IS~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

2 / 22
11~20

卒業式、はっちゃけはじめたちー姉さん

 

卒業式。いつもは騒がしい同級生達も、今日ばかりは静かだ。お陰で……

 

「……すかー……」

 

よく寝れる。

……とは言え、しっかりと卒業証書は受け取ったし、歌も歌える。問題ない。服装も、まあ、問題ない。

問題があるとすれば……

 

「ちーちゃんちーちゃん、いっくんがスーツ着てるよ!」

「わかって……おい束、このカメラはどうやって使うんだ?」

 

……このくらいか。

あとちー姉さん。そのカメラはメイド・イン・束姉さんだから思考操作式でピントもズームも光量調節もブレ補正もシャッターもみんなやってくれるから。現像は束姉さんに頼めば早いよ。

……それにしても、スーツ似合わねえなぁ……ちー姉さんと束姉さんは喜んでるけど。

 

「いーつのーことーだかー、おもいだしてごーらんーあんなーこーとー、こんなーこーとー、あーったーでしょー♪」

 

……そうそう、色々あった。

ドイツで誘拐されかけたり、ちー姉さんがいきなり鼻血を噴き出したり、弾の家の定食屋(?)に飯食べにいったり、鈴の家の中華料理屋に飯食いにいったり、たまに来る誘拐犯を上役と一緒にゾナハらせたり、家庭科の授業の自由作品で先生のプライドをへし折ったり、音楽の授業で歌ったら何故か鈴以外の女子から熱い眼差しを、弾以外の男子からは刺すような視線を向けられたり、急にやって来た束姉さんに抱き締められたまま微睡んでいたら帰ってきたちー姉さんと束姉さんの喧嘩が始まったとか………本当に、色々あった。

 

………まあ、中々に楽しい小学生生活だった。俺に高校生以上の頭があったというのは関係無く、友人たちと一緒に過ごせたし。

 

「中学に行ってからもよろしくな~」

「もちろんよ」

「わかってるって」

 

よかったよかった。さて、寝るか。

 

 

 

起きてみたらちー姉さんと束姉さん、そして鈴が何故か睨みあっていた。俺は現在弾に抱きついている。

 

「一夏。起きたか?」

「……まあ、一応」

 

すると三人がぐるんと首だけをねじって俺を見た。何でかわからんが少し怒っているちー姉さんと、少しムッとしている鈴と、その二人に張り合うように気合いを込めている束姉さんは、ちょっと怖い。

 

「……弾。何があったんだ?」

「…………あー……つまり、鈴と千冬さんとあの赤ずきんっぽい服の人は、一夏のことが大好きだってことだ」

 

へー。まあ知ってるけども、それが何でにらみ合いになる?

……あれか、嫉妬か? 弟にたかる悪い虫か? 友人を困らせる悪い人か?

 

「似たようなもんだと思うぞ」

「へー、そうかい。俺はちー姉さんも束姉さんも鈴も大好きだけど」

 

勿論弾のことも好きだぞ? 筋肉ついてて違った抱き心地があって良いし。

 

「………お前って奴は本っ当に女心を理解してないな?」

「してるよ? 理解だけは」

「余計に悪いわ」

 

そうかね?

……とりあえず、あの三人の喧嘩(?)を止めるか。確か鞄の中に束姉さんから貰った例のブツ四号があったはずだ。

ちなみに一号は犬(柴犬)、二号は狼(多分日本狼)、三号は猫(黒)、そして四号は何故かまた犬(ダックスフンド)だ。百八号まであるらしいが、そこまで使うことは無いだろう。

 

……なお、これら獣耳シリーズにはもれなく思考操作ユニットを積んであり。自動で俺の感情を外に出す仕組みであるらしい。科学力の無駄遣いここに極まれりだな。

 

……ああ、あったあった。装着、と。

 

何故か弾に撫でられた。気持ちいいから構わないけどな。

……あ、やばい、意識が落ちる……喧嘩止めねえと…………すか~……。

 

 

 

 

 

side 五反田 弾

 

卒業式が終わってすぐ、一夏はいつも通りに寝始めた。鈴が近付いていくと、いつも通り抱き締められる。

 

「役得だな?」

「そうね」

 

一年ちょっとの付き合いで、俺達は一夏の事をよく知った。

一夏の事を見たことのあるやつらは揃って一夏をねぼすけだの面倒臭がりだのと言うが、実際は違う。

 

一夏は睡眠至上主義であり、重度のシスコンであり、そしてとても優しい奴だ。

何を持ってそう断ずるのかと言えば、一夏の行動と話からの推測になるんだが、それだけでもう十分とも言える。

 

例えば、自分の関係ないことでも揉め事が起きればさりげなく助けに行くし、喧嘩ならともかく苛めは大抵一夏に角がたたないように止められる。

基本的に寝てばかりいるが話は聞いているし、抱き締めるときも本気で嫌がればすぐに放してくれる。

作ってくる弁当も美味いし、頭もいいし、運動神経もいい。

そんな完璧超人が何故か妬まれないのは、こうして駄目なところをよく見せているせいだろう。お陰でこっちも騒がしくなくていいとは思うんだが、あのシスコンっぷりには少し引いた。

……今も、日頃から大好きだと言っている千冬さんと鈴、そして見たことのない人の喧嘩を止めるためとは言え、こんなものを即座に用意しているんだからな。

 

「……わん」

 

駄目だ俺やめろ俺鼻血はやめろ俺変態にしか見えないからやめろ俺。つかなんだよこいつ犬耳犬尻尾とかおかしすぎるだろなに考えてんだよ何でそれだけで異様に可愛らしく見えるんだよ何で少し背が縮んだように見えるんだよ何であの顔が中性的に見えるようになるんだよ何で頬の柔らかさが増すんだよ何で睫毛が少し長くなってんだよ何で耳がピクピク動いてんだよ何で細い尻尾がブンブン振られてんだよ何で俺の手は一夏の頭を撫でてんだよ何で一夏も嫌がらねえんだよそして何で俺はあの三人の内二人に仇のように見られて、鈴に羨ましげな目で見られてんだよ!?

 

「……えっと………撫でますか?」

 

そういえた俺はきっと凄いに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学式、早々大乱闘

 

中学に入り、また鈴と弾と同じクラスになる。またずいぶんと嬉しい偶然もあったものだ。

 

「実は偶然じゃなかったりするんじゃないの?」

「……見ろよ弾、あの雲五反田食堂のCMやってくれてるぜ?」

「どれどれ……ってマジかよ!? 何で綺麗な楷書体で『五反田食堂をよろしく!』って形してんだよ!? しかも地図付きで!」

「なに言って……ほんとにそんな形してる!?」

 

やれやれ、五月蝿い奴らだな。そんな偶然があるのだからこんな偶然くらい普通にあるだろ。

……ところで、あの雲って妙に銀色してると思わないか? 具体的には、まるで小さな機械が集まってるみたいに。

 

…………言わないけどな。

 

「……おいおい、今度は家の真上で『五反田食堂↓』って形になったんだが!?」

「くぅ……弾!どうやったのか教えなさいよ!」

「俺に聞くなよ!?」

 

……若い奴は元気いいな……すか~…………。

 

 

 

帰る時間になったんだが、何故か周りには先輩(笑)達がたむろしている。にやにやと笑っているが、俺達が何かしただろうか?

