IS~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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201~210

 

五反田食堂、話し合い

 

マゾカは基本的にISにステルスをかけているから、ヘルメスドライブで場所がわかっていたとしてもプライベート・チャネルを繋げることができない。

だからと言ってちょろータムやら大雨さんの居るところに出たら色々面倒くさくなるだろうことは目に見えていたので悩んでいたら、ちょうどいいことにマゾカの方から連絡があった。

なんでも俺に頼みたいことがあるらしいんだが……一体なんだろうな?

 

とりあえず五反田食堂に呼んで、そこで話だけは聞いてみることにする。

アリス・イン・ワンダーランドで盗聴しようとすれば盗聴できたんだが、最近は気が向いた時にしかやっていないから何がどうしてそういう風になったのかは……まあ、正確にはわからない。

……とは言っても、流石に大元の原因が俺と束姉さんとくーちゃんだと言うことはわかる。実はちー姉さんは残党が集まっているところを束姉さんズウェポン(別名『強化型暮桜(仮)』。ちー姉さんが現役時代に使っていたISである暮桜(ちー姉さんの機体だから頑張って覚えた)のコアをどこからか持ち出してきて作り直したらしい。ちー姉さんはそれを見た時泣いていた)で強襲制圧をする予定だったらしいけども……この話し合いの結果によっては大雨さんの所には強襲しないように連絡を入れた方がいいかもしれない。

 

そう言うわけで、五反田食堂で食事してくることを伝えてから俺はヘルメスドライブで転移する。本当に便利だよなぁ……。

 

「やっほー弾。元気かー?」

「一夏が来てくれたから元気だぜー。……それで、注文は?」

「ああ、今回は待ち合わせだからそいつが来たら一緒に頼むよ」

 

俺がそう言ったら、弾はかなり真剣な表情を浮かべて悩み始めた。

 

「……蘭は呼ばない方がいいか?」

 

……流石は弾、俺の親友だ。

確かにマゾカ相手じゃあ今の蘭ちゃんは相手にならないよな。死にはしないだろうけど止められそうもない。

そんな訳で頷くと、弾は大体の事を理解した顔で頷いてから離れていった。

 

「ああ、席はあそこな」

 

その姿が厨房に消える前に弾が残した言葉がそれだった。

弾が指差した席は五反田食堂の七不思議の一つ、無音の客席。理由は知らないが、誰もがここの席で起きたことを他の場所から覗けないという不思議な席で、どうやら今回の俺に荒事が起きる可能性があるという気配を感じ取ったらしい弾が気を回してくれたようだ。

 

その言葉に甘えてその席に座り、マゾカにプライベート・チャネルで連絡を入れる。

俺がもう五反田食堂に到着したと言うことを伝えたらそれなりに驚いていたが、急いでこっちに来る気になったらしい。

 

……あと三分程度で到着するようなので、それまでのんびりとメニューでも眺めていよう。

全部覚えているから本当は見る必要なんて無いんだが、暇潰しにはちょうどいい。

 

…………まーだかなー……。

 

 

 

それからきっかり三分後。マゾカが五反田食堂にやって来て、きょろきょろと俺の姿を探している。

そこに弾が近付いていって、二言三言話をしたと思ったら、マゾカを俺の居るこの席に連れてきた。

 

「こんなところに席があったのか……」

「俺も最初は驚いた。騒いでてもだーれも俺達の事を気にしないんだから」

「……このように開けていると言うのに、防音設備は万全だと言うことか?」

「理由は知らんけど、その通り」

 

マゾカは少し悩んでいたようだが、数秒で考えの内容をこれからする注文の内容に変えたらしい。渡されたメニューを食い入るように見詰めていて、その顔は真剣そのものだ。

 

「……決まったか?」

「…………ああ、決めた」

 

それからすぐに弾を呼んで注文を受けてもらう。かなり真剣モードなので、多分厳さんも空気を読んで蘭ちゃんを呼んだりはしないでくれるだろう。

厳さんは弾と蘭ちゃんのことをとても大切にしてるし、実際のところ空気が読めない訳じゃないからな。

 

よく弾にお玉や俎投げ付けたりしてるけど、実のところあれは痛くないように……正確には痛いけど酷い怪我にはならないように狙って投げつけられてるし。

 

そんなわけだから弾と蘭ちゃんの心配はあんまりしていないんだけど…………たまに空気を読んであえてぶち壊しに来るから困るんだよな。

 

「へいお待ち。伝票はここに置いとくよ」

「おう、ありがとさん」

「ふむ、それでは食べるとしようか。冷めては味が落ちる」

 

……別にいいけど、このまま食べ終わって何もないまま帰るなんてことにはなんねえだろうな?

 

…………まあ、その時は止めればいいか。

 

「…………はむはむはむはむ……」

「……もきゅもきゅもきゅ……」

 

……やっぱりいつ食っても美味いなぁ。

 

 

 

そんなわけでマゾカが注文した料理を半分ほど平らげた辺りで話は始まった。漸くと言うか中途半端な時間と言うか……まあ、そういう感じの時間だな。

 

「……それで、お前を呼び出した理由なのだが…………亡国機業が壊滅したと言うことは知っているだろう?」

「知ってるねぇ」

 

なんてったって主犯の一人だし、という言葉は飲み込む。色々面倒なことになりそうだし、そういう面倒な事は避けられるだけ避けるが一番だ。

 

「……私としてはお前がやったのだと思っているのだが」

「正解」

「やはりか」

 

どうやら予想はされていたらしい。隠しても意味がないことはすぐにバラすことにした。

まあ、バレてるんだったら仕方無いよな?

 

「それで、それを知ったマゾカさんはどうするつもりだ?」

「特に何も。確かに私達が現在困窮しているのは変わり無い事実だが、生きているだけ儲け物だしな…………頼みたいことはそれに関係していることだ」

「面倒だから率直に三行以内でどうぞ」

「私はお前に何をされても構わない。

 奴隷の用に扱われても文句は言わない。

 だから、オータムとスコールは助けてやってくれ」

 

見事に三行で納めたな。かなり本気でお願いしてるって事か?

まあ、それについてはもう束姉さんとも話がついている。

 

「いいよー」

「          」

 

マゾカはポカーンとした表情のままに俺を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話の結果、こうなった

 

……さて、亡国機業を潰してから大体二ヶ月。そろそろ俺が高校一年生である時間も残り僅かになってきた頃なんだが……。

俺に妹ができました。名前は……言わなくてもわかるよな。多分。

 

戸籍とかは束姉さんの協力もあって無事に取得。ちー姉さんも……まあ、渋々ながら認めてくれた。遺伝子的には俺とちー姉さんの子供って言う方が正しいんだけども……流石に俺の歳で子持ちってのは不味い気がしたので妹と言うことに。

それと、仕事がなかったちょろータムはマゾカのボディーガードとして雇った。

マゾカの話だと最近はそれなりに仲が良かったらしいし、そこそこ成長しているようだから雇ってみたんだが……どうやら正解だったらしい。

 

大雨さんも敵対しないようになったら普通にいい人のようだし…………ちょろータムが大好きすぎるけど…………まあ、なかなか悪くない。

ちょろータムに多少恨まれてはいるようだが、色々面倒なことになる前に拾ってみたので多少は中和されているらしい。

マッチポンプだけどもポンプを使われないよりはいいと考えたのか、それとも自分達が一応悪いことをしていたという自覚があるのか、あるいはその両方か……。

 

