継承の鋼2~空っぽの弾薬庫~   作:アザロフ

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ややグロ注意


第三章七幕 吐いた唾の向かう先

 場所を海へと移し、一方的とは言え決められた通り海岸のそばで、鳳翔と陸奥達は三十メートル程距離を開けて向き合った。

 

 ギャラリー側は持ち運び可能な簡易ドッグを浜に設置し、流れ弾から提督を守るように艦娘が前を固め、最悪臼杵鎮守府の者達がカバーに入る形でもしもの事を考えての布陣となっているが、必要ないだろうと確信しながらも鳳翔は始まる瞬間を待っていた。

 

「木曽ならまだしもあなたが一人で戦おうなんて、無謀じゃないかしら」

 

「知っていますか? それを人は傲りと言うのですよ」

 

 時間が少しばかりおいたため、幾分心に余裕が生まれたが、それでも爪先ほどの隙間が空いた程度。疑問へは皮肉を込めて返した。

 

「は、傲りはどっちだ。一人でどうにかなると本当に思ってるのか?」

 

「軽空母風情で。後悔してももう遅いですよ」

 

「私が軽空母かどうかで強さを計っているならあなた方はその程度です。お忘れですか? 木曽さんは重雷装巡洋艦。それに負けたのはどなた達でしたか?」

 

 事実を突きつけただけに二の句が続けられないのか、歯噛みしながら押し黙った。

 

 陸奥もいつかのことを思い出しているのか、苦虫を潰したような顔でこちらを見るが、鳳翔としてはどうでも良かった。顔の見せあいをしたくてこのような場を設けてもらったのではないからだ。

 

「お喋りはこの辺りで終わりにしましょう。私達は演習をするためにこの場にいるのですから」

 

「ええそうね」

 

 淡白な声と顔に怒りを滲ませる陸奥。

 

 顔を歪めさせたことに小さな愉悦感を覚えていると、加古が一歩前に出てきた。

 

「その鼻っ柱、あたしがへし折ってやる」

 

 どうやら陣形として前に出たのではなく、一人でやる意思表示としてそのような行動に出たようだ。

 

「先鋒というわけですか」

 

「三人でやったら直ぐ終わるだろうからな。実力差を見せつけるならこの辺が丁度いいだろ。三人だから勝ったと言われても癪だしな」

 

――それが傲りだと何故気付かないのでしょうね。

 

 不愉快さを表すように折り畳まれた状態の明丸『夜桜』を思いっきり振るい、本来の姿を見せる。各関節部分は小さくなっているため動きの阻害にはならず、ぱっと見ただけでは折りたたみ式だと気づけないようになっている。気に入っているため、普段戦場では使わない。本気の戦いをする時以外は持ち出さないようにしており、基本近接戦は合気道を用いて戦っている。

 

 本来ならばこのような相手に使うことなど絶対にないのだが、今回だけは例外として抜かせてもらった。

 

 この者らを。人の提督を馬鹿にするような者達を、このまま野放しにするなど艦娘として許せなかった。

 

「さぁ、いつでもどうぞ」

 

「吠え面かくなよ!」

 

 艤装を展開し息巻く加古だが、いざ動き出しても縮地は使えないのか、酷くとろいように感じた。

 

 通常の航行に比べたら装甲が使えている分倍近くの速度が出せているが、所詮その程度。仕方ないと目と鼻の先まで縮地で跳んで距離を狭めてあげると、鳳翔の動きに驚いてか、驚愕しながら慌てて拳を突き出してきた。それを空いている左手で掴み、片腕だけで小手返しを行った。腕が足りない分は装甲で補いつつ放ったわけだが、威力が強すぎたのか、水面につく前に二回転してから盛大に着水。装甲で防ぐ暇もなかったのか艤装の一部が壊れたが、気にせず加古の背に向けて薙刀の石突を突き刺すように落とす。石突は加古の皮膚を、肉を、骨を貫通し、鳳翔がそのまま石突側を持ち上げると加古も一緒に釣られた魚のようについてくる。

 

「加古!」

 

 誰かが叫んだが、鳳翔はお構いなしに上空に加古を放り投げ、跳躍してから船体部分目掛けて後ろ回し蹴りを叩き込み、陸奥達の側に蹴り落とした。

 

「まずは一人目」

 

