9話 パラパラ杯、第二回戦の全戦
―はの5番VIPルームー
『さあ! 二回戦、第一試合。青龍の門よりネイル選手。白虎の門よりおたま男選手の入場です!』
《!!……パリンッ!》
「失礼します。お飲み物、御持ちしました」
《!?……カシャーンッ!》
「あ、大変! 二人とも、御怪我は御座いませんかっ?!」
シュリの解説の元、皆がネイルの入場を見る中メルが手にもったグラスを握り潰す。
そして、美樹が部屋に入室した女性給仕を見て目を見開き、持っていた料理が乗った皿を床に落とす。
女性給仕達は慌ててメルに駆け寄り、濡れた服を拭き割れたグラスを片付ける。
パンメイドが美樹の落とした皿や料理を片付けた。
賭けと観戦を楽しんでいるが、給仕としての仕事はしっかりとしているようだ。
一方、食器を壊した二人は、お互いの顔を見る。
〈メルフェイスさん気付いたの? お兄ちゃんのヤッタ事……〉
〈ええ、美樹ちゃんもなのね。常に側に居ると、気が緩るんだ時は遠目でも分かるのよ……あの
〈す、すごぉ~い。あのね、今来た給仕さんが、その相手だよ〉
〈ああ……彼女、可愛いですね。この短時間によくも、まあ……〉
(――あらあら、お二人は凄いのですね……私には分かりませんでした)
メルと美樹はコールの魔法で会話をして、ウィルの手癖の悪さを話す。
部屋に魔法使いが居ないと思い話して居た。
しかし、文月が陰陽技能を持ち、コールを使えなくても聞く事は出来る。
二人の情報交換を意外な形で仕入れる事ができた。
「ん……服、着替えましょうか。でも、その前に……ゴニョ、ゴニョ……」
(!? おいおぃ。この女も大概だの、どんだけ!)
(何? どうしたの? 魔樹ちゃん)
服にジュース浴びたメルフェイスは、料理で汚れた美樹と共に脱衣場にシャワーと着換えをしようと席を立つ。
ただ、その前に乙女を食らった外道に、オシオキすべく詠唱を開始する。
魔樹はメルの詠唱している魔法の正体に気付き、驚きと突っ込みをぼやく。
美樹には魔法の正体と意味が分からず、首を傾げる。
その間にも詠唱は進み、完了すると手を掲げ魔法を発動させる。
「ふぅぅー……メタル・ライン!!」
詠唱を終えて雷撃系の最上級魔法を放つ。
上空に打ち上げた雷撃の束は、収束されて一気に降下する。
稲妻は目標ブツに向かい一直線に落ちる。
「――うぎゃああぁぁぁ!!」
『こ、これは! 去年のウィング・シードマンの時と同じ!? いえ、それよりも強力な雷だぁ!!』
「きゃあぁー!? ネイルさん!!」
見事命中して、目標物は悲鳴上げて舞台に倒れ込む。
その情景を見て、シュリは去年に起きた奇怪な試合を思い出す解説を言う。
ウィルに食われ部屋に来たばかりの給仕は、雷に打たれ倒れるウィルを心配する。
ただ、他の面々は軽く身震いしている。
どう見ても、一般人には到底無理に思える強力な雷の魔法を躊躇なく放ったのだがら。
やっはり、ウィルの横に居るのは伊達じゃないと。
気分爽快になったメルフェイスは、美樹と共に脱衣場に着換えるために隣の部屋に向かう。
【コール】での会話を、文月が盗み聞きしていたのを【リーダー】で魔樹が読んだ為。
この先の話しは二人っきりですべきと、服の着換えを理由に部屋をでようとしたが。
「あ、日光さんも、良かったらどうぞ」
「え? いえ、私は「一緒に、行こうよ~♪」み、美樹様?……わ、分かりました」
今から向かう目的を思い出し、振り向き日光を誘う。
イキナリ呼ばれて困った様子で断るが、美樹の笑顔に圧され付いていく。
そこで、日光は二人に予想外の事実を知ることとなる。
―将軍VIP―
「――うぎゃあああぁぁぁ!!」
『こ、これは! 去年のウィング・シードマンの時と同じ!? いえ、それよりも強力な雷だぁ!!』
舞台での出来事を見ていた将軍達も、去年での奇怪な対戦を思い出す。
「むぅ? 確かにウィング選手の時と似てるが……確か、去年の大会後に死亡した筈じゃがの?」
「そうですね。それに、強力な雷撃系魔法にも見えましたよ」
バレスとエクスもシュリの解説に去年のウィング選手を思い出す。
しかし、決勝で明石火鳥蜂という赤髪の女性に負けて、次の日に遺体で見つかった。
何故か決勝戦の時、彼女には奇怪な現象は起きず、一方的にボコボコにされて負けたのだ。
死んだ筈の男が再度参加もせず、事を起こすのは辻褄が合わない。
(あれって……メタル・ラインよね?)
(そうですよ~、メルのオシオキなのです……)
(まあ、仕方ないんじゃない? ウィルって、浮気し過ぎだもん。アレくらい当然よ!)
