魔法科高校の元捨て子   作:アツヒサオ

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魔法科高校の元捨て子

魔法。このおとぎ話の産物は21世紀初頭に現実の技術として体系化された。2030年前後の地球の急激な寒冷化に伴い食料不足に陥り、エネルギー資源の争いが始まる。それは、2045年、第三次世界大戦となるまで大きくなった。この戦争が熱核戦争にまで発展しなかったのは、魔法技能士の団結によるものだと言っても過言ではないだろう。そして21世紀末、世界中は競って魔法技能士の育成に手をかけた。

 

それからは、日本でも魔法技能士の育成に力をかけていた。そんな中にまた1人、魔法の才を持つ子供が生まれた。しかし、その子供の生みの親は子供を育てることに限界を感じ、2ヵ月程経つと捨てられた。その子供はすぐに死ぬはずだったのだろう。だが、神の気まぐれかたまたまその近くを通った1人の30代前半ぐらいの男がその子供を見つけた。

 

「おっと、なんでこんな所にこんな赤子がいるんだ?」

 

男はそう子供に聞くように言った。

しかし、本当はなぜこんな所にいるのかは男は分かっている。

 

「捨て子か...」

 

そう男が言うと男は子供を抱え上げた。

 

「お前の名前は...なるほど、八幡か...。あの軍神から取ったのか」

 

子供が捨てられていたすぐ近くには名前と思われる字が書かれていた紙が置かれていた。この子の親も少しは罪悪感を感じていたのだろう。男はそのことから一つの事を決心した。

 

「お前はこれから、風間八幡だ。そして俺が、お前の親になってやる。よろしくな八幡」

 

そう男が言うと子供もとい風間八幡はキャッキャッ言って喜んだ。

 

それから、15年と少し。拾われてから八幡は魔法技能士としての才能に溢れていることが分かり、軍で育てられた。そして、その15年間は八幡にとって、とても有意義な時間であった。軍の仲間の人達との交流や、気の合う友人もできた。そして今日、国立魔法大学付属第一高校に入学する。父さんに言われて本気を出して、受験してみたら全て満点というチート主人公みたいなことをしてしまい、少し後悔してる。そのせいで新入生総代に選ばれちまったし、まぁ答辞は辞退したけど。

 

第一高校入学式当日

 

俺はこれからの生活に胸を踊らせている...なんてことはもちろんなく、時間に遅れると父さんに怒られるから少し早めに来ただけだ。

 

第一高校。国立魔法大学への進学率が65%と9校の中でトップを誇り、最難関の高等魔法教育機関として知られている。

俺は今日からそんなところに通わなければならない。本当はこんなところじゃなくて独立魔装大隊の方で身になることを学びたいんだが、父さんに言われたからな。父さんには勝てんよ。

というか、

 

「少し早めに来すぎたかな」

 

入学式まであと30分もある。それまでどうしようか。流石に同じ場所に突っ立っているのはおかしいと思い、時間を潰す場所を探していると

 

「納得行きません!」

 

「うひょぉ!」

 

おいおい、誰だよこんな時間から大声で文句言ってる奴はー!

おかげで変な声が出ちゃったじゃねぇか!ちくしょう!そいつのとこに行って文句言ってやる!

そう思い、声のする所に行ってみると

 

(......俺はなにも見ていない。)

 

そう、軍での知り合いなんて見ていない!そう思いその場から離れようとした、その瞬間

 

「まぁ待てよ八幡。ゆっくり"一緒に"時間潰そうぜ」

 

肩を掴まれ、うんざりしながら振り返ると、そこには親友とも呼べる仲であり、悪友の司波達也がいた。

 

「...俺は"一人"でゆっくり時間を潰すつもりだ。だから手を離しな大黒竜也特尉?」

 

「その名前は緊急時以外で呼ぶなと何回言えば分かるんだ。」

 

