今は、冬の真っただ中。
学校が終わり、私は勇者の家で邪王真眼とこたつに入ってくつろいでいた。
勇者は当番があるそうでまだ帰ってきてない。
「ねぇ、邪王真眼。最近勇者と何か変わった事とかないの?」
「別にない。私と勇太はそこら辺の恋人ではなく、上級契約によって結ばれている。よって、 何もしなくても毎日が非日常と言えるだろう。」
そんなこと言って、このまま自然消滅とかにならないかな…
まぁ、勇者と邪王真眼なら大丈夫とは思うけど…
そうだ!いい事思いついた!私の家で勇者と邪王真眼を二人きりにしよう!
でもそれだけだと何も起きないだろうから、ちょーっと色々しかけさせてもらうよ!
「そういえば、勇者遅いねぇ。もしかして寄り道してるとか?」
「うっ、勇太は契約者。わたしを放っておいてどこかに行くなんかあり得ない。」
ガチャ
扉が開く音がした。
勇者が帰ってきたかな?
「六花~、帰ったぞー」
やっぱり、勇者が帰ってきた。
「勇太、お帰り」
わたしは邪王真眼に重ならないように身をずらして、勇者にあいさつする。
「やっほー、勇者!お邪魔してるよ。」
「七宮!来てたのか。言ってくれたら、何か用意したのに」
「いや、もう帰るとこだったからいいよ。別に、用があったわけじゃないからね」
勇者も帰ってきたし、いたずらの準備をしないとね!
「そうか、気を付けて帰れよ」
「うん。って言っても、この上なんだけどね。」
こたつから立ち上がって、扉に向かって歩き出すと
「七宮、またな」
「また、いずれ近いうちにお前とは邂逅するだろう。ではな」
「にーはっはっはっは!次会う時を楽しみにしておくといいよ!さらば!!」
そして私は自分の靴を履いて勇者の家から出て、階段を上がって、自分の家に入った。
翌日の朝
「にーはっはっはっは!ついにできたよ!部屋が一部屋余っててよかったよかった。あと
は、この一度閉じたら中からは開けれない、仕掛けいっぱいの部屋にどうやって勇者と邪王
真眼を呼ぶか、なんだけど…。まぁ、部屋の掃除とか言ったら来てくれるよね!」
さて、徹夜したせいでちょっと眠いけど学校に行かないとね。
ふぁぁ…これは、学校で寝ちゃうかも… あ、勇者にメール送らないと。
『悪いんだけど、今日の放課後、部屋の掃除を手伝ってくれない?』
送信と。
それから数分後、ピコーン! メールが帰ってきた。
『わかった。それにしても、七宮が頼み事なんて珍しいな。』
とりあえず、第一段階成功!
えっとー、次は、
『うん、ちょっと重たいのを運びたいからね。あと、邪王真眼にもお願いできないかな?量 も多いから人手が欲しいんだよね。』
送信と。
今度はさっきよりもちょっと早い感覚でメールが帰ってきた。
『六花もいいってさ。じゃぁ、今日の放課後、七宮の家に行けばいいんだよな?』
『うん、それじゃよろしくね。』
ふぅ、これで勇者と邪王真眼へのサプライズができる。
今更だけど、勇者が家にくるってちょっと緊張しちゃうな。
学校が終わった。
さぁ!今から作戦を始めるよ!!
まだ、勇者たちは来てないから、もうちょっと待つんだけどね。
ピンポーン
「七宮~!掃除、手伝いに来たぞー!」
ガチャ
「待ってたよ、勇者!って、あれ?邪王真眼は?」
目の前には、邪王真眼の姿はなく、勇者一人だけだった。
「六花のやつ、今日提出の宿題やってなかったみたいでさ。待たせたら悪いと思って、先に俺だけでも来たんだ。六花は宿題が終わったら、すぐに来るってさ」
な、なな、なんと!これはとんだ誤算だよ!! 勇者と邪王真眼が一緒じゃないなんて、考えてなかったよ!
「ふ、ふーん。そうなんだ」
どうしよう!どうしよう!!
「何か、重いの運ぶんだろ?六花が来る前にさっさと終わらせようぜ」
ここで、やっぱ、明日にしようなんて言ったら怪しまれるよね。
「う、うん。じゃぁ、こっちの部屋だからお願い」
さきに勇者だけ部屋に入れて、邪王真眼が来たらすぐに入れよう! うん!これで、予定通りにすればいいんだよ!!
「この部屋にあるタンスを外に出してほしいんだけど…」
部屋の扉のドアノブに手をかけて、扉を開ける
「なんだ、思ってたよりきれいじゃないか」
「その、タンスが一人じゃ持ち上がらなくて…」
「あぁ、なるほど。確かに重そうだな。じゃ、俺はこっち持つから七宮はそっちを持ってくれ」
「あ、うん。わかった。」
わたしは勇者が持っている方とは別の方からタンスを持った。
「せーのっ!」
ガチャ
「あ!あぁぁぁぁ!!!!!」
「どうした!?」
「どうしよう!扉が閉まっちゃったんだよ!!」
「なんだそんなことか。また、開けて何か物でも置いて、閉まらないようにすればいいだろ」
「そ、そうなんだけど…」
開かないから、焦ってるんだよ!とは言えず…
「じゃあ、とりあえず下すから足元注意しろよ」
「う、うん」
タンスをそっと下して、勇者はドアノブに手をかけた。
「あれ、回らない?」
ガチャ、ガチャガチャ
「どうして、回らないんだ?」
「えっと~、実は…。中からは開けれないんだよ…」
「…は?」
「本当にごめん!こんなつもりじゃなかったんだよ!!」
「あ~、だから六花も呼んで二人が作業してるときに、もう一人に開けてもらおうとしたの か…」
あれ、変な理解してる。いや、でもこの方がありがたいからいいや。
「そうなんだよ!最初に説明すればよかったね…」
「いや、六花が来る前に終わらそうとした俺も悪いから、そんなに謝らないでくれ」
勇者のやさしさがつらいよぉ…
「まぁ、六花もすぐに来るだろうから、それまでの我慢だな」
「うん!」
「そういえば、このタンス何が入ってるんだ?」
「気になるなら、開けていいよ。大したものは入ってないし」
私がそういうと、勇者は一番上の扉に手をかけて開けた。
ばっあ!!