(ですね。試合前で良かったです。試合中だと、色々問題がおきますよ)
相変わらず魔法隊の3人は、先ほどの雷の正体と理由を理解する。
試合の待機時間を使い、他の娘を手に掛けた事を知ってのオシオキと予想する。
プリマとナミールは呆れ気味だったが、ルミーナは素直に怒りを表す。
―舞台上―
「おほほ。前の試合で運を使い果しましたか?」
「あのー、ネイル選手。大丈夫ですか?」
「…………ふぅ、大丈夫です。開始の合図をどうぞ(ったく、メルのヤツ。今放つかよ!!)」
『おーっと、ネイル選手。何事も無かったかのように立ち上がった! 問題ないようだ』
試合前に雷に討たれうつ伏せのネイルを、おたま男は笑いながら見下ろす。
試合を運で勝利したと思っているので、不運なネイルをあざ笑っているのだ。
つまり、運が無ければ勝利は容易いと思っている様子。
パニィもプスプス と、煙を上げる物体を見ながら「なんで髪が変化しないの?」と思いつつ声を掛ける。
一方ウィルは、一息つきながら髪や着物を叩き、汚れを落し立ち上がる。
雷撃を受ける前にメルフェイスの怒りの視線を感じ、魔法を食らうのを先読みし理解していた。
なので、一応雷撃耐性はとっていたので、多少しびれた程度で済んだ。
何気に、未来において懐かしいナナとの雷撃乱射の戦闘を思い出したりしたりする。
シュリの実況に会場に再び歓声が戻り、試合開始を待ち望む。
『さあ、幸運のサムライ、ネイル選手 VS 怪奇のハニーフラッシュ使い、おたま男選手。勝利はどちらが手にするのか!』
「では、試合はじめ!」
「行きますよ! ハニーフラッシュ!!」
「……ふぅ……」
試合開始と同時に、先制攻撃をかけるおたま男。
先の戦いを見て、運で勝利したとはいえ近づくのは危険と遠距離攻撃を仕掛ける。
一方、一回戦同様刀を抜かず不動立ちをする。
向って来るハニーフラッシュを眺め、ため息を漏らす。
「……なに! どういうことです?!」
(え?……ハニーフラッシュが掻き消えた!?)
『おーっと!? 気のせいでしょうか! 回避不可能な「ハニーフラッシュ」がネイル選手に当ると、消し飛んだ様に見えました!』
丸い輪がウィルに当ると同時に弾かれ消える。
おたま男は何事かと驚き、パニィも消えた事に驚きを隠せない。
シュリの実況を聞きながら、観客も今の出来事を不思議がる。
戸惑いつつも、気を持ち直し再度発射準備にかかる。
「ま、まぐれです。ハニーフラッシュ!!」
再び「ハニーフラッシュ」を何発も連発するが結果は同じ。
ネイルに当ると消えて、当人は何事もなかったと平然としている。
「はぁ、ハァ、な、何故……?」
「……ああ、コレのお陰ですよ」
「!? そ、それは【はにわ銅像】!!」
『原因が分かりました。ネイル選手は「ハニーフラッシュ」を無効にする銅像を所持していた!! 武具の変更や回復アイテム以外自由。ルール上問題ありません!』
息を切らせるおたま男に、懐より銅像を取り出し見せる。
流石に【はにわ銅像】を知ってるようで、何故効果がないのか理解する。
シュリの解説に知ってる者、無知な観客も理由が分かり納得する。
「くっ! 仕方ありません。きえぇぇ!!」
「……(ほい、お疲れさん。プチ氷の矢と……指弾!)」
自慢の「ハニーフラッシュ」が効果ないと分かると、おたまを振りかざし突撃する。
一回戦同様、両手を下げたまま「プチ氷の矢」を石板に放ち氷の膜を張る。
今回は転ぶところに、額目掛け指弾を放ちダウンさせる。
「むひょ!? んぎょ!!」
「あれ?(今、変な倒れ方と顔が仰け反ったような?)」
『おおおっ! またもや、おたま男選手がスッ転び、倒れたぁ!!』
「……おたま男選手。戦闘不能。勝者、ネイル選手!」
奇声を上げておたま男の倒れ込む姿に、二度目にしてパニィが不審点に気付く。
シュリには、一回戦と同じように見えたようで解説もそのまま。
パニィが倒れたおたま男の状態を確認すると、ネイルの勝利を宣言する。
すると、割れんばかりの歓声が、コロシアムを包み込む。
そこに、ドクター来て担架が舞台の上に運び込まれる。
「ひょっひょ、どれどれ……ただの打ち身による脳震盪じゃの。おりょ? この額の傷は一回戦の腕と同じ、じゃの?」
「え? ドクター。それって、どういうことです?」
おたま男を触診し、ただの気絶と診断する。
そして、額の傷が一回戦のドギの腕の傷と同じ事に気付く。
パニィは、何故一回戦の腕の傷が、舞台に額を打ち付けた傷と同じなのかと向き問いかける。
「お、爺さん名医だな。どうだい、大会終わったら【美少年】でも飲まないか?」
「ムヒョ!? JAPANの銘酒ではないかの! 良いんかい!」
パニィの質問を爺さんが答える前に、ウィルが口止め賄賂を持ちかける。
ほのかに酒の匂いがするので、酒好きと予想できた対処。