司波達也こいつは独立魔装大隊特尉大黒竜也とも呼ばれ、戦略級魔法師の一人でもある。おれの親友だ。

 

「というかお前も受かったのか。まぁ分かりきった事だが、とりあえずおめでとう。」

 

「ありがとう。まぁ受かったと言っても二科生だがな。」

 

達也は肩の紋章がない場所をトントンと叩いた

 

「それはお前の全ての力ではないだろう?じゃあそんな試験は無効だ。それに、入学出来ただけでエリートではあるんだ。卑屈になりすぎんなよ」

 

そう、達也は分解と再構築しか使えない。しかし、達也はこの二つをフルで利用し、戦略級魔法師にまで這い上がってきた男である。

 

「...お前がそこまで言うとはな…なにかあったのか?」

 

「いや、俺もなんであんなことを言ったのか甚だ疑問なんだが…」

 

ほんとたまにテンションがおかしくなる時ってのがあるから困る。それを女子の前でやると、顔を赤くして怒ってるし。

 

「まぁいい。とりあえずどこで時間を潰す?」

 

「それよりもお前の妹さんはどこに行ったんだ?さっき大声を出していたのは妹さんなんだろ?」

 

大声を出していた人を探している時にこいつを見つけたからな

 

「あぁ深雪は答辞をしに講堂に行ったぞ」

 

ってことは

 

「深雪嬢は新入生2位だったことか」

 

「そうだが...なぜ総代じゃないことを知っているんだ?答辞は総代がするものだから普通総代だと思わないか?」

 

さ、流石は達也。変なところで鋭いな。まぁ嘘ついてもなんの意味もないし教えるか。

 

「それは俺が総代だからに決まってんだろ」

 

俺がそう言うと達也は驚いた表情をした。なに、俺なんかが総代なんて〜的なことを思っているのか?まぁそんなことはないと思うが

 

「そ、そうか。お前が総代なんてな、まぁ実力はあるから考えられなくはないが、総代は目立つからやりたがらないと思ってな」

 

あぁ、そういうことか

 

「ただ父さんに本気を出すよう言われただけだ」

 

「そうか、まぁ少佐は手抜きを嫌うからな」

 

「そうなんだよな〜まぁ俺も基本手抜きは嫌いだけどな」

 

まぁたまに手を抜くことはあるけど、それはたまにだし。重要な場面では手を抜かないし。それは当然だけど...

 

「ここで立ち話もなんだし、どこか行くか?」

 

達也はそう行ってきた。俺は一人でゆっくりしたかったんだが...まぁいいか。

 

「いいぞ。場所はお前に任せるぞ。出来るだけ人が少ないところな」

 

達也は苦笑いを浮かべた。

だって、人が多いとめんどくさいじゃん?いろいろと

 

「とりあえず、歩きながら考えるか」

 

達也はそう言い歩き始めた。俺は頷きながら達也と並んで歩いた

 

「ねぇ見てあの子ウィードよ」

 

「ホントだ補欠なのに張り切っちゃって」

 

「そんな子と一緒にブルームの子が歩くなんて。」

 

俺が達也と歩いているとそんな声がチラホラ聞こえてきた。やはり、二科生と一科生の壁は大きいようだな。まぁ俺は特に気にしないけど

 

俺と達也は時間になるまでベンチに座ってテキトーにスクリーン型の端末で読書していると、30分前になったのでそろそろ移動しようと思って、立とうとすると前から声がかかった。

 

「こんにちは。新入生ですか?もう開場の時間ですよ?」

 

「ええ、今から行こうと思っていたところです」

 

「そうでしたか。あっ、申し遅れました。私は第一高校の生徒会長を務めています、七草真由美です。ななくさ、と書いて、さえぐさ、と読みます。よろしくね」

 

どうやら、うちの生徒会長は十師族の一、二を争う名家の一つの七草家の人だった。チラリと達也の顔を見てみると少し表情が暗くなっていた。

 

(まぁこの人と達也は境遇とかいろいろと正反対な存在だろうからな)

 

「どうも、自分は風間八幡と言います」

 

「俺、いえ自分は司波達也です。」

 

俺ら二人の名前を聞くと会長は少し驚いたような表情を浮かべた。

 

「あの司波くんと、あの風間くん!?二人は知り合いなの?」

 

(あの、とはどのあのなんだ?)