 

「なあ弾。何で囲まれてるかわかるか?」

「……あ~、昔俺達がボコったあれじゃね? それのお礼参り」

 

へー……面倒臭い。何でわざわざ入学式の日に来るんだよ。今日はちー姉さんが一月振りに帰ってくる日なのにさ。

……弾一人じゃ多勢に無勢だし、さっさと潰して終わりにするか。呼吸に合わせてニアデスハピネス体に入れて肺で小爆発させれば気絶するだろ。

……実行~。

 

「ぶべらっ!?」

「ごぼうぇっ!?」

「ふんぐるいっ!?」

 

変態は倒れた、と。

 

「いや待て。明らかにおかしい悲鳴があったろ無視すんなよ」

「……え、なに? もっかい聞いて確かめたいって? 弾はドSだなまったく」

「ちげえよ!? 俺ドSじゃねえよ!? 悲鳴なんて聞きたくもないからな!?」

 

へー、そうかい。まあ、割とどうでもいい。

 

「んじゃ俺はちー姉さんとの晩飯の買い物をしてくるから」

「……おお、またな。……シスコンめ」

「弾? シスコンで何が悪いんだ?」

「そっち!?」

 

そりゃそうだろ。シスコンで悪いことなんざ無いしな。

第一、弾もシスコンだし。

 

 

家に帰ると何故か束姉さんが居た。何となく予想は出来ていたので材料は多めに買ったが、どうやら正解だったようだ。

 

「プリンでも食べて待っててくださいな。俺のですけど」

「いただきまーす♪」

 

スプーンを使ってぱくぱくとプリンを頬張っている束姉さんは、服装もあいまって年齢以上に若く見える。八歳年上で今は確か……二十歳? どう見ても十四~五だよな。行動だけ見ると四歳児。

 

「ん~♪ 美味しいよー♪」

「そうですか。ののちゃんのお土産にも持っていってあげてくれます? 俺のですけど」

 

ちなみにちー姉さんのはコーヒーゼリー。甘すぎるのは嫌いだと言っていたのでブラックで。

プリンもちー姉さんの分はノンシュガーで素材の甘さを生かしている。なかなか好評。

やっぱりちー姉さんが美味しそうに食べてくれると、作った甲斐があったっていうことだよな。実に嬉しい。

 

……最近、こうして笑うとちー姉さんが顔を背けるようになって少し寂しいけど。

 

「……はあはあ……いっくんかわいい……はあはあ」

 

…………そして今、割と本気で貞操の危機。多分全力で逃げても追い付かれる。ISなんて大嫌いだ。そしてギャグ補正を今ほど憎んだことも無い。

……ギャグ補正? すると……

 

「いっくーん!」

 

束姉さんが飛びかかってきた瞬間に、思いきり息を吸って叫ぶ。

 

「ちー姉さーーん!助けてーーーっ!!」

「  束  」

 

冷たい声が響いて、束姉さんの動きが完全に止まる。まるで凍りついてしまったかのようだ。

 

「……ち……ちーちゃん………あと二時間は帰ってこれないはずなのに……」

 

束姉さんのその言葉に、ちー姉さんは鼻で笑うことで答えた。

 

「そんなもの、一夏を守るためならどうとでもなる。…………さあ、束。お前はたった一つ間違いを犯した」

 

……似たような言葉をどこかで聞いたことがあるような気がしたけれど、気にしないことにした。

…………それにしても、ちー姉さんはかっこいいな。

……あっと。晩飯作らないと。

 

俺は立ち上がり、炊事場の方に歩き出す。

後ろの方では色々と破壊音とか

 

「……貴様は私を怒らせた!!」

「うひぃぃぃっ!!」

 

といった声が聞こえてくるが、それも気にしないことにした。

 

……よし。朝に炊き始めた炊き込みご飯は上手くできてるな。よかったよかった。

 

 

 

side 織斑 千冬

 

仕事をしていたら、急に一夏に助けを求められた気がしたので急いで帰ってみると(所要時間0.22秒)、束が一夏に襲いかかろうとしていた。

とりあえずぼこぼこにしておいたが、気が済んだ頃には周りがぼろぼろになってしまっていた。

 

「大丈夫だよ、ちー姉さん」

 

いつの間にか私の後ろにいた一夏は、新しい机と椅子をどこかから用意していた。

そして机の上を台拭きで綺麗に拭いてから、作ったばかりと見える料理を並べる。

 

「それじゃあ……いただきます」

「いただきます」

 

…………やはり美味いな。

そう思いながら食べていると、ふと一夏が目に入る。

あの日から見ることはなくなったが、このときだけは何故か嬉しそうに尻尾を降っているように見えてしまう。

また気絶するわけにもいかないので目を逸らすが、その度に一夏にくっついて見える耳と尻尾が元気をなくしてぺたりと伏せられる。今日は狐か……。

 

「……く……」

 

ぱんっ、と鼻を抑える。まずい、鉄の匂いがし始めた。

 

「ちー姉さん? どうしたんだ?」

 

きょとん、と首をかしげて私を見つめる一夏を直視することができない。そして鼻を押さえている手から力を抜くこともできない。

 

 

―――私は、織斑千冬。一夏の、かっこいい姉だ。

 

 

 

まあ、いつものように愛の噴出は避けられなかったんだが、それでも慣れたのか気絶はしないですんだ。

 

一夏が心配そうに私を見つめている。

……その頭の上に、恐らく束の悪戯の結果であろう狐耳。背中を見てみると、尻尾も見えた。

 

…………とりあえず、風呂に入ってから寝よう。一夏と一緒にな。

 

 

 

 

 

 

 

 

授業中、トラブルに巻き込まれる俺。

 

……お早う。ちー姉さんはいない。なぜなら恐らくもうIS学園に教師として行っているから。

……フウの作ったゾナハ虫のような監視用機械は良いな。まずバレないように俺に情報を与えてくれる。やっぱり千の顔を持つ英雄は汎用性が凄まじい。

とはいえそれはラカンが使っていた時に、帝国九七式破城鎚型魔導手甲なんていう明らかに造りをわかっていなさそうな物まで出てたからわかりきってたことなんだが。

 

……ちなみに、俺もちー姉さんも居ない時には家の中に武装で錬金なチャフを張り巡らせているため、今まで泥棒も盗聴機も仕掛けられたことがないし、仕掛けようとした相手を逃がしたこともない。

 

……俺が帰った時には大抵発狂してたけど。一度弾と鈴が遊びに来たときにピンポイントでこられたときには焦った。すぐさまフェイタルアトラクションで押し潰したけど。

 

ちなみにヴィクター化はできないが、突撃槍を旧型新型使い分けることもできるようになった。一番酷いのは破壊男爵+衛星30+銀の膜+激戦のコンボだと思うが。

……三十人に増えた超防御能力装備の男爵様に高速自動修復付きとか手に終えない。ほんとに。しかもリバースにすれば相手は動けないし。

 

………絶対使わねえ。相当の事が無い限り使わねえ。例えばちー姉さんを馬鹿にしたとか。

 

「……超個人的じゃないかな?」

「束姉さんには言われたくない。あと近寄らないで下さい変態」

 

……何で束姉さんは頬を赤らめて体を震わせているんだろうか?

