Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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スレイヤーズ☆ふぁんたずむ

≪イリヤside≫

「さあ、ゴーレム! やぁっておしまい!」

 

ナーガさんに指示を出されたゴーレムが。

 

『ま゛!』

 

と声をあげて突進して来た! ……と思ったら、わたし達を通り過ぎて行った? ……なんで?

 

『ふむ。どうやら曖昧な命令だったために、暴走したみたいですねー』

「なるほど…って、大変じゃない! このままじゃ校舎が!?」

 

そう思ったその時。

 

地精霊呪(ダグ・ブレイク)!」

 

その声と共にゴーレムが崩壊した。って。

 

「「リナ!」」

「お待たせ。どーやら間に合ったみたいね」

 

わたしの後ろからリナ、そしてクロが駆けつけてきたところだった。

 

「フッ。さすがはわたしのライバル! どうやら雌雄を決するときが来たようねっ! リナ=インバース!」

 

ナーガさんがマントをバサリと翻す。なんかホントに悪役っぽくてかっこいい。だけど。

 

「決するもなにも、あんた、しょっちゅうあたしに吹っ飛ばされてたじゃない」

 

うーん。なんか非道い扱いだなぁ。でもさっき、わたしやミユにも吹っ飛ばされてたし…。

 

「さあ? 何の事かしらねぇ」

 

うあ。ナーガさん、しらばっくれてる!? なんて思ってたら。

 

「……魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)!」

 

なっ、いきなり呪文を!? ……? 何も、起きない?

 

「あ、あら?」

「残念ね、ナーガ。魔竜烈火咆、あなたの時間帯じゃまだ使えるのかも知れないけど、時空を超えたこの世界じゃ、スィーフィード世界の魔族の力は届かないわよ」

 

あ。そういえば今の術、逢魔リナちゃんが使って、リナが驚いてたヤツだっけ。確か、もう滅んだ魔族とか何とか。

それにリナが黒魔術を使えるのは、リナが金色の魔王とパスが繋がってるからって言ってたよね。

それじゃあナーガさんは、黒魔術は使えないってことか。

 

「……ふうん、そういう事。それなら」

 

……あ。

 

「わたしもこの世界で、黒魔法が使えるようになさい!」

「ああっ! あの魔法瓶の事忘れてたぁッ!」

「ちぃっ! ホント悪知恵だけは働くんだからッ!」

 

そう言ってリナは、クラスカードを取り出した。

 

魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)!」

 

もう一度[力あることば]を唱えると、ナーガさんの手のひらから現れた蒼白い炎が直線的に、わたし達に向かって来た!

 

「[セイバー]限定展開(インクルード)

---光よっ!!」

 

その炎を、展開した光の剣でぶった切るリナ。なんか、身も蓋もない様な。

 

「ナーガ! 下級魔族が滅びるような術、人に向かって撃ってんじゃないわよっ!」

 

……え!?

 

「もしかして、今の食らってたら…」

『わたしの魔術障壁を最大で展開して、何とか耐えられるといったところです。あのタイミングじゃあ、きっと間に合わなかったでしょうねー』

 

怖っ! ここまで恐怖したの、黒化アサシン戦以来かも知れない。

 

「あぁら、こんな直線的な攻撃も躱せない方が悪いんじゃない? 戦いなんて、いつ死んでもおかしくない、死と隣り合わせの世界。そんな世界に首を突っ込んでいながら油断するなんて、あなた、戦いに向いてないんじゃないの?」

 

う…。

 

---遊び半分で英霊を打倒できるとでも?

---下手をしたら死ぬかもしれないって心構えは持っていてほしいな

 

わたしが魔法少女を始めた頃に、ミユやリナに言われた言葉。けれどわたしは、いまだに足を引っ張ることがある。

……確かにわたしは、戦いに向いてないのかも知れない。

 

『イリヤさん?』

「イリヤ?」

 

ルビーとミユが声をかける。リナとクロは、ただ見つめているだけだ。

 

「……それでもわたしは逃げない。一度関わったことは無かったことに出来ないんだから!」

「よく言った、イリヤ!」

「それでこそあたしの親友よ!」

 

クロとリナが誉めてくれた。……ちょっと、嬉しいかな。

 

「……そう。なら、食らいなさい!