 

「はぁまぁ不本意ながら知り合いですね」

 

「先生方の間ではあなた達の話で持ちきりよ」

 

「はぁ...何か問題があったでしょうか?」

 

特になにも問題がないようにしたんだが...まぁオール満点なんて取った時点でおかしいんだろうが...

 

「いいえ?むしろ何も問題がないから話題に挙がるのよ」

 

そういうものだろうか?というか、俺は分かるが達也はなんでだ?

 

「八幡はともかく、俺は何故ですか?」

 

達也も気になったのか会長に聞いていた。

 

「それは、風間くんに続いてペーパーテストで二位で通過しているからよ。特に魔法理論と魔法工学では小論文も含めて満点。満点が二人も出てくるなんて第一高校初らしいわよ」

 

まぁそう簡単に満点なんて出せないだろうしな。

 

「達也、もう行かないと席が取れんぞ」

 

会長と話していたら入学式の時間が近づいてきた。まだ余裕はあるが席取りに苦戦しそうだし早めに行くに越したことはないだろう。

 

「ああ、そろそろ時間なので失礼します」

 

そう言い会長と別れ、講堂に入り席を探した。

席を探していると俺はとてつもない違和感を感じた。前と後ろでほとんど綺麗に分かれているのだ。

 

(前半分がブルーム、後ろ半分がウィード。差別意識を一番感じているのは差別を受けている者...か)

 

俺はあえて、後ろの方に座り、そのまま入学式が始まるのを待った。開始を待っていると隣から女子の声が聞こえた。

 

「あの...お隣は空いていますか?」

 

どうやら、席を探していたようだ

 

「あ、ああどうぞ」

 

この子はメガネを掛けているのか。今のご時世では、視力が悪いからと言ってメガネを掛けている人は多分いないだろう。理由は現在の医療技術なら、視力を矯正させることなんて簡単だろうからな。何らかの理由はあるんだろう。

多分達也も同じことを考えたのだろう。少し暗い表情になってるし。

 

「ありがとうございます。私は柴田美月って言います。よろしくお願いします」

 

「司波達也です。こちらこそよろしく」

 

「私は千葉エリカ。ヨロシクね、司波君。...それとそっちの一科生は?」

 

「こいつは、風間八幡だ。コミュ障な所はあるが、悪いやつではない。仲良くしてやってくれ」

 

「お前は俺の親か。それとコミュ障じゃない。ただ、不必要な会話をしないだけだ。」

 

だって、人と話すなんて疲れるじゃないか。会話なんて、必要最低限すればいいじゃないか。なんで、リア充達はあんなに話をしたがるんだ。その上会話をしたがるくせに目上の人と話す時は話を聞かないし、騒ぐしで迷惑なんだよなー

 

「アハハ!面白いね!」

 

「ど、どうも」

 

千葉もリア充タイプなのか。まぁ嫌いなタイプではないかな。

 

「それより、八幡は前の方に行かなくていいの?」

 

「ああ。俺は差別が一番嫌いだからな。そんなことよりももっと訓練とかに時間を使いたいからな。そもそもこの時点では差があるかもしれないが社会に出ればこの差が逆転するかもしれないわけだし、今優越に浸るよりこれから先のために行動すべきだ。」

 

「へぇー、一科生にもこんな考えの人いたんだー」

 

その後は千葉と柴田さんと達也を話しているのを軽く聞き流しながら入学式が始まるのを待った。

 

それから少し経つと司会の人がマイクに向かって話し始めた。

 

「これより、第一高校入学式を始めます。」

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