東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE 作:桐生 勇太
ということで最新話です。
パラド視点
「ともかく、俺は一時でも早く帰りたい。介抱してもらったお礼をするべきなのも分かってるが、それでも俺は急いで戻らなくちゃならないんだ」
念のためまだ休めと言う東風谷に俺は元の世界に戻る方法を聞いていた。
だが、何度質問をしても彼女は言いにくそうに口をつぐむだけだった。
「残念だけど、それは無理さね。悪いことは言わない。しばらくここでゆっくりしていきな」
「あ…神奈子さま!」
障子を開けて青紫色の髪をしたセミロングの女性が入ってきた。名前は加奈子と言うらしい。
「帰れないだって? ちょっと待て!ここは外界から隔離された場所なんだろ!?なら出る方法は絶対にあるはずだ!大異変の時に多くの出入りがあったはずだ!」
「落ち着きな。正確に言えば、外界へ出る方法は「あったけどもう無くなった」のさ。残念だけどね」
「何?」
加奈子と呼ばれた女はしばらくばつが悪そうに目をそらし、やがてしっかりと俺のみを見て話を始めた。
「ここ幻想郷は、外界から結界で隔離された場所。それは分かってるね?だから、まずアンタには博麗大結界を超えられないのさ。紫がいれば話は別だったけど………」
「紫?それは誰だ?」
「『境界を操る程度の能力』を有する、ここの賢者さ。先の大異変じゃいろいろ尽力してたみたいだけど、今は永遠亭にいるよ。意識不明でね」
外の世界に帰るための方法。それは、すでに不可能だということを、俺は理解していなかった。
「意識………不明?」
「ああ。原因はこっちに知らされていないから何とも言えないけれど、それだけは分かってるのさ。永遠亭ってのは病院みたいなもんさ。面会謝絶で会うこともできない」
「帰れ………ない………のか」
もう会うことはできないのだろうか。そうでなくとも、少しでも変えるのが遅れるということは、Re:ゲムデウスとの戦いの結果を知ることも先延ばしになるということだ。もしかすると、もう永夢は死んでいるかもしれない。それとも、まだ戦っているかもしれない。それが分からないまま、いつまで………
「悪いことは言わないよ、しばらくうちでゆっくりしていきな。好きな時に出て行っていい。まあその分掃除やら家事手伝いはしてもらうけどね?」
「………………ああ、悪い。………………しばらく……世話になる」
俺はやっとの思いでそれだけ言い、その場に座り込んだ。
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「ねえ、お食事もいいけれど、先に貴方の話を聞きたいわ。いいでしょう?お侍さん?」
目の前にいる女から感じるのは、疑心、そして警戒心。漏れ出ているというより、隠そうともしていない。
「ああ………俺も知りたいことが多い。話そう。………座っても?」
「どうぞ、お掛けになって?………妖夢、悪いけれど外してちょうだい」
場の空気を感じ、妖夢が一つ頭を下げて部屋を出た。俺は逆に一礼して部屋に入り、幽々子と呼ばれた女の前に座り込んだ。無論正座だ。
「安座でいいわ」
「………失礼する」
言われるがままに足を崩し、話す準備を整え、こっちから先に口を開いた。
「先ずは俺をここで介抱してもらったことに感謝する。無論、あの白髪の少女にも追って礼はするつもりだ。俺は竜戦士………いや、「剣帝竜戦士」ゲラファイトだ。それで、俺は何を話せばいい?」
「ずいぶん大仰な称号ね。自称?」
「いや、師から賜った通り名だ。師の名は「剣帝武士:海帝」と言う」
信じたのか、それとも信じていないのか。彼女は一言「そう」とだけ言った。
「私は西行寺幽々子。死を操る程度の能力をもつ、ここ白玉楼の主よ」
「死を操る………?」
嘘だと思いたいが、冗談を言っているようではない。もし本当だとしたら、とんでもなく理不尽な能力だ。
「これからあなたに質問をするわ。正直に答えなさい。解答法は肯定、否定、不明の三つ。言い訳等を言うのは禁止。何か質問はあるかしら?」
「………一応聞くが、俺が正直に言おうが言うまいが、そちらには確認の手段がない………ように思うのだが」
「あら、相手が嘘を言っているかどうかぐらいは分かるわ。では質問よ。貴方は先の大異変、大結界崩壊の原因かしら?」
「分からない」
「ふむ、では異変と言う言葉は知っているかしら?」
「分からない」
「貴方がここに来た理由は?」
「分からない」
「質問を変えるわ。貴方は何故かここにきてしまったの?」
「そうだ」
「それについて心当たりはあるかしら」
「………いいや」
「元居た場所で気を失った。もしくは死ぬような目に合った?」
「ああ」
「貴方は死んだ?」
「そうだ……そのはずだ」
「自分が死んだ確信はある?」
「ある」
「死んだ原因は分かっているの?」
「ああ」
「事故とかかしら?」
「いいや」
「誰かに殺された?」
「いいや」
「自殺?」
「そうだ」
「人生に悲観して?」
「違う」
「目的があっての事?」
「そうだ」
「もしかして、その自殺は戦いの中で起こったりした?」
「そうだ」
「命を犠牲にして出す大技………だったりする?」
「当たりだ」
「そしてあなたは死んだ?」
「そうだ」
「それで気が付いたらここに?」
「ああ」
「なるほどね………」
質問を切り、彼女は顎に手を当てて目を瞑った。暫くそのまま動かず、2分は経過しただろうか。不意に小声で「仕方ないわね」と言い、目を開いた。
「西行寺幽々子は、貴方を白玉楼の客人として迎えます。理由は三つ。行く当てがなさそうなあなたへの同情、あなたへの興味。そしてまだあなたと言う存在がわからないから、念のため目の届く場所に置いておきたい。それが理由よ」
「ずいぶん自分の考えをあっさりばらまくんだな?」
言うのも無駄たと薄々分かっているが、それでも聞かずにいられない。理由を全部言う必要はないだろう。
「私もあなたに嘘が通じるとは思えないからね。ぶっちゃけちゃった方が気が楽だわ」
「………正直言って、有り難い。だが、客人としてではなく、使用人としてここで働かせてくれ。助けられた上に客扱いではこっちの顔がない」
何でもしてもらうわけにはいかない。こっちからも多少なりとも恩返しができるはずだ。
幸いかつて感染していた女は家事ができた。簡単な掃除洗濯炊事はできるはずだ。
こうして、この日を境に俺は白玉楼の使用人の仲間入りをした。
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