東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE   作:桐生 勇太

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お久しぶりです。今回は話し合いがメインですが、楽しんでいただけたら幸いです。


第32話:掴めない人

 早苗視点

 

「んで、その結界とやらがぶっ飛んで、外の世界がどうたらこうたらの大混乱が起きて? ようやく収まって一息ついてたら俺が落ちてきた、と………」

 

 男の人………もとい、パラドさんは「超怪しいなぁ、俺」と言ってヘラヘラと笑っています。

 

「つまり、あんたは外の世界から来てはいるけど、異変には無関係ってことかい?」

 

「ん~あるなしで言えばあるとしか言えないな。川の上流から人間が流れてきたとして、そいつに「お前が流れてきたのは川と関係あるか?」って聞かれたら大体誰でも返事はYESだと思うぞ」

 

「つまり、関係はあるけど主犯でも元凶でもない、と」

 

 神奈子様が言葉を返すと、パラドさんは「そうそう」と何度もうなずきます。ですが、この人が神奈子様や諏訪子様と言った神様と同等もしくはそれ以上の力を持っているのは明白で、油断できません。じぃっと見つめていると、パラドさんはむずがゆそうに肩を揺らし「そんなににらむなって、早苗ちゃん」と馴れ馴れしく肩に手を置こうとしてきます。

 

「貴方の力が外の世界でどれほどのものかまでは分かりませんが、少なくともここ幻想郷では明らかに上位種に食い込む次元の強さなんです。だから、貴方が結界を破った可能性もまだ捨てきれません。にわかに信じるのは難しいです」

 

「まあ我ながら規格外だからなぁ、俺。 でもさっきから言ってる破られただの壊されただの言ってる「ハクレー大結界」ってのはなんなんだ?そう簡単に壊れちまうようなヤワな結界だったら、こんなに騒ぎにはならないよな? 意外と偉大なもんだったり?」

 

 それを聞くと、神奈子様は「あたしも概要くらいしか知らないんだけどね」と前置きして、話し始めました。

 

「博麗大結界は、幻想郷全体を覆う巨大な結界で、外の世界と幻想郷の行き来をほぼ不可能にしているのさ。ただし、結界と言っても蓋や壁みたいに覆ってるわけじゃなくて、なんて言うか、進もうとしても気付いたら元の場所に戻っている的なやつで…」

 

「んああ、道を一本でも間違えたら入り口に戻される迷いの森的な奴か」

 

「ただ…それは意志を持って進んでいる存在の進みを妨害する役目しかもっていない。つまり…」

 

 神奈子様がそこまで言うと、パラドさんは「なるほど」と一つ頷き、疲れたように天井を見つめてため息をつきました。

 

「逆にいえば意志を持たない太陽の光だの、雨だの、隕石だの、レーザーだの………そのレーザーに巻き込まれて一緒に吹っ飛ばされてきたような俺だのは通しちまう、と」

 

 そこまで言ってから、パラドさんは「ん?」と眉間にしわを寄せ、過ぎに「あん?」と気の抜けたような声をあげました。

 

「ちょい待ち、結界に直接の防護機能が無いなら、レーザー(デウス・ブレス)で壊れようがないだろ。結界崩壊で異変起きたって、その話が成り立たないぞ」

 

「いや………まあ、ミラクルと言うか、不運と言うか………」

 

 なんと言えばいいのか、と頭を悩ませる神奈子様。確かに、あれは不幸中の不幸でしたからね…幻想郷に住んでいいるほとんどの方々も、口をそろえて「いや、流石にそれはできすぎてる」とおっしゃってましたし。

 

「神奈子様、私が言います。博麗大結界を維持している博麗神社、そこが件の光線の着弾地点です」

 

「いや、流石にそれはできすぎてる」

 

「言うと思いましたよ。もう…」

 

「ミラクル過ぎるだろ。え? マジで? そんなことあるのか? 神社吹っ飛んじゃったの?」

 

「いえ、無事です」

 