喜びの声を上げて食いつくドクターに、どうやって持ってたか疑問に思える酒瓶を袖から見せつける。
「ちょっと、ドクター。額の傷が前の試合と一緒とか、どういうことですか!」
「ひょっ? はて、ワシそんな事言ったかの? 歳の所為か、モノ覚え悪くてのぉ~」
二人が並んで舞台を降りるのを、パニィが呼び止め問いかける。
しかし、ドクターは恍けた顔して、質問をはぐらかす。
思いっきり買収されて、試合の真相を隠すき満々である。
「こ、この爺……酒に目眩んだのわね」
「パニィさん。言葉使いが変ですよ」
「あ、あら。やだ……(てか、ネイル選手って、腹黒? 言葉使いがさっき違ったし)」
ついついドクターの反応に腹を立て、言葉使いが悪くなる。
それをネイルが突っ込み、口に手を当ててパニィが元に戻る。
冷静になると、先ほどのネイルも雰囲気や言葉使いが違う事に気付く。
ここに来て、ネイルが見た目どおりの優男ではないと、不審を抱き始める。
そんなパニィの考えてる間にも次の選手が入場し、次の試合の準備が始まる。
―コロシアム天井付近―
相棒は用事が出来たと、Cブロック、第三試合の後にこの場を去っている。
なので、かなみが独りで監視と観戦をしていた。
「又、あの勝ち方……忍びの技に似てる……」
かなみはネイルの戦い方が、忍びの戦術に故事してる事に疑問を抱く。
氷の魔法ではなく【マキビシ】を地面に撒き、足に意識が反れた間に仕留める。
指弾も
しかも、前の試合と同じ傷と医者に賄賂を送り、口止めしてるのも口読みで理解している。
「ホント、危険よアイツ……ッ!? しかも、私の視線と位置に気付いてるぽいし!」
試合中も何度か此方を振り向いてくるネイル。
普通の視力では見えないはずだが、的確に此方を見て来た。
今も去り際に見てくるので、慌てて隠れていた。
「……うん、鈴女ちゃんが言ったように。二人同時か、その時が来るまで監視だけにしよう……」
最初注意された事を思いだし、近寄るのはよそうと思い留まる。
戦い方が似てるのもあるが、周りに気付かれないようにヤル所作見事なもの。
強そうには見えない、しかし得たいの知れない感じと嫌な予感がするのでその場に留まる事にした。
―2回戦、Aブロック第二試合―
『さあ! 次の試合は毎年優勝
「シュリのやつ……大概にしろよ。俺のこと、なんだと思もってやがる……」
「あの、ボーダーさん、ごめんなさい。シュリは悪気と盛り上げに重点置いてるので……」
「えーっと、何だろう。僕って、負けること決まってる様に言われてる気がする……」
シュリの試合前の解説に、ボーダーの額に # が浮ぶ。
パニィはマイクを離して、シュリの援護をするが実質言ってる内容は似たようなもの。
謝るも、盛り上げには必要な事と言っている。
一方、健太郎は軽く落ち込み気味。
オッズや解説から、ボーダーに勝てないと言われて肩を落とす。
三者三様に、怒り・宥め・落ち込む様と感情が舞台の上で交差する。
因みにオッズは1.1と3.0と一回戦と同じで、ボ-ダー優勢である。
ボーダーの大会特性で、過去の経歴において二回戦は必ず勝利している。
何回か前に、決勝で負けたユラン相手でも、2回戦の対戦では勝利し、優勝を逃すという事体が起きている。
それにより、周知のことでオッズは毎年二回戦まで決まっていた。
―15分後―
「それまで! 勝者、ボーダー選手!」
『ああー! 残念! 健太郎選手。惜しくもボーダー選手の前に敗れました』
「ぐっ、ごめん。美樹ちゃん……」
「ふぃ~、なかなかだったぞ坊主(ふぅ……いや~、あぶねぇ、アブねぇ。リック将軍並か、それ以上の才能もってやがる。闘気法も使うし、たいした坊主だ)」
善戦した健太郎だが、実戦慣れをしてないのとレベル差で敗退する。
力なく倒れ、幼馴染に謝罪を言って気を失う。
一方、楽勝と思われた戦いだが、ボーダーは内心冷や汗モノ。
第32回リーザスパラパラ杯で、リックと戦った時を思い出される。
まだまだ、拙いが実力はかなりのものを秘めて居る事を戦い体感する。
シュリの解説ではないが、もしも決勝で当ったらなら、負けてたかもしれないと思いもした。
―はの5番VIP―
ボーダーの勝利に、配当が1.1倍でも儲けはある。
部屋は喜びの声でにぎやかになる。
「あはは、当ると分かる賭けって嬉しいね~♪」
「み、美樹様。やはり、健太郎様には、賭けなかったので?」
「そうだよ。ドロシーさんの予想は、お兄ちゃんのお墨付きだから♪」
(……あれ? 美樹ちゃんて、健太郎さんの幼馴染じゃぁ……普通、賭けると思うけど……)
美樹の喜ぶ姿に、日光が問いかける。
勝てる相手に賭けるのは当然と言った顔するのを、葉月が疑問に思う。
今は過去の人であるが、美樹と健太郎は幼馴染。
普通、勝敗よりも親しい人には勝って欲しいと、願掛けをするもの。