……とりあえず、かなり大きな事件から二ヶ月ほど、今まで一月に一度は大事件があったのが嘘であるかのような平和な日々を、友人達に新しい家族と一緒に過ごしている。

 

「ほーうーきー? あんた、一夏を襲ったわねぇ……?」

「なっ……なぜその事を…………」

「ええっ!? 箒ってば一夏を襲ったの!?」

「よろしい、ならば次は私が襲おうか」

「ラウラは人前で何を言ってるの!?」

「ダブルブッキングしないように言っているだけだ。したらしたで複数人で……と言うこともあるらしいから気にせずやるがな。シャルロットもどうだ?」

 

 

 

 混ざらないよっ!」

「あたしは混ざるわ!」

「わたくしも混ざらせていただきますわね。お邪魔はしませんからお気になさらず」

「……私も構わないだろうか?」

「皆少しは恥じらいを持って!?」

「……なるほど。つまり簪みたいに恥じらいを持ちながら混ざればいいのね?」

「まずは混ざろうとする所から見直そうよ!?」

 

常識人に一番近い感性を持つシャルが皆を止めようとしているが、基本的に俺が絡むと思考が斜め上に吹っ飛ぶ連中だし、効果はあんまり無いようだ。

……まあ、襲われるにしてもこいつらだったら別に構わないような気もするし…………既に何度か襲われてるし……そんなに気にしないでおくか。

それに、ちー姉さんが準備運動してるから実行はされないだろうし。

 

……一緒に寝るだけなら大歓迎なんだけど……なんでそう襲おうとするかなぁ……。

 

「お前が魅力的だからではないか? あまり理解はできないが」

「俺も理解できんよ。マゾカ」

 

……ちなみに、マゾカの本名は頑張って覚えようとしている。妹になったわけだし、一応そのくらいはやってやらないといけないと思った訳だ。

大雨さんとちょろータムの名前も一応覚えようとしているが、やはりと言うかなんと言うか、五年くらいは普通にかかるだろうな。

こんな時ばかりは自分の名前に対する記憶力が恨めしい。今のところ俺が名字と名前を言える相手は…………。

 

ちー姉さんこと織斑千冬。

束姉さんこと篠ノ之束。

ののちゃんこと篠ノ之箒。

俺自身で織斑一夏。

 

のみ。

 

…………名前を言える相手を含めると、弾と蘭ちゃんと厳さんと蓮さんと………………以上。鈴は渾名だからノーカウント。

 

……自分で言うのもあれだけど少ないなオイ。全員合わせても片手の指で数えられるよ。

まあ、これが頑張って覚えていこう。10年もあればちゃんと全員覚えられれはずだから。

 

 

 

 

 

side 織斑 マゾカ

 

あれからしばらくして、私達の生活は一変した。

毎日冷めた弁当を買ってきて食べる日々から、自分達で作った暖かい料理を食べられるようになった。

ちょろータムも多少元気になってちょろータム呼びを否定するようになったし、スコールも一時期の張り詰めすぎてもうすぐ切れるだろうことが簡単に予想できてしまうギターの弦のような状態から脱却した。

 

……だが、これは本当に現実なのだろうか? 夢ならばこれを現実に変えるために起きて織斑一夏に話をしに行かなければならないから早く醒めたいのだが、料理の際に跳ねた油は熱くて痛いし、千冬姉さんに今までのお仕置きとしてやられた握撃は脳が潰れて顔中の穴という穴から脳汁と共に絞り出されてしまいそうなほど痛かったので……多分夢ではないだろう。

 

……今の私は織斑の家で暮らしている。小さな織斑一夏が何人か常に居て、常識の足りない私とちょろータムに様々なことを教えてくれている。

 

スコールも同じように織斑の家で寝泊まりをしているが、いつかちょろータムと私をつれて近くに一軒家を持つことを目標としているらしい。

今までに稼いだ金は現在の生活費に回して、新しい一軒家はまともな方法で稼いだ金だけで建ててみたいと、つい最近までは見たこともなかった明るく屈託のない笑顔を浮かべて言っていたのを覚えている。

 

私は、隣で壁に寄りかかり、うとうとと眠りに落ちようとしている眠たがりの体を引き寄せる。小さくなっている織斑一夏は簡単に引き寄せることができ、私の肩に頭を預けた状態で止まった。

 

……まったく。これが私の兄か。

 

……兄…………か。

 

織斑千冬のことを姉と呼んだことはあっても、この眠たがりのことを兄と呼んだことはなかったな。

 

…………まあ、聞かれていないだろうし……。

 

「……ありがとうな、我が兄上殿よ」

 

私はそれだけ言って、眠たがりに体を預けて目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋する乙女に、敵は無し

 

side 五反田 蘭

 

IS学園の過去問題集を取り寄せて、ISについて必死に学ぶ。

私は結構頭がいい方だけど、それでもこれだけ詰め込むと頭がパンクしそうになってくる。

お兄も協力してくれるけど、やっぱりISについては物凄く難しい。どうにかして上手い方法を考えないと……。

 

そこでお兄が提案してきたのは、問題を解いて正解する度に一夏さんに誉めてもらえると考えること。

もちろんただそれだけじゃなくって、頑張ってれば一夏さんが来た時にその事を伝えて頭を撫でてもらえるように取り計らうと言ってくれた。

 

…………超絶的にやる気が出たのは言うまでもない。

 

私は必死に頑張った。ひたすら問題を解いて、正解と不正解を繰り返す。

学校の友達も、私がIS学園を受験しようとしていることを知って応援してくれたし、お母さんとお父さん、お爺ちゃんも応援してくれた。

 

…………一番嬉しかったのは、お兄が一夏さんに頼んで入学者に渡されるISの分厚い説明書的な本を持ってきてくれて、その上いろんな問題をかなり詳しく教えてくれたこと。

お兄はあんまり頭がよくなかったはずだけどどうしたのと聞いてみたら、一夏さんへの愛情パワーでその程度はどうにでもなると言う答えが返ってきた。

 

………………私がそんなことできないと言ったら鼻で笑われたから、本気でやったらそれまで以上にできるようになった。お兄にそれを伝えて鼻で笑い返してやったけど、お兄はさらりとスルーした。

なんだかお兄に上手く乗せられたような気がしなくもないけど、そのお陰で学力はついたし、感謝しないでもない。

 

一般的な学力は十分だと鈴さんからお墨付きをもらったので、次はこれも必須のIS知識。一夏さんからもらった電話帳のような厚さの参考書が凄く役に立った。

お兄はどうやら先に読んでいたみたいで、内容をさらさらさらさらっと暗唱してみせた。

一夏さんへの愛情でお兄に負けていると言うのは我慢ならないので、私は躍起になってそれを一言一句間違えずに暗唱できるようになった。

 

それからお兄や鈴さん、箒さん達一夏さんのことが大好きな面々にお願いして問題をつくってもらう。凄く意地悪だったり正直だったり、とにかく知識量を試されるものから柔軟な思考を求められる問題まで各種様々な問題を解いて、私は満点を連発できるようになった。

 

後は実際にISに乗って戦ってみることなんだけど、これは流石に……。

 

…………と思っていたら、一夏さんと新しくできた一夏さんの妹のマドカの協力を得て、まさかまさかで実際に乗れることになった。

私が乗るのはラファール・リヴァイヴ。最近人気の高いデュノアの三世代兵器群を乗せた機体らしいけど、デュノアの第三世代兵器は高いって聞いたけどどこで手に入れたのかな……?

