IS~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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厄介事と、二学期開始?

 

ギンの時以来のまともなIS戦闘は、ののちゃんを相手にする時がかなりきつくなったこと以外は変化なしに終了した。アカのワンオフ狡いって。俺が言える台詞じゃないことはわかってるけど。

 

「触れたら一撃必殺の剣を持ってんのに、なに言ってんのよ。そういうのはあたしやシャルロットみたいな特徴らしい特徴がないISを使っている奴じゃないと言えないことよ」

「……シャルロットさんはともかく、鈴さんは十分特徴的だと思いますわよ? 主に衝撃砲の砲弾の一部を武器で削って軌道を曲げるという斬新な戦い方が」

「あんたも十分イカれた戦い方してるじゃない。二回曲げ撃ちってなによあれ。最早凄いを通り越して気持ち悪いわよ。いつかあんた一つの銃口から出たレーザーを縦に裂いた一本一本を独立させて相手にぶち込むとかいう鬼畜な真似するようになるんじゃないの?」

「落ち着けお前達。同類が同類を馬鹿にしたところで自分に帰ってくるだけだぞ」

「ラウラよ。お前が言える台詞ではないだろう。AICで動きを強制的に止めて、一方的にプラズマブレードで切り刻むような真似をしたお前が。まあ、私も人のことをどうこう言える立場では無いが」

「………まあ、皆のISは……と言うか、皆はかなりアレだもんね……普通って言えるのは僕達のだけかな?」

「そうかも……。あとは……訓練機くらい……」

 

その訓練機から見れば、シャルのISもかんちゃんのISも十分ハイスペックだけどな。

 

……まあ、なんでもいいけど。

 

「とりあえず、俺は寝るから」

「駄目よ。ちゃんと昼も食べなさい。作ってきてあるから」

 

そう言われて食堂まで連行される。確かに腹は減ってるけど、人間一食や二食抜いたところで死には

そこまで考えたところで鈴とののちゃんとシャルに睨まれた。怖い怖い。多分こういう鈴達には一生勝てないな。

 

「はい一夏。あーん」

「あー……ん」

 

……うん、美味い。鈴が俺の食べ物の好みをよく知ってるからか、鈴の弁当は実に美味い。いい母親になること請け合いだな。

 

「ありがと。どうせなら協力してくれない?」

「協力ってなんのさ!?」

「勿論お母さんになる手伝い、つまり子供を作る手伝いよ?」

「普通そんなことを公衆の面前で言う!? 恥じらいを持とうよ!」

「いいじゃない。普通なんて言葉に縛られて身動きがとれないなんてお断りよ………はい、あーん」

「そうだな。と言うことで一夏。私にも協力してくれ」

「箒まで何を言ってるのさ!?」

「それでは私も立候補させて貰おうか。私が勝ったら勝者特権で」

「ラウラ!? だからなんでみんなそんなにオープンなの!?」

「わたくしは……」

「まさかセシリアまで子供を作る手伝いをしてほしいとか言うんじゃないよね!?」

「いえ、わたくしは首輪でも着けて愛玩動物として一夏様に所有していただければ」

「一番アブノーマルな答えが返ってきちゃった!? ここには僕の味方はいないの!?」

「大丈夫……」

「か……簪ぃ……僕は………僕はぁ……」

「………一夏は、私達も纏めて……皆を愛してくれる………から」

 

顔を真っ赤にするくらい恥ずかしいなら言わなければ良いのに。

 

「だって……言わなかったら、前には進めないから……」

「よく頑張ったわね、偉いわよ簪。はい、あーん」

「……はむ」

 

鈴はそんなかんちゃんにご褒美としてか弁当を食べさせていた。食堂の入り口付近で時々ちらりと見える水色の髪が、ぴくりと跳ねたのが見えた。出てくれば良いのに。

 

「ぅわあぁぁあぁぁんっ!簪の裏切り者ーっ!」

 

あら、シャルってば泣いちゃった。仕方無い、ここは鳩ぷちかに任せよう。

 

「ぅ……ひっく……」

「くるっくー」

「……ひっく……ひっく……慰めてくれるの……?」

「くるっくー」

「……ありがとう……ありがとう………っ」

 

シャルは感極まって鳩ぷちかに抱きつき、背中を頭を体を翼を撫で回している。

 

「シャルロットって意外とエロいわよね」

「鈴には言われたくないよっ!」

「くる?」

「あ、大丈夫だよ、うん……僕はまだ、頑張れるよ………」

 

……まあ、頑張れシャル。そんな頑張るシャルを応援してる。

 

応援だけだけど。

 

…………さてと。それじゃあ俺は早めにアリーナに戻っておこうか。遅れたらまたふみふみされそうだし。あれって見た目に反して結構辛いんだよな。

 

 

 

アリーナで昼寝をしながら授業開始を待っていたら、気が付いた時にはなぜか狼ぷちかと一緒にののちゃんに膝枕されていた。

 

「……おはよ」

「おはよう一夏。授業の時間だ」

 

ああ、もうそんな時間か。寝足りないなぁ……。

 

まあ、今日の夜にでもぐっすり寝ればいいか。

 

………………あれ、なんか凄く嫌な予感がする。具体的には俺の睡眠時間を削る画策をどこかでこっそり進めておいて、逃げ道を塞がれた上で実行されそうな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

予感的中、キレていいよな?

 

九月四日の朝に、SHRと一限目のおよそ半分を使うらしい全校集会が開かれた。内容は今月中頃にある学園祭について。

……だけど俺は正直に言ってやりたくない。クラスの方より睡眠愛好会の方を優先したいと思っている。

 

ちなみに睡眠愛好会の出し物は休息場。携帯を弄ったりカメラなどで写真や映像を撮るのは不可だが、静かにしていればおよそのことが許される。

 

そこで俺は寝続けるのだ。学園祭の間、ずっと。

 

…………って鈴に言ったら却下された。一応起きてクラスの方にも顔を出しとかないとマズいからと言われて。

そのため俺は学園内を歩き回ることになったんだが………こうなったら弾とカズと蘭ちゃんを呼んで学園の放送機材を乗っ取ってゲリラライブでもやってやろうか。

とりあえずチケットは俺と鈴のがあればカズと弾は呼べるから、後はののちゃんからでも…………いや待てよ? ののちゃんはもしかしたら束姉さんにチケットを送るかもしれないな。確認はしておこう。

そして駄目だったらセシリーかシャルかラルちゃんかかんちゃんから貰おうかね。

 

…………ラルちゃん、まさか本国の部下に送ってたりしないよな?