……まあ、割とどうでもいいな。

学校行くか。そして寝よう。

 

 

 

流石に中学に入ってからは鈴を抱き締めたまま授業というのはしていない。後々面倒だし、このクラスにも馬鹿な親の元で育った馬鹿が居るようだし。

 

……一応言っておくと、俺は割と友達思いだ。だから、鈴が

 

「リンリンってパンダの名前みたいだよな。笹食えよ笹」

 

何て言われているところを見ると、ついやっちゃうんだ(嘲笑)

 

「なあなあ、ゾナハ病って知ってるか?」

「は? なんだよいきなり?」

 

確かにいきなりだな。まあ気にすんなって。

……どうせこの後何も気にならなくなるんだし。

 

「まあ聞けって。で、そのゾナハ病ってのは基本的に人間であればどんな奴でも発症する可能性があるわけだが………俺が指を鳴らした瞬間に発症するって可能性もあるよな? 超低いけど」

「……まあ、そうだな」

 

鈴を苛めていたそいつが、訳がわからないと言う風に答えを返す。

 

「じゃあもちろん、俺がお前に『今日の夜にお前はゾナハ病を発症する』って言ったとして、それが当たる可能性もあるよな?」

「…………だからなんだよ?」

 

そこで俺は、にっこりと笑って言ってやった。

 

「明日、午前六時半ごろ。発症するだろうから気を付けろよ?」

 

……正確には発症するのではなく、発症させるんだが。

 

「……んなわけないだろ」

「だといいな?」

 

……さて、寝るか。

 

 

 

 

side 鳳 鈴音

 

一夏がそんなことを言った次の日、言われたそいつは学校を急に休んだ。

先生は何もいっていなかったけれど、クラスの全員が一夏の事を疑った。

 

「……一夏。もしかしてあんた……」

「……やってねえよ。ちー姉さんにかけてもいい。俺は知らん。風邪じゃないのか?」

 

一夏はそういったけれど、私も弾もそれを信じることはできなかった。

 

「あー、昨日から休んでいた○○だが、昨日骨を折って入院中だそうだ」

 

次の日に、担任教師にそう聞かされるまでは。

 

……えっ……と…………。

弾と顔を見合わせる。どうやら一夏は本当に何もしていなかったらしい。

 

一夏の方を見ると、私達にだけわかるように少し顔をあげて、口元だけでニヤリと笑っていた。

 

――俺は、知らないと言ったはずだが?

 

そんな声が聞こえてきそうな表情で、一夏は笑っていた。

 

「……すか~……」

 

……そして、すぐに眠った。

 

 

 

「……で、一夏。釈明は?」

「それでも俺はやってない……ああ、ちなみに俺今日は飯持ってきてないから」

「「はぁ?」」

 

……そう言えば、一夏は千冬さんがいないとすっごい家事が大雑把になるんだった。それも、生きてく上では一番大切な食事が。

 

……で、今は千冬さんは家に居ないらしいし、よく私の家の中華料理屋に来て食事をしていっている。

 

……そっか。つまりまたお弁当をしっかりつくってもらわなきゃ……

 

「って違う!話を逸らすな!」

「お、バレた」

 

あぶないあぶない、また話をうやむやにされちゃうところだった。

 

「まあ、きっと偶然だよ、偶然」

 

一夏はそう言った。私の目を見ながら、いつもと全く同じように。

 

「……そう。じゃあいいわ。食べましょう」

「……まあ、鈴がいいって言うなら良いけどよ……」

 

私が引くと、弾も一緒に引き下がる。一夏はそれを確認すると、近くにいた弾を抱き枕にして寝始めた。

 

「だから飯だっての。…………ダメだこいつ。起きる気配すらねえや」

「しょうがないわよ。一夏なんだし」

「……それもそうだな」

 

弾は諦めて腰に抱きついたままの一夏の頭を撫でて、それから食事を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンド結成、四人組

 

昔もやっていたので軽くバンドを組んでみることにした。ちなみに今居るのは俺と鈴と弾とカズの四人だ。

 

「ちなみに本名は御手洗数馬だ」

「……え? 御手洗(おてあらい)どこか?」

「一夏。お前の間違い方は悪意にまみれてるよな?」

 

へー、悪意にまみれてんのか。そりゃ大変だ。

まあ、バンドでやる予定の音楽が全部ボカロのパクりだって所には悪意が満載かもしれないけど。

 

「仕方ないだろ数馬。こいつは一夏なんだから。……一夏俺の名前、フルネームで」

「だだんだん」

「俺はバイキンマンの作ったロボじゃないからな?」

 

へー。まあ、知ってるけど。違うだろうと思いながら言った。後悔はしない。後悔する暇があるなら寝る。

 

「……これが一夏だ。お前も早めに諦めとけ」

「……そうするよ」

 

弾とカズは揃ってため息をついた。

 

……まあ、しばらくは暇だしゆっくり上達していくとするか。目標は……そうだな、『初音ミクの消失-Dead end』を中学三年までにマスターすること。たぶんできるだろ。

 

「バンド名はどうするの?」

「そんなん後回しだ。今は上手くなることだけ考えて、上手くなったらまた考えよう」

 

それがいいよな? 多分。

 

 

 

学校の設備を借りられなかったので、千の顔を持つ英雄を使って楽器やら何やらを作った。ほら、音波って突き詰めていけば衝撃波で、アンプやスピーカーはそれを大きくするものだろ? 武器だ武器。平和に使うと楽器だけど。

 

それで練習していったところ、なぜか全員妙に上達が早い。もしやこれが原作キャラ補正なのかもしれないと思ったが、困ることではないのでスルー。むしろ嬉しい。

お陰で弾はドラム系統打楽器専門、カズはどれも平均的にこなせるキーボード、鈴がギター系統弦楽器とボーカルの特化、で、俺がベースかボーカル、というか全部それなり以上にできるという、奇妙なバンドができてしまった。

 

「勝算は考えない♪ 絶対なんか有り得ない♪ 君の言葉が聞きたい♪」

 

鈴も弾もカズもノリノリで演奏したり歌ったりしている。ってか上達速すぎだろどう考えても。

 

……いや、まあ、問題はないんだが。

 

 

 

「そう言えば、一夏ってちゃんと起きてるときはなんか凛々しくなるわよね?」

「あ、それ俺も思った。いつもは可愛い系の顔してんのに、喧嘩とかシリアスな時とかはかっこいい系の顔になるよな。何でだ?」

 

……へー……そんな風になってたのか。そりゃ驚きだ。

だけど俺に言われても知らねえものは知らねえんだよな。

 

