Fate/kaleid caster ドラまた☆リナ   作:猿野ただすみ

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リナが()る、とある冬木の惨劇を

≪リナside≫

気がつくとあたしは、あちこちから炎が立ち上る、瓦礫だらけの街の中にいた。

ここはどこだろう。そう思いながら瓦礫に触れようとして。その手はすうっと、瓦礫を通り過ぎる。これって…。

念の為、何度か試してみるが、結果は変わらない。

ふみゅ。あくまで推測だが、何処かの世界を、ほんの僅かにズレた空間から覧ている状態なのだろう。

他にも、何処かの世界の記録を覧ている可能性なども考えられる。だが、それでもあたしは、前にあげた説を採りたい。もちろん根拠はある。

それは先ほど、美遊の世界からやって来た人達がいたことと、その内のひとりが「揺り戻し」と言っていたからだ。

つまり、時空の揺り戻しに巻き込まれたあたしは、時空の狭間に落っこちてしまったんだろう。これがあたしの仮説だ。

さて、そうとわかれば、次にやる事は決まっている。どうやってここを抜け出すのか、だ。とはいえ、今は何の手がかりもなければ、取っかかりもない。はてさて、どうしたものか。

そんな事を考えていると、瓦礫の向こうからひとりの少年が、よろよろと歩いてきた。あたしよりも年下の少年を見た瞬間、わかってしまった。彼は、士郎さんだって。

士郎さんはやがて力尽き、倒れてしまう。……って、これってもしかして。その推測を肯定するかのように、その人物は現れた。

衛宮切嗣。イリヤの父親にして、[魔術師殺し]の異名を持つ傭兵でもある。

切嗣さんは士郎さんを見つけ、生存を確認して救われたような笑顔を浮かべて。

 

そこで急に場面が転換した。今度は病院の一室。そのベッドの上に寝ていた士郎さんの許に、切嗣さんがやって来る。そして切嗣さんは聞いた。自分の養子になるかを。

士郎さんは切嗣さんを指さし。そして引き取られることが決まった。荷物を纏め、二人して病室を立ち去る際、切嗣さんは言った。

 

「僕はね、魔法使いなんだ」

 

と。

 

 

 

 

 

再び場面が変わる。今度は、この間切嗣さんやロードと会った、あの屋敷だ。士郎さんは、少し成長したように見える。一方の切嗣さんは、旅支度をしていた。……しかし切嗣さん、なんだか体調が悪いような気がする。

……をや? 何かがおかしい。一体…、あ!? アイリさんもイリヤも、セラさんやリズさんもいない! って事はこれ、あたしの知ってる、あの世界の過去じゃないって事!?

あたしが混乱する中、突如ポニーテールの女子高生が現れた。……って!?

 

「切嗣さん、また海外ですか?」

「ああ。すまないけど士郎を頼むよ、大河ちゃん」

 

藤村先生ぃぃぃ!? いや、藤村先生にだって女子高時代はあったろうけど、それにしたって…。

そこんとこ、もう少し詳しく知りたかったのだが、またもや場面が変わる。まったく、なんて融通の利かない。

 

今度は吹雪の中、切嗣さんが歩いている。その向かう先には西洋のお城が見え。そこへ近づこうとすると、お城から銀髪で紅い瞳を持った人達が現れて、切嗣さんを追い払おうとする。

 

「くっ…! イリヤああああっ!!」

 

え? ……ああ、そういう事か。ここは。この世界は。()()()()()()()()()()()()()()()世界なんだ。だからイリヤはアインツベルンに残され、アイリさんは小聖杯となり、顕界した穢れた大聖杯によって冬木は災害に見舞われ。

……なんて報われない世界なんだろうか。

 

 

 

 

 

そんな想いを抱いた中、また場面が変わる。そこは再び衛宮邸、その縁側だ。時間帯は夜で、空には月が浮かんでいる。あたしと同じか少し上くらいまで成長した士郎さんと、かなり老け込んだ切嗣さんは、縁側に腰かけている。……でも、切嗣さんからは、明らかな死のにおいを感じさせる。おそらくもう…。

 

