東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE 作:桐生 勇太
読者の皆様、作者の大学で自宅学習期間が始まってしまいました。これにより、小説の更新が不定期更新になりそうです。
いくら遅くても週に一度は投稿したいと考えていますが、下手をすれば2~3週になるかも………頑張ります。
第24話:雑用開始
パラド視点
座り込んだまま暫く自分なりに思考を巡らせ、辿り着いた答えは、結局「永夢を信じるしかない」と言う答えだった。
すぐにでも帰るべき。それは分かってる。だけど、それができない。そこはもうどうしようもない。
そして何より、Re:ゲムデウスの力や侵略具合を考えてみるに、たとえ今すぐ帰る手段があって、元の世界に帰ったとしてももう決着はついた後だろう。なら、今すぐ慌てて帰る意味はたいしてない。
永夢がRe:ゲムデウスを倒したことを信じて、地道に帰る努力をすべきだ。
「まあ………ここでなるようになっていくしかねぇよな。仕方ねぇ」
そうと決まれば、やることは一つだ。
介抱してもらったうえに、ここで世話になる。それなら当然、世話になる分だけ掃除なり雑用なりをするべきなのは言うまでもない。
東風谷に何をすればいいのか聞くと、「では神社の裏にある薪割場で薪割りをお願いします!」と言われ、東風谷に案内されて神社の裏に向かい、薪割場に連れていかれ、簡単に原木置き場の説明と薪小屋の割った薪の積み込み方を教えられた。
「基本的な説明は終わりです。薪割りをする時に割り方のコツも簡単に説明するので…えーっと…ちょっと待っていてください」
と言われても、割るくらいなら普通に出来るし、第一何を待てばいいのか………
まあ、待っているのも暇だし、ちゃっちゃとやるか。
「さーて…あ、どんぐらい割ればいいのか聞き忘れた」
まあいいや、適当に近くの荷車を引いて原木置き場に行き、適当にポンポンと原木を積み込んで薪割り場に戻る。
木でできたでっけぇ薪割り台の上に原木を乗せ、さて早速と思いあたりを見回すが…
「………斧がねぇな」
いやいや、おかしいだろ。
必需品だろ、どう考えても。
割る道具がない割り場とかギャグかよ。
どうやらどれだけあたりを見回しても道具がなさそうなので、諦めて素手で手刀を作りバシバシ割り始める。
怪人態にならずとも人間をはるかに超えている。過去の死んだ怪人、仮面ライダーの力を継承したからこその力だが、継承した力の使い方が薪割りってどうよそれ、と自分で自分に心の中で疑問に思い始めてきた。
でもまあ、悪いことに使ってるわけじゃなし、別にいいか。
「…台要らねぇな、これ」
作業の途中から台に乗せて割るのすら面倒臭くなり、原木を両手で掴んでちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す。
「もう半分ってとこか……」
やっぱりちぎったほうが早いなコレ。取りあえず荷車に乗せた分を全部ちぎったら、一旦全部薪小屋にぶち込んでそれからどれだけ割ればいいのか聞きに行こうと思っていると、誰かがこっちに駆けてくる気配がした。
「お待たせしました! 斧ありましたよ………って」
「………あー……待ってろってそういう意味ね。悪い。斧要らねぇ」
なるほど、あの「待ってろ」は、「(道具を持ってくるまで)待ってろ」と言う意味だったのか。
いや、普通に考えて当たり前か。手で木を引き裂く奴なんているわけないよな。
「とっても力持ちだったんですね…もう十分なので、今日使う分以外は薪小屋に積み込んじゃいましょう!」
「おう」
ひとまとめにして薪小屋に入れる分だけ荷車に乗せ、残りは薪棚に乗っける。
東風谷に言われるがままに隙間の間隔を適切に開けながら薪を積み上げ、取りあえず薪割りは終わり。
「次は何すればいいんだ?」
「それでは、廊下の雑巾がけをお願いします!」
木でできたバケツ…いや桶か。それと使い古されたザ・ボロ切れのような雑巾を手渡され、そのまま廊下の雑巾がけ開始。
本当はさっきの薪割りも雑巾がけも手を使わずともできるが、さすがにそこまでやったら本気で驚かれるだろうし、自重するか。
たまに自分の上着のヒモを踏んでコケかけるが、その都度ササっと体勢を立て直してすいすい雑巾がけをしていると、不意に廊下の角から現れた相手にぶつかりかけた。
「おわっ悪い………って、お前誰?」
「えっと…ここの居候みたいなもんだけど…お手伝いさん?」
角から出てきた相手は、片側だけおさげにして前に垂らしたウェービーな金髪ロングが特徴的で、リボンのついた黒い色のつばの広い三角帽を被った、黒系の服に白いエプロンな服装の女だった。
なぜ俺がお手伝いさんだと判断したのかと言うと、その女は右手に箒を持っていたからだ。エプロン+箒とくれば、脳裏に浮かぶのは掃除のおばちゃんだけだ。
「いや、客だ。早苗がどこに居るか知らないか?」
「東風谷? え~と、さっきはここにいたけど…」
参ったな、ここの建物の構造も知らないんじゃ、下手に案内することもできない。どうしたものかと困っていると、「お掃除は順調ですか?」と反対側から東風谷が来てくれた。
「助かった、東風谷、お客さんが来てるぞ」
「あ、魔理沙さんお久しぶりです。今日はどうしたんですか?」
「ああ、お前の奇跡を借りたくてな………」
いやいや、「奇跡を借りる」ってどういう状況………何やら非科学的な話が始まってるみたいだが、まあ神社あるあるのお祓いみたいなものだろう。俺は黙々と雑巾がけをするだけよ…
どたどたと廊下を駆けていると、不意にまた東風谷に声をかけられた。
「あ、パラドさん、魔理沙さんを見かけませんでしたか?」
「え? さっきの客? 見て無いけど……」
どうやら奇跡の儀式? が終わった後にどこかへ行ったらしい。
「そうですか…もうお帰りになったのでしょうか…?」
「う~ん、でも俺はずっとグルグル廊下を回ってたし、普通にここから出るなら廊下ですれ違うはずだから、まだ中にいるんじゃないのか?」
二人で頭上に「?」を出して首をかしげていると、不意に真横の襖が開いて先ほどの「魔理沙」と呼ばれていた女が出てきた。
「あれ? 魔理沙さん、どうしてそこのお部屋に?」
「ん? いやちょっとな…それより、ありがとな早苗。おかげできっとうまくいくはずだぜ!」
それだけ言うと、魔理沙は箒にまたがって…! と、飛んだ………!!