「あー、あれじゃね? 体質」

「「「どんな体質だ」」」

 

だから知るかっての。

 

「もしくはあれじゃないか? 日頃の行い」

「日頃の行いでそんな変化があるわけないでしょ」

 

だから知らんと。

……あ~……眠……。最近ちー姉さんが帰ってこないからちー姉さん分が不足しがちなんだよなぁ……まあ、代わりに鈴とか弾に頼んでるんだが、鈴は暑くなってくると抱きつかせてくれないしなぁ……。

 

……悲しいけどこれ、現実なのよね。

今度体を冷やす方法考えないとな。性能《スペック》だけならラカンと同格だし、気合いとノリと勢いでなんとかなるだろ。

 

ただ、気を大っぴらに使うわけにはいかないから、色々考えねえと。

 

……それにしても眠い。

 

「あ、ほら縮んだ。何で着てる服も一緒に縮むのかしら」

「知らねえよ。もう『一夏だから』でよくないか? 一夏だったら身長が十五センチ伸び縮みしても仕方ねえって考えようぜ?」

「そうそう、あんまり気にしてると禿げるぞ?」

「禿げないわよ!」

 

鈴が殴ろうとしてきた。ちょっと痛そうだったので回避。腕を押さえてオンザ俺の膝。

 

「そう言やぁ、そうやって鈴を抱いてるときも高いままだよな」

「ちっちゃいのはこうした方が抱き締めやすくて良いからな。あとは気合いだ。人生気合いと勢いとノリである程度はなんとかなる」

 

基本はな。

 

…………すか~……。

 

 

 

 

side だだんだん

 

「鈴、ちょっと待っててくれるか?」

「あーはいはい。早めに終わらせなさいよ?」

「わーってるって」

 

……おい作者。ふざけんなっての。リテイク求む。

 

 

side 五反田 弾

 

…………よし、オッケーだな。

 

「それにしても一夏は色々と非常識だよな」

「今弾が言ったばかりじゃない。一夏なんだから仕方無いわよ一夏ならきっといつか生身でISを圧倒してくれるわ」

「いくらなんでもねーよ」

「さすがにそれはねーよ」

「じゃあ弾とカズはいつか俺が生身でISに勝ったら飯おごれよ」

「「「起きてた!?」」」

 

なん……だと……? 一夏がこの時点で起きてるとは……。

 

「「天変地異の前触れか!?」」

「体内から爆破するぞてめえら」

「まあまあ。一夏だってこういうときはあるわよ」

 

鈴はそう言いながら自分を後ろから抱き締めている一夏の頭を撫でる。

 

………背と位置が逆だったらどう見ても母と息子の休日の一幕なんだけどな。

 

…………練習すっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

約束、対する返答

 

織斑一夏だ。ちなみに偽名と言うかハンドルネーム等では前世の桜道を使っていたりする。

……普通にどうでもいいな。うん。

 

「はい一夏。食べなさい」

「……あむ……うまい」

 

うん、最近鈴の料理の腕の上がり方が尋常じゃないな。父親に教えてもらっているのか?

 

「そうでしょ。……でも、まだ酢豚しか作れないのよね」

 

鈴は少し威張ったように胸を張り、それからなぜかしゅんと沈んだ。理由は知らんが、悲しげな顔は嫌いだ。

 

「まあまあ。他のも少しずつうまくなっていけばいいだろ。人に食わせて問題ないくらいうまくなったら、味見させてくれ」

「……なんなら、毎日酢豚をつくってあげようかしら?」

「栄養偏りそうだから却下。レパートリー増やしてからもう一度来い」

 

そう言うと少し不機嫌になったが、俺に弁当を食わせる箸の動きは止まらない。

 

「……一夏よぉ……。お前はもう少し女心を理解して行動に移せよ」

「うっせ……あ~……むぐむぐ……」

 

……やっぱ美味いな。

 

 

 

バンドの練習を終わらせ、弾と鈴と三人で帰る。

 

「じゃあな、一夏。鈴。また明日」

「そうだな……ふぁ……」

「全くもう……また明日ね。弾」

「いいっていいって。どうせ一夏だし、聞きゃしねえよ」

「……それもそうね」

 

そう言って、弾と俺達は別れることになる。

これはいつものことなんだが、毎回毎回なんとなく妙に悲しくなってしまう。何でだろうな?

……まあ、割とどうでもいいけど。

 

そして鈴としばらく歩き、また分かれ道に差し掛かる。

 

……この場面、なんか『夕日坂』の歌詞にあったような気がするな。今度はそれでも楽譜にするか。

 

「ねえ、一夏」

 

そんなことを考えていると、急に鈴に話しかけられた。いつもよりシリアスな空気である気がするので、俺もしっかり起きる。

 

「……ちゃんと聞こうとしてくれてありがと。……一夏は、私の料理のレパートリーが増えたら、毎日私の作った料理を食べてくれる?」

 

鈴はいつになく真剣だ。目には冗談の色が……ほとんど無い。

……まあ、それでも俺の答えは変わらないんだが。

 

「俺より上手く作れるようになったらな」

 

……まあ、原作から考えると中々難しいとは思うが、できなくはないだろう。頑張っていれば。

 

「言ったわね? 絶対一夏を越えてやるんだから!」

 

ビシッと俺を指差す鈴に、僅かに苦笑が漏れる。もう辺りの空気はいつもの物に戻っている。

 

「期待しとくよ」

 

それだけ言って、俺は鈴と別れて歩き出した。

 

 

 

 

side 鳳 鈴音

 

「父さん。私に料理を教えて!」

 

一夏と別れ、家に帰ってすぐ。私は父さんに思いっきり頭を下げた。

この家で一番料理が上手なのは父さんだ。一番下手なのは私だ。だから私は父さんに頭を下げる。

 

父さんは最初、何がなんだかわからないみたいだったけれど、私の説明を聞いてすぐに頷いてくれた。

 

私が言ったのは、好きな相手がいること。それがよく家に来る一夏だと言うこと。一夏に告白紛いのことをして、自分よりも料理が上手くなったらと答えられたこと。だいたいその三つ。

 

そのうち二つは父さんと母さんに知られていたけれど、三つ目のことはさすがに知らなかったみたいだ。

……まあ、知っていたらどこの一夏か聞きたくなってくるけれど。

 

それから私は毎朝早くに起きて、父さんが仕込みをしているところを見たり教えて貰ったりして料理を習う。もちろん朝だけじゃなく、毎日家に帰ってからも父さんが料理を作っているところを覗いた。

 

父さんは料理をしているときは無口であまり教えてくれなかったけれど、店が終わって時間ができると私に丁寧に教えてくれた。

酢豚もこうして教えてもらったので、包丁の使い方や料理の基本はある程度わかっている。

 

当然だけれど、やっぱり父さんは私よりずっとずっと上手い。私が教えてもらえることだってまだまだたくさんある。

 

頑張って、一夏に追い付くんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものこと、いつものこと

 

今日は暇な日曜日。いつもの通りに寝続けて、十二時ごろに目を覚ます。

昨日寝たのが九時だったから、十五時間睡眠達成。よしよし。

 