海王槍破撃(ダルフ・ストラッシュ)! 」

「それ、リナがバーサーカーの命を削った術!!」

「のええええっ!? 」

 

ミユのセリフを聞いてわたしが慌てて避けると、リナは光の剣で、術を上空へと弾いた。術は徐々に威力を減衰させて、魔力の軌跡を残して消滅する。

 

「だからっ!黒魔法は止めろっちゅーにっ!!」

「そんな事よりリナ、その剣は何なのよ! 魔竜烈火咆といい海王槍破撃といい、普通の魔法剣の範疇を超えてるわよ!?」

 

わたしの命に関わる事を、そんな事扱いしないで欲しい。まあ、あんな強力な術を弾かれたんだから、気持ちもわからなくはないけど。

 

「魔獣ザナッファーを倒した伝説の武器、光の剣よ。あ、言っとくけどあたしのだかんね」

「光の剣…!」

 

その名を聞いて、ナーガさんが目を見張る。確かスィーフィード世界じゃ伝説の有名な武器だったらしいし、当然だよね。

そんなナーガさんは、すぐに気持ちを切り換えて。

 

「……まあいいわ。それよりも、リナも随分と甘くなったものね。昔はしょっちゅう盗賊団を壊滅させてお宝を奪いまくっていたのに。ねえ、盗賊殺し(ロバーズ・キラー)のリナ=インバース?」

 

ナーガさんの明らかな煽りに、一瞬リナの表情が硬くなる。

 

『ふーむ。どうやらリナさん、イリヤさん達に、この話はあまり聞かれたくないようですねー』

「え? でも前に、リナ自身から聞いてるよ?」

 

……そう、思ってた。だけどクロは。

 

「まったく、また考え無しで。いい? 前世のリナがいたのは、剣と魔法のファンタジー世界。そこの悪人を退治するってのがどういう意味か、よく考えてみなさい」

 

悪人を、退治する…。!? それってまさか!

 

「人を、殺した…?」

 

わたしが思ったのと同じことを、ミユが呟く。そうだ、あの時リナは言ってた。「悪人に人権はないっ!」って。

わたしがリナを見ると、なんともいえない暗い表情をしている。つまり、ミユが言ったとおりなんだ。

 

「あぁらリナ。この子達にはこの話、聞かれたくなかったのかしら?」

「それは…」

 

ナーガさんから目を逸らすリナ。

…………。

 

「そいっ!」

 

ちゅごどおん!

 

「のひゃあ!?」

 

わたしが投げつけた硝子玉が、ファイアー・ボールの爆炎をあげてナーガさんを飲み込んだ。

 

「え、イリヤ?」

「……確かにリナは、前世では人を殺してたのかも知れない。でも前世が…、ううん。過去がどうだったかなんて、わたしには関係ないよ。今のリナはリナ=インバースじゃない。わたしの大事な親友、稲葉(イナバ)リナだからっ!!」

 

倒れてるナーガさんを向きながらも、その言葉はリナへとぶつけていた。

 

「ええ、そのとおりよ」

 

クロがわたしの左側に立ち、干将・莫耶を構える。

 

「今のリナを侮辱したら、許さない」

 

ミユがわたしの右側に立ち、サファイアを構えた。

 

「イリヤ、クロエ、美遊…。ありがとう」

 

一筋だけ涙をこぼしながら、笑顔を浮かべたリナ。すると。

 

「……ほーっほほほ! いいわ、みんなまとめて相手をしてあげる!」

 

そう言って、立ち上がったナーガさんが[カオスワーズ]を唱え始めた。だけど、そこへ突然聞こえた二つの声。

 

「残念だけど、この子達の想いを無駄にするわけにはいかないのよっ!」

Zeichen(サイン)! ---見えざる鉛鎖の楔(ファオストデア・シュベーアクラフト)!!」

「リンさん、ルヴィアさん!」

 

そう。リンさんとルヴィアさんが応援に来てくれたんだ。

 

「あれって、わたしを捕獲するために使ってた(やつ)じゃない」

 

あ、そうだ。あれ、重圧をかけて動きを止めるヤツだ。

そう思ったその時、リンさんがナーガさんとの距離を詰めて拘束帯を放った!

 

「甘いわよ。……炸弾陣(ディル・ブランド)!」

 

ナーガさんが地面を吹き飛ばして、魔法陣を消滅させる。ってこれ、やり方がクロと一緒だ。だけどまだ、拘束帯が残ってる。

ナーガさんは後ろに大きく飛び退いて、時間を稼ぎながら呪文を唱え。

 

氷結弾(フリーズ・ブリッド)!」

 

[力あることば]と共に蒼い光球が放たれる。それがリンさんに向かう中、リナが割って入り。

 

火炎球(ファイアー・ボール)!」

 

いつものあの光球を放つ。するとお互いの光球が引き合い。

 

パキイイイイン

 

そんな高い音を響かせて消滅した。

 

「相互干渉…って、きゃああ!?」

 

ナーガさんがポツリと呟いたところで、拘束帯が巻きつく。よし、これで…。

 

「……火炎球(ファイアー・ボール)

 

どぐわおおん!

