以前作ってたお話ですが、改めて原作をプレイし直してから、そのうち書き直そうかと考えてます。
今回の話は第1話となりますが、基本的には原作のFGO遵守となってます。
多少は変えますけどネ
世界が燃えている。
土地は焼け、空は燃え、星の瞬きさえ見ることは叶わない。
暗雲の中、燃える炎だけが
瓦礫に埋もれ、その人類史の終焉を迎えようとしているその中でも……
ーーーーー目が覚めた。
ーーーーー欠けた
目を覚ますと見知らぬ天井だった。
どうやら床に倒れて寝ていたようだ。
いや、知らないわけじゃない。見慣れてないだけだと思い返す。
状況を思い返してみよう。
名前は……
ここは……どこだっただろうか。
あぁ…そうだった。
ここは、「人理継続保証機関フィニス・カルデア」だ
簡単なシミュレーターを受けたあと急な眠気で倒れてしまっていた。
その前は……
太陽系最古の遺物。量子コンピュータによる巨大な演算装置。ムーンセル・オートマトン
そこではその時代における
岸波白野もその魔術師の1人であった。
月に招かれた128人の魔術師は、それぞれがマスターとなり、パートナーであるサーヴァントを用いてトーナメント式に勝ち上がっていくバトル方式の聖杯戦争。
サーヴァントは、人類史おいて伝承などから語り継がれた者、または過去において偉業を成し遂げた「英雄」を7つのクラスに当てはめて使役する最高位の使い魔のことだ。
クラスは
そこで俺…岸波白野はサーヴァント……うまく思い出せない…が、そのサーヴァントと共に聖杯戦争を乗り越え、熾天の檻に辿り着いたことで聖杯戦争の勝者となり、願いを叶えることとなった。
過去のあらゆる情報を記録として持ち続けるムーンセルの内部で、俺は自分の過去について知ることになった。
自分の過去、どのようにして月に来たのか、魔術師にどうしてなったのか…そして、地上の俺の肉体の全てもーーー
そして、聖杯戦争の勝者には、ムーンセルで自分の願いを入力する権利が与えられる。
願いなんて決まっている。
「2度と、聖杯戦争をしないこと」
それをムーンセルに入力しようとした。
しかしーーーーー
ムーンセルはその願いを受け入れる前に、ムーンセルは地上の…いや、過去の西暦における異常を観測した。
月の聖杯戦争が行われる西暦2030年よりも過去、西暦2015年の地球上における人類史が焼却され、2016年以降の人理が継続出来なくなるという。
人理が焼却されたままだとどうなるのか。
それは、今岸波白野が生きている時代そのものが消えてしまうことになる。
そうなってしまうと、今までサーヴァントと培ってきた絆、ここに至るまでに闘ってきたマスターやサーヴァントの想いまでもが消えてしまう。
サーヴァントとの記憶が曖昧でも、ここまで勝ち残ってきたサーヴァントとの記憶は身体が覚えている。
ーーーそれでも、やはり君は戦うのか
欠片のような声が聞こえた気がした。
闘うしかない。
岸波白野に出来るのは、いつだって前に進むことだけだ。
今は共に闘う
眠りかけた意識が再び覚醒される。
身体に再び力が戻ってくる。
ムーンセルは地上の観察を続けるために、古いムーンセルの最後の記録にある最後のマスターを西暦2015年に送り出した。
……そうだった…あのあと一瞬のような出来事だったから、自分に何が起きたのか混乱してしまったようだ。
身体を起こす。周囲を見回すが自分以外誰もいない。どうやら2015年の地上において、岸波白野の身体は正常に動くようだ。
おそらく、ムーンセルが今動く最適な肉体を選定し、岸波白野としてこの時代に送ってくれたのだろう。
「おや、まだこんなところに候補生が残っていたとはね」
声をかけられ顔をあげると、長い髪を肩まで伸ばし緑色のスーツを着込んだ男性が話しかけてきた。
えっと…
「おっと、これは失礼した。私はレフ・ライノール。このカルデアで技術顧問をしているものだ」
その細い目からは彼の考えを読むことはできないが、その柔らかな物腰はきっと善人なのであろうと思わせる。
「君は…ふむ…岸波白野君か…最後のマスター候補生だね?