昼を食べて風呂に入り、一応体を起こす。するとなぜか俺の体は大きくなる。

眠いときは百四十八センチで、起きると百五十七センチになるが、理由は知らない。

……まあ、特に問題はないから構わないが。

 

……ああ、そういえば石鹸がもう無いな。やっぱり頭も体も石鹸だと減りが早い。

ちなみに髪を何で洗っているかと言う質問に石鹸で適当にと答えたら回りの反応が怖かった。鈴も

 

「石鹸……石鹸でこんな……さらさら……」

 

とぶつぶつと繰り返していて怖かった。俺の髪を撫でている手がずっと優しいままだったのが救いと言えば救いだった。

 

そして同じように体を洗うのも顔を洗うのも同じ石鹸だと答えたら、銘柄を聞かれた。ちなみに鈴は今度は俺の肌を撫でていた。

 

「……すべすべ……さらさらで……しっとりプニプニ………」

 

……おお怖い。

石鹸も千の顔を持つ英雄で作っている(滑らせて罠にしたり、普通に投げつけたり、後は食べさせたりすればいい。ほら武器だ)が、いくらなんでもこれをわざわざ言ってやれるはずもなく、仕方無く自作と答えたところ、さらに周りが騒がしくなった。

具体的にはその石鹸超欲しいといった内容だが、やらんと答えておいた。

 

とりあえず新しい石鹸を出しておいて、食料品の買い物に行く。うどんは自分で作った方が美味いんだ。

 

と、言うことで買うものは強力粉。本来は中力粉で作るのが普通なんだが、コシは強い方が好みだからこっちで作る。食べることは寝ることの次の次に好きなことだ。作ることも同列に入るが。

 

………で、ここからが織斑一夏(小説の主人公)の『いつものこと』。

 

歩いてみれば無理矢理なナンパを見付け、それを止める。喧嘩になることもあるが、さっさと黙らせて逃げる。

 

逃げる途中で五月蝿い連中がたむろしていたので、ISのライアーズマスクで顔を変えて粛清してから公衆電話で警察に電話。そして逃げる。

 

スーパーに着けば平和になるかと思いきや、何故か運良く(?)セールの放送が入った時にその棚の前に居て確保したは良いものの、子供が泣きそうになっているのを見て仕方無く手に入れたばかりのセール品を手放すはめに。

 

帰り道では何もないことが多いが、たまーにお礼参りに来るやつがいるので撃退。ニアデスハピネスは本当に便利だ。

 

その他にも買い物袋が急に破れて落としてしまった物を拾うのを手伝ったり、お使いの途中だったらしいクラスメイト(名前は知らない。間違ってていいなら言えるが)が俺の目の前で落とした財布を届けたりと、小さいが妙に頻度の高い事件が起こる。

 

……あーやだやだ。俺はのんびり寝てられれば幸せだってのに。隣にちー姉さんが居れば完璧だ。

 

家に戻ってうどんを作る。まずは濃い塩水と小麦粉を混ぜて捏ね、一つの塊になるまで捏ねる。

それをいつもは伸ばして畳んで切って茹でるんだが、今回は時間もあるので切らずに全部手で伸ばして茹でる。

初めのうちは難しいが、慣れればどうと言うことはない。一人前程度なら五分あればできる。ちなみに切る方なら一分半だ。

 

そうしてできた麺を茹でて食べる。卵を落として月見うどん。とろろを入れても美味い。うどんはまず間違えないから安心できるよな。

 

…………よし、次はピザを作ってみよう。運のいいことに窯を置けそうな場所が近くにあるし、それで焼けばいいだろう。

窯はもちろん千の顔を持つ英雄で作り、火は武装な錬金の栄光の火焔でいける。五千百度まで温度を上げる必要は無いから、楽なもんだ。

 

……そうだな。ちー姉さんが帰ってきた時にやろう。獣耳シリーズ九号、九尾の狐(金色に近い狐色)で!

 

……ちなみに、五号は普通の狐、六号が兎(白)、七号が馬(恐らく)、八号が羊(耳だけでなく小さな角付き)だ。十号はネズミ。

 

ちー姉さんは、喜んでくれるかね?

 

 

 

 

side 織斑 千冬

 

息を大きく吸い込んで、吐く。それを五回繰り返してから、ゆっくりとドアのノブに手を伸ばす。

 

最近の一夏は、私が帰るときは確実に獣耳をしていた。

時には犬、時には猫、時には羊、時には狐、時には兎と種類は様々だったが、それらは毎回私の愛の奔流を呼び起こしてきた。

 

故に私は深呼吸をして、今までの一夏の姿を思い浮かべる。

 

…………よし。愛の噴出は無い。これで私はまだ戦える!

 

 

「あ!お帰りちー姉さん!」

 

 

……そう思っていた頃が、私にもあった。

 

窓から差し込む夕焼けの光を反射して、黄金色に輝くとがった耳。

 

ゆらゆらと大きく揺れながら、キラキラとした光を反射している九本の尻尾。

 

そしていつものことながら、実に嬉しそうな一夏の微笑み。

 

それに良く見てみると、今回はなんと頬には片側三本ずつの長い髭のオプション付き。

 

 

「……ちー姉さん?」

 

その言葉を聞き終わった後、私は三十秒も持たずに意識を飛ばされた。

 

……く…………これも禁止せねば……っ!

 

 

その事を伝えた時、耳と九本の尻尾が一斉にしゅんとしたのを見てまた撫で回したことは、当然言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修行中、覗くべからず

 

修行の内容。それは、ラカンの身体能力の中に含まれている『気』の使い方に関してだ。

原作でラカンは気を使って様々な事をしてきた。例えばISのシールドバリアーを抜いて絶対防御を発動させられそうな斬魔剣弐の太刀や、気を圧縮して撃ち出すラカン・インパクト。瞬動もそれに入るだろうし、何より肉体強化だ。

 

外見はともかく、中身のスペックは同じ俺だができないことはある。それは恐らく、今までに気を使っての修行をしてこなかったからだと思い、こうして修行することにしたわけだ。

 

 

……訳なんだが………本当に気合いとノリと勢いと根性で大体の事はできるのなこの体。びっくりだ。

しかも最低限だからどんだけ寝ててもそれ以下にはならないし。

 

ちなみに一番驚いたのは、気合いで心臓止めたままでも五時間くらいなら普通に行動できたこと。これなら夏場に鈴を抱いて寝れるな。鈴暑いの嫌いだけどこれなら暑くないし。

……心臓止めると体が勝手に冷えてくのな。呼吸も止まるし。それも五時間くらいまでなら無理なくいける。無理すれば多分半日いける。夏場にはほんと重宝することになりそうだ。

 

……なんて言っても周りからはただ寝ているようにしか見えないだろうが。

 

「いっくん? ……なんだまた寝てるのか」

 

ちょうど今の束姉さん見たいに。

 

……一応、ドアに張り紙しといたんだけどな。入るべからずって。

 

……束姉さんだし、仕方無いか。

 

「……あれ? いっくんなんかちっちゃくなってない?」

 

