方なくだな…」

「やっぱツンデレじゃん、ワカメ」

「ツンデレじゃねえっ! ていうかワカメって言うなっ!」

 

ホント、打てば響くってまさにこの事ね。それにひねちゃあいるけど、根は悪いやつじゃないみたいだし、何よりからかうと面白い。

 

「リナちゃん、悪い顔してるよ?」

 

いかん。今日は思ってることが、顔に出やすかったんだっけ。

 

「それでね、リナちゃん。わたし達もさくらちゃん達と一緒に楽しんでもいいかな?」

「ええ、それは別に構わないけど」

「ちょっと待て! 僕も頭数に入ってんのかよ!?」

 

あたしが了承したところで、慎二さんが割って入る。まあ、勝手に数に加えられてんだから、文句の一つくらい出てもおかしくないけど。

 

「兄さん、駄目ですか?」

 

上目遣いに、おねだりする桜ねーちゃん。あ、あざとい。だが、面白い。あたしは胸の前で手を組み。

 

「お願い、慎二さん」

 

縋る様な表情で言うと。

 

「「慎二お兄ちゃん!」」

 

イリクロがあたしと同じポーズで、媚びる様に言う。

さすがに美遊は、キャラじゃないと理解してるのか何もしてこないし、神名はそもそも、そんな事が出来るキャラじゃない。

そしてさくらちゃんは驚いて見てるだけだし、知世ちゃんはいつものスマイル、雪兎さんは少し困り顔ながらも笑顔をたたえてる。

 

「……わかったよっ! ったく、なんで僕が子供の面倒を見なきゃなんないんだ」

 

そんな愚痴をこぼす慎二さんはだけど、言葉とは裏腹に何だか嬉しそうにしている。

 

「……チョロいですね、兄さん」

「チョロワカメね」

「ホント、チョロいわねー」

「うん、チョロいよね」

「お前ら、僕に何させたいんだよっ!?」

 

それはもちろん、からかって楽しみたいに決まってる。

 

 

 

 

 

「クロエ!」

「OK!」

「兄さん!」

「任せへぶぅっ!!」

「ほええええ!?」

 

あたし達は今、4×4のビーチバレーをしている。チーム分けはあたし、クロエ、さくらちゃん、神名に対して、桜ねーちゃん、慎二さん、イリヤ、美遊という組み合わせ。雪兎さんは得点係で、知世ちゃんは安定の撮影役だ。

運動が苦手な神名を、あたしとクロエ、さくらちゃんがカバーする。

一方相手チームは、さっきから慎二さんがいいカッコしようとして、クロエのスパイクを受けまくりボロボロだ。何だかクロエも途中から、慎二さんに直接当てにいってるし。

ちなみにイリヤと美遊に任せた方が、ちゃんとした試合運びになってたはずだ。

でもって当然、試合結果は。

 

「びくとりぃ!」

 

片手でVサインをつくり突き出すあたし。

 

「もう、兄さんのせいで負けちゃったじゃないですか!」

「僕のせいかよ!」

 

慎二さんに責任転嫁をする桜ねーちゃん。しかし、あながち間違ってないところが、いとをかし。

 

 

 

 

 

お次はビーチフラッグに決まった。クロエがにまにまと笑ってる。そりゃそうだ。クロエの場合、英霊の能力で優勝は間違いないのだから。

 

「ちょっと、クロエ」

 

そんな彼女を、呼び寄せるように声をかける。

 

「んー、何よリナ? 言っとくけど手は抜かないわよー?」

 

そう言ってこちらに近づくクロエ。……よし、今だ!

 

逆五芒魔封陣(アストラル・シール)(ぼそり)」

 

ばぢぃっ!