「うっわ!なんだこれ!!びっくりした…」
「にーはっはっはっは!引っかかったね!!勇者!」
中からはびっくり箱から出てくるような変な顔をした人形だった。
「なんでこんなのがはいってんだ!」
「私の新たな必殺技!その名もビックリヘッド!!だよ!」
ほんとは、これに邪王真眼が驚いて、勇者にくっつくはずだったんだけどね。
それから数分後。
「六花、遅いなぁ…」
「そうだね…」
わたしは震えていた。
すごく、すごく震えていた。
「にしても、この部屋寒いな」
実は、この部屋はいま、冷房を入れているからなんだよ!
「まぁ、冬だしこんなものか」
違うよ!冷房入れてるからだよ!!
「なぁ、七宮。なにか暖をとれるもの、毛布とかないか?」
「へ?あ、あぁ毛布ならタンスの一番下に入ってるよ。すぐに、出すね」
タンスから毛布を取り出して勇者に渡す。
「はい、どうぞ」
「一枚しかないのか?」
元々、勇者と邪王真眼が一枚の毛布にくるまる予定だったからね
「う、うん。でも、大丈夫だよ。わたし、暑がりだからこの程度がちょうどいいの」
「そんな嘘つくなよ!震えてるぞ!七宮が使え!!」
本当に勇者は優しいな…。
「勇者も震えてるよ!やっぱり、勇者が使って!」
「それじゃ、二人で使おう!」
「ええ!!何言ってるの!」
「だって、このままじゃ、どっちかが風邪ひくだろ!」
「うぅ、そうだけどぉ…」
私と勇者は背中をくっつけるようにして、座り、毛布に包まれた
本当は、いまこの状況になってるのは私と勇者じゃじゃなくて、勇者と邪王真眼のはずだったのに…。
「大丈夫か?七宮。さっきから、ずっと黙ってるけど。」
「だ、大丈夫だよ!?」
うぅ~、ダメだとはわかってるけど、少し嬉しいと思っちゃってる自分がいるよ…
「なら、いいけど…」
ごめんね邪王真眼…。
私、どこかでたぶんまだ、勇者のことが好きなんだと思う…
「……ねぇ、勇者」
「なんだ?」
「……邪王真眼のこと、好き?」
私は、いったい何を聞いてるんだろう… こんなこと、聞いてもなんの意味もないのに…
「急に何、聞いてんだよ!?」
「あはは…ごめんね!ほんと、何聞いてんだか…」
「…………好きだよ」
「……そっか」
やっぱり、わたしは勇者に恋してよかった。
自分の好きな人をちゃんと、好きって言えるなんてすごいことを簡単にできちゃう素敵な人は勇者以外、いないよ。
だから、これで諦めがつくから、もう少しだけこの状況をかみしめてもいいよね?
わたしは、少し体重を勇者の背中に預ける。 勇者は何も言わないで受け止めてくれている。
勇者の鼓動は少しだけ早くなっているのがわかる。
ふふふ、本当に素直だなぁ…。
ありがとね、勇者…。
私に恋を教えてくれて…
ピンポーン
「お、六花やっと来たな」
ガチャ
「勇太~、七宮~、どこ~?」
「おーい、ここだ!扉を開けてくれー!」
扉から光が差し込む
「おお、六花!やっと来たか!」
「なっ!勇太この状況はなに?」
「え?」
私と勇者は背中合わせになって一つの毛布にくるまっている状態のままだった
「いや、これは!」
「早く説明しないと、シュバルツゼクス・プロトタイプ Mk―2 が勇太に向かって暴発する」
「暴発することがわかってる上に、標的を定めているものを暴発とは言わない!」
「3…2…」
「七宮も何とか言ってくれ!!」
本当にまぶしいよ… 私はもう、二人の恋物語には出ないけど、それでも一番近くで見ていたいな…
「にーはっはっはっは!安心して邪王真眼!これはただの事故だよ!」
「うぅ、七宮がそう言うなら信じる」
「最初からそう言ってるだろ!!」
わたしは、邪王真眼の耳元で邪王真眼だけに聞こえるように
「でも、あんまり悠長なことしてると私がもらっちゃうからね」
最 後 に 一 つ だ け 、 小 さ な 抵 抗 を し た 。
はじめて、今回は中二病でも恋がしたいに出てくる七宮智音をメインに書きました!!
この物語を書きたいと思ったきっかけはアニメ版中二病でも恋がしたいで一番自分が好きなキャラだったのと、あまりにも七宮がかわいそうだったので幸せになってほしいと思い、 書きました。
まだまだ、拙い箇所があると思いますが、大目に見てください…
とういことで魔王で魔法な七つの聖地を司りし少女、七宮智音の話でした!!