ああ、なってる。基本は前に言った辺りなんだが、ある程度調節できるらしい。すごいなこの体。

ちなみに現在百二十。鈴よりちょっと低いくらいだ。

 

束姉さんはそんな俺に嬉々として膝枕をする。見えないが多分膝枕。とりあえず近付いてきてくれたので抱き締める。

……束姉さんって運動してないわりには腰回りとか細いよなぁ……今の縮んだ俺でも楽に腕が一周するぞ。

 

…………あ~、眠い……すか~……。

 

 

 

 

side 篠ノ之 束

 

いっくんが寝ているところにお邪魔する。寝ているときは、起こそうとしなければ大体の事をいっくんはさせてくれる。

例えばちっちゃくなったいっくんのほっぺをぷにぷにしたり、さらさらの髪を撫でたり、いたずらでお化粧させてみたり(凄く似合ってた)、獣耳十一号の竜の角を装着してみたり、十二号の白猫(首輪と鈴と肉球付き)を装着させてみたり…………おっといけない(ラヴ)が溢れちゃうところだった。

 

ちなみに白にゃんこの時に頭を撫でてみたら、ほっぺを私の手にすりすりと擦り付けてきて、

 

「……ぅにゃ……」

 

…………っと、思い出し(ラヴ)が。まったくいっくんの可愛さは犯罪だよ犯罪。こうなったらもうお持ち帰りしちゃうしか……

 

「 た ば ね ?」

 

ぎっくーん!

 

 

 

 

side 織斑 千冬

 

一夏を起こさないように束を粛清したあと、私は一夏に抱きつかれたままソファに座っていた。

前に五反田相手にやっているのを見た、抱きつきながら膝枕をされている状況なんだが……これはまた威力が高い。

だが、修行に修行を重ね、耐性をつけた私はこの一夏が相手でも問題は

 

「……ぅに……」

 

とりあえず私は額を殴った。落ち着け私、一夏は確かに可愛いが、まだ見ていたいだろう? 我慢だ私。

深呼吸をする。手は勝手に一夏の頭を撫でていて、こりこりとした耳の感触があったり、頭の真ん中に乗せると左右の耳が私の手を挟み込むように動いたりするが、落ち着け。これくらいならまだ大丈夫だ。

そう、大丈夫だ。問題な

 

しゅるり、と頭を撫でていない方の私の手に一夏の長い尾が絡み付いてきた。

一夏の尾は私の手のひらの中を通り抜け、腕に絡み付く。

 

…………落ち着け、このような修羅場などいくらでも潜り抜けて来ただろう。

思い出すのは白騎士を駆り、束のハッキングによって発射されたミサイルを撃ち落としたあの日の事。あれに比べればこれは

 

「……んぅ……」

 

一夏が私の膝に頬をすりすりと擦り付ける。

……五反田は、良くこれに耐えたものだ。

 

私には……無理だ。

 

……しかし、一夏に血をつけるわけにはいくまい。

 

私は近くにあった袋に穴が開いていないかを確認する。……穴はないか。よし。

 

愛が噴出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

文化祭、ゲリラライブだ!

 

意外と好評でした、まる。

 

……駄目か?

 

「駄目よ。ちゃんとしなさい」

「……しかたねえなぁ……」

そう言いながら鈴に抱き着いてみる。心臓止めてるから暑くはないはずだ。

 

……さて、それじゃあ文化祭のところから話すか。

 

…………眠いから夢の中でな。

 

……すか~…………。

 

 

 

「よし、上手くなったし文化祭でライブをやろう。たしか屋上はなにもなかったはずだから、そこで」

「いきなりね。」

「一夏だから仕方ない」

「そうね。一夏だもの」

「一夏だしな。仕方ない」

 

随分な言いぐさだなまったく。別に問題は無いから構わないが。

 

それから全員の空き時間を合わせて、放送機材をジャックする。やり方は秘密と言うことで。

演奏する曲の楽譜を用意して、全員で一度流してみて問題がないことを確認。こういうのは準備段階がちゃんとしてないとつまらないからな。

 

バレないようにするには五曲程度が限界だから、その程度に。扉は向こうからは開かないようにしたし、問題ない。観客は俺達が始めた時に偶然そこにいた客と、文化祭に来ていた客。というか学校にいる全員だ。

 

「……うっわぁ……無茶するわねぇ……」

「ふふふ……でも、その方が楽しいだろ?」

「……否定はしないわ、ってなに撫でてんのよ」

「ん? 鈴は素直でかわいいなって思ってつい。好きだよ?」

「私も一夏が好きよ?」

「……おーい、いい雰囲気なのはわかったからクラスの方の準備もしにいこうぜー……」

 

弾に呼ばれて仕方無く移動する。耳はついてないがまた小さくなって。

 

「……何で小さくなんだろうな?」

「……すか~…………」

「歩きながら寝るのはあぶねえぞ……」

 

弾が背を貸してくれたのでありがたく乗る。

……おお、いい感じの揺れだ。眠気がさらに増して……すか~…………。

 

 

起きたら何故か頭に十三号の狸耳、腰には尻尾がくっついていて、周囲が真っ赤に染まっていた。

 

とある女子生徒は壁に頭をガンガンとぶつけながらなにかを呟き続けていたし、男子生徒は二割ぐらいが姿を消し、五割くらいが血塗れで倒れ伏し、三割ほどが鼻を抑えてうずくまっていた。

 

「……わぅ?」

「ぐべらっ!?」

 

なんとなく口をついた言葉が響いたら、何故かうずくまっていた男子生徒の殆どと女子生徒の七割が真っ赤になり、幸せそうな顔で血を噴き出した。

 

「……なぁ、何でこうなったんだ?」

「……つまり、お前は可愛いってことだよ、一夏」

 

へー……あんま嬉しくねえなそれ。

 

そう考えていると、弾と鈴の二人に撫でられる。

 

「……尻尾は……優しくな……?」

「お、おう、すまん」

 

……はふぅ……。

 

……すか~…………。

 

 

 

 

side 五反田 蘭

 

今日はお兄の学校の文化祭。日曜で暇だったから行ってみた。

なんの期待もしてなかったんだけど、そこで私は、運命とも思える出会いをした。

 

お兄がバンドをやっていたのは知っていた。ある時お兄が楽しそうに話していたのを聞いたから。

でも、あのお兄がこんなに上手にドラムを叩いているなんて信じられなかった。

 

けれど、何より信じられないのは……一人だけ使う楽器をころころ変えているお兄と同じくらいの男の人を見たときに起きた。

 

その人を見ると、いきなり心臓が跳ね上がったような衝撃が私を貫いた。

そしてその衝撃が薄れてくると、今度は何かがぎゅうっと胸を締め付けてくるような感覚が私を襲う。

 

私は今まで、一目惚れという物を信じてこなかった。それどころか、『そんな物があるわけ無いじゃん』と馬鹿にしていた。

 

……そのときの私は、今思うと凄く馬鹿だった。

なぜなら、今、私はそれを体験しているから。無いとあの時断言した、一目惚れを、体験しているから。

 