 

 

 

 ~その頃のクラリッサ~

 

場所はドイツ。とある軍事訓練所で、十数人の十代女子と僅かな二十代女子が、ひとつのテーブルを囲んで座っていた。

そんな中、一人の女性が話を始めた。

彼女は黒ウサギ隊ことシュヴァルツェ・ハーゼの頼れる副隊長、クラリッサ・ハルフォーフ大尉。黒ウサギ隊のメンバーをこの場に集めた本人でもあった。

 

「お前達。こんな時間に呼び出したのは他でもない………この、隊長から送られてきたチケットで、誰が隊長の好敵手にして初恋の相手を見に行くかを決めるためだっ!!」

 

その言葉に一瞬誰もが沈黙し、すぐさま様々なところから声が上がる。

 

「副隊長!その役目は是非この私に!」

「いや、私に!私にお任せください!」

「なに言ってるの私が行くのよ!」

「副隊長!ここは隠密行動に長けた私が行くべきかと愚行いたします!」

「はっ!そんなの胸が小さかったから目立たなかっただけじゃない。あ~あ、胸が大きいと不便ねぇ」

「……あ゛? いまなんつった?」

「一部の盛りが少ないと、隠密行動では便利ね、って言ったのよ。乳だけじゃなくって頭も貧しいのかしら?」

「……その乳……貰い受ける!」

「あんたにできるとは思えないわよつるぺたが!」

「微乳舐めるな垂れ乳予備軍が!」

 

わーわーぎゃーぎゃーわーわーぎゃーぎゃー。

 

ドズンッ!ゴッ!ゴッ!ガスッ!

 

 

 

 ~戻る~

 

 

…………なんか、ドイツあたりで凄いことが起きてる気がするな。それに、送ってる気がする。今日の昼休みにラルちゃんに直接確認しとこう。その時に全員に聞けばいいだろ。

 

全員駄目だったら………偽造するか。千の顔を持つ英雄で。

まあ、そんなことにはならないと思うけど。

 

……なんでもいいから早く集会終わらねえかなぁ…………。

 

そこまで考えたところで、ざわざわざわざわと喧しかった女子連中が静かになった。

よしよし、これで立ったまま寝れるな。静かじゃなくてもいけるけど、できれば静かな方がいいし。

 

シスコン生徒会長の話を右から左に聞き流していると、凄まじく嫌な予感がしてきた。

 

………変わりすぎていたからあんまり気にしてなかったが、そういえばこの場で生徒会長は━━━

 

「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

……………………ああ、やっぱり。

 

………何故だか俺の隣のシャルが後ずさってるんだが、理由を知っているやつはいるか? 言わなくていいけど。

 

……バレなければ、チート能力を使っても問題ない。そうだよな?

 

 

 

 

side 篠ノ之 箒

 

私の頭の中は、現在進行形でパニック状態だ。パニックでも意外と考え事はできるものだな。考えているだけで実行しようとするとパニックになった体に邪魔されて動けないが。

ちなみに、今こうして冷静に考え事をしている私は私の極々一部だけであり、意識の大半は未だに暴走中であることを明記しておこう。

 

さて、私がなぜここまでパニックを起こしているかと言えば、今さっきに私達の前に出てきた簪を明るくして胸を増量し、眼鏡を取り払ったような生徒会長の言葉に起因する。

本人は実に楽しそうに話を続けているし、大半の生徒はその説明に意識を奪われていて気付いていないだろうが……………私にはわかる。恐らく、近くに見える鈴と一夏の隣のシャルロット、そして一夏のことをよく知っているセシリアにラウラに、勿論千冬さんもだ。

簪は距離が離れているから気付いているかどうかはわからないが、恐らく気付いているだろう。

 

一夏が、しっかりと目を覚ましていることに。

 

…………私は正直に言って、気付かないで済むのならば気付きたくはなかった。

だが、一夏との付き合いの中で生まれたこの感覚は、今の一夏の状態を逐一私に伝えてくる。

 

……つまり、今の一夏は、疑う余地の欠片も無く、疑うことが馬鹿馬鹿しく思えてくるほどにわかりやすく、千冬さんを馬鹿にされた時と同等かそれ以上に━━━キレていた。

 

『な、なななななななななんとかならないの箒!?』

 

鈴から視線すら向けられずに無言で怒鳴られるが、どれだけ怒鳴られようがこればかりは。

 

『むむむむむむ無茶を言うなぁっ!いくら私でも本気でキレた一夏を止められるわけが無いだろうが!なら鈴が止めてみるか!?』

『なななななななななに不可能なことを言ってるのよ無理に決まってるじゃない!千冬さんでも止められないのにあたしが止められるわけ無いでしょうが!!』

『ならどうする私はまだ死にたくないぞ!それもこんな巻き添えのような形で死ぬなど真っ平ごめんだ!』

『あたしだって死にたくないわよでも助からないわねあ~あ。一夏の子供……欲しかったなぁ……孫の顔も見たかったわ………』

『それは私も同じだ!一夏の子ならいくらでも産んでやる!重婚は認めた相手だけなら可!』

 

…………こうして鈴との会話をしているわけだが、この時間は一瞬にも満たない。つまりこれは一種の走馬灯のような物だ。

 

………ああ、もう少し生きて、一夏と結婚して幸せな家庭を皆で築いて子供を作って育てて一人立ちさせて伴侶をつれてきた子供を笑顔で送り出し一夏や鈴やシャルロットや簪やセシリアラウラ達と共に年を取って老衰で死んで行きたかった…………。

 

 

 

 

 

 

 

キレた、苛めた

 

ディープダイバーを使って地面に潜る。当然地上にはシルバーカーテンで作った幻影と、幻影を触られてもわからないように人形の人形を置いておく。女性型を置いていってしまったかもしれないが、気にしない。どうせ後で入れ替わるし。

 

潜った俺は武装な錬金のサテライト30を使って六人に分身し、それぞれルリヲヘッド、エアリアルオペレーター、アーマーバロン(破壊男爵の元ネタ的な人)の鎧を装備。

そして両腕にピーキーガリバーを装着して、準備完了。今回は周りを巻き込むわけにはいかないからな。

 

ずるっ、と顔を隠した三体が地上に上がり、すぐさま生徒会長を捕まえる。

そして問答無用で地面に引きずり込み、それなりに深い地下にまで連れていく。

その途中で生徒会長はISを展開したようだが、そもそもそこらのISより俺は力が強いようだし、地下から破壊男爵で引っ張っているから逃げられない。素でヴィクター以上に力があるならまた話は変わるが。

 

ごちゃごちゃと煩い話は無視して、生徒会長にルリヲヘッドを装着。ちなみにこれは新しく作ったやつだから顔はバレてないはず。

それからルリヲヘッドの能力を応用して、生徒会長にとある幻覚を見せる。かんちゃんにひたすら『大嫌い』と言われる幻覚………ではない。そんなのやったらかんちゃんと生徒会長《これ》の仲が修復不能になるかもしれないから。

だから、前世であったとある漫画のキャラクターを使った拷問モドキを用意した。耐えられるやつは耐えられるらしいけど。

 

そのキャラクターの名前は『エクスカリバー』。ソウルイーターという漫画の中でも屈指のウザさと力を持つ、一人だけでもウザいあれ。

それが数千ほどいて、上を見ても下を見ても右を見ても左を見ても前を見ても後ろを見てもどこを見ても視界を埋め尽くすほどのエクスカリバーが常時話しかけてくる。BGMはエクスカリバー本人による『エクスキャリバ~~~~~』という声の無限リピート。

当人は歌ったり踊ったり話しかけてきたり人の話を無視して話し続けたり理不尽な質問をしてきたり自分語りを始めたり紅茶を飲んだりパジャマに着替えたりいきなりアップになったりカメラから引いたりポーカーしたりと自由気ままに動いているだけなんだが。