 

「わぎゃっ!?」

 

情けない悲鳴を上げるクロエ。

 

「くぅっ…。まさかまた、魔力封じ!?」

「クロエがニヤけてる間に、砂に隠すようにして硝子玉の呪符で魔法陣布いといたのよ。

クロエ、手を抜かないのはいいけど、ズルは駄目だかんね?」

 

そうあたしは釘を刺した。

……結局クロエが優勝したけど。ふん、悔しくなんかないやい!

 

 

 

 

 

「おいしい!」

 

持ってきたお弁当を食べて、神名が思わずそうこぼした。

 

「そりゃそうだよ。わたしのお兄ちゃん、料理に関しては妥協しないから!」

「士郎さん、料理の腕がいいから」

 

イリヤが士郎さんの自慢をし、美遊が褒め称える。

 

「本当に士郎さんって料理上手だよね。私のお父さんやお兄ちゃんにも負けてないよ」

「うん。桃矢の料理も美味しいけど、イリヤちゃんのお兄さんの料理も違った美味しさがあるね」

 

そうか。そういやさくらちゃんのお父さんの藤隆さんや、お兄さんの桃矢さんも料理上手だったっけ。雪兎さんは藤隆さんの料理に馴染みがないのか、名前は挙げなかったけど。

 

「でも、リナとミユも料理は上手よ」

「え、そうなの?」

 

クロエのセリフに、神名は驚きの目であたし、そして美遊を見る。

 

「リナは調理実習で、わたしより美味しいハンバーグを作ってた」

「そんなこと言ったら、あたしはあの時間内にあれだけの種類の料理を、あのクオリティで作れないわよ」

 

美遊からの賛辞に、あたしは率直な意見を返す。

 

「ふふっ、お二人とも料理上手なら、きっといいお嫁さんになれますわね」

 

男が言ったら、セクハラとか言われそうなことを口にする知世ちゃん。そーいやこの子、作品内でもこういうこと、普通に言ってたわね。まあ、【カードキャプターさくら】の作者の場合、男の子相手にも「お嫁さん」発言させる様な作風だから、平等っちゃ平等か。

 

「ねえ、リナちゃんは先輩から料理を教わってるんだよね?」

「うん、そーだけど?」

 

桜ねーちゃんの質問に軽く答えるあたし。

 

「今度、わたしも教わっても構わないか、聞いてもらえるかな?」

 

途端にイリクロが桜ねーちゃんを睨みつけた。……あたしとしても心中複雑だが、桜ねーちゃんを応援する気持ちは今も変わってはいない。

しかし。

 

「どうして士郎さんに直接聞かないの? 今は夏休み中だから仕方ないけど」

 

そんなの学校で、いくらでも聞くチャンスがあると思うんだが。

 

「えっと、先輩の周りっていつも、姉さ…遠坂先輩やルヴィアさんがいるし、部活中は兄さんが…」

 

ああ、そりゃそうか。確かに今も、機嫌悪そうにこっち見てるし。

 

「ツンワカ」

「ツンワカ!?」

 

あたしがぽつりと言った一言に、しっかり反応してくれる慎二さん。

 

「まあ、あんなのはほっといて」

「あんなの!?」

「別に構わないわよ。今度会ったときに伝えとくわ」

 

あたしの返答に、イリクロが恨みがましくこちらを睨むが、そんなの知ったこっちゃあない。

 

「……あの、リナさん。わたしも、その…」

 

消え入りそうな声で聞いてきた神名。

 

「あー、はいはい。ライバルはミリィだもんね。一緒に聞いといたげるわ」

 

神名の思い人は青川慧。ミリィの親戚で仲がよく、神名はちょっと望み薄だが、それでも諦めないのはいい心がけだ。

ちなみにミリィは色々問題あるものの、料理の腕は確かなので、神名も対抗意識を燃やさずにはいられないのだろう。

 

「リナさん、ありがとう!」

 

にっこりと微笑む神名。うみゅ。守ってあげたい、君の笑顔!