その人は、お兄の所に行ったり鈴さんの所に行ったりしながら、楽しそうに歌い、嬉しそうにベースを弾き、そしてきれいな笑顔で私を見つめていた。

 

 

 

その日は眠れぬ夜を過ごした。目を閉じるとあの人の笑顔が浮かび上がってきて、どうしても眠れないのだ。

 

どきどきといつもより騒がしい胸を抑え、私はこれからのことを考える。

まずは、お兄にできるだけ詳しくあの人のことを聞こう。名前や歳、好きな食べ物嫌いな食べ物、生年月日などなど、聞きたいことはたくさんある。

 

そして願わくば、未来であの人の隣に私が立っていますように。

 

…………その場面を想像しただけで、頭が沸騰しそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶好の昼寝日和、故に寝る

 

獣耳第十六号、ヤマネを着けるといつも以上に眠くなる。

ちなみに十四号はリス、十五号は鼬。どれも大きな尻尾に包まれ、丸くなって眠るのがいい。ヤマネの尾は少し細いが、それでも人間サイズともなれば十分に掛け布団くらいには使える。

 

鈴や弾にはよく尻尾を撫でられたりいつもとは逆に抱き締められたりしているが、他人の感触があると気持ちよく眠れていいよな。二人とも最近は撫で方が上手になってきて……はふぅ………。

 

「ッ……一夏? そんな顔したら襲われちゃうわよ?」

「……んー……鈴と弾なら別にいいぞー……」

「いや俺は襲わねえぞ?」

 

へー……。まあ、それならそれで一向に構わないけど、鈴はなんか割と本気で考え込んでるぞ。

 

「……そんなこと言うと…………ほんとに襲うわよ?」

「鈴、待つんだ鈴。ここ俺んちだからな? 俺の部屋だからな? やらせねえからな!?」

 

なぜか鈴が怖くなったので、尻尾にくるまりながら転がって離れる。

 

「……っ!」

 

鈴が鼻を抑えてうずくまった。ぶつぶつと落ち着け落ち着けと唱えているように聞こえる。

 

「……何やってんだよ鈴……」

「……五月蝿いわね。あんたには見えてなかったからそんなことが言えるのよ………」

 

……何が見えてたんだろうな? ……おっと、シャツの裾がめくれて臍が出てた。風邪引きたくないし、しまっとこう。←原因

 

「……ああ、なるほど。あれか」

「……わかってくれたみたいね」

 

ごそごそと服を弄っていたら、弾と鈴に何らかの相互理解が生まれたらしい。詳しくは知らないが、別にいいよな?

 

「いいと思うわよー。だからはい、こっちに来る」

「おーい鈴ー。わかってるだろうがそこ俺のベッドだからなー? 一夏に抱かれて寝るだけだったらともかく、それ以外には貸さねえぞー」

「じゃあ大丈夫よ。私は抱きついてくる一夏を撫でて悦に浸るだけだから。ちょっと血で汚れるかもだけど」

「汚すなよ」

「……すか~……んぅ……」

「……無理かも♪」

「使うな起きろ」

 

 

 

 

side 鳳 鈴音

 

一夏の長くてふさふさな尻尾を布団がわりに私と一夏は寝ている。弾には悪いけど、最近一夏は弾に抱きついていることが多かったから我慢してもらう。

 

「いや、構わねえよ。鈴が一夏のこと好きだってのはよく知ってるからな」

「ありがと弾。友人としてだけど、弾のことも好きよ?」

「俺もだよ、鈴」

 

……あれ、確かこんなの一夏ともやったわね。と言うか一夏は私や弾以外にも言ってるわね。千冬さんとかクラスの友達とか。

 

……なんだかちょっと胸が痛いわね。嫉妬?

 

そう考えていたら一夏の尻尾が私の体を引き寄せて、ぎゅっと一夏に密着させた。

もふもふとした感触と、一夏の腕に包まれると……なんだか私まで眠くなってくる。

 

「眠くなったなら寝ちまえ。一夏が起きたら起こしてやる」

弾がそう言ってくれたので、私は安心して意識を手放した。

 

 

 

 

side 五反田 弾

 

鈴が一夏と一緒に俺のベッドで寝始めてから少し。俺は寝ている二人(基本は一夏)の頭を撫でていた。

 

一夏曰くの十六号、ヤマネの尻尾は鈴によって抱き締められ、一夏自身はその鈴を正面から抱き締めて、幸せそうな顔をして眠っている。

 

……とりあえず写真を撮ろう。そして後で鈴に携帯で送ろう。千冬さんにも送っておいた方が良いか。

手に持った携帯電話のカメラを起動し、上からの全体、一夏と鈴のバストアップ(ツーショット)、一人ずつの顔のアップなど、五種類ほど撮ってから保存して携帯を閉じた。

 

……なんと言うか、こいつら絵になるよな。

 

写真を撮り終わってからまた撫でる。丸い耳が掌の中でくにりと潰れ、その度に一夏は潰されていない方の耳をピクピクと動かす。

 

…………ビデオ撮るか。ハンディカメラどこにやったか……………ああ、あった。

中身のテープを確認。中身なし。よし、録画開始。

 

一夏を撫でる。ヤマネの耳がピクリと跳ねて、一夏がくすぐったそうな顔をする。

それだけでは飽きるので(とか言いつつ十五分以上それだけを続けていたんだが)、髪を撫でながらゆっくりと手を下に滑らせて行く。

ヤマネの耳から一夏本来の耳へ………っかしいな……俺は耳フェチじゃあないはずなんだが………何でこんなにも一夏の耳に心引かれるんだ……? ……とにかく移動する。指先に耳たぶの柔らかさが伝わり、一夏の喉から甘ったるい喘ぎ声に似た何かが……落ち着け俺。

 

……落ち着いた。深呼吸の力は偉大だな。流石深呼吸だ。

 

一夏を撫でるのを再開する。耳の縁をなぞり、耳たぶを優しく撫でる。

気が済んだのでまた少し下へ。頬を撫で、顎先に向けて指を滑らせる。

 

「……ん……っう……くぅん……」

 

鼻にかかったような一夏の鳴き声(合ってるのか?)の直後、一夏の顎先を撫でていた俺の指が一夏にくわえられていた。

 

…………おい俺。なんで別に嫌じゃねえんだよなんでアリだなとか思ってんだよ考え直せよ俺。確かに一夏は可愛いが、男だぞ? バンドの時のこいつを思い出せ、あんなにかっこいいじゃないか。確かに今は可愛いし、愛らしいし、守ってやりたい気分にさせられるがってよし待て俺、なんでいつの間にか意見が肯定の方に進んでいってるんだよ。だから一夏は男で俺も男で非生産的なこ

 

「……ん……ちゅむ……はぷ……」

 

………………。

 

ここから先の記憶は無い。ただひたすら壁に頭をぶつけ続け、蘭にまで心配されたという記憶はあるが、それ以外のことは覚えていない。

 