「………どゆこと?」

 

 パラドさんはいよいよ混乱した様子で、悩んだ風もなく呆然と天井を見つめています。思考を捨てましたね。この人。

 

 実際は神社そのものに直接的な力はなく、結界の維持に必要なのは博麗の巫女と博麗神社周辺の木々となっていて、神社そのものは乱暴に言ってしまえば箱に過ぎないのですが、このことを丁寧に説明しても結局「直接の力がない神社とか無益過ぎない?」とさらなる混乱を招いてしまいました。

 

「………なんだかよくわからないけど、神社は無事で、そこに住んでた人も無事。代わりに周りの木々の一部が吹っ飛んだ。それで一時的に結界がダウンした…ってことか」

 

「そうなりますね。…それで、パラドさん、あなたは本当に今回の異変の元凶ではないんですね?」

 

「しつこいな。何度も言ってるだろ? 俺は後部座席で寝てた(レーザーで飛ばされて来た)だけ。轢き逃げ(結界破壊)の責任なら、運転してたやつ(撃った張本人)に言ってくれ」

 

「元凶ではない…その証明はできますか?」

 

「本当に俺が結界を破ったor破る力を持ってるかって話か? 逆に聞くけどさ、中肉中背の男がいたとして、そいつが「俺かなずち(泳げないこと)なんですよ」と言ったとするよ。そいつに「本当に泳げないと証明できますか?」と聞いてどう証明させるわけ? 川に突き落として溺れさせても故意に浮かんでこなかった可能性もあるよ?」

 

「………確かに、不毛な質問でしたね」

 

「だから、【結界を破るほどの力はあるかもしれないし、無いかもしれない。そもそも破ろうとも思わないし、事実破ってもいない。そしてその証明は俺が結界を破らなきゃできないが、破ろうとも思わないし、破れるほどの力があるかどうかも分からない】俺が言えるのはここまでだな」

 

 神奈子様はつまらなそうに欠伸をし、「フワついた弁明さね」とだけ言って立ち上がり、部屋から出ていこうとします。

 

「え…神奈子様、よろしいのですか?」

 

「顔を合わせてみて、悪意だの敵意だのは感じなかった。嘘をついてる感じもね。まあ…よほど意を隠すのが達者って可能性もあるが、無害って判定でよさそうかねぇ」

 

 神奈子様がそう言うのなら…と自分を納得させ、「俺、もう行っていいのか?」と聞くパラドさんに簡単に謝罪とお別れの言葉を済ませ、外まで軽くお見送りをしました。

 

「行かせちゃってよかったの? 神奈子」

 

「諏訪子、あんたの危惧も分かるけどあれくらいならいてもおかしくない程度の戦力さね。能力特価で、純粋な力が無いと考えるならよりいてもおかしくないさ。あれ以上引き留めても何も新しい情報は入りそうにないしね。さあ、早苗、夕餉(夜ご飯の意)にしようか」

 

「わかりました! 腕によりをかけさせていただきます!」

 

 なんだが多少バタバタもしましたが、これで一応いつもと同じの日常が返ってきました。奥のお台所に行ってお鍋を引っ張り出していると、急に大きな揺れが神社の庭から響きました。

 

慌てて向かうと、地面に巨大なクレーターのようなものができていてもうもうと土煙が上がっています。あまりのことに呆然としていると、土煙が不意に霧散して中からパラドさんが顔をのぞかせました。

 

「痛って~な………急に何なんだよ、お前!」

 

 明らかに不機嫌な様子のパラドさんが大声で叫びます。一体どういうことかとパラドさんが睨んでいる方向に視線を向けて、再び私は茫然としてしまいました。

 

「ゆ………勇儀さん!?」

 

 そこには、楽しそうに肩をほぐしながら凶悪な笑みを浮かべる星熊勇儀さんが立っていました。




お読みいただきありがとうございました。

博麗神社ェ………

※星熊勇儀と言うキャラクターについては、次回のお話で詳しく書きます。
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