 

「リナ、お母さんっぽい顔してるわよ?」

 

クロエがそんなこと言ってるけど、今のあたしにはどうでもいいことだった。

 

 

 

 

 

「それじゃあね、リナちゃん」

「やれやれ、ようやく解放されたか」

 

夕方。そんな言葉を残して、桜ねーちゃん達と別れたあたし達。

 

「さて、この後は海岸ね」

「海岸?」

「凛さん、ルヴィアさんに頼んで海岸の一部に、人除けの結界と認識阻害の術をかけてもらってるのよ」

 

さくらちゃんが聞き返したので、あたしは掻い摘まんで説明した。

 

『まあ、さすがに魔術的隠蔽を施してるとはいえ、住宅街で第二魔法級の術を実行するのはリスキーですからねー』

「神秘の秘匿やったか? それと、もしもの時の被害を極力()さんためやな」

 

ルビーとケルベロスが説明の補強をしてくれる。……って。

 

「ルビーにケルベロス。アンタら今まで何処にいたのよ!?」

『イヤー、魔術師の家系とはいえ、あのおふたりはわたし達とは関わってませんからねー。気づかれないように、合流は控えてたんですよ』

「ワイはいろんな場所、見て廻っとった。もちろん人に気づかれんよう、注意しながらや」

 

むみゅうう。ルビーは仕方ないとして、ケルベロスは誰かに見られたらどうするつもりなんだ?

 

『リナさん。あんまり考え込むと、何処ぞのロードの如く、眉間にシワが出来ますよー?』

「う…」

 

一瞬、ロード・エルメロイⅡ世の顔が脳裏に浮かんでしまった。

 

「……りょーかい。何事も無かったんだから、よしとするわ」

 

ロードには悪いけど、あたしはあの様にはなりたくない。

 

 

 

 

 

目的地に着いたとき、陽光と夜の帳の狭間、まさに黄昏時となっていた。

 

「ようやくいらしたわね」

「待ってたわよ」

 

海岸の砂浜で、ルヴィアさんと凛さんが迎えてくれる。

 

黄昏(誰そ彼)…、逢魔が時、トワイライト…。人と魔性の者との境界が、曖昧だと言われている時間帯…」

 

美遊がそんなことを言う。

 

「まあ、そういう意味では、これからやる事に向いてる時間帯かもね」

 

何しろ境界が曖昧な時間帯に、時空(セカイ)の境界を越えるための術を扱うのだから。

 

「というわけで。神名、お願い」

 

あたしが声をかけると、神名の髪が一瞬で銀色に変わる。あたしは彼女の肩に手を置き。

 

「それでキャナル、何やらかしたの?」

『は?』

 

あたしのいきなりの質問に、みんな仲良く声をハモらせる。

 

「ええと、リナさん。どういう意味でしょうか?」

 

一見冷静を装っているけど、あたしがじっと見つめると、すいっと視線を逸らした。

 

「さくらちゃん達に神名を紹介するとき、貴女の名前を出したら彼女、一瞬変な反応してたからね」

 

あたしの説明に観念したのか、ひとつ、深くため息を吐く。

 

「……聖名さんの寝顔を見ていたら、思わず、く…口づけをしそうに…」

「「『おおーっ!?』」」

 

イリクロとルビーが食いついた。悪趣味ねー、……と思いつつ、普段ならあたしも食いついてただろう、あまり強いことは言えない。

 

「あの、神名が強制的に入れ代わったので、未遂ですよ!?」

 

どうやら神名も、ちゃんとストッパーの役目を果たした様だ。まあ、ファーストキスが意識入れ代わってるときに自分の兄と、ではさすがにシャレにもならないだろう。

 

『まさに、ただれた痴情がもつれてますねー』

「ルビー、言葉選びッ! というかそれ、前にタツコが言ってたやつだよね!?」

 

ああ、あたしが未参加だったアサシンのカード回収でイリヤがやらかして、翌日、イリヤと美遊の微妙な空気を見た龍子がそんなことを言ってたっけ。

 

「ほら、そんな色恋沙汰の与太話は、彼女達を送ってからでも出来るでしょ」

 

凛さんがみんなを諌めて軌道修正をする。最初に逸らしたあたしとしては、若干後ろめたさがある。

 

「ンン! それでは準備を始めますね」

 

咳払いをし、思考を切り換えたキャナルは、肩から提げた鞄の中から、幾つかの法則性のないアイテムを取り出すと、砂浜の上に並べ始めた。

……? 何だかこの光景、見覚えがあるような? アイテムをテキトーに、取り囲む様、に…。って!