…………と言うか、なんでここにISがあるの?

 

そんな質問に返してくれたのは一夏さん。前に聞いた一夏さんの会社がデュノアで、ISは最近潰したばかりの悪の秘密結社に盗まれていたのを奪い返して再利用しているらしい。

 

……どう考えても犯罪行為のような気がしますけど、気にしない方が良さそうです。

 

そして相手はマドカ。私と同い年らしいけれど、色々あってそこらの国家代表候補生よりずっと強いんだとか。

ただ、色々あってISを壊されると修理できないかわりに魔改造されて大変なことになるから、戦うなら手加減してほしいと言われた。

そう言われても私も初心者なのでどうやればどう動くか、と言うところから始める。そこでは加減も何もない。

 

……ISを動かすのって、思ったよりも難しい……!

 

 

 

二週間ほど頑張り続けて、漸く普通に動かせるようになった。

コツは、上手く動かしている人の真似をすること。一夏さんを思えば一夏さんのように高速機動ができるようになったし、デュノアさんを考えればデュノアさんのような平均的な武器の扱いができるように。ボーデヴィッヒさんを思い出したらナイフとか三世代兵器のワイヤーブレードとかの扱いが上手くなったし、オルコットさんを思ったら狙撃銃とかビットとかの扱いが上手になった。

 

……聞いてみたら、一夏さんの周りに居る人の得意技はしっかりできるようになっていて、本当に顔が見えてなければ本人にしか見えないくらいの完成度だったらしい。

 

……多分、これが私の『異常さ』なんだろう。

 

一夏さんの周りには、そういう異常人が多いらしい。

 

例え今は異常じゃなかったとしても、どんどん異常になっていくとか。

 

例えば鈴さんは勘の良さが物凄くて、本格的な未来予知レベルの勘を使えるらしい。

箒さんは気配察知能力が高くて、やろうとすれば地球の裏側…………どころか、月までなら誰が何をして居るのかがわかるらしい。

なぜ月かと言うと、月に箒さんのお姉さんが暮らしているのがわかったからだとか……。

 

ちなみにお兄の異常さは平均的な廃スペック。千冬さんのデチューンで、一芸特化された人の一芸には届かないらしいけれど、それでも廃スペック。ありとあらゆることに非常に好成績を残せるらしい。ちなみにそれに気付いたのは中学一年生の頃だったとか。

 

……なんと言うか、ここでもお兄に差をつけられていることに軽く絶望しそう。

 

でも、私は諦めません。いつか一夏さんの隣に立って……いえ。一夏さんの隣で寝てみせます!

 

私は決意を新たにして、今日も勉強を頑張っている。

もう少しでIS学園の受験日。そして、私の中学校の卒業式まで……あと少し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機業を潰した、その弊害

 

ちー姉さんは最近機嫌がよろしくない。精神安定のためか、かなりの頻度で俺の部屋に来ては俺を抱き締めたり首筋に鼻を埋めたり耳朶を唇で挟んだり耳に息を吹き掛けてきたり服の中に手を入れてお腹を撫で回してきたりと色々と束姉さんちっくなことをやってきたりする。

いったい何があったのかはわからないが、よっぽど嫌なことがあったんだろうと思って流していたところ…………ちー姉さんの寝言で嫌なものを聞いてしまった。

 

意訳すると、

 

・あのクソったれのメリケン国が貴様らのような欲が服着て歩いてるゴミクズ共に一夏を渡すわけねえだろ塵芥が死ね。

・あの恥知らずのおフランス国が貴様らのような恥を恥とも思わないサノバビッチ共に私の一夏を渡すわけねえだろ産業廃棄物未満が死ね。

・あの糞蛆蟲の巣窟中国が貴様らのような頭の中身が中国最盛期のまま止まってる自己中共に私の可愛い一夏を渡すわけねえだろ阿片の吸いすぎで脳が蕩けた害虫共め死ね。

 

……だ。よっぽどストレスがたまっているらしい。

 

……それにしても、米国は日本にIS学園を作らせつつ情報の美味いところだけ吸いとっているくせにまだこれ以上を望むのか。人間の欲望ってのは本当に無限なんだな。

あと、フランスは知らなかったと言うことになっているとは言え、シャルのことがあったのにこうしてIS学園に要求をしてくるあたり驚きだ。

中国は……知らね。いつものことだろう。

 

…………いい人も居ることは居るんだが、なんでこの世界は嫌なやつばっかり多いんだろうなぁ……。

それに、こういう奴等は基本的に鬱陶しいくらい陰険な手を使ってくるから……気を付けないと。

 

………………洗脳するか? そうすれば手っ取り早い。

 

でも、洗脳した奴が国を動かしているから笑って暮らせる奴が居るのもまた事実。殺る時は殺るけど、あんまり自分から殺りたくはないなぁ……。

 

「……一夏。……お前は、私が守る…………から……」

 

ぎゅう……と、ちー姉さんに後ろから抱き締められる。

…………思い出してみれば、精神が過ごしてきた年齢的には俺より10歳ほど若いちー姉さんに、俺は随分と護られて来たっけな。

色々話して、笑って、時々泣かせて、がーん!とショックを受けさせたり、ずーん……と落ち込ませたりもしたっけ。

 

ちなみに『がーん!』の方は俺が『そろそろ風呂には一人で入りたいんだけど』と言った時で、『ずーん……』の方は料理の腕で俺に負けた時の反応だったりする。

ちー姉さんは外だとああして凛々しいけども、家の中だとなかなか面白い行動をしてくれるよな。片方はまるで父親の反応だけど。

 

俺は目を閉じたまま首に回された腕に頬を寄せて、そのままゆっくりと意識を落としていく。

 

……何かあったら、今度は俺がちー姉さんを護るよ、と。最後にそう考えて。

 

…………直後に濃い鉄錆の匂いと、粘度の高い液体が波立つような音がしたような記憶が、有るような、無いような……。

 

 

 

 

 

side 織斑 千冬

 

一夏が可愛すぎて眠れない。

正確には眠れるだろうが、眠った後にまるで夢遊病患者のように一夏を襲って食べてしまうような気がして、眠るのが怖い。

 

……ああだがこのまま起きていても一夏の芳しい匂いや肌触りのいい髪や可愛らしい声が私の理性を苛んで最終的に結果が同じになってしまう!くそっ、私はいったいどうすればいいんだっ!

 

『取調室であんなことまでしちゃったんだからさ~……我慢しないでまたぱくっと食べちゃえばいいんじゃないの?』

 

ぬぅっ……また貴様か、束!

