東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE   作:桐生 勇太

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最近タイトル詐欺を働いている気になってきました。

………………

………

……

…グラファイトの出番しかねぇ!(注:この作品は【東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE】と言う作品です。グラファイトはサブであり、決して主人公ではありません。)


第15話:白狼天狗との勝負

_人人人人人人人人人_

> グラファイト視点 <

 ̄YYYYYYYYYYYYYY ̄ 

 

「ほかに質問がなければ、始めたいのですが」

 

「あー…最後の質問だ。どこで俺の情報を?」

 

 実際、これが一番の謎だ。俺は基本的に白玉楼の外へは出ない。つまり、白玉楼の中から情報が漏れる以外に外から俺を知る手段はない。幽々子はいつも屋敷にいるし、妖夢は自分の敗北を誰かれ構わず吹聴するような奴じゃない。となると、こっそり覗き見た奴がいて、それを広めているとしか考えられないのだ。

 

「ええと………実は私の上司の烏天狗、射命丸様と言うのですが、個人でここ幻想郷のブン屋(新聞屋)をしておりまして………これです」

 

 犬走が出した新聞。名前は「文々。新聞」その嫌にペラペラ(四面しかない。普通の新聞は30面が平均)新聞の一面にでかでかと張り出されている膝をつく妖夢と見下ろしている俺の写真。背景には白玉楼の屋敷の縁側が写りこんでいる。斜め上から取った物だろうか。よく見れば写真の下の部分に変な影が映りこんでいる。撮影下手か。

 

 見出しには「白玉楼の二刀流の庭師、大敗 突如現れた謎の剣客は妖夢氏に対し「お前に剣は無理」と発言」とこれまた大きな文字で書かれている。

 

「これは………何と言うべきか………」

 

 裏面に軽く目を通すが、経済情勢や活躍している人物のコラム、事件の記事、お天気情報、今話題の番組や店等の基本的な情報が欠落しており、個人のやらかしの記事の数が尋常じゃない量を占めている。かつて俺が感染していた女の記憶とは似ても似つかない内容。

 

「新聞と言うより………ゴシップ誌………? しかも無許可で記事に………」

 

「それにつきましては、部下である私から謝罪を………」

 

「いや………こういうことは、書いた本人をとっ捕まえてやった方がいい。お前が謝る必要はない」

 

 真実であるから「デタラメゴシップ誌」とまでは言わないが、しかしやっていいことと悪いことがある。

 

「手合わせが済んだら、お前の上司とやらに一言文句を言わせてもらうぞ」

 

「それは………もう、私からもお願いします………」

 

「………どうやら、お前も苦労しているようだな………」

 

 なんとなしに双方から流れる哀愁。これから立ち会う者同士とは思えないな。

 

「まあ、この際、それは後回しだ…では………早速始めようか。妖夢、下がってくれ」

 

「はい………」

 

 不安そうな妖夢に離れてもらい、犬走と向き合って少し距離を開ける。

 

「さて………立ち合いと言うのならば、きちんと最初の礼節をせねばならん………」

 

 殺し合いならば礼もへったくれも無いが、挑戦されて始める立ち合いならば話は別だ。目線は前に固定しつつ、軽く頭を下げて礼。続いて帯刀した刀を抜いてその場に蹲踞。

 

「ええとすみません、こういった道場的な礼法には疎いもので…」

 

 俺の動きを見よう見真似し、犬走が武器を取り出した。

右手に少し小ぶりな太刀、左手には………紅葉の柄が入った白い盾。

 

(………片手剣術か………厄介だな)

 

 守りの質が高い場合、永遠に待たれると勝ち目が薄くなる。

上手く相手の防御と攻撃を同時にすり抜ける必要があるな………

 

「では、よろしくお願いします」

 

「ああ………」

 

 両方同時に立ち上がり、武器を構えてにらみ合う。

 

俺は背筋を伸ばし、基本的な中段の構え。犬走は腰を置きく沈め、刀はだらりと下げ、盾を真正面に構えてじりじりと距離を詰めてくる。

 

