「ただいまー」
「ただいまぁ」
俺が先陣を切って家に入る
「あれ?お兄ちゃんとママ一緒だったんだ」
リビングから、ショートヘアーの女の子が顔を出す
アイスは食べ始めたばかりなのか結構残ってる
俺の2つ下の妹、天野 優奈だ
「あら、優奈ったら、朝からアイスなんて食べて…太るわよ」
「余計なお世話です〜」
優奈は顔を引っ込める
「すみませんねぇ、高島さん…どうぞ」
「ふふ、仲のよろしい家族なんですね。お邪魔します」
こちらですといい高島さんをリビングに案内する
「優奈ー。ちょっと、俺と母さん、父さんでこの、高島さんと話があるから」
「うわっ、すごい美人…じゃあ、部屋に戻るね」
「いや、いてもらって問題ないですよ」
「そうですか…父さんどこいる?」
「パパは部屋でなんかしてたよ」
「おっけ、ありがと。お前はアイス早く食べちゃえよー」
呼んでくるねと伝えて、親父の部屋に向かう
何してんのかなー
「父さん、ちょっと話が」
ノックをして扉を開ける
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は大声を上げた
「どうしたの!?お兄ちゃん!」
優奈が走ってきた
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
優奈も悲鳴をあげた
「あらあら、2人ともどうしたの…って、あなた」
はぁとため息をついた
「服の試着をするときは張り紙しといてって行っといたじゃない?」
「すまんすまん」
俺たちが驚いたのは仕方がない
父さんの部屋を見たら、とても美形な女性がいたのだから
その、女性がごめんと手をあげる
否、女性というのは正しくない
だって、それは、綺麗にメイクまでして女物のドレスを着て、パッとまで入れた俺の父親なんだもん
俺の父親は、デザイナーの仕事をしてある
そのための、このような格好をしていることがあるのだが、邪魔しないようにと、毎回、鍵がかかっているか張り紙があるから見ることはないのだが
でも、実際、父はかなりかなりの美形で、普通の服着てメイクしたら女性と間違うのではないかというレベルだ
こんなことをしているが、昔は甲子園に出てたと言うのだからさらに驚きだ
今でも、尾張のプリンス調べると父の野球している姿が出てくる
黄色い声援はすごかっただろうと思う
まぁ、それが、俺の野球との出会いだったんだが
「あなた、お客様が来ているから着替えてメイク落としてリビングに来て」
「はいよ」
そう言って俺たちの背中を押して外に出す
「あなたたちも、大きな声出して」
「「ごめんなさい」」
そう言って俺たちはリビングに戻った
それから、父さんは15分後に来たが遅いと母さんに制裁を受けていた
日常風景に高島さんは少し引いている
「お見苦しいところをお見せしました」
「い、いえ…」
まぁ、初めて見た人はびっくりするかんなー
しょうがない
「それにしても…尾張のプリンス…いや、今は、ファッションデザイナー 天野 天聖さんに会えるとは思ってもいませんでした」
「あなたみたいな若い女性に知られているとは…光栄です」
と言って、父は名刺を渡した
父さんは、何があったのか、ファッションデザイナーになった
プロの話が来てたのにね
渡された名刺をしまうとこちらに向き直る
「さて…改めて…青道高校 野球部 副部長 高島 礼です」
名刺を渡してくる
何しにきたんだろ
「単刀直入に言います」
真剣な顔をしている
「天野 翔君…青道高校で野球をする気はない?」
「はい?」
何を言い出すんだ急に
「翔君の試合はたくさん見させて貰いました」
「それはそれは」
「その中で、私は、あなたの力に惹かれたんです。あなたなら、ウチを悲願の甲子園に連れて行ってくれると…」
「…」
急に言われても迷うよ
「野球特待生と言う制度をしっていますか?」
「はい」
あの、入学金とか授業料とか免除になるやつだろ?
「上と話し合った結果、あなたなら、特待生でとってもいいという話になりました」
「俺が特待生…」
「そうだわ…あなたがうちの新入生の代表になるってこと。その力を、私たちのために使ってくれる気はない?」
青道高校…
強い
そこなら俺もより高みを目指せると思う
でも、遠征とかめっちゃお金かかるんだろ?
親に負担をかけるわけには…
「翔…」
「父さん?」
「お前の小さい時の夢…覚えてるか?」
「え?」
俺の小さい時の夢?
なんだろう
「お前は、青道高校で甲子園連覇するって行ってたんだぞ」
「え?」
そういえば、そんなことがあった気もしないではない
「知ってるんだぞ…朝練の時、青道の練習を食い入るように見てたことも」
「え、」
「だったら、お前の答えは出てるんじゃないか」
俺の答えか
「お前のやりたいようにしろ」
「そうよ、翔、人生は一度きり…やりたいことをやりなさい」
「あれ〜お兄ちゃん…もしかして寂しいの〜?ほら、うりうり」
両親が優しすぎてナミダがでそうだ
優奈は、優奈なりに背中を押してくれている
脇をつつくなとは思うけど
「高島さん」
「なに?」
俺は決意を口にする
「俺なんかの力でよければ…特待生の話、お受けします!」
「そう!よかった!」
少し嬉しそうな顔をしている
「書類は後ほど郵送しますね」
「はい。うちの翔よろしくお願いします」
俺達は頭を下げる
「翔君…あなたには一度、うちの練習を見て貰いたいと思うわ」
「はい、まじかで見られると思うとワクワクします!」
あの中に入れる!?
嬉しい
「もう1人候補の子も一緒に見学させたいから、3日後、大丈夫?」
「はい!大丈夫です」
そんなに早く見れるのか
わくわく
(いい目をしてるわね…)
高島は、そう思っていた
「それでは、3日後、青道高校正門前に8.00に集合でいいわね?」
「はい!」
「では、失礼します」
高島さんは荷物を持ってうちを後にした
俺の野球道はやっとはじまりをむかえた