早くしないと、所長の説明会に遅刻してしまうよ?」
首からぶら下げていた入館証兼名札を見て彼は言った。
説明会…たしかにそのような話があった。人理焼却が実証されてしまう前に、それを解決するために、この時代におけるマスター適正という数値が高い者をマスター候補生と呼び、このカルデアに集結させて事態を解決するという…そのための説明会が司令室で今からやるらしい。
少しばかり身体の重さは抜けないが、管制室に急ごう。
管制室の重い自動ドアが開く。
中は厳粛な空気に包まれ、今の状況がとても切迫しているという気概が伝わってくる。
しかし、どうやら俺はここにたどり着くのは遅かったかもしれない。
「…っ!そこのあなた!この私がせっかく説明するというのに、遅刻してくるなんてどういうつもり!?」
扉を開けるなり怒られてしまった。
銀髪をなびかせた女性が苛立つような足音を立てつつ強引に引っ張るように俺の入館証をチェックする。
「岸波白野…あぁ、48人目のマスター候補生ね。
こんな一般人に聞かせる説明なんてありません!
即刻立ち去りなさい!」
あらぬ罵声を受けながら管制室を追い出されてしまった。
無理やり中に入るのも良くない。それこそ、今の人になにをされるかわかったものではない。
仕方ない。ここはーーー
「はーい、入ってま…ってええっ!?誰だい君は!
ここは空き部屋だぞ!僕のサボり場だぞ!?」
マスター候補生には1人1部屋マイルームが与えられる。
事前にもらっていたマイルームの部屋のドアを開けた途端、この仕打ちである。
部屋の奥のベッドの上で、オレンジの髪をポニーテールに束ねた男性がノートパソコンを構えながらこちらに驚いていた。
カルデアは…いや、月もこんな感じだったかもしれない。
「なるほど…事情はわかったよ。突然大声を出してすまなかったね。」
落ち着きを取り戻したようで、彼は自らをロマニ・アーキマンと名乗り、わざわざこちらに来客用の椅子を出してコーヒーまでいれてくれた。
「一応、医療班のトップでね。みんなには、ドクターや、Dr.ロマン、なんて呼ばれてるよ。
僕は気に入っていてね、
思わず笑みがこぼれる。このDr.ロマンという人物はわりと気さくな人なのかもしれない。
「ところで、君も災難だったね?
ここにいるということは所長の逆鱗に触れてしまったのだろう?」
所長…さっきの女性のことだろうか
「そう。カルデアの現所長にして、時計塔の天文科であるアニムスフィア家の当主、オルガマリー・アニムスフィア。彼女が今のカルデアのトップさ。
所長はとても気難しい人でね、まぁ運がなかったと思うしかないね。」
運がなかった…そう言われてしまえばそこまでだが、それ以上は何も言えることは無かった。
だけど、なんの説明も受けることができなかった。このままでは、人類史焼却を防ぐためになにをすればいいのかすらわからない。
「そうか…説明を受ける前に追い出されちゃったんだね…それじゃあ、代わりに僕が説明するよ。」
それからロマニは今現在のカルデアに起きていること。管制室に設置されている擬似天体型観測装置や、近未来観測レンズなど、また、日本の地方都市において2004年までに観測されなかった歴史の歪みー特異点ーについてなど、そのためにレイシフトという擬似量子変換によりタイムスリップに近い形で特異点を修復する、というものだ。
「そのために、時計塔の優秀な魔術師や、マスター適性の高い一般人をかき集めて、ようやく48人のマスターを揃えられたということさ。」
なるほど…
自分はその寄せ集め枠に入った一般人ということなのどろう。
月の聖杯戦争においても、とても優秀なウィザードだったとは言えない。
それならば、一般人枠で入れられる方が、凡人である岸波白野にとっては負荷にはならないだろう。
それから少しばかり、ロマニと簡単な話をした。
なにもない。ただ食べてるお菓子が以前日本に旅行した時に好物になったとか、コーヒーの豆の僅かなこだわりとか、そんな傍からみれば、取るに足らないような話だった。
ふと、通信の呼び出し音が鳴った。
『ロマニ、管制室に来てくれないか。』
それはレフからロマニに対しての通信だった。
ロマニは簡単に「やぁレフ、どうしたんだい?」と返すと
『これからレイシフトを行うのだが、Aチーム以下何人かが精神的に不調を起こしてる可能性がある。
君、今は医務室だろう?そこからなら2分あれば来られるはずだ。頼んだよ。』
そこで通信は切れた。
ちなみにここは医務室ではなく、岸波白野のマイルームである。
とても2分で管制室までいける距離ではない。
「あはは…ま、仕方ないさ。僕はそれなりに階級のあるメンバーだからね、少しくらい遅れても構わないさ。」
それは無責任なのでは…
しかしロマニは気にすることなく部屋のドアを開けようとした。
途端ーーー
激しい地響きのような音が聞こえた。
『緊急警報。緊急警報。管制室にて火災発生。正面ゲート封鎖。緊急ゲートより職員は直ちに避難してください。繰り返しますーーー』
火災…!?