当然だが、防御主体の構えだ。この圧を俺がどうかいくぐるかで勝敗が分かれそうだな。

 

 取りあえず、俺は時計回りに大きく弧を描きながら後退する。

 

相手から攻めて来るのに期待したいところだが、そんなに都合のいいことがあるはずもない。このまま下がり続けても、残念だが事態はよくならないだろう。

 

ここは後隙が少ない技で牽制し出方を見極めようと判断し、前へ詰めようと体を正面に傾けた瞬間

 

「ッ!」

 

 犬走が肉迫し、俺に向かってつっかけてきた。こいつ…俺が動くのを待っていたな。

 

前へ進むことしか考えておらず、迎え撃つことを考えていなかっただけに体の反応が遅れる。

 

 今から刀を持ちあげて振り下ろすのは流石に間に合わない。

 

この場で出せる最速の技。正面への突き。

 

 頭が悪いというかなんというか、技を出してから気付いた。

 

突きは………不味い。

 

 突きとは、基本的に真正面の3~40cmの範囲に武器を突き出す技。

 

突きの弱点は主に三つ。

 

まず、正面に向かって長い金属の棒を突き出すため、横からの力。すなわち弾かれた時に剣先に重心が引っ張られるため、体崩しされやすいこと。

 

二つ目。突きとはそもそも腕の肘から先の先端操作および押し引きの強弱で高速の連撃と少ない後隙が可能になる。槍の名手も腰を下ろし、万全の状態で槍を突き出すからこそ高速の連撃が可能になるのだ。

万全でない体勢から出していい技ではない。

 

最後の三つ目、剣同士や槍同士の場合、刀を振り下ろす線の攻撃であるなら防御されやすいが、突き出す点の攻撃では攻撃そのものの範囲が小さいため、防御しにくい強力な技として活用できる。

つまり、線で攻撃する対刀や対槍に有効なのであって、面の防御、つまり盾相手に気軽に振っていい技ではない。大体どの場所に点の攻撃が来るかさえ分かれば、より広範囲の面での防御がたやすくなる。

 

「はッ!!」

 

 そんな今更手遅れなことを考えながら、突き出した刀が犬走の盾に弾かれて宙を舞うのを俺は見つめた。

 

想定内。待っていましたと言わんばかりの良い掛け声と的確な防御。すぐに横薙ぎの切り払いが飛んで来ることを予感し、足裏に力を込める。

 

「ふッ!」

 

 空を舞う愛刀を取り戻さんと大きく跳躍。

 

直前まで俺がいた場所を犬走の白刃が通り過ぎていく。

 

 重力に惹かれ孤を描きながら落下する刀の柄を正確に掴み、取り戻す。

 

「…グッ!」

 

 もう体勢を整えたと言うのか。背後に犬走の気配。

 

空中ではとっさに避けることができず、刀を背に背負う形での防御。直後に感じる袈裟懸けの軌道で迫る刃。

 

少し背に刃が食い込んだが、両断されるよりマシだ。

 

 しかし刀を振った体勢からどうやって跳躍をと思いつつ着地するが、犬走が降りてくる気配が全くない。

 

「………ん?」

 

 何故落ちてこないと訝しみながら顔を上げて見ると、浮いてる。

 

「お前も飛べるのか………」

 

 幽々子といい犬走といい、この世界の住人は、誰でも飛べるのか?

 

「…? 妖夢さんも飛べるはずですが?」

 

 ………誰でも飛べるのか。知らなかったぞ、妖夢。

 

上空から攻めてこられるのを警戒していたが、犬走はすぐに降りてきた。俺の土俵に付き合うということか………

 

小さな声で「気を使わせてしまったな」と謝罪し、どちらともなく再び構えなおした。

 

「いえ、貴方が地上での剣術に秀でているなら、それを超えてこそですから」

 

「…なるほどな」

 

 ………さて、下手に後ろに下がって間合いを取るのは悪手のようだな。

………小技で攻めるか………

 

「…行くぞ!」

 

 軽く犬走の体を掠る程度に、踏み込み過ぎないようにフェイントを交えて刀を振るう。

 