 

『なっ!?』

 

発動させた魔術で自爆した!? これにはみんなも、驚きの声をあげる。

 

「……ほほほ。この程度で、わたしを拘束できるとは思わないことね!」

「まさか、自分の回復力を利用して脱出するなんてね。あんたにしては、よく考えたじゃないの。……だけど」

 

そう、だけど。既にわたし達は、ナーガさんの周りをぐるりと取り囲んでいる。もちろん、魔術には充分に気をつけてだ。

 

「あ、え、えーとぉ…。

翔封界(レイ・ウイング)!」

 

あっ! 上空へ逃げたッ!?

 

「フッ。甘いですわ」

 

え?

 

ばごぉん!

 

「のぎょおっ!?」

 

逃げようとするナーガさんが、見えない壁に激突して弾き返された。

 

「あんた達と合流する前に、ルヴィアと二人がかりで校庭に結界を張っておいたのよ」

「小学校に誘い込むと聞いていたから、逃亡防止策として張らせてもらいましたの」

 

おお。なんかいつもより、出来る大人感が出てる気がするっ!

結界に激突したナーガさんは、術が解けたのか落下して…? あ、あれは!

 

「あの魔法瓶!」

「クロエッ!」

 

ナーガさんの手から離れた魔法瓶を指さして言うと、リナが素早くクロに声をかける。クロは無言のまま駆け出して。

 

投影開始(トレース・オン)!」

 

大きな虫取り網を投影して、魔法瓶を受け止めた。

 

ずどじゃあ!

 

……一方のナーガさんは、防御も取れないまま地面に激突する。あれ、普通だったら死んでもおかしくない高さだけど、ナーガさんだから大丈夫だよね?

 

「いったあぁ…。あっ! わたしの瓶、返しなさい!」

 

やっぱり無事だった。

 

「ふざけないでよ。これはわたしがお金払って買ったんだから、わたしの物よっ!」

「あら。今までわたしが手にしてたのだから、わたしの物に決まってるじゃないの」

 

うわぁ。まるで子供の理論だぁ。

 

「つまり、今はクロが手にしてるのだからクロの物って事だよね?」

「うっ!?」

 

ミユが冷静に述べると、ナーガさんが言葉を詰まらせる。なんていうか、詰めが甘いなぁ。

 

「と、とにかくそれを渡しなさいっ!」

 

そう言ってクロに襲いかかろうとした、その時。

 

「まったく、気品の欠片も感じられないわよ? ()()()()()=()()()=()()()()=()()()()()()様?」

 

そうリナが声をかけた途端、ナーガさんが身体(からだ)を硬直させる。そして、ギギギィ…と音が聞こえそうな動きで、顔だけリナへと向けた。

 

「リ、リナ? 今、なんて言ったのかしら?」

「グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーンって言ったのよ。セイルーン王家第一王女様?」

 

リナがとても爽やかな笑顔で言う。うわぁ、これ、相当マジで怒ってるなー。最近この顔を向けられたばかりのクロが、物凄く青ざめてる。

 

「な、何を言ってるのかしら?」

「とぼけても無駄よ。こっちに来てから知り合った子に、アンタの素性は聞いてるから♡」

 

知り合った子って、並行世界のリナ自身だけどね。

 

「そんな訳だから、自称ライバルのよしみよ。ご家族の力で成敗されなさい」

 

そう言ってリナが取り出したのは、ランサーのカード。

 

「クラスカード[ランサー]、真名アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、夢幻召喚(インストール)!」

「アメリア!?」

 

リナが、普段は言わない真名を添えて夢幻召喚した。ナーガさんは、アメリアという名前に非常に驚いてる。

そうだった。ランサーのカードの英霊は、セイルーンのお姫様のアメリアさんだった。つまりナーガさんとは、姉妹…なのかな?

 

「さあ、歯ぁ食いしばれーっ! 第一王位継承者直伝のぉ…」

「第一王位継承者ってまさか…!?」

「平和主義者クラアアアアアッシュッ!!」

 

ドゴォッ!という音を響かせて、リナの拳がナーガさんの顔面を捉えた。今回はついに、白目を剥いて気を失ったみたいだ。……って!