しかし、そんな気配は無く、儲けに喜んでいる様子。
それに、日光もさり気なくそれを予想していた口ぶり。
何か、着替えて戻ってきてから、二人の様子がおかしいのを感じる。
「ふふ、鋭いわね。葉月ちゃん」
「え? メルフェイスさん。何がですか?」
「う~ん……そうね。後日、もう一度彼女と話して見るといいわよ。理解できるから」
「はぁ? そうします」
美樹を眺める葉月の横からメルが声を掛ける。
突然の事に何の事か分からない葉月だが、言われた様に後日話を聞こうと思った。
込み入った事情は聞くべきではないが、何故か聞いた方がいいような気がした。
それと、後に何故メルが「鋭い」と言ったかを【リーダー】のぞんざいを知っていっそう鋭い娘となる。
―2回戦、Bブロック第一試合―
「嘘ダー! 俺の宇宙が、敗れ、る、と、は……」
「はぁ、ふぅ~。見事でしたわ。けど、回避し続ければ、なんとかなります」
「それまで! 勝者、チルディ選手!」
『見事な戦いです! チルディ選手。一度も剣を合わせる事無く、レーザーブレードを避け、ドルガーラ選手を切り刻み勝利しました!』
一回戦の戦いを魔法ビジョンで見ていたチルディ。
「レーザーブレード」の危険性を理解し、持ち前のスピードで撹乱して、厚い銀装甲を斬り続けた。
結果、強力な切断力を持つ「レーザーブレイド」当らなければ意味が無い。
チルディの動きに惑わされ、無残に舞台に倒れ込んだ。
―2回戦、Bブロック第二試合―
「グギギ……瞬間接着剤を使えれば……」
「うぃ~っく。惜しいのだ。また、戦ってみたいのだ!」
「それまで! 勝者、アッシュ選手!」
『すごい、すごい! アッシュ選手は酒に酔っているのにコノ強さ! 大和選手の両手両足を切断しての勝利! というか、何で平然としてるのでしょうか!? 不思議すぎます!!』
大和は右手、左手を斬り飛ばされても平然と、手が無いなら脚でと蹴り健闘。
両手が使えなければ修理できない体。
回復アイテムではないので、グレーなのだが使えないので舞台に転がる。
アッシュは一回戦の
パニィもシュリ同様、この二人の戦いには新しい驚きが満載だった。
酒に酔いつつも強いアッシュに、斬られても平然と戦う大和。
シュリの解説は、観客も不思議に思う一戦だった。
―2回戦、Cブロック第一試合―
「ふぅ……まったく、今年の大会は凄いね。色んな意味で」
「……エア、リス……」
「それまで! 勝者、ユラン選手!」
『あーっと、残念! 斉藤選手の消える戦法も、ユラン選手には敵わず敗退。流石はチャンピオンと言うべきでしょう!』
ユランは一息ついて勝利を喜び、今大会の異常性を思う。
今までに無い戦いの内容で、偶然服の風を切る音に気付く。
それにより、斉藤の位置が何となく分かり勝利できた。
本当に視界から消え、危うく負ける所だったが実力差と音に気づけ事が幸いした。
―2回戦、Cブロック第二試合―
『さあ、高速美少女ソウル選手 VS ロックアースの剣士ラキ選手。ラキ選手がどうソウル選手の動きについていけるかが、勝負の分かれ目と思われます』
「お、女の子だからって、容赦しないぞ!」
「ん? 別に気にしなくていいよ。勝つのは、あたしだし~♪」
「それでは、始め!」
ソウルには先の戦いで見せた高速戦闘によって二つ名ができたが、ラキには特に目立つ戦いと特徴が無く出身地に剣士を付けただけ。
ラキは可愛い年下に戸惑いつつも、勝たなければ姉の折檻が待っているので気合が入る。
一方、ソウルは特に気にした様子はなく、早く勝って部屋に行くことばかり考えていたりしている。
目の前の男がカッコイイ訳でも、強いとも思えないようす。
勝つのが当然と行った感じに短剣を構える。
―将軍VIP―
将軍達は優勝者だけでなく、軍にスカウトする人員を見る必要があった。
「――ん? うぅん? あの娘、手を抜いてるのか? 前の試合より動きが遅いぞ」
「ええ確かに、変ですね。何故でしょうか?」
コルドバがソウルの動きに不審をぼやき、ハウレーンも同じように疑問を抱く。
二人の疑問は横から声がかかる。
「あの娘ね、手を抜いてるわけじゃないわよ? 使ってないだけ。ラキ君が使えないもの」
「「使ってない?」」
「そうです……前の試合では、少女達は
レイラが二人に手抜きではなく、
何の事かと首を傾げる二人と、序にエクスとバレスも耳を傾ける。
そこに、リックが気の流用と速度の違いを言い、動きは見事なのと手抜きをしてない事を説明した。
「なるほど。あの年で、そのような判断と力量。是非に我が軍に欲しいのぅ」
「俺の軍には厳しいな、華奢な体で防衛には向かん」
「私も欲しいですよ。彼女なら色々と働いてくれそうです」
「ですね、私も白軍に欲しいと思います」
(……違う見方すると、ロリコン連中に見えるね?)
(もしくは、奴隷売買?)
