東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE   作:桐生 勇太

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第19話:正体を見せて

グラファイト視点

 

 夕食もいくらか食べ進み、ふと思い出した疑問が口をついて出た。

 

「しかし………この世界では、幽々子といい、妖夢といい、誰でも空を飛べるのだな。うらやましい話だ」

 

「「「え?」」」

 

 ………驚かれるとは思わなかった。いや、現在俺がこの世界で出会った住人の飛行可能率は100%だぞ。その証拠に天狗のあの烏天狗や白狼天狗の犬走はともかく、普通の人間の幽々子と妖夢も飛べるではないか。

そのことを話すと、幽々子と妖夢はお互いにか顔を見合わせて「妖夢、言ってなかったの?」「幽々子様がお伝えしていたものとばかり…」と話し始めた。

 

「私の種族は亡霊よ」

 

「わ、私は半人半霊…人間と幽霊のハーフです」

 

「………………えぇ……」

 

 妖夢の半人半霊もだいぶ突っ込みがいがあるが、幽々子………まさか亡霊だったとは…

 

「大食いの………死人………」

 

「あら、何だか私煽られてる?」

 

 俺はすっかり忘れていたが、そういえばどこかで妖夢の種族の事を聞いたような気がする(8話参照)………たしかあの時は、妖夢が努力の仕方を間違えていることを伝えるのに必死だったな。

すっかり頭から抜け落ちていた。

 

「ここ幻想郷では、人里に住んでいる普通の人々以外の種族は、大体全員が飛行可能です………でも、グラファイトさんが飛べないのは、意外でした………」

 

「そうよねぇ、妖夢。「竜」戦士何て二つ名なのに、空も飛べないなんて………」

 

 ………うぐっ……い、今のはなかなか効いた………

 

「わ、悪かったな。竜なのに飛べなくて………っということは、俺も別にバグスターであることを隠す必要もないのか……?」

 

「あら、あなたが人間じゃないことぐらい、みんな知ってるわよ?」

 

 ………え? バレてる?

 

「何驚いた顔してるのよ……うちの妖夢に剣術で勝てて、白狼天狗を体術で抑え込める人間なんているわけないでしょうが」

 

「あ~~…よく考えればそうだな」

 

「お聞きするタイミングがなかったのですが、結局グラファイトさんは何の種族なのでしょう?」

 

「えぇと………一応、人間にも感染できるように変異したコンピューターウイルスだったはず………種族は、バグスターウイルス?だと思う」

 

 人間かと思って介抱したら人外でした。なんてことでは、恩人である妖夢や幽々子が腰を抜かすだろうと思って黙っていたが、何ともはや、俺も含めこの屋敷に人間が一人もいなかったとはな。

 

「この幻想郷だと、大抵の力を持った人妖は何かしらの能力があるの。貴方の能力は何かある?」

 

「そうだな………俺の場合は………身体強化? 身体変異? 変身能力? といったところだと思うが………」

 

「あ、私は【剣術を扱う程度の能力】です」

 

「私は【死を操る程度の能力】よ」

 

「私は【千里先まで見通す程度の能力】です」

 

 ………妖夢の剣術能力と犬走の千里眼は置いておくとして………幽々子の【死を操る程度の能力】って………「程度」と行っていい能力か…?」

 

「それで? 結局貴方の能力はどいう言うものなの? 見せられるなら見せて頂戴」

 

「お、おう………じゃあ行くぞ、【培養】」

 

 懐からバグヴァイザーを取り出して起動する。

………考えてみれば、誰かに見せびらかすような変身はこれが初めてだな。

 

Infection!(インフェクション ) Let's game!(レッツゲーム) Bad game!(バッドゲーム) Dead game! (デッドゲーム)What your name?(ワッチャネーム)

The Bugster!(ザ・バグスター)

 

 俺、グラファイトバグスターの進化体、元の緑から炎の力を莫大に底上げし、紅蓮の炎の力を得たグレングラファイト。竜を思わせる体中にトゲが生え、体色は赤。

 

「あらら………完全に人外と一目でわかるのも珍しいわね………その状態だと、どう変わるの?」

 