 

『あっはっはっはっは!ちーちゃんもいい加減素直になればいいのに。……好きなんでしょ? いっくんのことが……一人の男である、いっくんが……さ?』

 

……だが、私と一夏は姉弟だ。そんなことは許されることではない。

だからこそ私はあの時もなんとか本番だけは回避したのだ。それ以外の事はそれなりにやってしまったような気もするが……それでも本番は回避している。

 

『あそこまでヤっちゃったら後は似たようなものだと思うけどねぇ?』

 

喧しい。その一線だけは越えてはならん一線だろうが。

確かに私は一夏のことが好きだが、私のことよりも一夏の幸福の方が大切なのだ。少なくとも私にとっては、それは両親がいなくなって一夏の笑顔に励まされた時から変わりはしない事実。お前が何と言おうと、これだけは曲げられんよ。

 

私は一夏の姉だ。一夏の姉である私は、誰よりも何よりも格好良く、一夏が誰にでも誇れるような姉でなければならない。

……いや、違うな。『そうでなければならない』と言うのは誤りだ。正確には、私が『そうありたい』のだ。

 

『……昔っから思ってたけど……ちーちゃんはやっぱりブラコンだね?』

 

ああ、それは私にとっては誉め言葉だな。生徒の前では示しをつけなければならないから認められんが。

 

……とりあえず、この総身に満ちる一夏への愛をどう表現しようか?

一夏への愛は無限大とは言え、それを浪費することなど勿体なくてできるわけがない。

 

『……まあまあ。今はそんなことは考えないで、いっくんと一緒に寝ちゃおうよ』

 

……ああ、そうだな。それが一番だ。

……バレないようにならば、お前も来ていいぞ。

 

『わーい♪ じゃあ箒ちゃんを連れて後から行くね?』

 

ああ。寝ながらで悪いが、一応待っていてやる。

 

『ありがとー♪』

 

…………すぅ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然すぎて、意味がわからない

 

IS学園に対して宣戦布告がなされたらしい。

 

……ああうん、意味がわからないのはこっちの方も同じだから気にしなくていい。とりあえず理解しておくべきは、『米中仏は敵』ということだけ。

…………ああそうそう、イランも敵だそうな。

 

なんで突然宣戦布告なんぞをやらかしたのかは定かではない……訳でもなく、束姉さんの尽力によって原因は既に掴んでいる。

どうも、突然亡国機業が無くなって、その事を確認して確証を取るのに大体二ヶ月ほどの時間をかけたらしい。その間にマゾカやちょろータムは俺の所に来たりなんだりとやっていたわけだな。

それで本当に亡国機業が無くなったとわかるが早いか、アメリカは今まで亡国機業に抑えられてきた分の鬱憤を纏めて晴らそうとしているかのように行動を始めた。

…………具体的に何をやったのかと言うと、俺の引き渡し要求を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も手を変え品を変えしつこいを通り越し鬱陶しいを飛び抜けうざったいすら越えて死ねよとついちー姉さんが呟いてしまうほど繰り返したらしい。

 

……それで結局宣戦布告って、某国のお偉いさん方はいったい何を考えてるんだろうな?

 

「さあ? あたしの勘によると、少なくともアメリカとうちの国は一部の独断を重ねたみたいだけど?」

「……フランスの方は…………多分だけど、シャルロットの事を無かったことにしようとしてるんじゃないかな……?」

 

超絶直感の鈴と、戦略の構図家かんちゃんがそう言うんだったら多分それは間違いじゃないよな。

細かい戦術は大戦術家のセシリーに任せれば多分ある程度の予想は立てられると思うし、情報チートな束姉さんが裏付けをとってくれたりすれば完璧だよな。

 

……とりあえず、IS学園はそう言うのを一度許してしまうとどこまでもずるずると持っていかれてしまうので徹底抗戦の構えをとった。勝算は無くはないらしいが、俺達が頑張る必要があるらしい。

その際、IS学園の守りはマゾカとちょろータム、それと大雨さんにたっちゃんが受け持つことに。他にも戦力になりそうなのは要るけど、米国籍だから不参加。

本人達は何も知らないんだろうけど、本国のお偉いさん達に振り回されるのが現場の悲しいところだよな。

 

そんなわけで、IS学園は売られた喧嘩を買う方に動いている。

ここで引いたらIS学園の優位性とかそういうのが根刮ぎなくなるというのがわかっているからという若干不純な動機もあるみたいだが、動機が不純だろうが何だろうが一応は槍の向きを揃えるんだから、仲良くしとかないとな。

 

 

 

「それでは、これより作戦会議を開始する。各自、自らの腕と能力に見合った国を攻めるといい」

「質問です!愛情補正は実力に入りますか?」

「当然だ。ちなみに私は愛情補正を使えば生身で束と一夏以外になら勝つ自信があるぞ」

「じゃああたしはフランスもらうわ。誰か手伝ってくれない? 一人か二人」

「それではわたくしが。シャルロットさんにそれをやらせようとするほど神経太くはありませんもの」

「じゃあ鈴のかわりに中国は僕が行くよ。殺人はしないでISコアを全部奪えばいいんだよね?」

「うむ、その通りだ。そう言うわけで私も中国に行くが……簪、着いてきてくれるか?」

「……うん。わかった」

「では、私と一夏はアメリカだな。エネルギー回復は任せてくれて構わんぞ?」

「……ん、よろしく」

 

……そんなわけで、結構どころじゃなく簡単にそれぞれの行き先が決まった。

 

鈴とセシリーがフランスに。シャルとラルちゃんとかんちゃんが中国に。俺とののちゃんがアメリカに進行することに。

ちー姉さんとくーちゃんは敵対する小国全部を相手にするらしい。

束姉さんは管制担当。弾とカズは近隣の防御を買って出てくれた。これで蘭ちゃん達が人質に取られるとかは気にしなくてよくなった。

 

……なお、作戦開始は『向こうの国が攻撃を仕掛けてきてから』だ。じゃないと『正義は我にあり』って言えないし。勝っても面倒なことになるんだから、せめて少しでも面倒事は減らしたいし。

 

……あと、やるならさっさと来てほしい。ミサイルを雨霰と撃ち込んでくるのか、それともISで直接乗り込んで来るのか、ISを使わず暗殺者を送り込んでくる(あるいは、既に潜り込ませていた暗殺者に行動を開始させる)とか、アメリカ国籍の生徒にこっちの感知網の穴を開けさせるとか、内部状況を報告させるとか……色々手はあるだろうし。

一番楽な方法は経済封鎖だろうが、こっちには機材に始まり燃料エネルギー発電機IS弾薬防弾着IS用武器食材何から何まで武器として出すことができる俺がいる。俺が居れば十年でも二十年でも戦えるぜ?

 

手っ取り早くミサイルでも撃ち込んできてくれれば開戦できるんだけど……やっぱり無理だよなぁ……。相手も馬鹿じゃないだろうし…………。

 

……あ、そうか。やってこないならやらせればいいのか。

それならいくらでも手はあるなぁ……。

 

……それじゃあ、こっそり動いてみようかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗躍フェイズ、自業自得だ

 

 

アリス・イン・ワンダーランドを遠隔で展開し、軽く洗脳しておく。

これによって好戦的になったどこかの誰かさんは、IS学園への攻撃に心引かれるようになるだろう。

 

飛んで火に入る夏の虫。とりあえず虫は払い落として、それでもしつこく来るやつは潰さないといけないよな?