バレスがソウルを欲しがり、コルドバは軍の役目上厳しいと却下する。
白軍の二人もソウルを求め、その話を聞いてた魔法隊の3人は失礼な事をコールで会話する。
「――でも、やっぱり
「そうなのですよ。やっぱり、エロパワー無くて、負ける運命なのですよ」
「はぃ?……二人とも? 何言ってるの?」
「「あはは、気にしない」」
そして、戦況を見てハムサンド姉妹は、ラキの勝利が無い事を確定付ける事を言う。
単にソウルとラキの実力差ではあるが、やはり二人は言いたいらしい。
プリマがいぶかしみ、二人の意図を聞くも笑って誤魔化す姉妹。
そんな論議をしてる間も試合は続く。
―舞台上―
ソウル優位に進んだ試合は、決着の時をまじかに迎える。
ラキは剣を弾き飛ばされ、尻餅をつく。
「お、オレっちは、まだ負けてねぇーー!!」
「はぁ? 剣も無い。首に剣先当てられて、負けを認めないの?」
「えっと、ラキ選手。どうみても「俺は死んでねぇ!!」……えーっと、ソウルちゃん。気絶させても勝ちよ?」
『圧倒的にソウル選手の優勢で進み、武器を失い王手をかけられても負けを認めないラキ選手。なかなか頑固だぁ!』
観客から見ても、負けは確定な状況。
それでも尚、ラキは負けを認めず意気込む。
呆れ気味のソウルの言葉に、パニィが勝敗を決めようとするとラキが吼える。
パニィ口元を引くつかせ、マイクに手を置き放しソウルに内緒話のように勝利の道を示す。
一方、シュリの実況に会場全体にも笑い声が飛び交う。
誰がどう見ても、ラキの勝つ見込みが見い出せないからだ。
「パニィさん、気絶は無理。コイツ、急所外すの上手いし、当てても耐える耐久あるの。どんな体してるんだか」
「そ、そう言えば、そうね……」
「んだよ! 審判が贔屓していいのかよ!」
パニィの言葉にソウルが答え、試合の流れを思い出し互いに納得する。
度重なる日々の折檻により、耐久力が常人より高いため。
防御力が高くても、攻撃に今一歩秀でるものがなく、舞台に座り込む有様だ。
そして、ラキだけが事体と二人のやり取りに納得いかず、パニィに怒鳴り文句を言う。
「カチンッと、キター! あーも~! 面倒くさいなっ!!」
「ぐぇっ! な、ぎィをッ?!」
「ええっ!?」
『おおっと! ソウル選手、小柄な体でどんな力をしてるのでしょう! 体格差がある、ラキ選手を片手で持ち上げたぁ!!』
ソウルは弱い男は嫌いで、綺麗なお姉さんであるパニィに対するラキの態度に腹を立てる。
ソウルの行動にパニィやシュリは勿論、観客も驚きの声が上がる。
「えいやぁ!」
「うおぉぉおぉぉおぉぉ、あっ、ぐぎゃッ!?」
「…………はっ! じょ、場外、それまで! 勝者、ソウル選手!」
『……凄いぞ! ソウル選手! 高速移動だけでなく、豪腕の持ち主でもあるのか! ラキ選手を楽々持ち上げ、場外の壁まで投げ飛ばしたぁ!!』
弾丸の様に投げられ声のエコーを発して飛ぶラキは、コロシアムの内壁にまで飛び激突する。
目の前の事実に唖然としたパニイは、一瞬遅れてソウルの勝利を宣言する。
その瞬間、歓声が沸き起こりシュリの解説にいっそう歓声が飛び交う。
「いっえ~い! わたしの勝ちー!」
(コノ娘、すっごく強い)
ソウルは一回戦同様、今回はピースをしながら観客にアピールする。
目の前で起きた事が信じられないと言った感じのパニィは、勝利を喜ぶ姿を見続ける。
その後勝利を満喫した後、ソウルは舞台を下りて待機部屋へと向かう。
「――うぎぃゃあぁぁ!? ねーちん! 耳が千切れるぅー!!」
「……ありゃ? あれ、何だろう?」
舞台を降り入場した門に戻る最中、忘れられたラキの悲鳴が聞こえてくる。
振り向くと、メガネを掛けた女性がラキの耳を引っ張り引きずっている。
「情けない、女の子に負けるなんて。覚悟しなさい!」
「ねーちん! 分かったから、手離してくれ。耳がもげる!!」
「……ま、いっか。クナイちゃんとコダチちゃんが待ってるしぃ~♪」
入場門に引きずられるラキを観客や全員が見送る。
ソウルも早く待機部屋に行き、『クナイ』と『コダチ』と楽しみたいので先を急ぐ。
そのまま、消えていったアジマフ姉弟は気にせず、次の試合の準備が行われた。
―はの5番VIP―
「あ~、アジマフって、聞き覚え有ると思ったら。あの姉弟ね」
「え? ドロシーさんはあの二人を、ご存知なんですか?」
アシマフ・マキとラキと見て、過去の盗んだ情報と写真を思い出す。
ドロシーのぼやきに、横で座っていたシィルが気付いて問いかける。
「……まあね。私の命を狙われる原因になった【FX団】のデータに、あの姉弟写真等のデータがあったのよ」
「あのー【FX団】って、なんですか?」
シィルの問いかけに、昔の見えない恐怖、何時襲われるか分からない怯えた日々を思い出す。
当時、FX団はDXの会と抗争していた組織。
自身の技術に自惚れ、余計なデータを調べた結果、危険な目にあった過去。
まだ、もう一つの組織は残っているのだが、ウィルに言わせると「アレは
そして、携帯コンピュータを開き、データを選び出しシィルに見せる。
「ロックアースのマフィアよ。それを、ウィルがぶっ潰したのよ。だから、私は今此処にいる」
「やっぱりウィルさん優しい。相変わらず、危ない事してるんですね」