 

「ちょっとリナ!? 宝具使うなって言ってたの、リナじゃない!!」

「あー。じょぶじょぶ、だいじょぶ。今のは宝具と同名の、ふつーの技だから」

 

……へっ?

 

「宝具の方は、拳に魔力を込める魔術と併用するのに加えて、真名解放のためにかなりの溜めが必要なの。

それに対して、今のは悪を折檻するために、当時の第一王位継承者とその娘であるアメリアが、スペック任せにぶちかましてた技よ」

 

へー、そうなんだ。

 

「ねえ、リナ。その第一王位継承者って言うのは? それってつまり、王子様って事じゃ…」

 

ミユがそう疑問をぶつける。うん。確かにわたしも思ったけど、リナがわざわざ回りくどい言い回しをしてるって事は、多分聞かない方がいいんだと思う。

 

「……お願いぷりーず。その事には触れないで」

 

どうやら、わたしの予想は正しかったみたいだ。

 

「……それで? この壊滅的なファッションセンスの()()は、どうするのかしら?」

 

そう、リナに尋ねるリンさん。うん、そうだよね。リンさんから見ても、おかしな衣装だよね。

 

「あぁら、何を仰ってるの、遠坂凛(トオサカリン)(わたくし)の趣味とは違うけれど、とてもハイセンスではありませんか」

「「「「「ルヴィア」」さん!?」」」

『いやー、斜め上のセンスをされてるとは思ってましたが…』

「まさか、この世界にもこのセンスがわかる人物がいるとは、思ってもみなかったわ」

 

みんなが驚いてすぐ、ルビーとリナがそんなこと言った。

いやでも、ルヴィアさんは時々ナーガさんに似てるときもあるし、何か通じるものがあるのかも知んない。

 

「ま、まあ、それは置いといて」

 

リナは軌道修正のためか、そう前置きをしてからひとつ咳をして話を続ける。

 

「クロエが持ってる魔法瓶は、聖杯の様な何か。願いを叶える願望器なのよ。それで、イリヤ達が誤ってナーガを召喚しちゃったみたいだから、同じ様に願えば、送還も可能じゃないかって事」

「な!? 聖杯って、最高位の神秘じゃないの!」

「しかも、次元を超えるレベルの神秘を成し遂げるということは、本物と言っても差し支えありませんわよ!?」

 

言われてみれば、確かにトンデモアイテムだね。たかだか千円だったのに。

 

「まあ、この魔法瓶の願望器としての真偽は後にして、気を失ってる内にコイツを送り返しましょう。

……さて。この手のお約束としては、最初に願った三人に願ってもらった方がいいんじゃないかと思うんだけど」

 

リナはそう言うと、わたし達に目配せをする。……あ、そうか。もしかしたら、わたしとクロの願望器としての力も働いたかも知れないんだ。でも、リンさんとルヴィアさんにはナイショにしてるから、あんな言い方をしたんだね。

 

「O.K.! さあ、イリヤ、ミユ。始めるわよ」

 

さすがクロ、わたしより早くリナの含みを理解したみたい。

促されたわたしとミユはクロと共に、魔法瓶を取り囲んで願う。三つの心は、多分ひとつになってるはずだ。こんな迷惑さん、元の世界に帰ってくださいって。

その願いが通じたのか、ナーガさんの身体が光に包まれて、そして消えていった。

 

『いやー、ようやく落着したようですねー』

『わたしも、さすがに疲れました』

 

ルビーとサファイアも、心なしか安堵しているみたいだ。

……解決して良かった。そう思ったとき。

 

『いやー、ようやく見つけましたよー』

 

たった今聞いたのと同じ声が、明後日の方角から聞こえてきたのでした。




今回のサブタイトル
神坂一「スレイヤーズ」+OAD「カーニバル・ファンタズム」及び「Fate/kaleid liner Prisma☆Illya プリズマ☆ファンタズム」から

念のため。地精霊呪(ダグ・ブレイク)……地の精霊によって生み出された力を無効化する精霊魔術。確か【スレイヤーズすぺしゃる】の「悪役ファイト!」くらいしか出てなかったはずなので。

というわけで。ナーガも無事(?)帰還、と思ったところで、もう1話続きます。最後に出たキャラが、魔法瓶の謎に関係しています。

次回「プリズマ☆イリヤ すまっしゅ。」
見てくんないと、暴れちゃうぞ!
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