ちなみにこの日、一夏と鈴は帰るのが遅くなり、半ば事後承諾で泊めることになった。

そして鈴が帰った後、携帯で例の写真を送ってやったんだが返事がなかった。学校で会ったときに聞いたら、愛情が溢れてしまったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の夜、夢見る俺

 

ちー姉さんが帰ってこない日は基本一人寝をするんだが、やっぱり寂しいんだよな。

どのくらいかと言うと、

 

「やっほーいっくん!床下からプリティーチャーミーな束さんだよ!」

 

そう言って床下から現れた束姉さんを

 

ガシッ!(束姉さんの襟首を掴む)

 

ズルズル。(引きずってベッドへ)

 

どさっ。(ベッドに放る)

 

ぎゅっ。(抱き締める)

 

……そしてこのまま寝るくらい。

いつもだったらもう少し文句なりなんなり言うんだが、俺は自分の想像以上に寂しがりらしいな。前世じゃそんなことなかったはずなんだが…………まあ、どうでもいいな。おやすみ。

 

 

 

しかし、もちろんこうならないときもある。束姉さんはちー姉さん以上にここには来ないし、他に来るやつも居ない。鈴や弾は泊まることはまず無いし、カズはカズで来ない。他のやつは呼ぼうとも思わない。

 

仕方無く抱き枕やクッションを抱いて寝るが、どうにも味気ない。まあ、それでも寝るんだが。

 

 

 

side 一夏、夢の中

 

俺がいる。もう慣れてしまった織斑一夏の姿の俺だ。懐かしき桜道一哉の姿の俺はいない。

 

……まあ、別にいいけどな。

 

そう思ったら、いつの間にか織斑一夏の姿が増えた。俺も不思議そうな顔をしているだろうが、向こうの織斑一夏も負けず劣らず不思議そうな顔をしている。

なんとなく手に持った三毛猫耳をつけてやったら、その一夏《俺》はニコニコと笑い始めた。

その後ろにはなぜかまた一夏《俺》。まるで順番待ちをしているかのようだ。

 

俺は三毛猫耳をつけた一夏の頭を三秒撫でてから、一夏へ向き直る。

またもやなぜか俺の手の中にあったとがった犬(これは多分コヨーテ。なんつーマニアックな)耳を付けて、撫でてやる。

するとコヨーテ一夏はぴくぴくと耳を動かしながら俺の手に押し付けるように頭をぐりぐりと動かした。

 

しかし次の一夏が待っていたので俺はコヨーテ一夏の頭から手を離す。元気よく振られていた尻尾ととがっていた耳がしゅんと萎れたが、俺はコヨーテ一夏を三毛猫一夏の方に行かせて次の一夏に顔を向けた。

コヨーテ一夏は少しの間俺を見上げていたが、やがて諦めたのか三毛猫一夏に抱きついて眠り始めた。

 

そして俺はまた手に持っていた……ライオン(?)耳を一夏につけてやる。細長く、先だけがふさふさな尻尾がいつの間にか装着され、俺の足に絡み付いている。

そんなライオン一夏を撫でて、また次の一夏へ。…………全く、俺にしては妙なことをしているな。

 

 

 

こうして次から次に出てくる一夏に耳を装着し続けていたんだが、百七人の一夏に耳をつけたところで一夏が出てこなくなった。

しかし俺の手にはまだ耳が一つ残っている。……これは多分、犬(ボルゾイ)だな。

一応、自分につけてみる。するともう手に獣耳は出てこない。

 

俺は先に行かせた一夏達の所に行く。すると一夏達はそれぞれいくつかに固まって眠っていた。人気があるのはヤマネ一夏とリス一夏、鼬一夏、熊(北極熊)一夏、犬(恐らく黒ラブ)一夏などの暖かく柔らかな毛を持っている一夏だった。

そこに俺が行くと、ふっと目を醒ました何人かの一夏達が俺の所に寄ってきた。

 

俺は寄ってきた一夏達を抱き締めて眠った。いつの間にか俺を中心に円形の一塊になっていたが、暖かいので問題ない。

俺の腕の中で、チワワ一夏が鼻をぴすぴすと鳴らしていたり、背中にハムスター一夏がぴったりとくっついてぷるりと震えることもあったが、俺を含めた一夏達は一人も起きることはなかった。

 

 

目が覚めると、朝だった。一人寝だったはずなのに、なぜか腕の中だけではなく背中も暖かい。

 

目を開けると、身長三十五から四十五センチの俺がいた。周りを見渡してみると、どうやら三人居るようだ。全員に獣耳が生えていて、それぞれ秋田犬一夏、白猫一夏、黒兎一夏のようだった。

 

……へー、束姉さんの獣耳は凄いな。まさか体を持つようになるなんて。

 

とりあえず俺は起き上がり、朝の飯を作る。間単にだが、それで問題は無いだろう。

小さな一夏達を起こして飯を食わせ、それから面倒だけど学校へ。秋田犬一夏は俺の腕の中、黒兎一夏と白猫一夏は留守番をしている。

……どうなることやら。割とどうでもいいけど、少し気になる。

 

 

 

 

side 鳳 鈴音

 

学校で一夏に会った。いつも通りに挨拶しようとして…………そこから記憶がない。ただ、犬耳(秋田犬)をつけた一夏が小さな一夏、略してぷちかを抱き締めていたのは覚えている。

 

弾がぷちかを撫でたら、ぷちかが弾に甘えるように指をなめて、一夏が弾に寂しそうな顔を向けて撫でてもらっているのも見た……気がする。ちなみに周りは血塗れの地獄絵図(鼻血)、誰もが一夏とぷちかの魅力にやられていた。先生? ぶっ倒れてたわよ? 確か。

 

それから私は一夏にぷちかを抱かせてもらって、ぷちかを撫でていたらぷちかが私の指をぱくっと…………。起きたら保健室だったわ。隣にいた一夏を見る限り、弾もきっとやられたわね。

 

 

 

 

side 五反田 弾

 

ぷちか(鈴命名、既に広まっている)を鈴に預けた一夏は、今は俺の膝の上で座ったまま寝ている。

ぷちかの三倍程度しかない(また少し小さくなってないか?)一夏の頭を撫でると、一夏はくすぐったそうに身をよじる。

ぱたぱたと尻尾が俺の腹を撫でて少しくすぐったいが、それ以上に一夏が可愛くて仕方がない。

 

「……くぅん……♪」

 

………もう俺変態でいいや。一夏が可愛過ぎるのが悪い。

 

いつもは抱き締められてばかりの一夏の腕を押さえて、代わりに俺が一夏の体に腕を回す。

 

男としてはかなり華奢な体を抱き締めると、一夏はもぞもぞと動いて俺の体に一番フィットするところを探して移動する。これがフィッティングか。なるほどなるほど。

 

しばらくして納得の行く位置を見つけたのか一夏は動きを止め、俺の体に体重を完全に預けた。

 

「……だぁ…ん……♪」

 

一夏はそう言って、首もとにあった俺の手に頬を擦り寄せた。

 

……ぐがふっ!?

 

 

起きたら保健室に居た。隣にいるぷちかを見る限り、鈴もやられたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。