これはギルガメッシュに悩まされるとある警察官のお話です。
俺の名前は…言わなくてもいいだろう。保須警察署に勤務する1人の若手警察官だと思ってくれたらいい。朝から勤務するんだが腹が減ったから家を早く出て警察署の近くにある飯屋に行くとしようか。
「ふう、なんだって朝から勤務だってんだ」
思わず愚痴を吐いてしまった。いけねぇや、公共の場を守る警察官がこんな態度じゃなぁ。やれやれと思いながら飯屋に入る。いつも入っている飯屋、いつもの定位置に座る。このカウンター席からはテレビのニュースを見ることができるので朝出勤の俺にはとてもありがたいのだ。
「隣よろしいか?」
「ああどうぞどうぞ」
っとなんで隣に座るんだ?まだ他にも席空いてるってのに酔狂なやつだな。と思い、隣をみる。
「つっ面構犬嗣さん⁉︎」
「やあ、朝からの出勤ご苦労だ」
この360度どこからみても面構えが犬なのは1人しかいない。俺が勤めている保須警察署の署長である面構犬嗣さんだ。
「お互い大変だな。こんなご時世だと仕方のないことだが」
「ええ、大変ですね。最近またヴィランの出現回数が増えてきていますから」
俺が何故こんなにも朝が早いのかといったら一時オールマイトのおかげで収まっていたヴィランの出現回数が増えてきているからだ。その原因はやっぱり…
「ギルガメッシュですか。やっぱり」
「ああ、奴が出てきてからあからさまに増えてきている。奴が好き放題するから日陰にいたもの達が表に出てきてしまうのだ」
「奴を早く捕まえられればいいのですが……」
「それができたら苦労はしないだろう。なんせオールマイトと互角以上の実力がある」
はぁーっとため息をつく。それもそのはず、眉目秀麗のギルガメッシュは神出鬼没、出てきたら出てきたで問題を起こしすぐさまどこかに消えてしまうらしい。なんでそんなすげぇ奴がヴィランやってんだ。ヒーローになったら人生バラ色ハーレム間違いないだろうに。
『天気予報は以上です』
テレビの声が耳に入ってくる。てか女子アナも朝から大変だな。毎日毎日天気予報だの何だの延々放送するだけの仕事なのによぉ。ってかこの女子アナ妙に高度が高いとこいねえか?タワーかどっかの高台でも登ってんじゃねえか?
「この女子アナも大変すね」
「まさか朝から高い場所に登るとは。でもこの景色は見たことがないな」
面構さんは目を細めながら手を顎にそえる。人間らしい仕草しても顔は犬にしか見えねえな。おっニュース番組の新企画だって?朝の楽しみが増えるなこりゃあ。
『新コーナーは〜ギルガメッシュ速報です!』
「「ぶぅ!」」
2人揃って吹き出してしまう。っていうかアホかこの企画!ヴィラン相手に何やってんだ!
『彼は今日、空を飛びながら昼寝をするようです。もしかしたらあなたの街の空にギルガメッシュを見つけることができるかもしれませんよ〜』
しかもどうでも良すぎる内容だった。まあでもギルガメッシュを見ることができる、というのは一般大衆にとっては重要な事かもしれない。なにせ奴は子供から大人といった広い範囲でとても人気があるからだ。男性からしてみれば憧れの存在であり、女性からすればアイドルみたいな存在なのだ。実際に追っかけはいるらしい。見れるだけでも本望であろう。
『では、最後になりましたがご本人に直接話しを聞きましょう!』
はい?何言ってんだこの女子アナ。
『フハハハハ!良い企画だ!この我だけを注目するとは見所があるではないか!この我直々に褒めてやろう』
「「ぶぅ!」」
またしても吹き出してしまう。しかもこの女子アナ頭撫でられて喜んでやがる!そしてなんか話しだすし!
『以上、ギルガメッシュ様の空中庭園からでした!』
なんか最後様付けになってるし!頬赤らめてるし!
「新人君、直ぐに会計済ませなさい。今から署まで行き、空を飛べるヒーローをかき集めるぞ!」
「はっはい!わかりました!」
流石に面構さんも堪忍袋の尾が切れたらしい。全く、朝ご飯も碌に食えねぇのかよ。社畜もいいところじゃねえか。てか保須市の真上に空中庭園きてるし。通りで見たことない景色だ。あーあー早く捕まってくれねぇかなぁ。安眠がしたいぜ。
そんな若手警察官の願いも虚しくギルガメッシュは今日も捕まらなかった。
めちゃくちゃ高評価つけてくださってありがとうございます!
今は短編集ですが、お気に入りの数と投票の度合いを見て連載するかしないかは決めたいと思います。
空中庭園はなんか持ってそうなので…許してください