ドロシーの過去話に、可愛い子の為なら無茶するのは変わらないと思い返す。
ゼスでも、魔法が使えるからといって、貴族に逆らう危うさを懐かしく思い出す。
お陰で、貴族や一級市民の友人が出来たのだが。
一方、ドロシーはウィルの腹黒なのを、シィルに言いたいのを我慢する。
ランスとシィルはどういう訳か、ウィルが最重要保護対象をしてる事を知っている。
ただ、何故そんなにこの二人が大事なのかわからないが、ヘタの事を言って自身との関係を切られるのを恐れた。
それほど、過去の行動データがそれを物語っているのだから……。
「……!! ドロシーさん! その二人のデータ、直ぐに消しましょう! 危険です!」
「あん! なんでよ?……あ、あ~……そうね、この二人に関して、データは消しておくわ」
横から葉月が割り込み、アジマフ姉弟のデータを消すべきと忠告する。
情報はドロシーにとって大事な財産。
それを消せと言われ不機嫌になるも、葉月の意図している事が分かりアッサリと削除する。
別に見せるつもりもないし、消しても分かる時は分かる。
それでも、可能性は無くして置く事にこした事はない。
ボタン一つでデータを消し、次の試合の賭けに移る。
―ネイル選手の待機部屋前―
ウィルは懲りずに女給仕と楽しんだ後、VIPルームに送り出した。
その後、部屋の前で目的の人物が来るのを待つ。
「さて、そろそろ「うおぉぉ!」ん、来たな」
円を描いた通路の向こうから、ランスの声が聞こえてくる。
なにやら必死に逃げている様子だ。
「――くそッ! めんどくさい女とヤッテしまったぞ! む? ウィルではないか……ん! 丁度いい。ウィル、後は任せた!!」
「ランス……ああ、部屋で大人していろ」
愚痴をもらし逃げるように疾走するランス。
ドアに持たれ腕組しているウィルを見つけ、何時もの様に主語を抜いて一言言う。
そして、そのままドアを開けて部屋の中に逃げ込む。
すると、そこにかなりの形相で駆けてくる巫女が来た。
「お~の~れ~! まてぇー!!」
「(いやはや、中々の形相でだな)どうかしたしましたか? カタナ選手」
小刀を手に持ち上げ、ゾクに言う般若のように駆ける巫女。
試合の時は凛々しく綺麗だったカタナが、今では裏切られた女の様だ。
理由は分かるが、こういった経験も糧になると割り切ってもらうしかない。
早速、何食わぬ顔して声を掛け、コノ場で丸め込む切っ掛けを作る。
「――む!? 貴方は……いや、それよりも! 此処にランスが来なかったか!」
ウィルを通り過ぎる間際に足を止め、誰だったか思い出す。
しかし、それよりもランスの事が優先するようで、居場所を聞く為詰め寄る。
「ええ、知ってますよ「どこだ!」ただ、ちょっと勝負して、私に勝てたなら……ね」
「はい? 勝負?……ナニを言って……いいでしょう。貴方程度、私の相手ではない」
ランスの所在を知ると言うと、食ってかかるカタナをなだめつつ勝負を持ち出す。
勝負と言われ今も縛られてる仕来りを思い浮かべるが、同時に運のみので勝利したネイルを思い出す。
初見と思い込みで実力をはき違え、まんまと勝負に乗ってしまう。
「
「……は? 私に勝てるおつもり? いいでしょう。もしも負けたら、貴方の言う事を何でも聞きましょう」
優男モードでは礼儀正しく、武器を使わずカタナの得意分野を勝負方法にする。
更に有利な条件を示し、簡単な情報料と遊びを主張する。
簡単な勝負を持ち出され、逆にプライドを刺激され余計な一言を言ってしまう。
結果。
背負い投げ、一本背負い投げ、二段背負い投げ&抱っこで勝利した。
二回の投げは石床で怪我しないよう、床に落ちる間際に引き上げダメージをなくす手加減を加える。
そして、二段背負いとは上空に投げた後、跳んで追いつき地面に投げつける技。
ただし、怪我をさせないよう重力を原理を無視して、ウィルは投げ落としたカタナをお姫様抱っこで受け止めた。
「くっ!……そんな、馬鹿な……こんな事って……」
見事なまでの完敗。
懐かしい親友と乱取りをする様な、そんな感覚になりながら負けた。
今まで体験した事の無い、知らない投げ技も見せられて。
しかも、軽くあしらわれた事にショックを隠せない。
今の状態に恥ずかしがるより、負けた方が問題なようだ。
「――んじゃ、部屋に行こうか」
「なっ! く、つっー!?」
そして、ウィルの言葉に体を振るわせる。
先のランスとの事や、今現在お姫様抱っこで抱かれてる状況。
先ほど「何でも言う事を聞く」と言ってしまっており、部屋に行くということは、ナニをされるか予想がつく。
腕の中で、悔しさと悲しみに震えるカタナを楽しそうに眺め、目的の部屋へと向かった。
―2回戦、Dブロック第一試合―
舞台の上では、バウンドとレオが試合開始の合図を待つ。
『レオー! 負けんじゃねぇーぞぉっ!!』
「うっ、バニラのヤツ。正体ばれたらどうするんだよ~」
「ん? バニラ?……ああ、やはり君は女魔物使いか」
フードを被った小柄な女の子の元気な声援。
それを聞きながら、ぼやくレオ。
観客席の声の主とバニラという名前、鞭を使う青年を見てウィルと同種と理解する。
前に従者の何人かを紹介されており、女の子モンスターについての考えを改めさせられた事を思い返す。
そして、小声でレオの職種を言い当てる。