 

……束姉さんとどこか似てるような気がしなくもない。束姉さんはあそこまでウザくは無いけど。

 

 

 

side 更識 楯無

 

「私の武勇伝を聞きたいか」

「私の伝説は12世紀から始まったのだ」

「エクスキャリバ~~~~~」

「まったく、人が話をしているときは相手の目を見たまえよ。礼儀を知らぬ奴だ」

「しかしここはどこだ。男前ばかりで場所がわからん」

「エクスキャリバ~~~~~」

「君はどこから来たのだね? 私はエクスカリバーだ。サインはやらんぞ」

「バカめ。パジャマに着替えろ」

「朝は紅茶だ」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

………………うざい……なによこのウザさは……。ここまでウザいものが存在していたなんて………。

 

「聞いているのか? 君はどこから来たのかと言っているのだ」

「私は、IS学え「この世界で最も偉大な伝説は何かを知っているかね?」」

「え、ちょ、自分から聞いておいて「そう、それは私の作り上げた伝説だ」」

 

あ……あははは………ど……どうしようかしら。お姉さん本気でキレちゃいそうよ?

 

「エクスキャリバ~~~~~」

 

…………ぷちっ♪

 

「……っだあぁぁぁぁ鬱陶しい!『ミステリアス・レイディ』!」

 

ISを呼び出してすぐさま武装を展開。ラスティー・ネイルで周りの変なのを斬り飛ばそうと振るうが、それは当然のように避けられる。

 

「バカめ。その程度で食らう私ではないわ」

「バカめ」

「バカめ」

「バカめ」

 

む……むっかつくぅっ!

 

言葉に構わず水の鞭で蛇腹剣でランスで攻撃するけれど、どれも当たらない。

その間も周りからは

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「バカめ」

「バカめ」

「エクスキャリバ~~~~~」

「バカめ」

「その程度で当たるものか。バカめ」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

あああぁぁあぁぁぁあああぁああうっっっとうしいぃぃいぃいいいぃぃっ!!

 

「ならば私は黙ろう」

「ただしBGMは流したままでな」

 

ふつっ、と話し声が消え、エクスキャリバーの

 

「私はエクスキャリバーではなく、エクスカリバーだ。間違えるな」

「黙ってるんじゃなかったの?」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

それっきりエクスカリバーは話さなくなり、私のことを囲んだままじっ………………と私を見つめていた。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

……だんだんと、時間の感覚が鈍くなってきた。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

……どうやれば私はこの場所から出ることができるのだろうか。

聞いたところで、答えは帰ってこない。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

聞こえるのは、エクスカリバーの声だけ。そのエクスカリバーは、BGMに合わせて近付いてきたり遠巻きにしたりくるりと回ったり………うっとうしい。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

いつの間にか私はISを解除して、その場に踞っていた。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

この声はそんな私に構うことなく、ずっと私の頭に響き続ける。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

………………。

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

………………ああ、あたまが、まわらなく……なっ……て………………

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

…………えくす……きゃりば~…………

 

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

「エクスキャリバ~~~~~」

 

……………………

 

 

 

 

side 織斑 一夏

 

「……っていう夢を見たんだ」

「前にもあったわよねこんなこと」

「ああ、あったな」

「あったんだ?」

「ああ、あった」

 

確かその時は正夢になりかけたんだっけ。

 

「今回も正夢になったりしてね」

「まさか。いくら生徒会長でもそれは無いだろう」

 

…………。

 

「ある方に中学生時代のブロマイド三枚」

「ある方に小学生時代のブロマイド五枚」

「ある方にプレミアブロマイド二枚です」

「ある方に二枚」

「ある方に四枚」

「ある方に………三枚」

「それじゃあ賭けにならないと思うぞ? ある方にぷちかのウマウマ動画」

 

……って、結局賭けにならないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はまだ夏休み、でももうすぐ終わる

 

夏休み初めに一度戻って軽く掃除はしたが、本格的に掃除をするためにもう一度家に戻る。

まあ、その程度なら三時間もあれば終わるので、終わったあとはのんびり寝ることにする。

……訂正。終わった後も《・》のんびり寝ることにする。どうせ今日は暇だし時間はあるし、昼も無しで夜まで食べずに寝てよう。朝も抜いたけど、まあ、平気だろう。人間二~三食抜いたところで死にゃしないからな。

 

………すか~……。

 

 

 

………ポーン……。

……かー、……いの……? ……ちか……?

 

何か音が聞こえたのでふっと目を覚ますと、なぜか体が動かない。

 

「いっく~ん……むにゃむにゃ………」

 

原因がわかった。どうやったのか束姉さんが入ってきて俺を抱き締めていたかららしい。しっかりと体を押さえ込まれていて、動ける気が欠片もしない。

どうやら外にはいつものメンバーが勢揃いしているようで、気配を感じてみるとなかなか騒がしい。

 

動けないので仕方無くぷちかを何体か呼び出して鍵を開けに行かせる。ぷちかは見た目以上に力があるから肩車を繰り返してぷちかタワーを作って鍵を開けるくらいの事は普通にできる。ちー姉さんが見た時は暴走しかけてたけど、まあ、平気なはず。

 

「あれ、ぷちかじゃない。………ってことは、一夏はやっぱり寝てるのね」

 

確かにさっきまで寝てたけど、今は起きてるぞ。動けないけど。

 

「寝ているのに上がって良いの?」

「ぷちかが出たから良いのよ。一夏が寝てることなんてよくあることだから」

「……いいのかなぁ………」

 

別に良いよ。

 

仕事を終わらせたぷちか達は、ててててっと俺の部屋にまで走ってくる。階段はぴょんぴょん跳ねて走り抜け、玄関の鍵を開けた時のようにぷちかタワーを作って俺の部屋の扉を開ける。

そして束姉さんに抱き付かれた俺と同じ布団に潜り込み、ぷちたばねーさんとぷちーねえさんを呼んで一緒に布団に潜り込んでくる。

俺の部屋のベッドは結構どころじゃなく大きいので寝るのには問題ないが(なにしろ部屋の面積の三分の一をベッドが占領している)、それでもこうしていると少し狭いと思ってしまう。

 

………狭いところで一塊になって寝るのも好きだから別に良いけど。

 

ぷちーねえさんは布団に入るとおとなしくなるが、ぷちたばねーさんは布団に入るとむしろテンションが阿呆みたいに上がる。騒いだりはしないが、楽しみにしていた遠足を明日に控えた小学生のような状態だ。疲れてか俺達につられてかはわからないが、ほっとけば普通に寝るからまだ良いけど(実際は気絶していることも多い)。

 

ぷちかにつられて俺の部屋にやって来たいつものメンバーの内、初めて来たやつはベッドの大きさに驚愕している。

結構大人数(主にぷちか。ぷちたばねーさんとぷちーねえさんも最近は入ってくる。たまに束姉さんがどこかから入ってきたり、ちー姉さんが入ってきたりすることもある)で寝ることが多いから、このぐらいはないと困るんだよな。ぷちか布団っていう手もあるけど、それだけだと冬になると寒いし。

 