「僕はね、正義の味方になりたかったんだ」

「なりたかったって、諦めたのかよ」

「正義の味方には年齢制限があるんだ」

「それじゃあ仕方ないな。仕方がないから俺がなってやるよ。正義の味方」

「……そうか。それなら安心だ…」

 

それらの会話を交わし、笑顔を浮かべたまま切嗣さんは息を引き取った。別の存在とはわかってても、親しい人のこういうシーンはやっぱりキツいものがある。

……しかしそれとは別に、こちらの切嗣さんはとんでもない事を仕出かした。これでは士郎さんに、この道を歩まなければならないと意識下に刷り込んだ様なもの。要は一種の呪いだ。こちらの士郎さんの行く末が心配である。

 

 

 

 

 

それからも何度か場面が変わり、士郎さんが高校二年の冬。見た目はすっかり、あたしの知ってる士郎さんそのものである。ただし冬なので、あたし達よりも少しだけ未来…と言いたいとこなのだが。

どうも時間軸にズレがあるようなのだ。この世界は現在、2004年の1月。あたしのいた世界よりも過去らしい。そこから考えても、向こうとは根本から違うところはありそうだ。

それはともかく。士郎さんは切嗣さんが亡くなってから、ずっとひとり暮らしをしている。藤村先生が頻繁にやって来てはいたが。それがある日を境に、少し様相が変わる。そう。例えば今。

 

「先輩。朝ですよ」

 

土蔵に隠って、いつの間にか切嗣さんから習っていたらしい魔術の訓練をしていた士郎さんは、そのまま寝てしまい。それを起こしに来る後輩の少女。

 

「あ、桜…」

 

そう。この世界の桜ねーちゃん。こっちでは衛宮家に出入りするほど親しい間柄だ。ただし恋人ではない。例によって、士郎さんの鈍感スキルのせいである。まあ、そーいうのに聡い士郎さんってのも、なんかヤだけど。

……と、話が逸れた。士郎さんは藤村先生(この世界ではなんと、高校教師で士郎さんの担任だ)と桜ねーちゃんと共に朝食を取り、学校へ…と思ったところでまた切り替わる。流石にもう慣れたけど。

 

今度は日が沈み、士郎さんがバイト終わりで帰宅している最中だった。道の反対側から歩いてくる女の子の姿が…、え?

 

「お兄ちゃん。早く呼ばないと死んじゃうよ?」

 

すれ違い様、士郎さんにそう囁いた。

銀髪に赤い瞳、それにこの声。雰囲気こそ違うが間違いない。この子は、イリヤだ。

一瞬呆気にとられたあたしは慌てて振り返るが、その時には既にその姿はなかった。

 

場面が変わった。そこはどこだかの一室。魔法陣が布かれ、数々の魔術礼装が見てとれることから、魔術師の工房なのだろう。突如、そこの扉が開き現れたのは。

 

「凛さん!?」

 

思わず声を漏らすが、当然向こうは気づかない。凛さんは複数の宝石を握りしめ、魔法陣の前に立ち呪文詠唱を始めた。

 

素に銀と鉄 礎に石と契約の大公

祖には我が大師シュバインオーグ

降り立つ風には壁を

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度

ただ、満たされる刻を破却する

 

凛さんが唱えるこの術式、おそらく召喚術の一種だと思うのだけど。

 

告げる

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るベに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に

我は常世総ての善と成る者

我は常世総ての悪を敷く者

汝三大の言霊を纏う七天

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!

 

なっ! 所々に差異はあるものの、これってクラスカード契約時に唱える詠唱! まさかこれって、英霊召喚の…!?

そう思ったところで、また場面が変わる。

 

今度は夜の、穂群原学園高等部の校庭。士郎さんの視線の先では戦いが繰り広げられてる。片方は青いタイツの様なピッチリした衣装の槍兵。もうひとりは赤い外套の双剣使い。……いや、言い直そう。ひとりは魔槍ゲイ・ボルクの使い手クー・フーリン。もうひとりは真名不明、投影魔術使いのアーチャー。そう、クラスカードの二人だ。

そして理解する。第五次聖杯戦争が開かれようとしているのだと。

 

場面が変わる。今度は衛宮邸だ。士郎さんの制服の胸の部分に穴が開いている。一体何が、と思うと、いつか聞いた呼子の音が。やがてランサーが現れて。士郎さんを殺そうとするランサーに、なんとかやり過ごそうとする士郎さん。やがて満身創痍の士郎さんが土蔵に追いやられ。