ということは、今の地響きは爆弾かなにかだろうか。
「か、火災だって!?
すぐに向かわなくては…!岸波君!僕は管制室に行く!君はすぐに避難してくれ!」
早口に伝えるなりロマンは出ていってしまった。
緊急を伝えるサイレンなどの音が、事態の深刻さを教えてくれる。
自分はーーー
「き、岸波君!なんでついてきたんだ!?」
ロマニの後を追いかけてきたらやはり言われてしまった。
当然の叱責ではあるが、岸波白野はそれを見殺しにすることはできない。
なぜなら、一般人枠として参加したのなら、それこそ自分は名も無き一般人の代表なのだ。管制室にはレイシフト待ちのマスター候補生がたくさんいたはずだ。それを見捨てていけるはずがなかった。
そこはまさに地獄だった。
管制室のドアを開くと、崩れた瓦礫の山や炎が重なっていて、もはやそこに人が生きている可能性はないに等しかった。
死ーーー
死だけがそこにあった。生物の存在を許さず、生物の介入を許さないその空間は、地獄と呼ぶにふさわしいものだった。
「くっ…なんでことだ…管制室のコントロールは…!」
ロマニは管制室を出て、その真上にあるコントロールルームへと走る。
自分はそのまま、生存者が1人でもいてほしいと願いながら歩を進め奥に入っていく。
「岸波君…!?」
ロマニが制止するよう呼び止めるが、それは些細なことだ。
まだ誰かいるかもしれない。可能性は低くても、今の自分に出来ることはこれしかないのだから。
管制室の中央付近に来る頃には火の手が大きくなり、退路はほとんど立たれてしまった。
瓦礫も多く視界は悪い。
ーーー忘れるな。地獄から
そんなことを、聞いたことがあったかもしれない。
ここまで生存者は見ていない。
地面に横たわる者。瓦礫に埋められてしまった者。レイシフト前のコフィンに入れられて危篤状態の者。
今、ここに生者と呼べるものはなかった。
『管制室ゲート封鎖します』
火の手を止めるためだろう。出口がなくなってしまった。ロマニではなく、プログラムの自動処理かもしれない。
つまり、岸波白野はこの部屋から出る術を失ってしまった。
これもまた運命なのだろうーーー
志半ばにして倒れるには、あまりにも呆気なさすぎる。いや、人間の命というのはそれこそ呆気ないものだろう。それは月で何回も見てきた。だけど、呆気ない命でも、浅ましくても生きようとするから人の命は尊いのだ。
ーーー
ーーーいや、まだ終われない
手の甲が疼く。そこにはかつて見た、サーヴァントとの絆の証。
令呪が浮かんでいた。
月の海をサーヴァントと共に歩き、マスターである証として刻まれたモノ。
こういう時、呼べば来てくれるだろうか
そういう思考が頭をよぎる。令呪ならば通常不可能な奇跡も起こすことが出来るであろう。
令呪の使い方なら知っている。
だが、この生者の存在を許さない空間が、岸波白野から酸素を奪い、その叫びを奪っていた。
もはや意識を保つことさえ難しい。
『管制室内の生体反応検索ーーー承認。
マスター候補生No.48、岸波白野をマスターとしてレイシフトを行います。
座標、1月30日2004年日本、冬木……
アンサモンプログラム始動…
レイシフト起動します…』
「マ……ター…ッ…スタ…!」
声が聞こえたような気がした。懐かしく、でも今まで傍にいたようなその声は…
薄れゆく意識の中、自分に向かって伸ばされる小さな手に手を伸ばしていくーーー
特異点F
炎上汚染都市 冬木
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