静かに静かに部屋の扉が開き、鈴とののちゃんとかんちゃんとラルちゃんとシャルとセシリーがトーテムポールみたいに首だけをドアの隙間から覗かせてこっちを見ている。

束姉さんの事を見てののちゃんと鈴以外は少し驚いていたけど、その二人だけは奇妙なほど冷静にこっちを覗き見している。

 

「……覗き見するくらいだったらさっさと入っちゃいなよ」

 

束姉さんがそう言って体を起こした。……って言うか、起きてたのか。ちょっとびっくり。

するりと音も立てずに六人が俺の部屋に入る。全員人間のカテゴリから一部とは言えはみ出して来てない? 別に良いけど。

 

「いっくんは寝てるから、静かにね」

「勿論」

 

鈴はそう言いながら懐から何か本のようなものを取り出し、束姉さんに手渡した。

 

「約束のブツよ」

「ふむふむ…………」

 

しばらく束姉さんは黙っていたが、ページを捲る音がやみ、静かに本を閉じる音がした。

 

「ナイスシャッター」

「感謝の極み」

 

なんの話だ。と言うかノリ良いな。

 

「約束のとは……鈴。何を約束していたのだ?」

「高性能カメラを作ってもらうかわりに、撮った写真を焼き増しして博士に送るって約束よ」

「そんな約束をしていたのか。…………ところで、その写真は貰えるか?」

「勿論よ。でも現像にちょっと時間がかかるから、アルバム式にして渡すのはまた今度ってことになるわ」

「構わんさ。なあ?」

 

どうやらかんちゃん達も喜んでいるようす。それが良かったのか悪かったのかはわからないが、俺的にはよかったということにしておこう。そう思わないとやってられない。

 

くきゅぅ~~。

 

…………腹減ったな。朝と昼を食べてないだけなのに、何でここまで腹が減る? IS学園で毎日三食しっかり食べてたからか?

 

「私はチョキを出そう」

「では私はグーを出すとするか」

「……私は……パー」

「私もパーにしますわ」

「じゃああたしは、チョキ以外を出したやつに衝撃砲を撃ち込むわ」

「なんでいきなりそんな危ないことを言うn」

「ではグーを出したものには、私が抱きついてから展開装甲を開いて攻性エネルギーを撃ち出す新技を見舞おうか」

「パーを出したものにはAICからのプラズマカノンを撃ち込んでやろう。なに、手刀の出力を変えればその程度の事は簡単にできる」

「チョキを出されたら困りますので、福音の砲撃からヒントを得た増幅レーザーを撃ち込んでやりますわ」

「……山嵐を舐めない方がいい」

「急にみんなが物騒なことを言い始めちゃったじゃないか!どうするんだよこれ!? 何を出しても地獄だよぉ!」

 

頑張れシャル《ツッコミ》。そんな苦労人なシャルを応援してる。

……なんだかご飯を作ってくれるみたいだし、俺は束姉さんを抱き締めながら寝ようかな。

 

………すか~………。

 

「おおぅ、束姉さんのお腹がそんなに気に入ったかい? 普通はおっぱいの方だと思うんだけどね?」

 

知らん。

 

 

 

 

 

 

 

ご飯と遊びと、皆の泊まり

 

ご飯を食べているときに鈴に聞かれて、うっかり二食ほど抜いて寝ていたことを白状したら怒られた。頬をつままれてむにむにむにむにむにむにむにむにと揉みしだかれた。一人二分。最後の方はちょっと痛かった。

食事はずいぶん豪華で、しかも国際的だった。セシリーの料理からは特に何も感じなかったので、恐らく人間がそこそこ普通に食べられる物はできているんだろう。よかったよかった。

 

ただ、ラルちゃんの料理はずいぶん豪快で、明らかに料理の経験が薄そうだった。冷凍しといたブロック肉をサイコロ状にして塩と胡椒で適当に味をつけて完成。まあ、失敗はしづらそうで何より。

 

束姉さん? 束姉さんはちー姉さんより少しマシ(一言で言うと、まあ食える味)程度らしいので辞退したようだ。疑わしい。

ののちゃんは束姉さんに料理を習っていて、つい最近もアドバイスを貰っていた筈なのにそれはおかしいだろうと。

………まあ、多分ののちゃんの作った料理を食べたいだけなんだろうけど。美味しいからな。ののちゃんの料理は。

 

ちなみに、かんちゃんはデザート担当。原作に出てきたカップケーキ……かと思ったら、ふわっふわのシフォンケーキが出てきて驚いた。

ちなみにこのシフォンケーキのクリームには、生クリームではなく自作の豆乳クリームが使われているらしい。甘さ控えめカロリー控えめの自信作と、自負とかそういったことが控えめなかんちゃんからそんな言葉が出るとは思っても見なかったが、出たということは自信があるんだろう。

 

………かんちゃんも変わったな。ずっと内側を向いていて、話に聞くお姉さんの影だけをずっと追いかけ続けていた始めの頃とは見違えるようだ。

口説いている訳じゃないが、やっぱりかんちゃんもののちゃんも鈴もラルちゃんもシャルもセシリーも束姉さんもちー姉さんも、笑い顔が一番きれいだと思う。

……………ああ、怒れるちー姉さんの笑いは綺麗の内に入るぞ? 凄まじく怖いけど、綺麗なことには変わりない。

凄まじく怖いけど。

凄まじく怖いけど。

 

「三回も言ったのは、やっぱり怖いから?」

「怖いけど綺麗だから、虫除け?」

 

そう言ってみると、束姉さんに後ろから抱き締められた。なんでか俺は束姉さんの膝の上に座っている。

……なんでだ?

 

「だってその身長じゃあ机が高くて食べにくいでしょ? 私も役得だし」

 

本音が出たな。

 

『呼んだ~?』

 

呼んでない。ってかなんでのほほんが出てくるんだ? シフォンケーキを食べたいのか?

 

『食べたい~すっごく食べたい~!』

 

少し残しておくことにした。

 

 

 

遅い昼御飯も終わり、現在はトランプでポーカーをやっている。

手札は五枚でチェンジは一回。場に二枚カードを出しておいて、その二枚と手札の五枚を好きに組み合わせて役を作るタイプのだ。

ただひとつ予想外なのは、

 

「エースとクイーンのフルハウス!」

「なっ……またフルハウスだと!?」

「これでもう四回目じゃない!いったいどうなってるのよ!?」

「むぅ……シャルロットめ……」

「……強い……」

「またシャルロットさんの一人勝ちですか……一夏さんはいかがですか?」

「キングとジャックのフルハウス。ちょっと届かない」

「惜しいねー」

 

シャルが剛運無双している。いろいろ変えたがいつもこんなのだ。

 

神経衰弱だと勘で鈴が無双。ババ抜きだと気配読みでののちゃん負け無し。ポーカーとかバカラだと今みたいにシャルが無双で大貧民だとセシリーが強い。

俺? 俺は長年カードを使ってきてるから、傷とか痛みかたでガン付けくらいはできる。しかもかんちゃんが徐々にカードの傷の付き方を覚えてきていて、だんだん勝率を伸ばしている。

ちなみにラルちゃんはなんでも中の上から上の下くらい勝っている高水準な平均型。一芸特化のそれには負けるが、十分高い能力を持っている。

 

……普通に考えて、たかが遊びのトランプで使う能力じゃないよなこれ。

 

「遊びこそ全力でってあたしに教えてくれたのは一夏だったはずだけど?」

「そうだな。好きこそ物の上手なれ、だから楽しむために遊びだと思い、全力で、と言ったぞ」

「そんなこと言ってたんだ? じゃあ僕ももっと頑張ろっと」

「私も本気でやろう。ヴォーダン・オージェを解放させてもらうぞ」

「どこまで本気さ!?」

「どこまでも、だ。シャルロット」

「……私も……頑張る!」

 

全力全開だな。

…………それをキャッチコピーにしていた恐ろしい魔砲少女が居たような気がするが、名前を忘れてしまった。確か………な……な……………ナッパ?