 ボソリと呟いたつもりだったが、どうやら聞こえていたようで、陸奥と赤城はビクッと体を震えさせていた。だが、今更怯えたところでもう遅い。既に演習は始まっているのだから。

 

「はーいどいてねー」

 

 明石が即座に現れ、気絶でもしているのか、物言わぬ加古を担いでその場から離れていった。

 

 連れて行かれる加古を目の前にしても今起きた光景が信じられないのか、静まり返る。それはギャラリーでも同じようで、多少話している気配が感じられていたが、今は完全に消え失せていた。

 

「まだお一人ずつ来られますか?」

 

 じっとしていても埒が明かないため鳳翔の問いかけると、一瞬体を震わせながらも四つの瞳とかち合う。

 

 呆然としていた自分が悔しかったのか、陸奥が歯ぎしりをしながら睨みつけて来る中、赤城が身を乗り出してきた。

 

「赤城!」

 

「ここは私にやらせて下さい」

 

 陸奥の責めるような叫びに芯を持って赤城は受け止め、弓矢へと手を伸ばした。

 

「あなたも空母なら艦載機で勝負しなさい」

 

「艦載機ですか? ええ構いませんよ」

 

 鳳翔は誘いに乗り、薙刀を畳み、袴に引っ掛けるように通す。まだ出していなかった飛行甲板と弓に矢を出現させ、感触を確かめる。『夜桜』は確かにお気に入りだが、やはり使い慣れたこちらの方が手に馴染むと思いつつ、いつでも放てる準備をした。

 

「お互い真上に放ち、宙返り後に戦闘開始で良いですね」

 

「問題ありません。いつでもどうぞ」

 

 自分の領域に連れ込んだからか、口元が緩くなっているのが見て取れた。

 

 基本艦載機は正規空母の方が搭載できる数が多い。すべての装備を戦闘機に割り振ったとしても鳳翔では四十二機が限界に対し、赤城ならば八十二。倍の数を出すことができるのだからどちらが有利かは言うまでもない。

 

 そう、本来ならば、だ。

 

「攻撃隊、全機発艦!」

 

「さぁ、お行きなさい。空はあなた達のものですよ」

 

 同時に放たれた矢は空に向かって突き進む最中に弾け、複数の艦載機へと変貌した。双方はお互いに腹を見せながらもぐんぐん青空へと飛翔してから宙返りを決め、真正面から向き合ったところで空戦が開始された。

 

――予想通り、赤城は全て戦闘機でしたか。最初からこの状況を狙っていたのですから当然といえば当然ですね。

 

 八十二もの戦闘機が上空で編隊を組みつつ、鳳翔の航空隊に向かって距離を詰めてくる。

 

「数が、四十……いえ五十? 鳳翔なのに? どのような手品を使ったのかはわかりませんが、それでも数はこちらの方が上です!」

 

「いえ、違う……」

 

 この戦いは貰ったと確信しているのか、赤城の目を見ると自信に溢れていたが、逆に陸奥の顔は怯えていた。それが行う者と見る者の視点の違いなのだが、赤城は気付くことはなかった。

 

「そこです!」

 

「待ちなさい赤城。鳳翔はまだ一本しか射ってない!」

 

「え?」

 

 陸奥の叫びに遅れ、すれ違う艦載機達。相当数被弾したのか、幾つも煙を上げて次々と落下していく。

 

「そん、な。私の艦載機達が……」

 

 但し、撃墜されたのは全て赤城側のみ。

 

 鳳翔の艦載機も幾つか被弾は見られるが飛行に支障はなく、全機健在だった。

 

 正規空母が軽空母に負ける。全く無いとは言わないが、それでもこの多くの提督に見られている中での敗北は、通常の敗北以上に重たい意味があった。

 

「何をやったの。あなたの艦載機は昨日爆撃機だったはず! それにそんな数飛んでいなかった。なのに何故!」

 

 信じられないとばかりに体を戦慄かせながらも声を荒げる。

 

 それに対し、鳳翔はただ事実だけを突きつけた。

 

「簡単ですよ。昨日は数を搾って放っただけです。そしてあの子達は皆戦闘機ではありません。戦闘爆撃機です」

 

「戦爆!? そんなのおかしい。第二次世界大戦中ならまだしも艦娘(わたしたち)で使えるなんて聞いたことがない!」

 

「おかしいと言われましてもこの通り私は使えています。勿論、それ相応の努力はさせてもらいましたが」

 

「努力なんて皆やってる。でもそんなことには誰もなってない!」

 