「っ!? ナニをイッテルンデスカ?」
「ああ、安心しろよ。兄貴が同じなんだ。困らせはしないさ」
「あ、そ、そうですか」
レオは体をビクッ と、震わせてカタコトで何とか誤魔化そうとする。
女魔物使いは人によって差別があるし、常に側にいるのが普通で別々にいる居る事は無い。
もしも、モンスターと言うのがばれて、酷い目に遭わされないかと不安がよぎる。
けれど、バウンドは兄貴分の話題を出し、先ほどパニィにばれないよう小声で言った事や周りに言いふらさないと約束する。
安堵するレオに、少し酷い言葉を投げ掛ける。
「あの子に対し、負けた時のいい訳を上手く考えろよ。空を飛ぶ事になるぜ」
「んな?! ま、負けませんよ!……でも、よくご存知で……」
「まあ、頑張れよ」
バウンドの言葉に反発するレオ。
しかし、的確な負けたときの末路を言われ、少し落ち込む。
落ち込むレオの肩を叩き、試合前なのに随分と仲の良い事で。
そして、試合の合図が今始まる。
『さあ、イケメン青年レオパルド選手 VS イケメン成年バウンド選手の対戦です! 何やら仲良く話してるようでしたが、知り合いでしょうか? 落ち込む弟を慰める兄のようでした……ジュルリ。っと、では、パニィさんお願いします!』
「はいは~い。では、試合始め!(シュリったら、よくない癖がでだしたわね……ま、無理もない?)」
「はぁぁ!!」
「よし、こい!」
毎度おなじみのシュリの私的解説。
どうやら、今大会の面子に隠してた一面が表に出だしたようだ。
パニィは手を振り下ろし、試合開始の合図と同時に後ろに下がり、実況席を横見する。
今大会は、何時もと違い変なのが多いが、美女や美男子が多い。
カッコイイ男に自分も多少目移りしてるのだからと、多少の事は仕方ないと容認する。
レオは声を張り上げバウンド向けて【うし皮の鞭】を振るう。
負けずと剣を抜き、向かって来る鞭の先端部分を剣で弾く。
この試合は実力においても、職種においてもレオが不利だった。
女魔物使いは従魔と組むか、戦わせる後衛が主流で前衛向きじゃない。
それに、レス兄妹はウィルに様々な武器の対応や【鞭使い】の対処や戦い方を教授されている。
鞭の先端部分を剣で弾き、鞭のしなりと伸びも計算して戦いを収める。
「――うっ! 負けました」
「勝負あり! 勝者、バウンド選手!」
「うがぁー!! 負けたのかよ!!!」
『イケメン対決は、年上のバウンド選手に軍配が上がりました! レオパルド選手も、中々果敢に攻めていたのですが、バウンド選手は何でしょうか、鞭の対処をよく知り尽くした戦いぶりでした!』
何度も鞭を弾かれ、最後には剣に巻き付かせ力勝負で鞭を取り上げられた。
そのまま、接近されて顔に剣を向けられて負けを宣言する。
フードを被った女の子はレオの負けを悔しがり、目の前の乗り越え防止のブロックに対し拳を握り、両手を叩き付けて砕く。
その怪力に、観客は恐れて離れるが本人は気付いた様子もない。
―はの5番VIP―
「やったー! バウンドお兄ちゃんが勝った~♪」
「わーい、ホント美味しい儲けが出来る賭けですね」
バウンドの勝利に少女達が喜び、給仕女史達や他の面子が大手を上げて喜ぶ。
喜ぶ視点が違うが、部屋は正に宴会状態。
ただし、アルコールがないので弾け過ぎる事は無く、収集は直ぐにつく。
「……此処は、賑やかですね」
「? あ、カタナちゃん!」
「え? 奈美さん!?」
そんな中に連れ込まれた女性。
思わず言葉を漏らし、それに反応する着物女性。
懐かしい二人は再会を喜び抱きしめあう。
そして、気になってしょうがない事を、聞き難いそうに問いかける。
「――あの、ランスさんに負けたけど。大丈夫?」
「!……大丈夫ではなかったわ……けど、それは自身の未熟さが招いた結果。立ち止まらず、次に進む事にしたの」
奈美の言葉に一瞬顔を曇らせる。
けれど、この部屋に来るまでに色々と諭され、考え方を改めた様子。
少し前、小刀を振り回し追いかけてた女性とは思えない変わりよう。
「そう、良かった。大丈夫そうね」
「ええ、コレもネイル殿のお陰……って、あの方は何処?」
「……ああ、
ランスの性格とカタナの白井家の仕来り。
予想どおり、パルプテンクスの婚約届けの書類を破り逃げたようになっていた。
奈美はカタナの性格上、落ち込むか自棄を起こさないか心配していた。
しかし、問題なく新しい道を見い出してる事に安堵する。
固い考えと、仕来りから解放してくれた相手を紹介しようとするが、見当たらない。
カタナが部屋を見渡すと、横から居場所を説明する。
奈美とカタナのやり取りを聞いてたドロシーは、親指を隣の部屋を指して場所を示す。
「ははは、仕方ないですよね~。試合の
「そうですよね……あ! カタナちゃんは大丈夫!?」
「あの、ネイル殿が何を? あの方は私に勝利し、コノ部屋に来るまでに諭してくれたのですが……」
葉月がウィルの所業と二人のオシオキを理解した言葉を言う。
奈美も納得しつつ、今度はカタナの心配をするが、本人は何の事かと首を傾げる。
その反応と偽名を言ってる事から、ウィルがまだな事を理解する。
(よかった。まだ、手出ししてない。シテたら、私が投げ飛ばしますけどね)
(この反応は……まだですね。綺麗なのに、どうしてでしょう?)