「俺の人間態………普段の状態をレベル1とすると、変身した状態のレベルは99+αと言ったところか。筋力、耐久力、持久力、脚力が尋常じゃないほど上がる………後、この状態なら扱える炎の絶対量も上がる」

 

「やだ、単純計算で99倍以上!?」

 

 ……そう単純な考え方でもないのだが………まあ、そう言うことでいいか。

 

「これってつまり………私とのお稽古は、気を使われていたということですか…?」

 

「私との先ほどの手合わせも………手を抜かれていたことになりますね」

 

「む、いや…剣術や格闘技の腕そのものは変動しないし、人間態で走る10kmの負荷は怪人体の300kmの負荷と同じ。稽古の事はより効率を目指した結果だし、立ち合いも技量で勝てなければ世話は無いからな。決して手を抜いていたわけではない」

 

 これは事実だ。確かに人間態と怪人態では戦闘力に天と地ほどの差があるが、別段それでいて技術面には大きな変動はない。妖夢との稽古も、犬走との立ち合いも俺は全力でやった。そこに一点の疑問も曇りもない。

 

「第一、それを言ったら犬走だって極力飛ばないように気を使っていただろう?」

 

「それは、そうですが………」

 

 こういう忖度を手抜きと勘違いされるのは正直業腹だ。

互いに死力を尽くした戦いそのものを汚す行為にもなりかねない。

 

「お前は全力でかかってきた。俺はそれに全霊で迎え撃った。それでいいではないか」

 

「そう………そうですね」

 

 犬走の疑問はこれで収まったようだ………ひとまずこれで良し。

 

「お前にも隠し事をしていたな。すまない、妖夢」

 

「い、いえ………そんな………」

 

「だが、隠しはしても、騙そうとしていたわけではない。人間を介抱したと思ったら化け物でした、では驚かせることになると思ってな。言い出せなかった」

 

「い、いえ………私も、初めてお会いした時にいきなり半人半霊と言っては驚かせてしまうと思ってすぐ言いませんでしたし………」

 

 なるほど、お互いに遠慮した結果おかしなことになったということか。

それにしても、この世界ではどうやら俺の事を隠す必要もなさそうだな。俺のような種族はいなくとも、聞いたところ普通の人間よりも人外の方がこの世界には多いらしい。

 

「グラファイトさん………たまにでいいので、できれば、私も妖夢さんのように教えていただくことはできませんか…?」

 

「………妖夢から頼まれて教えているわけではない。俺が妖夢の助けになりたいと思ったからこそ、俺から指南役を買って出ただけだ。………それに、犬走、お前の剣術は俺や妖夢の純粋な刀のみを用いた取り組みとはまた少しずれた場所にある道だ。方向違いの俺がお前に教えることはできない。………それに、妖夢は自分の進むべき道が揺れていた。だがお前は自分に合った戦い方をもう体得している。俺からお前に教えられることは何もない。…………すまないな」

 

「……………いえ、急にこんなことをお願いして………申し訳ありません」

 

「いや………俺も、力になれなくて済まないな………そうだ、妖夢、明日の稽古は朝はやらないことにする。背中の治療に専念させてくれ。………二日ぶりだ。気を抜くなよ?」

 

「は、はい!!」

 

 多少ゆっくりもさせたし、これで明日には妖夢の調子が本調子に戻っているといいのだが………

 

 何事もなくその日は夕食を食べ終えて就寝し、次の日の朝に犬走は帰っていった。

俺は傷を治すのに集中するため、いつもの時間に起きたものの朝の稽古をせずに屋敷の縁側で座禅をしていた。

 

………昨日は、良い戦いができた………この世界、幻想郷と言ったか、この世界には、妖夢や犬走のほかにも武器術に長けたものがいるのだろうか?

 

………まあ、あのいけ好かない文屋が新聞で俺の情報を広めてしまったようだし、腕に覚えがあるのならそう遠くないうちに向こうから挑戦してくることもあるやもしれん。今考えても仕方ないことだ。

 

幽々子、妖夢と共に三人で朝食を取り、いつもの通りに屋敷の掃除。

 

正午になり、昼食を食べ、妖夢と午後の稽古について打ち合わせをしている時………

 

「妖夢は一日半ぶりに稽古をするのだから、準備体操を念入りにな。今日から………!」

 

 相手は屋敷の外。しかしわかる。とんでもなく大きな力を持った相手が白玉楼の階段を上って近づいて来る………!