「うふふ、私も飛べますよ? ここでは、常識にとらわれてはいけないのですっ!」
よほど顔に出ていたのだろうか、驚愕していたのが悟られたらしい。っというより、東風谷も飛べるのか………
「…ま、まあ今はいいや…それで、雑巾がけは終わった。次は何をすればいい?」
「う~ん、もうあらかたやってほしいものはしていただきましたし…最初のお部屋でお休みしてください!」
一瞬なんだもう終わりかとも思ったが、よく考えてみれば雑巾がけも薪割りもバリバリの肉体労働。普通なら二つ連続でやれば休憩が出るのも当然か。
そう言うことなら遠慮なくと思い、最初に目が覚めた部屋に戻ろうとしたが…
「俺はどの部屋にいたっけ?」
どれも同じ襖。おかげでどれがどの部屋だかわからない。
「あ、そうですよね。慣れるまで時間がありませんでしたし…え~と、このお部屋です!」
東風谷が覚えていてくれて助かったな………ん? ここ、さっき魔理沙って女が出てきた場所じゃないか。どうやらさっきの女は迷ってたんだな。
部屋に入ってしばらく横になって、ぼけ~っとしていたが、やはり元の世界の事ばかりが脳裏をめぐる。
何の気なしにポケットに手を突っ込んでゲーマドライバーを取り出そうとするが………
「………ん?………………あれ?」
無い。
………いやいやいや、そんなはずないでしょ。
………………………
無い。
………いやいやいやいやいやいやいやシャレになんないから、それ。
ポケットをひっくり返し、パーカーを脱ぎ、念のため布団もひっくり返して部屋中見て見たが、
無い。
「ひょっとしてゲーマドライバーは向こうの世界に置いてけぼりか……?だとしたら…」
最悪だ。いやまあ、別にこっちじゃ戦う用事もなし。困るほどでもないが…
………でも、なあ………
「あー! もうやめやめ! 無いものはない!仕方ない!諦める!」
これはもう無いということで納得するしかない。「無いものは無いなりに」と言う言葉もあるくらいだ。
そうして自分に必死にい聞かせてると、部屋の外から東風谷の「あー!!」という悲鳴が聞こえてきた。
「どうした?」
「あ、パラドさん…お仕事が済んだパラドさんにお茶とおせんべいを出そうと思ったんですけど…魔理沙さんが持って行っちゃったみたいです…」
「なんだ、あの女つまみ食いの常習者なのか?」
そんな卑しい奴いるかよ。客として訪ねておいて勝手に菓子全部食って帰るとか… もはやただのコソ泥じゃないか。
「つまみ食いで済めばいいんですけど…魔理沙さん、珍しいものを見かけたらついつい持って行っちゃう人ですから………」
………!
「お、おい、東風谷、えっと、その、なんていえばいいんだ…あの、ちっちゃいヤカンくらいの大きさで、ごつごつしてて、蛍光グリーンの素地に蛍光ピンクのレバー、出っ張った持ち手がついてるやつなんだが…知らないか? 俺のなんだ」
ゲーマドライバー、改めてやると説明がめちゃムズイ。あの見た目を完璧に説明できる奴がいるなら、ぜひ一度見て見たいくらいだ。拙い説明で通じるか不安だったが、東風谷は「グリーン…ピンク…」と小声でぶつぶつ呟いた後、パッと顔を上げた。
「ああ、あれですね! それなら、パラドさんを寝かせていたお布団の枕元に置いておきましたよ!」
………あのコソ泥女………! やりやがった………!!!
「東風谷! あいつ、どっちの方に行った!?」
「え!? もしかして…!」
「早く! どっちに行った!?」
「え、えっと、お家に行くとおっしゃってたから…こっちの方です!」
「サンキュ!」
言われた方向に走り出す。
後ろから「今から走っても追いつけませんよ!」と東風谷の声が飛んだが、問題ない。
「大丈夫だ………俺も飛べる」
背中から過去の怪人の体の一部。アンクと言う名のグリードの極彩色に輝く羽が突き出した。当たりに紙吹雪のように赤色の羽が舞い散る。
「………………」
静かに目をつむり、風を、音を、匂いを、空気の僅かな揺れの残滓を探す………
「………見つけた!!」
気配を感じた瞬間、一気に上昇し、風を切り裂きながら飛翔する。
興味本位でやったのかも知らんが、ただで済むと思うなよ………!
お読みいただきありがとうございました。