 

「お前が七人目だったのかもな」

 

槍を構え言うランサー。その時、土蔵の中に魔法陣が輝き現れる女性。金髪碧眼の彼女は、見間違えるはずもない。セイバーの英霊、アーサー王だ。

 

「問おう。あなたが私のマスターか?」

 

なんてことだろうか。士郎さんが聖杯戦争のマスターだなんて。

 

場面が切り替わる。またもや衛宮邸の中。そこにはなんと、凛さんの姿が。凛さんが聖杯戦争について語る。やはり凛さんも、マスターのひとりらしい。

 

すぐに場面が変わり、今度は教会の中。そこにいたのは、瞳に覇気の色が無い、がたいのいい神父。彼の名は…言峰綺礼。そうか、この男が。……って言うか、こっちじゃ生き残ってたのね。

言峰は聖杯戦争について話し始める。が。第四次で聖杯に相応しくない者が触れた…って、コイツ自身じゃ? いや、こっちと同じとは限らんけど。

そして別れ際。

 

「喜べ、少年。君の願いはようやく叶う」

 

そんな事を曰った。やっぱりコイツ、切嗣さんと関わってんでしょ!?

言峰にとやかく言われながらも、帰路につく3人。……って、今回はなかなか場面移動しないわね? とか思ったら。

 

「話は終わった?」

 

という、……イリヤの声。そちらを見れば、ってバーサーカー!? まさかこっちのイリヤ、バーサーカーのマスターなの!?

 

「やっちゃえ、バーサーカー」

 

……なんかこっちのイリヤって、嗜虐的な気がする。ともかく、そんな感じで戦闘が始まり。

 

「勝てるわけないじゃない。だってバーサーカーは、ギリシャ最強の英雄なんだから」

 

どうやら以前、あたしが推測したとおりだったようだ。バーサーカーの正体は、ギリシャの大英雄ヘラクレスで間違いないだろう。

と、この戦いの行く末を見届けることも出来ずに場面は変わる。なんだ、この空間。あたしに意地悪してんじゃないでしょうね?

 

 

 

 

 

今度は穂群原高の校舎内。なんか知らんが、凛さんがガンドで士郎さんを攻撃してる。で、色々あって、突然登場する紫女…もとい、ライダーのメドゥーサ。こっちも色々あったけど、凛さんのおかげで撃退に成功する。

 

ここで場面が変わり、今度は衛宮邸。藤村先生がセイバーと剣道勝負していた。何だろうと思ったら、またもや場面が変わる、って早っ!

 

ここは、柳洞寺の境内か。そこには士郎さんと…キャスターの英霊。今の所真名不明のままだ。キャスターは魔術で動けない状態の士郎さんから、令呪を奪おうとしている。そこに現れるアーチャー。彼はキャスターを攻撃するが、結局見逃してしまう。それに反発する士郎さん。一触即発の中、場面は変わった。

 

またもや穂群原高だが、様子がおかしい。何某かの結界が作動し、先生や生徒達の生命力を奪っているようだ。士郎さんと凛さんがこれを行っているサーヴァントを探し始めるが、見つけたときには何者かに倒されたライダーが消えていくところだった。

 

場面は変わり、廃業したガソリンスタンドにいる、士郎さん達。そこで待ち伏せをし、凛さんが通りかかった男性に攻撃を仕掛ける。その相手は…、あの時美遊の世界からやって来た人物のひとり、凛さんが「葛木先生」と呼んでいたその人だ。そして現れるキャスター。そうか。キャスターのマスターと当たりをつけてたのか。

士郎さんは葛木にキャスターの行いを知っていたのかを聞き、知らなかったという。それなら、と思ったのも束の間。

 

「それが悪い事なのか」

 

という答え。彼は他人がどうだろうと関係ないと言い、

 

「私は、そこいらにいる朽ち果てた殺人鬼だよ」

 

とも言う。なるほど、あの時に感じた恐怖感はそれに起因するものだったか。しかし、殺人鬼が暗殺者のカードを使うとは、ハッキリ言ってシャレんならんわ。

実際、彼はキャスターにバフをかけて貰っているとはいえ、セイバーと凛さんを圧倒する。そんな時、士郎さんの様子が…?