 

………………違え。←命令

 

「次はなにやる? 王様ゲームとかそっち方向のに手を出してみる?」

「何を言っているのだ鈴。そんなことが許されるはずが無いだろう………おっと、手が滑って1から8までの数字と王冠が書かれた籤を落としてしまった」

「それは大変!すぐにこの黒い紙で被われた壜に入れないと大変なことにっ!」

 

鈴とののちゃんと束姉さんが手早く準備を進めていくが、ラルちゃんとセシリーとシャルの三人はののちゃん達が何をしようとしているのかわかっていないようだ。かんちゃんは顔を真っ赤にしている。可愛い可愛い。

 

「えっと……更識さん? 先程から話に出ている【王様ゲーム】とは一体なんですの?」

「か……簪で、いい……。………王様ゲームは……その…………」

 

かんちゃんは聞き耳をたてている三人にぽそぽそと囁く。聞こえちゃってるんだが、まあ、聞こえてないことにしておく。

 

「え……ええっ!?」

「そんなゲームが存在していましたの!?」

「ふむ。案外シャルロットなら一番初めに引かせれば毎回王様になれるのではないか?」

 

なるだろうな。シャルロットだし。運のゲームは馬鹿みたいに強いし。

全員同時に引くから関係ないけど。

 

「せーの、王様だーれっ!」

 

…………あ、俺だ。

 

「じゃあ、命令。みんなで寝よう」

 

こうして俺達は、馬鹿みたいに大きなベッドを丸々2つ使って寝るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

二学期開始、……の前日

 

二学期開始の前日。俺はいつも通りに明日の支度をしてから布団に入る。現在時刻は二時。

午前二時? いいや、午後二時、つまり十四時だ。俺が夜中の二時まで起きてるとか、いったいどこのハルマゲドンの前兆だよ。鈴が慌てて騒いで槍が降る核の炎が降るどうしよう弾もしかしたら日本が、いや地球が、いや太陽系が崩壊の危機よ!とか弾に電話しそうだし。

ちなみに前に一度本当にこうして鈴が弾に相談したことがあった。原因はその日の俺が学校で一度も寝なかったから。

 

まあ、当時の俺は、鈴がマジ泣きしてるところなんて久し振りに見た。なんて暢気なことを言ってたんだが。

 

それはともかくとして、昼御飯を食べた俺はカーテンを閉めて電気を消して狼ぷちかと楽しそうに揉み合いながらころころ転がっているぷちーねえさんを拾い上げて抱き締める。拾ったときの顔は毎回『きょとん』としていて可愛い。ちー姉さんにもこんな時代があったのかね?

 

「……はぁはぁ……ちっちゃいちーちゃんもちっちゃいいっくんも可愛すぎるよっ!こうなったら束さん式遠隔転送でちっちゃいちーちゃんといっくんをここに呼び出してすりすりするしかないよね!」

「ぷちか。GO」

 

号令と共にぷちかが二十ほど出てきてぷちたばねーさんをあっという間に包み込んだ。

 

「はぅあー!ちっちゃいいっくん達にもみくちゃにされてるよぉ~!暴走しちゃうよぉ~っ!!」

「わぅわぅ!」

「にゃうにゃう!」

「はぅあー!!」

 

ぷしゅっ!という水音がして静かになった。ぷちたばねーさんの近くにいたぷちかは赤っぽくなっていた。見事に暴走したと言うわけですねわかります。

 

流石に布団を血で汚されるのは嫌なので、血まみれぷちか達を風呂に入れてから寝ることにした。犬属性ぷちか達は割と普通に入ってくれるが、猫属性ぷちか達はなかなか入ろうとしない。ミニシロまで使って逃げている。そこまで嫌か。

 

「にゃう!」

 

嫌だそうだ。こんなところまで猫っぽくしなくてもいいだろうに。

 

仕方がないから無理矢理捕まえて、逃げられないように首根っこをつまんで持ち上げる。汚れた猫属性ぷちかが二体だけでよかった。それより多かったら面倒だった。

 

「みゃー!」

「おとなしくしてればすぐ終わるから」

「みゃー!!」

 

………やれやれ。

 

 

 

ぷちか達を風呂に入れて、わしわしと洗う。浴槽はなくとも洗面器はあるからな。無かったら作ればいいだけだけど。

 

犬属性ぷちか三体は、俺が洗っている猫属性ぷちかではない方を抑えていてくれている。ありがとな。

そして今洗っている方の猫属性ぷちかは、

 

「にゃ、にゃぁ、ぁ~……」

 

全身くまなく洗われて、満身創痍になっていた。さっきまで気持ち良さそうに鳴いてたのにな。鈴が聞いてたら暴走しそうな感じで。

 

「はい次。黒猫ぷちか」

 

そう言うと、なぜか素直に洗面器の中に座り込んだ。

ちなみにさっきまで洗われてたのは白猫ぷちか。赤い斑点が凄まじく目立っていたからついしっかりと洗い尽くしてしまった。

黒猫ぷちかの方も、しっかりと洗ってやらないとな。

 

……もちろん、犬属性達も。

 

 

 

 

side ぷちか一号

 

ぷちか一号こと、柴犬ぷちか。今はごしゅじんさまに洗ってもらう順番待ちの途中だ。

黒猫ぷちかがごしゅじんさまの大きな手でわしわしとマッサージをされながら洗われていて、気持ち良さそうな鳴き声をあげている。

それを聞いて他のぷちか達もぞろぞろと並び、今ではほとんどのぷちか達がごしゅじんさまの前に並んでいる。

 

それを見たごしゅじんさまは、面倒臭そうなため息をついたあと、壁に六角形の穴を開けておれ達を呼んだ。

 

そこに入ってみると、そこは大きなお風呂だった。そして、ごしゅじんさまが三十人も居た。

三十人のごしゅじんさまは、わしゃわしゃとおれ達を洗ってくれた。

頭を洗い、首から背中を洗い、腕を洗い、足を洗い、血がべったりついていたおれ達は前も洗ってもらった。ごしゅじんさまの手は温かかった。

 

全身くまなく洗ってもらったおれ達は、今は大きいのに浅い風呂に浸かってだらけている。最後のぷちかを洗い終わったごしゅじんさまは、そんなおれ達を見てぽつりと

 

「ちー姉さんが見たらお湯が真っ赤に染まりそうな光景だ」

 

とだけ呟いて、それから始めの方に入っていたぷちかを優先してお湯から引き上げて体を拭いて、ベッドに運んでいた。

 