(……う~ん。何企んでるのかしらね。まあ、ソウルちゃんとクナイちゃんが来てからにするのかしら?)
「……あの、どうかしたのでしょうか?」
三人は、カタナがまだ毒牙にかかってないことを理解する。
それを分からないものに、説明する必要は無いと誤魔化し。
この部屋の儲け話と賭けに付いて説明する。
隣の部屋から「うぎゃあぁぁ!!」とウィルの悲鳴が聞こえてくる。
カタナは何事かとドアに手を掛けるが、奈美や他の者達に止められる。
今は、知らない方が良いと言われ押し留まされた。
その後、皆に白井カタナと自己紹介をする。
後は、今までどういう流れであったかを語り出す。
カタナのコロシアムに来た経由を話し周りの女性達に励まされ、久しぶりに人の温かさに触れた。
ただ、ランスの所業を聞いた時、シィルが何度も「ごめんなさい! 許してあげてください!」と何度も謝ってきたりした。
―2回戦、Dブロック第二試合―
「むん! ぜりゃあぁぁ!!」
「ごほ、ごほ、ふんがぁぁぁ……」
「それまで! 勝者、ランス選手!」
『おーっと! これまた意外! 巨人こんご選手の一撃を受け止め、逆に一撃で倒したランス選手。体格さを感じさせない豪剣の持ち主だぁ! これで2回戦全てを終えて、ベスト8が決まりました!!』
カタナとの追いかけっこのウサ晴らしをするランス。
相手が巨体だけに動きが鈍いので、得意の跳び上がりの斬り下ろしの一撃で勝利した。
こんごも今までに食らった事の無い一撃に、簡単に負けを認め舞台に倒れ伏す。
シュリはこんごの戦いを普段見てるだけに、白井戦での防戦していたランスが一撃で倒す豪剣の持ち主と驚きを言葉に表す。
観客も、普段シード選手的なこんごの敗北に驚きつつも、ランスの勝利に歓声を上げる。
「ふん、雑魚だな。退屈すぎて、ウサ晴らしにもならんぞ」
(口だけじゃないのよね。もう少し、口の悪さが無ければ……ま、いっか)
こんごを見下ろし、剣を肩に乗せてトントン しながら悪態をつく。
ランスの今までの言動と行動に対し、良い印象を持ってないパニィ。
容姿と強さには引かれるモノがあるが、口と性格よければと思う……が、別にいいかと、考えるのを止める。
担架で運ばれるものと、ガニまたで笑いながら舞台を降りる。
そのまま、準々決勝の準備が開始されようとしていた……。
≪魔法≫
【メタルライン】
魔法レベル2の雷撃系魔法。
激しい電撃の束を敵に突き刺す雷系最上位魔法。
浮気のオシオキには電撃と決まっており?
毎回、ウィルがメルに食らってる魔法。
昔は義姉にF・レーザーやW・レーザーを食らっていた。
≪技≫
【ハニーフラッシュ】
ハニー族が顔の穴から放つ不思議な衝撃波。
絶対命中・防御無視の2つの特性が厄介な技。
ほとんどのハニーが使う、ノーマルな自然力の無属性攻撃で、物理攻撃でもある。
今回、おたま男が使っていたが「はにわ銅像」で難なく防がれた。
≪アイテム≫
【夢ノート】
上記に書いたが、キルノートを夢ノートに重ねていたのを独自偏見改良。
夢ノート本来の夢・希望・願望の力に応じて、それを現実にする力をもったノート。
アオイを恋人にしたり、対戦相手の名前と顔を見て妄想して願いを書くことで現実にする。
49回パラパラ杯では、武器は一応ロングソードを持ち多少戦ったりはしたが、奇怪な出来事や
その試合の流れを、シードマンの想いのままに試合をして勝利した。
ただし、偽名には効果なく、本命が違えば願望や願いはかなわない。
≪予備知識≫
【勝者の待機部屋】
大会を一勝でもすれば、16人に準備された部屋。
大会が終わるまで自由に使用でき、ベット・風呂・冷蔵庫・魔法ビィジョン完備。
足りないものはインターホンで追加注文可能。
その際、女性給仕を自由にする権利もあるのだが、それは一般には知られておらず。
カッコイイ男達に呼ばれたときに、給仕が自分から申し出る事から始まる。
ただ、女性選手の場合は滅多に使う事が無い。
フロや料理を楽しむのが定番。
闘神都市のルールを少し弄ったような勝者の部屋。