束姉さんもちょっとクラッキングしてミサイル強制発射を目論んでいたらしいし……そのくらいはみんな考えるよな? 考えてもやらなかったりできなかったりする人が多いかもしれないけど、俺と束姉さんはできるってだけだよな。

 

それにしても流石は束姉さん。電子を操らせたらこの人の上を行くのはかなり難しいだろう。その上、束姉さんには力の王笏渡してあるからブーストかかってさらに凄いことになるし。

俺も一応使いこなせるようになってはいるが、残念ながら束姉さんほど上手くは使えないんだよな。使いこなせるようになってるはずなんだが……。

 

……束姉さん、本当に人間か? 俺が言える台詞じゃないけど。

 

「いっくんが人間じゃないなら束さんも人間じゃなくっていいかな?」

「種族は大事にしなよ」

「束さんの種族はいっくんラヴァーズだけど?」

 

初耳だ。と言うかそれは種族だったのか。束姉さんの不思議な生態に、ちょっとびっくり。

まあ、俺が言うのもあれだが……束姉さんとかちー姉さんが何をやってもあんまり驚いたりはしない。この世界は本当に不思議だからな。

 

そう言うわけで、やることはやった。だから後は待つだけだ。

束姉さんのレーダーやセンサー類は常に進化を続けているし、今回は束姉さん自身がかなりお怒りモードだし……索敵で俺の出番は無いと思うし。

 

……と言うか、実際にはこうやってまともな戦闘すらする必要はないんだけど。

正直、束姉さんがこっちから世界各地に散らばるISを遠隔操作してやればかなり簡単に結構な戦力を無力化できる。

それをやらないのは、それが束姉さんの文字通りの最後の手だから。こうしてISが重視されている世界でそれをやるのは効果はかなり高いけど、一度それをやればこの世界はISを防衛の切り札に使うことはまずなくなる。

だから、束姉さんはまだそれを使わない。本当に最後の最後まで、温存しておくつもりなんだろう。

 

……できればそんな事態にはなって欲しくはないけど、あり得ないとは言えないんだよなぁ……マジで勘弁してくれ。

 

……なんて言ったところで世界は何も変わらない。変えたいなら動かないとな。ISを世界に広げた束姉さんのように。

 

「動くのはいいことだと思うが、束のようにはなってくれるなよ?」

「ちー姉さんは心配性だなぁ……なろうとしてもなれないよ。俺は束姉さんと違って天才じゃないんだから」

 

……そのかわり、束姉さんやちー姉さんと同じく『天災』だけど。

 

「一夏。今私と束を同列の奇人変人にしたな? お仕置きだ」

 

ひょいっ、とちー姉さんに抱き上げられた俺は、ちー姉さんの膝の上にちー姉さんと向き合うようにして座らされ、そのまま抱き締められた。

丁度顔がちー姉さんの胸に埋まって息苦しいんだけど……。

 

「ああ、それはすまんな」

 

顔の位置が変わって息苦しくはなくなった。ただ、結局抱き締められているのには変わりない。

身動きがほとんど取れないまま、俺はちー姉さんにぽんぽんと背中を撫でられる。

…………なんと言うか……こうやってちー姉さんに抱き締められたまま普通に寝るのは久し振りな気がする。

最近は色々襲われたりしたし、姉弟でそれをやるのは不味いんじゃないかと思ったりもしたんだが……まあ、ちー姉さんが幸せそうにしてるしいいかと思い直して自由にさせたんだっけ?

 

ちなみに取調室での最後は、興奮しすぎて色々やらかしたちー姉さんが賢者モードに入って壁に頭を叩きつけて気絶して終わった。血とかその他の液体に関しては俺が掃除させてもらったけど。

……空気清浄器の角に小指をぶつけると痛いし、モップとかで喉仏を突かれたりしたら痛いよな? ほら武器だ。

 

……まあ、いいや。ちー姉さんに抱かれて寝るのは結構好きだし……束姉さんのお腹に抱きついて寝るのと同じくらい……。

そんなわけで、お休みなさい。

 

「ああ、お休み。一夏」

「いい夢見るんだよー」

 

……すぅ…………。

 

 

 

 

 

side 織斑 千冬

 

一夏が本格的に寝に入った所で、私は束と今後の話をつめていく。

 

IS学園は自分達の特権を侵害されないようにこの戦いを受けた。それはつまり、最悪の場合は特権の保守さえできれば一夏を切り捨てることもありえると言うことだ。

そんなことをさせないために私はこうしてここにいる訳だが、やはり状況は厳しいと言わざるを得ない。

いくらあいつらの一人一人が強いと言っても、それはあくまで数の有利不利がほとんど無い状態で、かつ試合に限定しての話だ。実戦でも試合と同じように結果を出せると言うわけではない。

特に、相手は恐らくISのリミッターを解除してくるだろう。試合用にリミッターのかかっているISとそうでないISの能力の差は歴然としている。

……そう、臨海学校の時のシルバリオ・ゴスペルのように。

 

「そうそう、あの子達のISだけど、コア偽装して新しく機体作って載せ変えといたから。名前と見た目はおんなじだけど、スペックは比べ物にならないよ?」

「そうか」

 

……どうやら、私の心配は杞憂で済みそうだ。

 

私は私に抱きついたまま寝息をたてる一夏の髪をさらりと撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開戦、大惨事世界大戦(誤字じゃないよ?)

 

俺と束姉さんのちょっとした暗躍から三日。暗躍の成果が漸く出て、お隣の中国と遠いアメリカから弾道ミサイルが発射された。

 

……警告無しで。

 

まあ、警告なんて無くても束姉さんの特性レーダーで簡単にわかるんだけど。

……いったい何をしたいんだろうな? 俺はここに居るんだから、IS学園にミサイルを落としたりしたら俺もデータもみんな吹っ飛ぶと思うんだが……。

 

「あれじゃない? このくらいでIS学園が落ちるわけ無いけど、自分達は本気だと見せ付けるために一回撃ち込んで様子を見る……って感じで」

「その可能性は高そうですわね。一度実行されてしまえば、まあ数人くらいなら意見を翻す者も出てくるかもしれませんし」

「……それは……困る」

 

……だよねぇ……困るよねぇ……。

 

まあ、今回に限っては守りの要がたっちゃんだから平気だと思うけど。何て言ったって周りは海だし、盾にするための水はエネルギーが持つ限り無限に近い量を供給されているような状態だ。

勿論それだけではなく、元亡國機業のちょろータムとマゾカ、大雨さんと言う三人も協力してくれるようだし。

 

……なお、大雨さんのお仕事はIS学園の事務員。能力はかなりあるから結構優遇されてるみたい。

……学院の御偉方は洗脳して元・亡國機業だってことは気にならないようにさせてある。アリス・イン・ワンダーランドはこう言う時に便利すぎると思うけど、俺が使う分には便利で悪いことは無いから構わない。むしろいいことだ。

大雨さんの方も記憶やらそう言ったものをルリヲヘッドを使って読み取ってあるから、まあ、害は無いはず。

 

……あったら暗殺。遠隔で体内に毒物を出してやればいい。完全犯罪大成功。

何も無ければ何も無いで問題ない。その方が楽だし、マゾカとの約束も守れる。俺としてはそっちをおすすめしたい所だね。

 

……さてと。お遊びはこのくらいにしておいて……ミサイル落とすか。ジェノサイドサーカスの無限ミサイル弾幕舐めんなよっと。ミサイルで壁作ってやれば誘導システムがどんなのだろうが撃ち落とせるし。

たっちゃんの出番はまだ先だ。こんなところでエネルギーの無駄遣いをされたら困るし、水は無限にあっても本人が疲れない訳じゃない。

 

とりあえずこのミサイル群を落とし終わったら出動だ。俺に喧嘩を売ったことを後悔させてやる。

 

……そう言えば、アメリカと言えばギンの操縦者があそこに居たよな?

