東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE   作:桐生 勇太

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※時間軸がこの小説内の第1話以前に遡っています。混乱してしまうかもしれませんが、どうぞご混乱ください※


第31話:1番最初の初めまして

 

 

 早苗視点

 

 博麗大結界が崩壊して、一時的に幻想郷全体が大混乱になってから収拾がつくまで、私や霊夢さんに魔理沙さん、諏訪子様や神奈子様など様々な方々が異変の混乱を収めることに尽力し、3日ほど続いた混乱がようやく収まった次の日、ごはんのお使いに行こうと買い物かごやお財布の準備と確認をしていると、神社の手水舎(身を清めるための手水の場が用意されている所)の方から何か大きなものがぶつかった音がしました。

 

 何事かと手水舎に向かうと、手水舎の屋根に見慣れない影が…近づいてみると、屋根に人が突き刺さっているようでした。

 

「…! 大変! 神奈子様! 諏訪子様ー!」

 

 慌ててその人を…男の人でした。屋根から引っこ抜き、神社の奥のお部屋に連れて行って寝かせました。

 

「早苗…この男、体が所々焼け焦げてる。あの結界を破った熱線と関係がありそうじゃないか。異変にかかわりがあるなら、守矢の手柄になるね」

 

「それに信じられないくらい強そうだね~ どうやら人じゃなさそうだよ」

 

 神奈子様も諏訪子様も口調は軽いけれど、顔は真剣そのものでした。失礼とは思いつつも横に寝かせた男の人のポケットや服の中を調べさせていただき、危険な武器の類は持っていないだろうと、話し合っていると、不意に男の人が目を覚ましました。

 

「ん………」

 

「おや、目が覚めたみたいだね。あんた、こっちが見えるかい?」

 

「んぁ? ………どこだここ」

 

「ちょっと、聞いているのかい?」

 

 男の人は目を覚ますとすぐに立ち上がり、あたりを見回しました。神奈子様が前に出て、男の人に再度話しかけます。

 

「ああ、悪い… 俺は………気を失ってたみたいだな」

 

「…あんた、ここがどこだか知ってるかい?」

 

 男の人はきょとんとした顔で、「寺か神社?」と答え、神奈子様は続けて「ここら一体全部の呼び名だよ」と聞きます。すると男の人は、「日本だろ?」と答えました。

 

「「幻想郷」と答えられない…確定さね…あんた、外からここへ来たね。異変の首謀者かい?」

 

「は?は? 何?」

 

「悪いけど動いたら承知しないよ。いくつか聞きたいことが――って」

 

「嘘、消えた!?」

 

 いつの間にか目の前にいた男の人がいなくなっていて、気が付くと後ろの障子が全開になっています。一瞬で出ていったの!?

 

あまりの早技に驚いていると神奈子様が一言だけ「諏訪子」と呟くと諏訪子さまが「はいはーい」と元気よく返事を返しました。同時に地面が震え、大きな地震が起こり始めました。

諏訪子様の「坤を創造する程度の能力」です。坤とは地を意味していて、岩石、土、水、植物、マグマなどを無から創造、操作出来るという強力な能力です。神社の外から「おわっ」と驚いたような声が聞こえ、外に出てみると神社の庭園に大きなすり鉢状の穴が開いていて、その中心にさっきの男の人が落っこちていました。

 

「何だこりゃ、地面に落とし穴?」

 

「悪いけど、逃がさないよ~ おとなしく捕まってくれる?」

 

「そんなこと言われてもな。俺にも俺の事情があるんだ…よっと!」

 

 4~5mほどの穴からひとっ飛びで飛び出してまた 逃げようとした男の人の目の前に、今度は雷が落ちました。男の人は今度は驚愕に顔を見開いて、こっちを振り返ってきます。

 

「次はあんたの頭に雷落っことすよ…そこから動くな」

 

 そう言って神奈子様がすごみます。いつの間にか豪雨が降り始めていて、これは神奈子様の「乾を創造する程度の能力」です。乾は天を表し、どこまでが可能かは私も知りませんが風雨を操るの程度は造作も無いと聞いています。

男の人は「何なんだよマジで!」と天を仰ぎ見てから、何かをぶつぶつと呟き始めました。

 

「ん~と、雷は確か高い空に昇っていく氷の粒と、地面に向かって降りていく氷の粒がぶつかり合うことで静電気が発生して、雲の中にどんどん電気がたまっていくんだよな。 そして雲はためられなくなった電気を地面に向かってにがそうとする時に雷が発生する、と………」

 

「…? なにぶつくさ言ってんのさ?」

 

「電気は電荷の移動や相互作用によって発生して、導体へと流れるから………ああ悪い、ちょっと考え事してたよ。いつでもいいぜ」

 

「はッ…言うじゃないかい!」

 

 神奈子様が腕を振り上げると、再び雷が落ち、男の人に落下しました。しかし雷は男の人に触れる直前に枝分かれし、地面の亀裂の中に吸い込まれるようにして消えてしまいました。

 

「なっ…なにが…」

 

「電気は導体に流れやすいってよく言うだろ? だからちょっと小細工して、電流の道を記してやっただけだよ。まあ原子核の電子の動きを止めて雷本体をかき消してもよかったけどな」

 

 男の人は「理系がいて良かった良かった」とけらけら笑っていますが、こっちは意味が分かりません。男の人が手を高く上げると、雨がやんで雲が一気に消えていきました。

 

「天気のいたずらはもうできないぜ。どうする?」

 

 男の人が頭の後ろで腕を組んで余裕そうにしていると、今度は地面が割れてマグマが噴出しました。男の人の上に降り注ぎそうになったマグマは、男の人がちらりと見ると一気に固まり、火成岩になって粉々に砕け散ってしまいました。

 

「温度を変えて固めりゃあマグマなんて結局岩だ。 なんか勘違いしてるみたいだが、俺はあんたらが話す首謀者どうのこうのは知らねぇよ。 落ち着いて話してくれるんなら俺も逃げないし抵抗しないけど、どうする?」

 

 神奈子様は少しの間顎に手を当てて考え、すぐに「よし、分かった」と言って神社に戻ってゆきました。

 

「あ、あの………貴方は、いったい?」

 

 諏訪子様も神奈子様も本物の神様です。それなのに、お二人の能力を完全に押さえつけてしまうなんて………

 

「俺はパラド。バグスターウイルスだ」

 

 これが、私がパラドさんと初めて会った、一番最初の初めまして。




ここからは少々早苗視点での過去編が入ります。

お読みいただきありがとうございました。
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