 

「………あれ、グラファイトさん、どうかしました?」

 

「………すまん、妖夢、午後の稽古は中止だ」

 

「え? あ、ちょ、グラファイトさん!?」

 

 食べかけの昼食を残して、引き戸を開けて庭へと出ていく俺を慌てた様子の妖夢が追いかけてくる。

 

「………何か、とんでもない奴が来ている。妖夢、万が一があれば、幽々子を守れ」

 

「………! わ、分かりました………!」

 

 庭を通り過ぎ、階段へと向かっていると向こう側から優男が歩いてきた。

 

「…え? この人………?」

 

「……! あの、失礼ですが、烏天狗の記事であなたを拝見いたしました。私は、人里の剣道場で子供達に指南をしているものです。急な訪問で失礼ですが、ぜひ私と立ち会っていただけないでしょうか?」

 

 妖夢が困難している。ただの人間相手の気配を俺が過剰に反応したと思っているのだろう。………だが違う。

 

「………下がっていろ」

 

「……わ、分かりました………グラファイトさんが感じた相手…この人、ということですね」

 

「おお、有難うございます、では早速………」

 

「あんたもだ。下がっていろ。妖夢、この人を頼む。裏口から避難させてやってくれ」

 

「「………え?」」

 

 二人して驚いた表情をしている………やはり気づいていないか。

俺が感じていた相手は、まだ階段を上っている最中だ。

そして、遠くに見える階段から、その相手がぬっと顔を出した。

 

「………久しいな、竜戦士………いや、今は剣帝竜戦士か………」

 

「あ………また、人?………!? う、嘘………」

 

 普通の人間かと思っていた妖夢が驚きの声をあげた。

 

「な………何という………」

 

 人里から来た男も驚きを隠せないようだ。

仕方なかろう。あの規格外の大きさは、すぐに慣れるものではない………

 

2mと40cmちょいという、およそそうそうは見ないであろうという規格外のサイズ。

服装に頓着がないのか、元居た世界でもジャージを着ていた。

黒色で白い筋が入っているとしか言いようがない、何の特徴も面白みもない服。

長くだらしなく伸ばされた黒髪の間からのぞく、こちらを射すくめるような闇赤色の瞳が印象的だ。

 

その後ろに妖夢と同じ白髪の女が立っている。

白髪のロングヘアーに深紅の瞳、髪には白地に赤の入った大きなリボンが一つと、毛先に小さなリボンを複数つけている。上は白のカッターシャツで、下は赤いもんぺのようなズボンをサスペンダーで吊っており、その各所には護符が貼られている。………こっちは、特徴と面白みの塊のような服だな。

 

女の方も気になるが、今はこの巨大すぎる相手だ。

 

「お前とまた会うことになるとは、正直思っていなかったぞ………お前も、幻想郷に迷い込んでいたのだな。………ベイオウルフ」

 

「貴様もな。………よもや、こんなところで蛮勇を振るっていたとは………」

 

「あ、あの………グラファイトさん、この方と、お知り合いなのですか?」

 

「ああ………一対一でやり合ったことはないが、もともと俺がいた世界の敵だ」

 

 ゲーム、【タドルクエスト】のラスボスバグスター、《魔王》ベイオウルフ………

 

これはまた、とんでもない相手が来たな………

 

 




お読みいただきありがとうございました。

ベイオウルフって誰?
となってしまった方も多いと思うので、軽く説明すると、私が別に執筆している小説の仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGEに登場する敵キャラクターで、仮面ライダーブレイブが使っていたタドルクエストガシャットの元となったRPGゲーム、「タドルクエスト」のラスボスの「魔王」のバグスターです。

原作の仮面ライダーエグゼイドでは、魔法使いのアランブラバグスターが登場していました。

私の小説では、「アランブラはタドルクエストの途中に出てくる中ボス的な立ち位置であり、タドルクエストのゲームのラスボスは別に存在する」という二次設定をもとに作られたキャラクターとなっています。

より詳しく、「ちゃんと」知りたい方はぜひ「仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE」https://syosetu.org/novel/132984/
をお読みください!

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