手紙を読んだワルイージは急いでキノコ広場に向かった。広場の中央には一人のキノピオと、赤と青をパレットの上でぐちゃぐちゃにかき混ぜたような色の不気味な土管がぽつりと存在していた。
「貴方がワルイージさん?」
キノピオの質問に対しワルイージは首を縦に振る。どうやらこのピノキオはワルイージのことを知らないらしい。
「手紙を書いたピノキオはいないのか」
キノピオは少しの間黙り込み「彼は忙しいので代わりに私がワルイージさんの案内をすることになったのです」と答えた。ワルイージは続けて、
「その土管にデイジーやキノピオたちが入って帰ってこないのか?」
と尋ねた。キノピオは今度は直ぐに「そうです」と答えた。そして、
「僕は非力なため一緒にその土管に入ることは出来ませんが、ココから皆さんの無事を祈っています」
キノピオは悔しそうに拳を握りしめる。よく見るとキノピオの目は充血していて、随分と疲れているようにも見えた。きっとこいつも仲間の為に色々したのかもしれない。
「後は俺に任せとけ」
そう言ってワルイージは土管の中に姿を消した。
一人きりになったキノピオはキノコ広場のすみにあるゴミ箱を蹴飛ばした。すると中からはキノピオと全く同じ姿をしたキノピオがロープで体をグルグル巻きにされていた。
「んーんんんーんー!」
「お勤めご苦労さん、ま、別にデイジーやキノピオ共が生きていようが死んでいようがどうでもいいのサ」
さっきまでワルイージと話していたキノピオ(?)の雰囲気が変わった。
「ただね、マリオなんかが来たらこっちもお手上げだったかもしれないけどサ、明らかに下位互換のワルイージだったから安心しだけど」
キノピオ(?)の目が深紅に染まる。
「だけど念には念を入れないと」
すると何もなかったはずの場所から黒い土管が現れた。
「ハプニングが起きたらたまったもんじゃないからサ」
★★★
時を同じくしてとあるゲッソーが海水浴を楽しんでいた。
「やっぱりシラレズビーチは観光客が一人も来ないから、ヌルメの休憩タイムをゆっくーり過ごせて大変満足ヌメー」
このゲッソー名前をヌルメという。ビーチベッドに寝そべりながら優雅にココナッツジュースをチビチビと飲みつつぬるーく流れる時間を楽しんでいる。
彼はいつも黒い逆三角形のサングラスを身につけている。そのため周囲からはチャラいゲッソーだとか弟とは正反対でだらしがないという風に思われていた。
お日様の光を浴びながら全身を焼いていると、シラレズビーチに相応しくない大声が聞こえてきた。
「何だか知らないけどやめて欲しいヌメね。そううるさくすると海から凶暴なモンスターが来ちゃうヌメ」
そう。このシラレズビーチ、誰も知らないから静寂を保っていたわけではなく、静寂を保たなければ不都合があるため人気がなかったのである。
あと、ヌルメには残念なお知らせであるが彼の休憩タイムはもうすぐ終わる。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
ヌルメは声がどこからするか気がついた。空だ。
バッシャーンと海に向かって落ちていく人型を眺めつつ近づいてくる戦闘に嫌気がさした。
「観光客向けに人間大砲でも始めたヌメか?迷惑な話ヌメ。ヌルメのモットーはぬるい生活をヌルヌル楽しむってはずなんヌメが………」