 

「まさかこれ、魔力増幅の結界!?」

「あら、よくわかりましたね。人間にこの大源(マナ)の流れは、認識できないはずですが」

 

確かに。人間にはただ、アイテムを置いてるだけにしか見えない。しかし。

 

「もしかして、前世の知識っちゅうやつか?」

「さすがケルベロスね。確かに前世、向こうの世界で、同じ形式の結界を見たことがあるわ」

 

そして精霊映視呪(マナ・スキャニング)を使えば、あたしにも扱える術である。

 

「そうだったのですか。

今回は送り返す人数が多いので、この結界で術の強化をすることにしたのです」

 

なるほど。考えてみれば至極当然。ただでさえ時空を超える術の行使、瞬撃槍(ラグド・メゼギス)を送り返すのとはワケが違う。

 

「ちょっと。その結界、凄く興味深いんだけど!?」

「後で詳しく伺わせてもらえませんか?」

 

魔術師の好奇心は場所を問わないらしい。そーいやあたしの術を見たの、並行世界の方の二人だったわね。

 

「まあ、その辺は後で交渉してちょうだい。さすがにこれ以上、さくらちゃん達を待たせるのも悪いし、ね?」

「ッ! 確かに…」

「その通りですわね」

 

ふたりも納得してくれたようだ。

 

「それでは皆さんも、この結界の中に入ってください」

「う、うん」

 

言われたさくらちゃん達は、魔力増幅の結界の中へと入る。

 

「……なるほど。確かにこれは、ワイの魔力も増幅されとる感覚が、ビシバシときとるで」

 

ケルベロスは感心した様に言った。

 

「それでは、始めます」

 

キャナルは告げて、呪文の詠唱を始める。するとさくらちゃん達の足下に、魔法陣が浮かびあがってきた。

ちなみに呪文は[混沌の言語(カオス・ワーズ)]形式になっていて、その内容は、[金色の魔王]…いや、[金色の母]の力を借りたものの様だ。空恐ろしい。

 

「……今ここに 世界(そら)を結びし道を開け」

 

最後の一節を唱え終わると、魔法陣はより一層輝きを増した。

 

「……あの、私達のために、本当にありがとうございました」

 

魔法陣の中から、お礼を述べるさくらちゃん。

 

「私、向こうに戻っても、皆さんのことは絶対に忘れません」

 

それを聞いてあたしは、訳あって記憶を消さなければならなかったなのは達を思い浮かべ、少しだけしんみりした気持ちになる。

とはいえ、別れに涙は禁物。笑顔で送り出さなければ。

 

()()()()だって忘れはしないわよ。

さくらちゃん。縁があったら、また会いましょ!」

「あ…、うん!」

 

さくらちゃんはそう、笑顔で返してくれた。

 

「それじゃあキャナル、お願い」

 

何時までも術を保留させておくことは出来ない。この術も、あたしが使うものと同じ法則で発動させている限り、例外ではないのだ。

あたしが声をかけると、キャナルはこくりと頷いた。

 

神魔移送門呪(トランスファー・ゲート)!」

 

[力あることば]と共に魔法陣から光の柱が立ち上り、それが収まると、そこには既にさくらちゃん達の姿はなかった。

 

「……行っちゃったね」

「そうだね」

 

イリヤの呟きに応える美遊。

 

