5月6日の誕生花は紫蘭(シラン)。
ムハマドの誕生日を祝うハリーとジャスミン
ムハマドが神の元に旅立ってから10年の月日が経っていた。
「ジャスミン、ムハマドが天に召されてから随分
経つんだね。3人で遊んだ日が、昨日のようだ」
「うん。私の脳裏には今もムハマドの笑顔が焼き付いているよ。
「5月6日はムハマドの誕生日だったね。今日の誕生花を
買ってきたよ。これをムハマドのお墓に捧げようと思って」
「私は四つ葉の刺繍のハンカチを持ってきたわ。これで
包んでお墓に置きましょう」
「そうだな。そこで、3人で語り合おうよ。」
「サンドイッチ作ってきたの。3人で食べましょうね」
小高い丘を登ると街全体が見渡せる墓地にたどり着いた。
道端にはたくさんのタンポポが2人を歓迎するかのように
頭を傾けていた。
「ムハマド。来たよ。ジャスミンといっしょに
君の誕生日を祝おうと思って。」
「ムハマド。ジャスミンだよ。あのときあなたが拾ってくれた
帽子はずっと大事に取っているよ。私の宝物。そして、あなたのおかげで
話すことができるようになった」
「ムハマドは僕たちにすごいプレゼントをくれたね。今度は
僕たちがお返しする番だ。僕もジャスミンも君のお父さんが推薦してくれた
おかげで奨学金を得ることができて、医学部に進んだんだよ。」
「ハリーはとっても優秀なのよ!今、一緒に研究しているの。
白血病の研究よ。原子力がもたらす放射能の影響。核廃絶運動もしてる。
もう少しで博士論文が通りそうなの」
「この論文が通れば、研究費用を補助してくれる団体があるんだ。
絶対成功させるからね!ムハマド、天国から見守っててくれ」
2人は墓地を後にした。
帰る途中で、石に躓いてジャスミンが転んでしまう。
応急処置をするハリーだったが、ジャスミンの出血が止まらない様子に
不安を感じて病理検査を行った。
検査結果に背筋が凍る思いで、データを見つめるハリー。
ジャスミンは白血病を煩っていた。
現時点で、白血病を解消できるのは、骨髄移植のみだ。
ジャスミンの血液型はRH-O。マイナスの血液型はプラスに比べて
この型を持つ者は非常に少ない。型が合うドナーを見つけるのは難しい。
「僕もOだが・・・・はっ!教授が前に、君は
珍しい血液の型をしているなと、言ってたことがある。
僕もたしかRHマイナスのはずだ」
ハリーは急いで自ら採血し、検査を開始する。
すると、ジャスミンとハリーはHLAという白血球の型も一致していることが
判明した。すぐさま骨髄移植を行う段取りを手配した。
激痛を乗り越えて、ハリーの骨髄はジャスミンへと
移植された。有望な研究者の移植手術には、国内権威の
外科部長が執刀にあたった。
手術は成功。ただ、術後の生存率は50%。
ジャスミンが生き続ける保障はない。ハリーはその後も
白血病の研究を続けながら、自らの命に替えてでもジャスミンを永遠に支えることを
天国のムハマドに誓った。
紫蘭(シラン)の花言葉
-あなたを忘れない、変らぬ愛-
- 完 -
永遠の愛を誓うハリーとジャスミン。
ムハマドへの友情もひとつの愛ですね。