東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE 作:桐生 勇太
箸休めの一環としてお楽しみください
グラファイト視点
「…そうだ、厨房に行く前に幽々子に犬走を泊める許可を取らねば」
1使用人の独断で止まる許可を出してしまったことを注意されるかもしれんが、まあ幽々子は結構緩いところがある。大丈夫だろう、と思っていたが………
「いや、良いのよ?別に、空いているお部屋ならうちは沢山あるし?お布団も、お食事も全然問題ないわ。私に先に断らずに独断で泊める許可を出したこともね?泊めること自体には何も問題ないわ。………ただ、その相手が………」
割ときっちり怒られてしまった………しかし、相手に問題があるということは、女が問題?………いやいや、妖夢も女だろう。……ひょっとして、幽々子は天狗と不仲なのだろうか?
「すまない………だが、いくら強いとはいえこんな遅くに女性を一人で帰路につかせるのも問題だろう?」
「女の子だから問題なのよ………妖夢は何て言っていたの?」
「む…? 妖夢? ……特に何も言っていなかったが………」
「そう………分かったわ。そう言うことなら、私も何も言わないわ」
何故ここで
「まったくあの娘の気も知らないで………」
む?妖夢の気?………ああ、なるほど、天狗と不仲なのは妖夢の方だったのか。通りで、幽々子が妖夢の事を気にかけるわけだ。これは妖夢に悪いことをしてしまったな。
「成程………その通りだな。妖夢の気持ちが分かっていなかった。これは妖夢に悪いことをしたな………」
「いや、貴方妖夢の(あなたが好きだという)気持ち、分かってないでしょう」
「む、失礼だな…流石にあそこまで言われれば人の(何かを嫌う)気持ちに鈍い俺でも気づくぞ」
「え?ホント?ホントに分かってる?妖夢の(あなたが好きだという)気持ちに気付いたの?」
「ああ、幽々子のおかげで妖夢の(天狗が嫌いな)気持ちに気付けた。礼を言うぞ。………まあ俺も(あの烏天狗のせいで天狗と言う種に偏見を持ちかけたし)妖夢が抱く(天狗が嫌いな)気持ちと近い思いを持っているしな」
「あらやだ、急展開」
「早速妖夢に(謝罪を)伝えねばな………」
「そうねぇ、(告白は)早く伝えたほうがいいわよねぇ」
「よし、善は急げだ。すぐに(謝罪を)伝えに行くとしよう」
「そうねぇ、気持ちは早いうちに伝えたほうがいいものねぇ。きっと妖夢、(あなたからの告白だし)喜ぶわ」
「フフ…たったそれだけ(苦手な気持ちに気付かなかったことの謝罪で)喜ばれるとは、どういう奴だと思われていたのやらな…まあ、これに関しては鈍い俺が悪いか」
「そうよぉ、貴方全然気づかないんだもの。まいっちゃうわ」
幽々子の部屋から出て、妖夢のいる厨房へと向かう。
一足先に厨房へ行っていた妖夢は既に夕食の支度を始めているようだ。
「妖夢………」
「あ、グラファイトさん………」
………よく考えてみれば、昨日妖夢に暇を出したせいで互いに少しギクシャクしていたのを忘れていたな………まあ、少し話し掛けるくらいなら問題はないか。
「妖夢、お前の気持ち、幽々子から聞いたぞ」
「は、はぁ…そうですか………って、ええええぇぇぇ!!!!!?」
「すまない、鈍感だな、俺は」
「いやいやいやいや!!! そ、そんなことより、ゆ、幽々子様が、なぜ………?」
「どうも、なかなか俺に(天狗が苦手な)思いを伝えられないお前を気遣っての事だったようだが」
「そ、それは………そうですけどぉ………」
「いや、しかし全く気が付かなかった。………妖夢は………天狗が苦手だったのだな」
「は、はい! 私、グラファイトさんが一人でお稽古をしていらした所を見たあの日から………って」
「ん?」
「へ?」
………? なんだ? 話がかみ合わないような………?
「………妖夢は天狗が苦手なのだろう?」
「………あの、何処情報ですか?そのデマ………」
………あれ、おかしいな………?
「幽々子に、「女の子の天狗を泊めるなんて、妖夢の気持ちをまるで考えていない」と言うようなことを言われたのだが………?妖夢が天狗を苦手としている、ということではないのか?」
「……………………………………」
……なんだ? 何故妖夢は「orz」という体勢になったのだ?
まさか、気づいたつもりだったが、見当違いだったということか?
「すまん、ひょっとして、何か俺は勘違いをしていたようだな………」
「い、いえ………何と言うか、もうそういうことでいいです………」
「む? そうか?」
………しかし、分からん、それでは、一体どういうことなのだ?
その後、すっかり無言で作業する妖夢の気持ちを何とか理解しようと頭を捻り、
「…そうだ!天狗ではなく、白狼が苦手ということか?」
と聞いてみたが、
「もう何でもいいです………」
と返されてしまった。
それでもめげずに何とか思考を巡らせ、辿り着いた極地の答え。
「………分かった!逆に白狼天狗が好きすぎて正気を保てなくなる!とかか?」
「すみません、お料理に集中しているので………」
手応えナシ。
しかし、諦めるわけにはいかない。必死に考え続ければ、いつか相手の気持ちにたどり着けるはずだ。
「………………実は、オオカミのアレルギーがある………とか?」
「グラファイトさん、無駄口を叩いている暇があるならお料理を運んでくださいませんかね?」
………怒らせてしまったようだ………言外に「もういいから厨房から出ていけ」と言われてしまった………
はぁ………どうやら、俺は人の気持ちを理解する能力が壊滅しているらしい………自分なりにいろいろ思考してみたが、外しまくった挙句にあきれていた相手を激怒させてしまうとは、何たる不覚………
料理を部屋に運びこんだ際、幽々子に「上手く妖夢の気持ちを汲み取れず、怒らせてしまった」と伝えると、幽々子は
「あらら、もしかしてガツガツ行って引かれちゃったのかしら………まあでも、二人とも同じ思いであることは確かなんだし、焦らず少しずつ話し合っていけばいいわ」
と言われた。………確かに、言われてみれば「これが答えか!?」と思ったものを後先の考え無しにガツガツ言い過ぎた気もする………もっと冷静に話し合えばよかったかもしれんな。
その後、料理が出そろい夕食が始まると、妖夢が幽々子に何か耳打ちをしていた。
恐らく厨房でのことを伝えたのだろう、幽々子がこちらをゴミでも見るかのような目で睨んできている………
小さく動いた幽々子の唇が、音を発さずに「超鈍感大馬鹿男…」と言っていたのは見逃さなかった。
こ、これからはもう少し相手の気持ちを慮れるようになれるようにも精進せねばな………
お読みいただきありがとうございました。
グラファイトェ………鈍感スギィ!
最初に答えにたどり着いてるよ!女性を泊めるのが問題なんだよ!