運ばれたおれ達は、先にベッドに入っていたぷちーねえさんやぷちたばねーさんを抱き締めて布団にくるまる。

何体も何体も運ばれてきて、ベッドに乗らなくなったらどこからともなく出てきた新しいベッドを連結してそこに寝る。

 

……わぅ………おやすみ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

二学期開始、まず整備から

 

新学期が始まって、俺は久し振りにシロの調整をしていた。

久し振りの模擬戦が終わった辺りで少しのズレに気が付いて、かんちゃんと一緒に整備と調整を繰り返している。

 

「あ、更識さん。……ここで織斑君と一緒にいるところを見るのは久し振りじゃない?」

「は、はい……夏休みのあいだは……来てませんでしたから……」

 

そう言って話しかけてきたのは二年生にして新聞部の改竄パパラッチこと繭染《まゆぞめ》桜子さん。名前はきっと違う。

かんちゃんはISを完成させるときにこの人の力を借りて、それから交遊を続けているらしい。

 

ちなみに俺とも一応顔見知りではあるが、俺はあまりこの人のことは好きではない。

理由は、取材取材と騒いで睡眠時間を削ろうとしてくる上に、改竄率が凄まじいから。IS学園でハーレム作るのが夢だなんて言ってないっての。

そんな記事をあげてくれやがったので、俺は鈴とののちゃんに「めっ!」って感じで叱られてしまった。

 

仕返しに新聞部に突撃してこの人の頭をそこそこ本気で潰れない程度にかつ逃げられない程度にアイアンクローで締め上げたことがある。泡噴いてたけど人間ってのはかなり頑丈だから大丈夫なはず。

 

「……いや、あれは痛かったよ? 具体的に言うと、あの記事をあげた直後にやってきた織斑先生にやられた時とおんなじくらい」

 

ああ、織斑君は織斑先生の弟なんだなーって思った、などと言っているが、原因は向こうなので謝らない。悪いともあんまり思ってない。

 

酷いかもしれないけど、これもまた一つの戦争なのよね。

 

「ところで織斑君? 織斑君は更識ちゃんのことはどう思ってるの?」

「ポケットの中のボイスレコーダーとカセットと俺の後ろで別の物を撮っているふりをしながら声を録音しようとしている誰かさんを何とかして言葉を改竄または捏造もしくはそれに連なることをしないんだったら答えてあげないこともないですけど?」

 

実はなにも無しで答えを返しても一向に構わないんだが、一応言っておく。

 

「……何でわかるの織斑君? 織斑君ってもしかしてエスパー?」

「まさか。やりそうなことを列挙して気配を読んでみたら集音マイクがこっちに向いたまま別方向をそしらぬ顔で撮っている誰かさんがいるのがわかったから、カマかけてみただけ」

 

まさか本当に当たるとは、ちょっとしか思ってなかったよ。

 

「ちなみにかんちゃんの事は好きだよ? 友愛って意味だったら愛してるって言ってもいいくらいには」

 

なんでか、五月蝿いはずの整備室の音が完全に消え去った。ガシャガシャと五月蝿かった機械の音から話し声まで、一切合切が消えてしまった。

 

「あ……え……? 織斑……くん………? あい、してる……? 愛………して……………」

 

かんちゃんが顔を真っ赤にして煙を出してしまった。いったい何があったんだ?

今の言葉を聞いたくらいでこんなんなるって言うのは無いだろうし、熱も無かったはずなんだけど。

 

「え……いいの? まだ切ってないんだよ?」

「改竄したり捏造したり煽りの材料にしたりしなければ別にいい」

 

したらアイアンクローからの振り回し→叩き付け→投げる→空中コンボ→フィニッシュ→追い打ち→とどめまでのフルコースを食らわせる予定。おかわりは自由だから足りなかったらいくらでも持ってけ。

 

「それは遠慮したいかな~……あはははは………」

 

特に意味はないけれど、怒れるちーねえさん笑いと呼ばれた愛想笑いを浮かべてみた。そしたら泣かれた。なんでかね?

 

「織斑くん? ………すっごい怖いよ……?」

「ああ、やっぱり」

 

だよな。まあ、怒ったちー姉さんは怖いよな。いろんな意味で。

いや、一番怖いのは無邪気に殺意を向ける束姉さんか、炎のような憎悪と氷の殺意と機械のような繊細な技術を使うちー姉さん……あれ、ちー姉さんだ。

 

……とにかく、ちー姉さんは怒ると怖いし容赦がなくなる、と。

 

結論が出たところで、俺は寝ようかね。かんちゃんはまだ真っ赤だけど、しばらくすれば戻ってくるだろ。

 

かんちゃんの膝を借りて、俺は久し振りに整備室で眠る。実は五月蝿かろうが起きないことはできるんだが、やっぱり静かな方がいい。

 

…………すか~………。

 

 

 

side 更識 簪

 

織斑君がいきなり私のことを愛してるって言って、なんにも考えられなくなって、頭が真っ白になって、膝の上の織斑君の頭を撫でて、私の口から言葉にならない声の羅列が溢れて、お姉ちゃんに助けを求めて、もぞもぞと動く織斑君が動きを止めるまで待って、先輩がにやにやと笑ってて、携帯で織斑君の写真を撮って、打鉄弐式を腕だけ展開して黛先輩にでこぴんをして、あうあうとわからない言葉を発して、顔が真っ赤になってることを自覚して、頬を片手でおさえて、メールで本部長に写真を送って、打鉄弐式を戻して、織斑君の頭を撫でて、シロに目をやって、コンソールを叩いてロックオン・システムを作って、織斑君のほっぺをぷにぷにして、指を舐められて、その指を織斑君の口から抜き取って、織斑君の唾液をぺろりと舐めて、何をしたかに気付いてせっかく冷めていた頭がまた沸騰して………………とりあえず私は気絶することにした。

 

……きゅう。

 

 

 

 

 

 

 

 

全校集会、これ夢で見たな

 

「やあみんな。おはよう」

 

そんな声がスピーカー越しに響いて、なんだか凄まじく嫌な予感がする声が俺の鼓膜を震わせる。

壇上で挨拶をしている生徒会長の挨拶のはずだが………やっぱりやられるのかね? 俺は一応部活に入ってるんだけど。

……愛好会は部活にカウントされないとか? だとすると少し困るな。俺の睡眠時間が減るし。

まあ、原作的に考えると外せない出来事だろうし、一応顔見知りではないにしろ会ったことはある訳だし、予想通りの事になったとしてもキレすぎないようにしないとな。

 

努力はするが、確定ではない。キレる時はキレるだろうし、怒るときは怒るだろう。頑張れ俺の理性。そこそこ期待してる。そこそこ止まりだが。

 

「さてさて、今年は色々と立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったね。私の名前は更識楯無。君たち生徒の長よ。以後、よろしく」

 

……なんだかあんまりよろしくしたくない感じの、悪戯好きで嗜虐心満載の猫のような声だな。あんまりよろしくしたくない。よろしくしたくない。よろしくしたくない。よろしk

 

「一夏。何回言ってるのさ?」

「重要なことだから、つい」

「……つい、って…………」

 