フェイントの攻撃は無視。要所要所の本命の攻撃のみを正確に叩き落とされる。

 

………やはり、盾が厄介だな。受け専門の道具があるだけで、守りと攻めの両立性がケタ違いだ。

 

攻撃を盾で払いのけ、反撃は刀で。

 

攻防のバランスがいい。妖夢の二刀流や俺の一刀流のように受けよりも回避や攻めを主体に置くのとは戦闘した時の安定感がまるで違う。

 

盾を攻略しなければ、相手に攻撃ができない。

 

しかし、盾の攻略を考えすぎると、相手の刀の反撃が捌けない。

 

………不味い、剣での突破口が見えん………

 

 何とか隙を見つけようとあくせくしていると不意に犬走が俺に向かって体当たりをしてきた。

 

「うおっ!?」

 

 思わず正面に刀を構え、突進してくる犬走を受け止めた。

 

直後に響くガキンと言う金属音。俺が前に出した刀に盾を正面に構えた犬走が自分事盾と一緒に体当たりをしてきたのだ。

 

盾での体当たりを、俺は刀で防いだ………ということは…

 

「…! しまっ」

 

 ほぼゼロ距離まで近づいた盾。その盾の死角に隠された犬走の刀。

 

慌てて真後ろへ全力で飛びのく。

 

あ………危なかった……もう少しで両断されるところだった。

 

………片手剣に対する認識を間違えていた……あれは、守る専門と攻める専門の一人一役の武器ではない。盾で自身を守りながら相手に体当たりすることで可能な、間合いの掌握と体当たりによる体崩しと死角作り。盾でも攻撃が可能、無論刀での防御も可能。

 

………あれは、攻防両立武器ではない。攻防表裏一体の武器だ。

 

攻めて良し、守って良し、攻めつつ守るもよし、守りつつ攻めるもよし。

 

厄介だ。この上なく。

 

攻防の両方の水準が高く、また待ってよし、攻めて良し……ある種、片手剣とは二刀流剣術の理想形なのやもしれん。

 

「………ッ! いざっ!!!」

 

 追い込まれた状況だからこそ、虚を捨てて立ち向かわねばならぬ。

 

師がかつて使っていた技。そして、俺があの日妖夢に見せた技。

 

種も仕掛けもない、真正面からの面打ち。犬走は俺の正面から振り下ろされる刀を右手に持った刀で防いだ。重い衝撃を支えんと、犬走の体が一瞬硬直する。

俺の刀もまた、防がれたことで発生した反動で刀が撥ね返る。

その撥ねる力を自身の刀を引く力に変え、一気に刀を引いて二撃目の胴打ちを繰り出す。

横から犬走の胴へ滑り込まんとする俺の刀に、突き出された犬走の盾が激突する。

 

盾に防がれ停止した俺の刀を、犬走の刀が上へ弾き飛ばす。

 

俺は後ろへ大きく飛びのき、犬走の後方に俺の刀が落下した。かなり遠くからだったが今カメラの音がしたな………庭の端にある木からか?

 

「武器が無くなれば続行は不可能です。………決着ですね」

 

「………まだ、お前は俺の生殺与奪を手にしていない。決着はついていない」

 

「詭弁ですね。貴方に刀は取らせません。貴方が私を回り込んで刀を取ろうとするのを防ぐだけで負けはありません。決着です」

 

 ………確かに、愛刀を失い、俺の剣術は完全に死んだ。絶体絶命のピンチとはまさにこのような状況を指すのだろう。

 

「………ぐ、グラファイトさん………!」

 

 声のした方を見ると、心配そうな表情で俺を見つめる妖夢と目が合った。

 

俺は言葉に出さず、ただ優しく微笑んで見せた。

 

安心しろ、俺はそう簡単に負けはしないと、言葉に出さずに妖夢にそう伝えた。

 

「さて………犬走、ここからお前に戦術の神髄をお見せしよう」

 

「……この状況を打破する一手が、あるというのですか…? 剣を失なったこの状況から?」




お読みいただきありがとうございました。
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