……協力はしてもらえないまでも、一応避難勧告くらいは出しとくか。個人的にはどうでもいいけど、無駄に関係の無い奴を巻き込むのは好きじゃないし。

関係があったら積極的に殺しに行くけど、俺は別に快楽殺人者と言う訳でもなければ人を殺さないと生きていけないような性格破綻者でもない。

 

「そんなわけだからさっさと逃げるが吉だと思うよ?」

『……ISを持っていない私にどうやってこんなのを繋げてるのかはわからないけど、どうして上が突然あの子の凍結を解除する気になったのかはよくわかったわ……』

 

ちなみにこれはアリス・イン・ワンダーランドを通じた通信で、現在中国やアメリカなどの敵対国の大半で通信機器が使えなくなっている。

そこまでやるのに使ったアリス・イン・ワンダーランドを核金の個数で表すと、大体5000個といった所だろう。他の所に散らないようにするのに多少神経を使ったが、まあ、費用対効果で言えば最高だ。

 

ついでにそれだけで電子機器が狂ったミサイルが自爆する……なんてこともあり、それだけで約七割が無力化した。

フランスに無い理由は、これをやるとセシリーのレーザーの減衰が凄いことになる上、ビットが動かせなくなるからだ。

それを言ったらマゾカのさいれんと☆ぜふぃるすの方もそうなんだが、IS学園と連絡が取れないのは困るし、束姉さんのレーダーも阻害されるから緊急防衛時以外は使わない。

最後の手段で量を集めて『マグネシア』とか『幕障壁』とかそういう風にもできるが、やっぱり最終手段だし……正直疲れるし面倒だからあんまりやりたくない。

 

そんな訳があって、フランスにはアリス・イン・ワンダーランドによる通信妨害をかけてない。流石に病院の医療機器は使えるようにしてあるが、それ以外にはできることなどほとんど無い。

……ISの整備もできないようにしてあるし、ついでに言えば国防にすら支障が出るような状態だし。

今どこぞのテロリストが頑張れば、ホワイトハウスだろうが首相官邸だろうが最重要軍事機密の宝庫だろうが労せず落とすことができるだろうな。

 

……まあ、俺はミサイルを誘爆させるお仕事に忙しいからやらないけど。

流石に数が多いから、大量にある内のいくつかは運よくIS学園に降ってきたりもするし……降ってこなくても海中に放置したらまずいから拾って分解して安全にしたり……。

まあ、空中のミサイルをジェノサイドサーカス(武装錬金にはアリス・イン・ワンダーランドは効果が薄い。密集状態ならともかく、拡散状態ならなおさら)で撃ち落としている俺と、海中に着弾した不発弾を拾っている真耶先生率いる教師陣は色々忙しい。

その間にちー姉さん達反撃組は準備を整えているので、できるだけ手を煩わせないように頑張っている。

 

……そうそう。やっぱりIS学園にどこぞのお国のスパイが紛れ込んでいて、この機に行動を始めたのをののちゃんが感知して捕縛したらしい。

とりあえず俺が記憶を軽く頂いてから、すっごいいい笑顔のちー姉さんに引き渡していたようだけど…………その後そいつはどうなったのやら?

まあ、怖くて聞いてないのは俺なんだけど。

噂では、『ちー姉さんと束姉さんのドキドキ尋問室』で性格矯正を受けたらしいけど……生きてるのか?

死んでても俺としては一切構うことは無いが、ちー姉さんが犯罪者になるのはちょっとねぇ……。

 

『殺してはいない。少し話をしただけだ』

『ちょっと顔は真っ青になってたけど、途中からは安らかな顔でお話ししてくれたしね』

それ精神的に死んでね?

 

……と思わないでもないが、精神的に死んでいようが俺には関係無い。

自業自得だ。恨むなら自分自身か、自分をこうしてスパイに仕立て上げたどこぞの国を恨んでくれや。

ちゃんと仇はとってやるから、安心してそれまでの自分に別れを告げるといい。

 

『もう告げさせているから問題ない』

『そっか。じゃあ気にする必要もないな』

『そうだな』

 

そんなわけらしいんで、ミサイルを落とし終わった俺は適当に出動まで寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発、戦場へ

 

ミサイルは落とし終わったので、ちょっと遠征。束姉さんの魔改造によって元々ハイスペックだったISが廃スペックになってしまったのだが、ミサイルが来るまでにそれに慣れておいたので何も問題はない。

ついでにコアも束姉さんが新しく作ったのを今までの機体に載せ変え、今までのコアは束姉さんの手でののちゃんの紅榎……紅土筆……紅…………(チラッ)……紅椿と同じようにある意味最高性能機へと変わった新ボディを与えられて、現在に至る。

 

なお、基本的に束姉さんの機体は何かに超絶的に特化する事が多いから、気を付けなければならない。

シロと暮桜は高速近接戦闘に。紅……もういつも通りアカでいいや……はあらゆる事態への即時対応性に。

そんな感じで一部魔進化を遂げているISはどうやらそれを扱うセシリー達に合わせられているようで、結構簡単に使いこなせるようになったらしい。

 

普通は突然機体性能が急上昇したら、それに振り回されてまともに戦えるわけがないと思うんだが……やっぱり非常識人ばっかりだと随分違うと再認識。特に鈴は三分でかなり使いこなして見せたし。

ちなみに二番目に機体性能に合わせられたのはラルちゃん。どうやら軍の方で色々と様式の違うものを同じように取り回す訓練は積んでいたらしく、七分ほどで完璧に近い機動を見せ付けてくれた。

 

……なお、最も習熟が遅かったのはたっちゃんだった。十五分かけてある程度まで動かせるようになったが、やっぱり多少ぎこちない。慣れてないからだろうけど……。

 

……なんて言ったけれど、普通はそれを十五分で終わらせるなんてことは難しい。常人ならまず無理なんだが……やってしまったと言うことはたっちゃんも多少なりとも人外への道に進み始めたと言うことだろうな。

本当にまあ、色々と大変なこった。どんどんIS学園に人外だったり化物だったりが増えていく。

 

……人外が増え続けたら、この世界はいったいどうなってしまうんだろうな? いつの日か人外しかいない世の中になるのか、それとも人外と人間の戦争になるのか……。

 

……って、よく考えてみれば現状はまさしく戦争だよな。ミサイル撃って反撃して、お互いに殺す覚悟を持っているんだから。

それに、賽は投げられたんだ。神でも悪魔でもちー姉さんでも束姉さんでもない俺は、自分にできることをやるしかない。

 

……そう、それは俺の安眠のために!