シャルに突っ込まれている間も………名前なんだっけ? ………猫座の生徒会長でいいか。面倒だし。……猫座の生徒会長の話は続く。

 

「では、今月の一大イベント学園祭だけど、今回に限り特別ルールを導入するわ。その内容というのは──名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

…………夢で予想してたのより、ムカつくな。自分の事が勝手に決められるのも、睡眠時間が減らされるのも………………。

 

シャルが隣で俺の事を驚愕の眼差しで見つめている。どうやら夢の話が本当に起こったから驚いているらしい。

 

……それにしても、ほんっとにムカつくな。多分エクスカリバーでもここまでムカつかない。あいつは話をするだけで、叩き起こしたり睡眠時間を削ってきたりはしないだろうから。

 

「……い……一夏、落ち着いて? ね?」

 

シャルがだらだらと冷や汗を流しながら俺を見上げて小声で説得しようとしている。どうやら俺がこの後に夢の中と同じような事をしないかと思っているらしいが、まあ、関係ないな。

あと、流石に人前であれは無い。やらないから安心してくれていい。

 

そう思いながら顔を上げて猫座の生徒会長を見やると、笑顔と一緒にウインクを返されたので、こちらからは百万ドルの笑顔(ちー姉さんレートでは価値億倍らしい)を返す。

 

なぜか、俺の半径二メートル以内から人がいなくなった。

なんでだろうねぇ?

 

…………とりあえず、後で怒られるのを覚悟してから猫座の生徒会長を苛めよう。逃げられそうになったらシロの三つめの特殊装備を使えば逃げられないはずだし。

IS? 使われたときにシロを使う予定だから、まあ、平気じゃない?

 

…………さぁてと。行くか。

 

 

 

side 凰 鈴音

 

Bell&Bulletの、悔しいけど一夏のために物理法則を越えられない方、鈴よ。ちなみにBulletは弾ね。わかってると思うけど。

こうして妙な自己紹介をしているのにはわけがあるのだけど、今は省かせてもらうわね。

 

あたし達は今、全校集会で生徒会長の話を聞いているんだけど………一夏ってエスパーだったりするのかしら? なんでここまで正確にわかるのかしらね。

一夏の夢では、この後一夏がキレて生徒会長を地面に沈み込ませて発狂するまでエクスキャリバ~~~~を聞かせるはずなんだけど………流石にやらないわよね?

例えばラウラやシャルロットの時みたいに、どこかしら変わるはずよね? ね?

 

『……変わるといいがな』

『……そんな絶望的に確率の低い奇跡に期待する兵士みたいな口調はやめてよ。こっちに移るじゃない』

 

確かに絶望的だけど。

 

………千冬さんがいなければ、ここから逃げるとかサボるとか、そんな選択肢も取れたのに…………。

……………ああ、まだ死にたくなかったなぁ……。

 

『…………ISを使って逃げるわけにはいかないか?』

『あの千冬さんから逃げられるって本気で思ってるんだったら、試してみたら? 無理だと思うけど』

 

だって千冬さんって、大魔王より大魔王でしょ? 大魔王からも逃げられないのに、千冬さんから逃げられるわけが無いじゃない。

 

………………どうしよ……。

 

『……私は気合いで貧血に似た症状を起こして保健室に行くが、どうする?』

 

ず、狡い!そんなことができるなんてっ!!

 

『鈴も愛らしすぎる一夏を想像すればよかろう』

 

それだっ!!

 

すぐさま可愛い一夏を想像する。いつもは我慢するところを我慢しないでいると、すぐに鼻から愛情が溢れて…………

 

って、駄目じゃない。私に一夏への愛がある限り、愛情が溢れて貧血になるわけがないわ。

 

「ちょっ!? 凰さん!? すごい量の血が出てるんだけど!?」

「ほ、保健室っ!救護室っ!!衛生兵ーっ!!!」

 

……あら、意外と抜けられたわね。

……じゃあ、シャルロットとラウラとセシリアは…………頑張って生き残ってね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢とは違う、この現実

 

周りから人がいなくなったせいで目立ってしまっているが、そのくらいならなんとでもなる。

シルバーカーテンを使って姿を消し、それからすぐに猫座の生徒会長の後ろに回り込む。

いきなり俺が消えたせいでざわざわとしているクラスメイト達をスルーして、猫座の生徒会長の後ろでシルバーカーテンを解除する。

そして、猫座の生徒会長の肩を、あくまでも優しく叩く。

 

「え?」

「…………」

 

にっこり、と笑いかけると、冷や汗を滝のように垂れ流しながらも笑顔を返してくれる。少しは手加減してやるか。あくまで少し。

まあ、元々本気で殺す気は欠片も無いわけだけど。

 

にっこりと笑いながら猫座の生徒会長の頭に右手を置いて、一言。

 

「なにか言い残すことは?」

「…………えへ☆」

 

冷や汗を流しながらとは思えない、悪戯っぽい笑顔を頂きました。

 

ギュヂィィィィッ!!

 

 

 

 

side ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

その音が聞こえると同時に、私は自分の頭に鈍痛を覚えた。今、一夏が生徒会長の頭を使って奏でているこの音は、少し前に教官にされた仕置きの時に頭の内部で響いた音と瓜二つだったからだ。

 

まるで、鳴いている蝉を踏み潰したときの断末魔や、首をへし折られて死んだ瞬間の豚の鳴き声を思わせるその音は、教官によく似た笑顔を浮かべる一夏と、生徒会長の口から溢れ出る悲鳴が混じるおかげでさらに恐ろしい。

 

明らかに致命的な音を立てていると言うのに、一夏は欠片も容赦する気はないらしく、全く手の力を緩めていないようだ。

生徒会長の口から溢れていた悲鳴も、今では悲鳴と言うよりも呻き声と言うべきものに変わってしまっている。

じたばたと暴れさせていた手足もだらりと垂れ下がり、時折痙攣するように跳ねる以外に動いている様子は無い。

 

「……そう言えば、昔から言ってみたかった言葉がある」

 

生徒会長の胸元についていたと思われるピンマイクを通して、一夏の声がホール中に響いた。

一夏はいまだに笑顔を浮かべたままだったが、その手にはすでに相当の力が込められているらしく、見えている手首から先には血管が浮き上がっているのが視認できる。

 

「……『私の握力は、53万です』」

 

それはどう贔屓目に見ても、人間の握力ではない。

と言うか、もはやそれは地球上の生命体が上空からの自由落下以外の方法で出していい威力ではない。

 

「ただし単位は普通にグラム」

 

隣で、なんだグラムかー、びっくりしたー。等と言う言葉が囁かれているが、よく考えろ。

 

53万グラムだぞ? 530000グラムだぞ? キログラムに直しても530キログラムだぞ? 十分人間の出せる握力ではない。

 

……まあ、冗談なのだろうがな。

 

「……一夏だったらありえる気がするのは僕だけかなぁ?」

「シャルロット。頼むからそんな恐ろしい予想をたてるのはやめてくれ。洒落になっていない」

 

言われて見れば、ありえる話だ。一夏だしな。

 

「……一夏だもんねぇ……」

「……一夏様ですからね……」

「……一夏だからな……」

 

私達は視線を合わせ、溜め息をついた。

 

 

 

 

side 織斑 一夏

 

