東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE   作:桐生 勇太

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第13話:妖夢の苦悩:3

 午後のお稽古の最中、グラファイトさんの説明を聞いていると、不意に脳裏に明け方に見たグラファイトさんのあの後ろ姿を思い出してしまいました。

 

「長刀と短刀、それぞれには長所、短所がある。長刀はリーチが長く、一撃が重い分小回りが利きにくい。短刀は小回りが利き、連撃を………」

 

 ………グラファイトさん………体に傷がたくさんあったな………引き締まった筋肉………肩幅も起きかったし……ここに来る前は、どんな相手と戦っていたんだろう………

 

「おい!聞いてるのか!!!?」

 

「みょん!? は、はい! 済みません! も、もう一度お願いします!」

 

 し、しまった…ぼーっとしちゃってた………

ま、まずい………グラファイトさん、ものすっごい睨んでる………

集中しなくちゃ…!

 

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――

 

「はぁ………今日は全然集中出来なかったな………」

 

 結局、あの後三回ほどグラファイトさんに怒鳴られてしまいました……何か言いたげにしていた時のことも考えると、多分本当は5~6程集中できない時があったみたいでした。

 

「朝のお稽古もあるし、もう寝よう………」

 

 お布団を敷いて、目を閉じる。いつもならすぐに眠れるのに、なんだか不思議です。初めてグラファイトさんにあった日の事や、私に剣術を教えてくれると約束して下さったこと、優しく微笑みかけてくれた時のことが何故か次々と浮かんできて………

 

 しかも、決まって最後にはグラファイトさんのあの裸の後ろ姿が………

 

「もう………寝られない……どうしちゃったんだろう…私………」

 

 男の人の裸なんて、昔お爺ちゃんとお風呂に入った時に何度も見たのに………

どうして、グラファイトさんのばかり………

 

――――――――――――――――

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――

 

「うぅ、ん………もう朝………? ………って、朝…!?」

 

 暖かくて、優しい朝日が私のお部屋を柔らかく照らして………って、もう日が昇ってる!?

 

「…ようやく起きたか」

 

「わああ! グラファイトさん!!?」

 

 や、やってしまった………多分、日の強さからして1~2時間の寝坊。お、怒られる…

 

「………はぁ…支度しろ、できるだけ早く。すぐに稽古を始めるぞ」

 

 大きなため息をついて、グラファイトさんは部屋から出て行ってしまいました。お、怒られるより辛い………

 

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――

 

 結局、ろくに朝のお稽古ができないまま、幽々子様の朝食のお時間になってしまい、お稽古は実質的な中止。お掃除も一人でやっていたころよりグラファイトさんが来てくれたおかげで速くに終わるようになりましたし、部屋でのんびりの時間ができてしまいました。

 

 前までならグラファイトさんに朝のお稽古で気になったことを質問したり、構えの型の相談などの時間だったのですが、何だか気まずくて………

 

「はぁ~~~~~~~~~~~~」

 

「………」

 

「ふぅ~~~~~~~~~~~~」

 

「………どうしたの? 妖夢ちゃん、ため息ばかりついちゃって」

 

「あ…幽々子様………いらしてたのですか?」

 

「あら、最初からいたわよ。………何か悩みでもあるのかしら?」

 

 せっかくと思い、幽々子様に最近集中ができなかったり、すぐに寝付くけなくなったことを話しました。

 

始めの頃は「疲労のせいかしら?」とか「何か不満があったりするのかも」と真面目に聞いてくださっていたのに、終わりの頃になると、何だか幽々子様がにこにこし始めました。しかもやたら「あらあら」とか「まあまあ」とかとっても上機嫌です。

 

「………あの、幽々子様? 一応私本気で悩んで相談させていただいているのですが?」

 

「うふふ………まさか、あの妖夢ちゃんが色を知るなんて………なんだか嬉しいわぁ」

 

「………あの? 色とは、何でしょうか?」

 

 幽々子様は、「あら、知らないの?」と言い、私にそっと小さな声で耳打ちしました。

 

「………恋心、よ」

 

「みょ、みょみょみょみょみょみょん!!!!? な、何ですかいきなり!?」

 

「あら、だって彼の事を考えてぼうっとして、彼の事を考えて寝付けなくて、しかもその症状が出始めたのは彼の裸の後ろ姿を見た日からなら、もう確定じゃない。いいわね~恋愛、青春だわ~。 うふふっ、妖夢、私、応援してあげちゃう!」

 

 こ、こ、こい、恋、恋心………これが、そうなのでしょうか………?

嗚呼、余計なことを聞いてしまったかもしれません。だってこれから午後のお稽古もあるのに、こんな状態では、まともにグラファイトさんに顔を見れる自信がありません………

 

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――――――――

――――

――

 

 その日の午後のお稽古は、結局ダメダメでした。そして次の日の朝のお稽古の最中、私は階段の走り込みをしていました。

階段の途中で、ふと端のところに一輪の花が咲いていました。

 

………そういえば、どこかで聞いたことあるな。………確か、花びらを一枚一枚とっていって………最後に残った時の言葉が正解って………

 

 走り込みの最中だったのですが、ほんのちょっとなら大丈夫かな?と思い、その場にしゃがんで花占いを始めてしまいました。

 

「えぇと……最初は、私の気持ちを………好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…………あ………最後の一枚………す、好き………」

 

 結果は、好き。

 

「ま、まぁ、好きにもいろいろあるし? 尊敬とか、お友達としてとか………じゃあ、グラファイトさんは………どうなんだろう………?」

 

 思わず次の花に手を伸ばし、再び、

 

「好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…す」

 

「妖夢!! 何やってる!!!!!」

 

 突然の怒号。一瞬体が委縮し、恐る恐る声の方に目線を向けると…完全に怒り心頭のグラファイトさんがいました。

 

「へ? ぐ、グラファイトさん!? あ、あの………これは………」

 

「あまりにも遅いから心配して来てみれば、お花摘みとはな………!」

 

「す………済みません! ごめんなさい!!」

 

 グラファイトさんは一生懸命教えてくださっているのに、当の私が花いじりをしてさぼっていたのでは苦労も泡そのものだ。涙ながらに謝ると、グラファイトさんは小さな声で「別に怒ってなどいない。心配しただけだ」と言いました。

 

 恐縮していると、グラファイトさんは目を閉じて数秒考えこんだ後、目を開いていいました。

 

「………もう今日の稽古は終わりだ。午後も中止にする。………明日も、一日休んでいろ」

 

「…! そっそんな!? だ、大丈夫です! もうさぼったりはしません! で、ですから…!」

 

「どうもここ数日、お前は稽古に身が入っていないようだ。俺も少し稽古に根を詰め過ぎたかもしれん………今日明日は、ゆっくり自室で休んでいろ」

 

「ま、待ってください! グラファイトさ………」

 

「いい。何も言うな。………話は終わりだ。少し早いが………朝食にしよう」

 

「そ、そんな………」

 

 あぁ、あ………最悪です………考えられる限りで、最低の結末………

何とか弁明しようともしましたが、結局、グラファイトさんは私の話を聞いてはくれませんでした。




お読みいただきありがとうございました。
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