……と、そんな感じに意気込みを入れつつ、ののちゃんと並んで空を飛ぶ。珍しく俺は真剣モードで、ののちゃんも海の彼方のアメリカを睨み付けている。

 

なお、俺達の狙いは初めから重要軍事施設の破壊あるいは奪取と、議会およびホワイトハウスの襲撃。跡形もなく破壊して構わないらしいから、とりあえずバスターバロンにピーキーガリバーを装備させて圧殺させればいいをじゃないかと思っているが……ののちゃんは荒っぽいのは気に入らないらしいので避ける方向で。

できるだけ少ない力で、効果は最大限に。ののちゃんはどうやらそういう戦いが好きらしい。

 

……そういうところは、本当に束姉さんによく似ている。いつもは似ているようであまり似ていないのに……。

やっぱり、姉妹だって事なのかね?

 

「男の趣味も似通っているしな」

「それは知ってる」

 

本人達によく言われてるし。

 

……あ、なんか飛んできた。多分対IS用部隊だろうな。さっさと落として終いにするか。

仕事はこいつらの撃墜じゃないんだから、できるだけスピーディーに。

 

「それじゃあ行こうか、ののちゃん」

「そうだな。ある意味ではリベンジだ」

 

そう言いながら、俺とののちゃんはこちらに向かって飛んでくるIS部隊に突っ込んでいくべく加速した。

 

 

 

 

 

side 篠ノ之 箒

 

一夏の隣に並んで空を飛び、一夏と共に戦場を駆ける。奇しくもこの状況は、小さい頃に見て憧れた英雄と姫の物語にそっくりだ。

 

魔王を倒した英雄の血を求め、英雄の国に戦をしかけた他の国。

英雄の居た国すらその英雄を見捨てたが、その国の姫と、旅魔王を倒す旅にすらついてきた仲間達だけは彼を見捨てなかった。

 

英雄は守っていたはずの人間と剣を交わし、姫と仲間達を連れて戦った。

英雄は姫を守り、姫も英雄を守った。そして、英雄は最後に人間から隠れて静かに暮らす道を選んだ。

……常にその傍らに居た、愛しき仲間達と共に。

 

…………ああ、私の頭の中身が花畑だ!誰か助けてくれ。恥ずかしすぎて恥ずかしすぎて……目の前のこいつらを照れ隠しに切り刻んでしまいそうだ。

 

……ああ、何も問題は無いか。死なないように最低限の生命維持だけはできる程度のエネルギーは残しておく予定だし、死ななければ問題ないだろう。

殺す意味の無いものは殺したくないし、殺さずすむなら殺さないようにしなければな。

 

……くくくくく……今宵の紅椿は血に飢えている!本当に血に飢えているのは私だがな!

故に、貴様等は逃がさん!一人たりとも無事に逃がすものか!

 

……まあ、実際逃がすわけにはいかないのだがな。私達が電撃戦で攻めてくるとわかれば、IS学園の方にミサイルを雨霰と撃ち込んでこないとも限らん。

IS学園には更識先輩とマドカ、それと……ちょろータムとミューゼル女史も居るのだ。なんの心配もいらない。

 

……心配要らないが…………それでもやはり心配だ。

……無事であって欲しいものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福音人形、時価いくら?

 

零落白夜と絢爛舞踏のコンボによって僅か二分で戦闘は終了した。海に放置しておいても良かったんだが、これで死なれたら困るからアンダーグラウンドサーチライトの中に放り込んでおいた。

中身は迷路になっていて、実は出口が無い。もっと正確に言うと、出口を見つけても出られない。なぜならその出口は次の迷路に繋がっているためだ。

 

本当の出口は本人が元々居た場所。まあ、まず気付かないだろう。まさか当然のように出口が自分が寝ていた場所のすぐ下に隠されているなんて考えもしないだろうからな。

入っている時間は恐らく一日も無いだろうから飢え死にしたりはしないだろう。ただ、どこまで行っても真っ白な迷路に暫く閉じ込められるだけで。

全部真っ白じゃなくて上下左右全面鏡の迷路もいいけど……鏡割られて自殺とかされたら困るしねぇ……。

 

「そんな訳でナタリーさん? ちょっと大統領に会わせてもらえます? 死ぬか降伏するかの二択を選ばせてあげないといけないから」

「……いや、あのね……私も軍人なのよ? 敵対している部外者を大統領のところまで通すと思うの?」

 

……正直に言って、実は割と簡単に通してくれると思ってる。

なぜなら……

 

「じゃあ俺が作ったギン人形返してください」

「それはダメっ!」

「じゃあ大統領のところまで案内してください」

「う……うぅ…………っ!」

 

……まあ、そんな理由だ。

ちなみにののちゃんは俺の後ろで呆れたような表情を俺とナタリーさんに向けている。

こんなもので買収されそうになっているナタリーさんに向けるならともかく、なんで俺までそんな表情を向けられるんだ?

 

「お前がなぜその女の趣味を知っていて、ちょうどその女の趣味に合う人形を持っているのが不思議に思えたのだが、お前が一夏だと言うことを思い出しただけだ気にすることはない」

 

じゃあ気にしない方向で行こう。面倒だし。

 

「……で、返答は?」

「ッ──────!!!ざ、残念だったわね!私はこの程度で買収されるような安い女じゃないのよ!」

「血涙止めてから言ったら?」

「これは……汗よ!ストレスが溜まっててね!」

 

ストレスで出る血は血尿くらいじゃね? ……血汗現象ってのもあったけど、原因がストレスかどうかなんて知らないし。

 

……まあ、どっちにしろ目には汗腺は無いから本来汗もかかないんだけど。

 

「……仕方がないか。受けてくれたら手乗りサイズと抱き枕サイズもあげようと思ってたんだけど……ここまで意思が固いなら何をしても無」

「どうか案内は私に任せて下さいお願いします」

 

一瞬、ナタリーさんの姿がぶれたと思ったら、次の瞬間には俺の足元で土下座していた。まるで昔懐かしのフィルム映画のフィルムをそこだけ切り取って繋げたかのようだ。

まあ、どうやら心変わりをしてくれた用なので、任せるとしようか。

 

…………騙されたら追いかけて真っ二つにするけど。

 

「……今なにか怖いことを考えなかったかしら?」

「騙されたら磔にして母国が核の炎に包まれる様を眺めてもらおうかなと思ったりなんてしてないよ」

「……騙さないから大丈夫よ」

「そうだね。ナタリーさんが騙さなければ、ナタリーさんの身の安全は…………保証されるんじゃない?」

「なげやりね!?」

「人間だから、ありとあらゆる未来を予測する事なんてできないんだよ。可能性として危なくなることもあるだろうし、完璧な保証はちょっとねぇ……気休めでいいなら保証するけど?」

 

俺がそう言うと、ナタリーさんは若干疲れたような顔をしつつ首を横に振った。どうやら気休めはいらないらしい。

 

「……地図を書くから、その通りに進んでいってくれるかしら? パスワードも書くから」

「IDカードも無しに開くような扉があるとは思えないから纏めて切り刻んでいくけど、それでいいならこっちはいいよ」

 

実際にはアリス・イン・ワンダーランドでジャミングかけながら力の王笏使ってハッキングかければこんな場所の電子的防備は濡れたティッシュ(普通に取った一枚を更に一枚一枚にしてあるやつ。これを先の尖った竹串とか指で貫く)のように破れるんだけど……まあ、言わない方がいいよな。相手には自分を小さく見られている方が殺りやすいし。

……じゃない、やりやすいし。

 