しばらくギリギリギリギシギシギシギチギチギチギヂギヂギヂギヂと猫座の生徒会長の頭を掴んでいると、ちー姉さんに怒られた。

確かに猫座の生徒会長はなんかヤバイ感じに痙攣してはいたが、もう少しやっても大丈夫だと思ったんだけど。

人間ってのは意外と頑丈にできてるからな。

 

けれど怒られちゃったものは仕方ないから、猫座の生徒会長の頭から多少めり込んでいる指をはがす。

 

「やりすぎだ、馬鹿者」

「許可も取らずに勝手なことを言いたい放題いってくれやがりましたので、つい。後悔はしていませんが反省はしています。闇討ちすればよかっ」

 

出席簿でひっぱたかれた。枕ガードを発動したらその隙に頭を捕まれた。

 

「……ちー姉さんの握力って、いくつ?」

「織斑先生、だ。……それと、私の握力は精々250キログラムに届くか届かないか、と言ったところだ」

 

十分化物の域ですねわかります。

 

そう思うと同時に、ちー姉さんの握力が一気に強くなってきた。気で強化なんてしないで甘んじて受けることにした。

元々、大して痛くもないし。

 

後で鈴やラルちゃん達にその事を言ってみたら、凄まじく驚かれた。そう言えばこの二人はちー姉さんの握撃を受けたことがあったな。半死半生になってたり、モザイクなしで公共の電波にのせたらアウトになりそうなほどダメージ食らってたけど。

 

……よく平気だったよな。色々と。

 

「一応生徒が相手だからな。加減した」

 

十分アウトです。ちー姉さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスの出し物、サボろうか

 

色々あった全校集会の放課後。クラスの出し物を決めるための話し合いの時間を設けられたわけなんだが━━━

 

『織斑一夏のホストクラブ』

『織斑一夏とツイスター』

『織斑一夏とポッキー遊び』

『織斑一夏と王様ゲーム』

 

……………。

 

「セシリー。俺はもしかしてまたアイアンクローを望まれてるのか?」

「わたくしにですかっ!? でしたら喜んでお受けいたしますわっ!」

「違う違う。わざわざ俺の睡眠時間を減らそうとしたらどうなるかを簡単に教えてあげたのに、まだこんな馬鹿なことを考える人は、もしかして今度こそ頭を握り潰されたいのかね? ってこと」

 

そう聞いてみると、セシリーはあからさまにかつ心底残念そうな顔を浮かべてから言う。

 

「恐らくですが、そういったことは考えていないのではありませんか? わたくし達はそんなことは恐ろしくてとてもとてもできそうにありませんが、知らなければ魅力的に見えるのでしょう」

 

あっそう。まあ、仕返しはするけど。

 

シルバーカーテンを使い、消える。するとさっきの案を出した数人が慌てて自分の後ろをきょろきょろと見回す。始めに自分のところにくるんじゃないかと思って俺を探しているようだ。

 

……はっはっは、そんな誰か一人だけを狙うわけがないのにな。

 

とりあえず、でこぴん一発で許してあげることにした。経験者(鈴)曰く、首から上が吹き飛んだんじゃないかって思ったのはあれが初めて、と言われる程度には痛いらしいが、たいしたことはないはず。

 

ぱっ、ととある一人の目の前で透明化を解除し、にっこりと笑いながら手を振ってみる。なぜかひきつった笑顔を返された。

……つい最近に似たような顔を見たな。具体的にはあの猫座の生徒会長の頭に手を置いたときに、猫座の生徒会長が浮かべた笑顔がこんなんだったはず。

 

「……もしかして私………頭ぷちっ☆てやられたり……?」

「しないしない。でこぴんするだけだから」

 

まあ、そのでこぴんは効果音をつけると『キュボッ!』とか『ドズムッ!』とか、そんな音になるようなでこぴんだけど。

 

とりあえず加減をして優しくでこぴん。教室中に響くような音をたてて額に直撃したでこぴんに、そいつは悶絶する。

 

「……あ゛………あ゛あ゛……………い……ったぁ…………」

「はーいそれじゃあまともな案を出してねー」

 

また変なのが出たらでこぴん百列拳(拳じゃないけど)を食らわせてやる。

 

結局原作と同じようにメイドやら執事やらが接待する『ご奉仕喫茶』になった。

やっぱりこの世界にも原作の修正力ってのがあったりするのかね?

ちなみに俺は執事だが、途中で抜ける。睡眠愛好会のほうの出し物も決めなくっちゃいけないし。

 

……さてと。楽しい楽しい学園祭のために、少しだけ働くとしようか。

…………面倒臭いけど。

 

 

 

 

side 凰 鈴音

 

真っ暗な部屋の中で、私達は円形のテーブルに輪になって座っている。全員が真剣な顔をしていて、ピリピリとした空気が伝わってくる。

 

「……それではこれより、IIIの月例会及び、睡眠愛好会の学園祭の出し物についての会議を始めるわ」

「それではまず、参加している人達のクラスの出し物の詳細を要求します」

「許可するわ。あたし達二組は中華喫茶の予定よ。シフトの時間は午前の10時から11時半まで。それ以降は空いてるわ」

「一組はご奉仕喫茶ということで、一夏様やわたくし達が使用人に扮して接待をする喫茶店ですわ。一夏様はずっといれっぱなしになっていますが、十中八九途中で抜け出すでしょう」

「そうでしょうね。一夏はそうやって働くのはあまり好きじゃないもの」

 

うんうん、とあたし達は頷きあい、それからまた話し合いを始める。

 

「最近一夏の食事量が増えてきているわ。昔の一日二食が当然だった頃に比べれば、かなり健康的ね」

「だが、一夏の肥満は大丈夫なのだろうか? もしそんなことになったら私は泣くぞ? そして脂肪を燃焼させるぞ?」

「その件は、昔に一夏から直接解決策が出ているわ。………一夏って、ある一定以上は太らないんですって」

 

正直、凄く羨ましい。いくら食べても太らないとか、世界中の女が羨むことよね。

一夏が女だったら、きっとあたしは嫉妬で一夏の乳を揉みしだいてたと思うわ。千冬さんの弟だし、妹だったらかなり大きそうだしね。

 

ちょっと想像してみる。女になった一夏…………

 

いつものように寝ていて、とても可愛いけど怒ると怖い一夏(女)。

身長の伸び縮みはデフォルトで、弾に優しく撫でられている一夏。

弾に恋をして、相談に来ている一夏。腕に挟まれて強調された乳を、あたしがからかいと嫉妬を込めて揉んでいる。

 

『あんっ!や、鈴っ、ダメぇっ!』

 

 

ズゴギンッ!!

 

ド派手な音を立ててあたしの頭がテーブルを頭の形に叩き割り、額から少し血が出てしまった。

 

「り、鈴っ!?」

「……気にしないで。ちょっと頭を冷やしただけだから」

 

……やばいやばい。あたしにそっちのケは無いっての。

確かに可愛いとは思ったけどさぁ…………。

 

……もしかして、弾も似たような感じなのかしら?

だとしたら、弾も大変ね。

 

……なんの話だったかしら? 確か、文化祭の話だったと思うけど………?

 

 

 

 

 

 

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