「そうですか。ところで話は変わりますが、赤城は何度手足がなくなったことがありますか?」

 

「てあ……え?」

 

 鳳翔の投げかけた話題についていけていないのか、荒げていた声は途切れ、オウム返しができないほど困惑している。それを冷めた目で見つめながら同じ言葉を繰り返す。

 

「手足を何度失ったことがあるかと聞きました。臓器はどうですか? 骨ごと引き千切られる感触や脇腹を抉られたことは何度経験したことが?」

 

「け、経験も何もそんなになるまで出撃なんて」

 

「えぇ、そうでしょう。それが普通のはずです」

 

 ごく当たり前の反応に、小さな羨ましさと落胆を混ぜつつ、言葉を続けた。あぁ、やはりその程度なのだと。

 

「私はこれまで、何度。何十度となく手足をなくしました。装甲で削り落とされることもあれば、集中砲火を防ぎきれずに砲弾で撃ち抜かれたことも。特に一人で戦場に向かった時に重症を負うと生きた心地がしませんでしたね」

 

「何を言って」

 

「はい。ですからあなたも少しはそういう経験をした方が宜しいですよ?」

 

「え?」

 

 間延びした反応を見せる赤城の眼前まぜ一足で跳び、弓と飛行甲板を虚数へと送り、薙刀を一振りで展開。足元からすくい上げるようにして振るった。途中海面に接触したからか、いくらか水しぶきを上げつつ、そこへ赤いものが混じるまでそう時間はかからなかった。

 

「ぇ、ぁ、手が。足、が? ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「赤城!」

 

 一刀で両断された赤城の右腕と右足は僅かに浮遊した後に、石を投げ込んだような軽やかな音を立てて海へと沈む。ここは海岸から近いため探せば見つかるだろうが、ドッグに入りさえすれば元通りになるのだからその必要はない。

 

 片足を失ったことでバランスが取れなくなったのか、後ろへと倒れていく赤城に石突で腹部を突き破る。

 

「がぐっぁ」

 

「どうです? これが手足をなくす感覚と臓器を潰される痛みです。これを何度も経験するとあなたも強くなれますよ、きっと」

 

「鳳翔! そこまでする必要が何処にある!」

 

 仲間がやられてか、怯える素振りを見せていた陸奥が遂に激高し船体部分を出現、砲弾を撃ってくるが、いくら戦艦の砲撃と言えどその程度で傷を負うほどヤワな鍛え方はしていない。そのまま戦闘続行しても良かったが、あえて距離を開けて明石が来るのを待つ。

 

「赤城、気をしっかり!」

 

「陸奥さん、すみません。何もできずに終わってしまって」

 

「いいえ、あなたは頑張ったわ。私が保証する」

 

「それは、よかった……」

 

「それじゃあ連れて行くね」

 

 別れの挨拶をしている二人の間の空気を、明石が砲弾さながらに撃ち抜き、攫うように赤城を担いで即座に転身した。

 

 残されるは二人。

 

 冷めた鳳翔と怒りに満ちた陸奥という対極の表情を浮かべながら睨み合う。

 

「あそこまでする必要あったかしら」

 

「必要はないです」

 

「だったら何でっ」

 

「何度も何度も誘ってきたのはそちらですよ。ちゃんと、真剣に、あなた方の気持ちに応えた結果です」

 

 自分達がこれまでどのような相手に対して戦おうと。勝とうとしていたのかを思い出してか、歯ぎしりしていた。

 

「ましてや提督への暴言並びに伊勢さんへの侮辱。沈められないだけ良かったと思っていただきたい程です」

 

「何かと思えば。伊勢が沈んだのは事実でしょ。死んだということはその程度の実力だったからじゃないかしら」

 

「――――黙りなさい」

 

 今まで理性を総動員して殺さないためにと抑えていた殺気が再び溢れ出す。陸ではまだ鳳翔の実力を知らない時だから受け止められたのだろうが、この僅かな間に肌で感じたことでついに理解したのか、表情こそ怒っているようだが足は一歩後ろに下がっていた。

 

「伊勢さんは。今の私ですら足元に及ぶかどうかと言えるほどの強い方でした。それをあなた程度が侮辱するなど。立場をわきまえなさい!」

 

 鳳翔の圧に押されてか、体をビクリと震わせ、反論すらできない陸奥にこれまであった不満をぶちまける。

 