若干顔をひきつらせながらも、ナタリーさんは地図を描いてくれた。ただ、自分がこの情報を漏らしたことは言わないでほしいと言うことだが……それを言うのは若干遅かったような気がしないでもないね。

とりあえず地図を受け取り、そしてヘルメスドライブを使って発見したアメリカの大統領他何名かの居る場所まで飛んでいく。空間跳躍じゃなくて、ISを使って飛んでいるんだが……まあ、意外にもそこまで行くのは難しくなかった。

 

……さて、ご対面だな。

 

 

 

結論から言わせてもらうと、アメリカは降伏した。アメリカ本土だけでなく、全世界に存在するアメリカ臣民の命を盾にしながら大統領その他の人間の脳天に銃口を突きつけて『お願い』をしてみたら、結構簡単に決着がついた。

だが、俺達がここに来た時点でどうやらミサイルは発射されてしまっていたらしい。マゾカ達に頑張ってもらうか。

 

「それじゃあ確り誓約書にサインしてね。あと、今度から自分がごり押しして決めてくれやがった条約くらい守ろうな?」

 

おーおー悔しそうな顔しちゃって。ざまあみろ。

 

……さて、他の皆はどうなってるかねぇ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦名は、特に無し

 

side 凰 鈴音

 

フランス上空で、あたしとセシリアはフランスのIS部隊と戦っている。

篠ノ之博士の改造によって強化された甲龍は、その実力を存分に発揮しながら敵性機を次々に落としている。同じ第二世代機でも、乗ってる人が違えばここまで差が出るんだと言う証明になった。

……シャルロットならこの相手に比べて格段に強いし、数段厄介だしね。

 

相手の散弾を衝撃砲で凪ぎ払い、双天牙月を使って近接攻撃を防ぎながらたまに反撃する。

セシリアと組んでいる時の基本は、あたしが防御でセシリアが攻撃。余裕があればあたしも攻撃に回るけれど、カウンターを取れる時はできるだけカウンターを取るようにしている。

 

「はぁぁぁぁっ!」

「せぇぇぇぇっ!」

 

同時攻撃を双天牙月で防いで、さらにあたしに銃口を向けている相手への盾にする。そうすることであたし達へのエネルギーの減りはゆっくりになるし、セシリアのレーザーも必要最低限だけ使えばよくなる。

……やっぱり、大気圏内でレーザーとかを使うのはちょっと無理があるのよね。空気中の塵や埃なんかに結構散らされちゃうし……。

セシリアはそうして散った分を再集束しているみたいだけど、やっぱりそれでも限界はある。

やっぱりマドカのスターブレイカーみたいに実弾攻撃もできるやつを持ってきといた方が良かったんじゃないかしら……?

 

『それは切り札ですわよ?』

『持ってきてるの?』

『篠ノ之博士の改造済みですわよ?』

 

……つまり、スターライトmk.Ⅲで普通にできちゃうのね。ちょっとだけびっくりよ。

 

双天牙月を即座に収納して、相手の首を掴んで盾にする。すると直後に盾を向けた方から無数の弾丸が飛んできて、盾に直撃して止まる。

盾は苦悶の表情を浮かべたような気がしなくもないけど、知ったことじゃないから無視してさらに盾から武器へ。若干ラウラのトラウマを刺激しそうな光景だけど、本人いないから大丈夫よね?

 

そう思いながら人間ハンマー。なんだか相手が外道だとか鬼畜だとか人の皮を被った悪魔だとかあたしのことを言ってる気がするけど、あたしは気にしない。

だって喧嘩を売ってきたのは向こうだし、そう言われたところであたしが態々辞めてやる理由も無い。

それに、人間って結構頑丈だから、ISに掴まれて全力でISの装甲に叩き付けられても死にはしないわよ。

 

……ああ、これ実体験ね。千冬さんを『お義姉さん』って呼んだら足首掴まれてぶん回されてアリーナの客席と舞台を分けるエネルギーシールドに叩き付けられてぶち抜いて中に居たラウラのシュヴァルツェア・レーゲンに叩き付けられたわ。

 

……生身で。

……ほんと、全身の骨が砕けるかと思ったわ。一夏が膝枕してくれなかったら二時間くらい動けなかったかもね。

 

ちなみに、一夏が膝枕してくれたから三秒で動けるようにはなったけど、ちょっと甘えさせてもらって結局四時間くらい動いてなかったわ。

……一夏の膝枕……柔らかかったわねぇ……ぷにぷにすべすべだったわねぇ……もちもちしてて気持ちよかったわねぇ…………うふふふふ……♪

 

……そんな一夏の膝枕を奪われるなんて許さない。それ以前に一夏を奪おうとするなんて許せない。

……私はこれでも初代IIIの会長にして、初代粛清部隊の隊長なんだから……一夏を独占しようとする糞共には死アルノミ……。

 

運のいいことにデュノアは一夏の手によってこっちについている。エネルギーが危なくなったらデュノアで貰えばいいんだから……割と他のところに比べて無茶が利く。

そんな状態なんだから、例え他のところが失敗したとしても、あたしに失敗は許されないわよね?

 

……クスクスクス……燃えてきたわ。全力で潰しに行くわよフランス政府!こっちの要求を飲めなきゃ脅迫するわ!具体的には篠ノ之博士こと束さんによるIS強奪とフランスに所属しているISの停止。そして国力を失ったフランスはISを一機しか持たないような小国に喧嘩を売られて無様に併呑されてしまいなさい!……って。

 

『……楽しそうですわね、鈴さん?』

『まあ、実際結構楽しいからね』

 

彼方に隠れながらライフルを構えるセシリアの言葉にそう返す。

実際楽しくはある。楽しくはあるけど…………一夏に腕枕をしながら寝る方が数兆倍有意義だと思うのもまた事実。

……と言うか一夏に腕枕とか凄くしたい。超やりたい。そのまま一夏に抱き締めてもらいたい。抱き締められたままゆっくり夢の中まで一緒にいたい。ついでに可能なら一夏とむにゅむにゅしたい。一夏襲ってくれないかなぁ……。

 

『それについては望み薄としか言えませんわね……』

『んなこたわかってるわよ馬鹿じゃない? 放置され過ぎて頭の中身が桃色になっちゃってるんじゃない? あと八つ当たりしてごめん』

『謝るくらいならば罵倒して下さい!』

 

あ、駄目だこのセシリア、重症すぎて救えない。

あたしがこいつのためにできることと言えば……まともな性癖に戻すのは一夏じゃないと無理だろうし、ぶん殴ってやるのは……作戦に支障が出るから今は無理。

 

…………よし、放置ね、放置。と言うか正確には後回しにしましょう。

殴るのも注意するのも罵倒するのもみんな終わった後でならいくらでもできるんだから。

 

……それに、多分すぐ終わると思うしね。

 

あたしはそう考えながら、向かってくるISと戦闘機をセシリアと協力しながら一方的に撃ち落とし続けるのだった。

 

 

 

……そうしたら本当にすぐ終わった。やったこっちが拍子抜けしそうなくらいにすぐ終わった。

あたしとセシリアはフランスとの調印書を片手に(いや、手じゃないけど)、意気揚々とIS学園まで帰還していく。

なお、不意打ちはあったけど軽くフルボッコにして『次は国土を灰にする』というメッセージを伝えさせた後は無かった。よかったわねぇ……。

 

 

 

 

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