 

「……投影、開始(トレースオン)!」

 

!! ……そうか。いや、そんな予感はあったのだ。魔術の訓練をしていたとき、確かに「トレースオン」と言っていた。ただ、投影魔術など行っていなかったので、偶然だろうと思っていた。いや、思おうとしていた。

しかし今、彼の両手にはアーチャーが使っていた陰陽の双剣、干将・莫耶が握られている。そう。あのアーチャーの英霊は、未来の衛宮士郎、その可能性のひとつだったんだ。

そして場面は切り替わった。

 

 

 

 

 

なんじゃこりゃ!? 場面転換すると、士郎さんとセイバー、さらに凛さんとでデートしていた。いや、朴念仁の士郎さんの事だからおそらく、買い物に付き合っただけ…と、彼自身は考えてるんだろうけど。傍から見れば両手に花で、砂糖吐かれるに違いない光景である。さっきまで憂いてたあたしの気持ち、返しやがれ。

……いかん。少し私情に走りすぎた。ともかくも三人はバスに乗り、帰宅へとつくが。そこをキャスターに襲われた。キャスターは卑怯にも、藤村先生を人質に取る。

そして。藤村先生を助けるために令呪を差し出そうとし、それを阻止するためにセイバーがキャスターに斬りかかるが、それを士郎さんが止めさせようとしたため、令呪に反応してセイバーが身動き出来なくなり、その隙を突かれる形で破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)を突き立てられた。これで士郎さんとセイバーとの契約が途切れる。そのタイミングで場面が変わった。

 

今度は教会の礼拝堂。そこでは何故か、ウェディングドレスの様な姿のセイバーが魔術で拘束されている。そのすぐ近くにキャスター、そして長椅子に座る葛木。そこに現れる、凛さんとアーチャー。

凛さんがキャスターに攻撃を仕掛け、その迎撃に葛木が迫る。アーチャーがその間に立ち、次の瞬間、凛さんを殴り飛ばした。アーチャー曰く、勝ち残れる方に着くと。そして自ら破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)を受けた。……しかし、アーチャーには投影魔術がある。きっと何か考えがあると思うのだが。

そう思ったところで、例によって場面が変わる。

 

 

 

 

 

これは、どこかの屋敷…いや、お城? その中と思われるところで、バーサーカーと金髪の男が相対している。バーサーカーの傍らにはイリヤの姿。

やがてバーサーカーが、イリヤを守るように前に立ち。金髪の男の周りには金色の波紋が複数現れ、刀剣類が顔を出す。

……そうか。コイツ、ギルガメッシュか!

ギルガメッシュは刀剣類を射出し、バーサーカーはそれらを弾き返しているが身体を貫かれ、やがて美遊を拘束したあの鎖に絡め取られる。ギルガメッシュは一振りの剣を取り出し、イリヤに近づいて…って、まさか!?

そのまさかを、ギルガメッシュは実行する。イリヤの両目を切り裂き、更に腹部に突き刺した!

 

「イリヤッ!!」

 

あたしは思わず叫ぶが、当然聞こえるはずもない。

 

「やめろぉっ!!」

 

え? 士郎さん?

ギルガメッシュは二階通路にいた士郎さんに刀剣類を射出して、一階に叩き落とす。そしてすぐにイリヤに向き直り、手を振り上げ…!

 

「やめてっ!!」

 

あたしの叫びも虚しく、ギルガメッシュはイリヤの心臓を抉り出す。理由は、わかってる。あれが、小聖杯の核なんだろう。だけど、こんなのって…。

そのあと、腐ったワカメが現れてなんか言っていたが、内容は頭に入ってこない。そしてギルガメッシュが立ち去って行き…。気持ちに整理がつかないままあたしは、その後を追いかける。扉をすり抜け追い着いたその時。

 

「……慎二、先に戻っていろ」

「え? それってどういう…」

「なに、少し野暮用よ」

「? よくわかかんないけど、遅くなるんじゃないぞ!」

 

ワカメはそう言って先に帰っていった。

 

「……さて雑種。(オレ)の後をつけてくるとは、なんたる不敬よ」

 

えっ!? あたしのことに気づいて…あっ! 千里眼か!!

