東方仮面ライダーパラドクス GAME IS ANOTHER STAGE 作:桐生 勇太
屋敷の奥に逃げ込んだ妖夢を追うべきか放っておくべきか首をひねっていると、不意に上空から声が降りてきた。
「素敵な演武だったわ。もうおしまいなのかしら?」
「いつから居た?」
「貴方が足を取られて転んだあたりよ」
「狸が。初めから見ていたろう」
何のために武器を渡したのかと思っていたが、やはり俺の稽古を盗み見るためか。
「あらあら、もしかしてバレてたのかしら? もしかして、妖夢の事も?」
「お前があまりにも堂々と見てきたせいで、あの小娘には気づかなかった」
力量でも推し量ろうしたと言うのか。何はともあれ稽古は見せつけるための物ではなく自分の研磨のためにある。走り込みや腕立てもやろうと思っていたが、見世物になるつもりは毛頭ない。
刀を鞘に納め、屋敷の奥に引っ込もうとすると、肩口にそっと幽々子の手が添えられた。
「気を悪くしたかしら、ごめんなさいね。悪気はないのよ、ただ………」
「理由があるのなら、何よりも先に言え。見学や観察でもしている気だったのかもしれんが、ただ見ているだけでは盗み見と同じだ」
「明日、私が貴方を呼んだらまたここにきて頂戴。それまでは屋敷の奥の奥、私の部屋にいてほしいの」
「どういうことだ?」
隠れていろ、ということか。だが、俺は今はここの使用人の一員。時が来るまで隠れていて、合図があったら出てこいなど、まるでパーティーのゲストではないか。
「いつもはここで妖夢が修行してるのよ。今日は貴方が先にやったけど、明日は妖夢にやらせてあげて頂戴」
「それは分かった。だが、ならばなぜ俺はお前の合図に合わせてここに来る必要性がある?」
「あの子、修行に熱中すると周りが見えなくなるのよ。………あの子の修行を、見てあげてほしいの」
「俺は人に物を教えられるほど一人前ではない。俺もまだ修行中の身だ。その要望には応じかねる」
剣帝竜戦士、などと言えば聞こえはいいが、結局のところ刀を持って一週間足らずの素人だ。そんな俺が弟子を取るようなことなど、冗談抜きで50年早い。
「アドバイスだけでもいいの。………ね、お願い」
「………………恩人の主の頼み……か………仕方ない。………だが、ろくでもないことを口走るやもしれん。それこそ、「お前に剣は扱えない」だの「才能が無いから無駄だ。やめてしまえ」と言う可能性もある。それでもいいか」
「いいわ。どんなことでも、正しいことなら、きっとあの子にとって良いこととなるはずよ」
「分かった。では明日、あの小娘の修行を見よう。俺がどんなに情け容赦のないことを言っても、文句は受け付けない。だが、絶対に得る者があるよう、心がけよう」
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