「キャナル。今回は大丈夫なの?」

「開口一番それですか? ……はい。今回は他の世界への接触もありませんし、術そのものも、その世界に(存在す)るものを異界へ、異界から跳ばされて来たもの(存在)を在るべき世界へ送る効果を示すものですから」

 

なるほど。送り返すだけなら特に問題ないってワケだ。……他の世界との接触さえなければ。

 

「送還呪文ならいいけど、異世界へのバシルーラはさすがにやだなあ」

 

イリヤが有名RPGの呪文名を口にした。イリヤらしい喩えだが、言い得て妙でもある。実際は、術が完成する前に魔法陣から逃げられるのがオチだろうけど。

 

「「「……バシルーラって何?/何ですか?/何ですの?」」」

 

魔術師ふたりとキャナルは知らなかったようだ。おそらく神名も知らないのだろう。そしてなんとなく、美遊も知らない気がする。

 

「ゲームに出てくる、敵を遠くへ吹っ飛ばす呪文よ」

「「「……あー」」」

 

あきれ顔のクロエの説明に、三人は気の抜けた返事を返した。

 

 

 

 

≪さくらside≫

気がつくとそこは公園の、ペンギン大王のそばだった。知世ちゃん、雪兎さん、それにケロちゃんもちゃんといる。

そういえば私達って、ここでお話ししてて、さくらカードの話になって、カードを取り出したときに周りが変になって、気がついたらあの世界にいたんだった。

 

「みんな、大丈夫?」

「はい」

「大丈夫ですわ」

「ワイも問題あらへん」

 

心配そうに聞く雪兎さんに私達が答えると、雪兎さんはほっと胸を撫で下ろしていた。

 

「ですけど、さくらちゃんが心配している時間の経過はどうなんでしょうか?」

 

あっ、そうだ。こっちではどれくらい時間が経ったんだろう?

 

「……ん? ゆきじゃないか」

 

え? この声って…!

 

「お兄ちゃん!?」

「何だ、お前達も一緒か」

 

公園の外で、宅配用のバイクに乗ったお兄ちゃんがこっちを見てた。ケロちゃんはぬいぐるみの真似をして、地面に横たわってる。

 

「うん。さくらちゃん達と、ちょっとお話しを。桃矢はバイト?」

「ああ。っと、ピザが冷めちまう。

じゃあな。さくら、迷惑かけんなよ?」

「そんなことしないよ!」

 

もう、お兄ちゃんってば。

バイクを走らせて去って行くお兄ちゃん。

 

「でも、よかったですわ」

「ほえ?」

「だって、桃矢さんが騒がなかったということは、時間はそれほど経っていないということでしょう?」

「あっ」

 

そうだ。何日も家を空けてたんなら、いくらバイト中でもあんな反応しないはず。

 

「どうやら、リナちゃんの予想が当たったみたいだね」

「うん」

 

私を少しでも安心させるためにかけてくれた言葉だったのかも知れないけど、ほんとになんとかなっちゃうなんて。

 

「まあ、あの嬢ちゃん、全く根拠のないことは言わんかったし、ある程度確信持っとったみたいやからな」

 

そうなんだ。でも、お日様の高さもここで話してた時とほとんど変わらない気がするし、ここまでくると、運がよかったとしか言えないよ。

 

「さて、何時までもここにいてもしょうがないし、そろそろ行こうか」

「あ、はい。雪兎さん」

 

返事をして歩き出し、数歩進んだところで振り返り、空を見上げる。

 

---縁があったら、また会いましょ!

 

うん。きっとまた会えるよ。

胸の中でもう一度答え、私は再び歩き出した。




補足1
リナがウォータースライダーを滑り終えるまでに、桜と神名の紹介は済ませてます。

補足2
海岸に向かっている途中で、ルビーと知世でデータ交換は済ませました。抜け目はないです。

次回から本編に戻るので、予告は無しです。
本編でこの話に入るタイミングで、予告の前にストーリー順をお知らせするとは思います。
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