 

「空間の狭間から覗き見とは、(オレ)も舐められたものだ」

 

そう言って金色の波紋が現れる。マズいッ!

……その時。

 

「すみませんが、その剣を納めてはくれませんか?」

 

飄々とした口調で言いながらあたしの前に現れた、ひとりの男。

 

「リナさんは、この空間に閉じ込められただけなんですよ」

「……ならば、(オレ)をつけ回した不敬を何とする?」

「あなたが手にかけた少女は、リナさんの世界では友達だった様なので、居ても立ってもいられなかったんでしょう」

 

男の言葉に、ギルガメッシュはしばし沈黙し、そして。

 

「……まあ、良い。その不敬、赦すとしよう。だが、二度は無いと思え」

 

そう言い残し、この場を立ち去っていった。

 

「いやあ、よかったですね」

 

男はあたしへと振り返り、にっこりと笑う。

 

「『よかったですね』、じゃないわあああああっ!!」

 

すっぱあああああん!

 

あたしはそいつの頭を、スリッパで思いっきり引っ叩いた。

 

「いたならさっさと出てきなさいよっ!」

「痛いじゃないですか、リナさぁん」

「物理攻撃でアンタにダメージがあるわけないでしょ! 獣神官(プリースト)ゼロス!!」

 

そう。彼はゼロス。獣王(グレーター・ビースト)ゼラス=メタリオムの神官、高位の魔族である。

 

「……ったく。で? アンタはどうしてここへ?」

「実は上からの命令で、世界の狭間に迷い込んだリナさんを回収するよう言われまして」

「ふみゅ。という事は、アンタは転生前のあたしがいた世界のゼロス、って事でいいわけ?」

「そういう事になりますね」

 

なるほど。という事は。

 

「よーし、それじゃああたしの転生に関して、キリキリ白状して貰おうか!?」

 

そうあたしが詰め寄ると、ゼロスは困ったように頬を掻き言った。

 

「僕は上からの命令に従っただけですから。転生自体はあのお方と、あなたの今いる世界の魔法使いによるものですし」

 

……は?いや、転生は金色の魔王と宝石翁によるものではないかと、推測はしていたが…。

 

「もし関係しているとすれば、並行世界の僕でしょうね。ある世界での実験に失敗したときのための、保険だとか何とか…」

 

………………なん、だと!?

 

---「まあ、一種の保険ですよ。これ以上は本当に秘密です」だって

 

---同じ魔王(ルビー・アイ)様が治める世界でも、僕はお二人とは別の、所謂並行世界からやって来たんですよ

 

---この計画は、時空レベルで行われているものでして

 

アメリアと、あの空間で会ったゼロスの言葉を思い出す。

 

「……って、あの糞プリーストがあああああっ!!!」

「……ええと、リナさん。僕はその同位存在なんですが」

「やっかましいっ! ……ったく。例によって、まんまとしてやられたわ」

 

確かに、嘘は言ってないけど。……そして。どうやらあのゼロスがアメリアに、あたしと混沌の海との繋がりを教えたらしい。つまりアイツは、美遊の世界で何かやらかそうとしているって事か。

 

「それでアンタは、あたしを美遊の世界に送る任務を押しつけられたワケね?」

「はい、そのとおりです。……ああ、ついでにもうひとりも回収していきますが」

 

もうひとり?

 

「貴女の親友イリヤスフィールさんも、別の時空世界との狭間に落ち込んでいるらしいので」

 

まぢかよ。

 

「では行きましょうか」

 

そう言って差し出された手を掴み。

 

「あー…、ヨロシクネ?」

 

我ながら気のない返事を返すのだった。




今回のサブタイトル
ラノベ「スレイヤーズ」川柳風の章タイトルから

というわけで、【UBW】ルートを覧るリナの話でした。そして以前出会ったゼロスがいつもの如く、嘘はついていないけど真実全てではない、むしろ間違った方向へ誘導していたことが判明しました。
一体あちらのゼロス…というか魔族達は、何を企んでいるのか。それはもちろん、秘密です。

次回「何よこれ? イリヤ目にする物語」
見てくんないと、暴れちゃうぞっ!
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