「あなたにわかりますか? あれほどの方を失った後、その戦力を期待されていた鎮守府がどのようになるか。飛んでくる救援の数々。助けることのできない命を何度も聞くこととなり、その上で断るために徐々に精神がすり減っていく。罪悪感に苛まれながらも、どれだけ自分達が伊勢さんに依存していたかを突きつけられ、尚更申し訳なくなる」

 

 薙刀を折りたたみ、袴に引っ掛けてから空を見上げて深呼吸を一つする。いつか感じた雨の気配はそこにはない。

 

「でも木曽さんだけは前に進み続けました。ひたすらに進み続けたあの人は、もう追いつけないほど強くなられた。本当に。そんな人を宿敵のように扱うなど、冗談にしては笑えませんね」

 

「わ、私が木曽をどのように思っていようと、あ、あなたには関係ないでしょ」

 

「えぇ。ですからせっかくなので一つ提案をします」

 

「てい、あん?」

 

 困惑、不安、恐怖。投げかけられた言葉の真意を測りながら伺っているようだが、残念ながら陸奥に選ぶ権利など最初からない。

 

「木曽さんがかつて強くなるためにやっていた訓練方法があります。これを切り抜けたら今回の件は忘れましょう。内容は簡単です。私の艦載機の攻撃を防ぐか避けるかをしたらいいだけです。もっとも、それに合わせて私自身も攻撃に加わりますが、それを二十秒耐えたならあなたの勝ちです。どうですか?」

 

「それを拒否したら」

 

「拒否権があるとお思いですか?」

 

 笑顔で言ったつもりだったが動きたのは口元のだけなようで、目は冷たいままだったためか、その歪な笑みに陸奥が喉を引きつらせていた。

 

「では始めますね。死ぬ気で頑張って下さい。あの子達の強さは並ではないですよ」

 

 上空で待機させていた艦載機達へ、一斉に攻撃指令を下す。それまでバラバラに飛行していた妖精達は一糸乱れぬ編隊を作り上げ、一度距離を取ってから反転。先程のつまらなかった空戦の鬱憤を晴らすように、艦載機から唸り声を撒き散らしながら急降下を始めた。

 

「っ今更爆撃如きで!」

 

 怯えていた自分を鼓舞するためか、噛み付くように気持ちを吐き出し、迫り来る物を睨みつけている。だが、相手はそちらだけではない。

 

「言いましたよね? 相手は艦載機だけではないと」

 

 縮地を使い陸奥の背後へ回り込み、膝裏を軽く蹴ってみせる。

 

 全身硬直させていただけに、一箇所。たった一箇所穴を開けられてしまったために、連鎖で全身からその穴を通じて力が抜け落ちたのだろう。艤装の重みに引っ張られる形で陸奥は背中から倒れ込む。

 

「鳳おおぉぉぉ翔おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!」

 

 恨み声が陸奥の口から漏れ出るが、それは直後に降ってきた爆撃によって全て消されてしまった。

 

 全身を包み込むような赤く、熱い色が人の形に沿って揺れ動く。時折船体部分にもぶつかっているのだろう。金属音も混じって聞こえてくる。

 

 現在の鳳翔の艦載機は、一機で深海棲艦を一隻沈めるだけの練度を誇っている。それが五十機も襲いかかっているのだから一溜まりもないだろう。

 

――木曽さんなら百五十機全て開放して、私と明石さんが同時に攻めてもいなされますし、これはこれで少し新鮮ですね。

 

 改めて木曽がどれだけ強くなったかを確認し、最後の空爆が終わったところで飛行甲板を出現さえ、全機着陸させていく。

 

「皆さんお疲れ様です」

 

 一言労いの言葉を告げ、妖精に敬礼を受けてから矢へと戻す。すると、終わりを待っていたかのように、緩やかな風が一つ舞った。

 

 硝煙に塗れた陸奥を優しく洗い流すように吹き、空気中へと溶かしていく。

 

 それは凄惨な光景だった。

 

 全身到るところが黒く焦げており、皮膚が爛れている箇所からは流血が見られる。特に酷いのは腹部と左腕に右足だ。腹部は貫通する前に爆発したのか、弾けた皮膚の奥が露出しており、崩れた臓器と折れた骨が露出している。左腕と右足も爆発でちぎれ飛んだのか、左腕は肘から先が。右足は太もも辺りからなくなっていた。

 

「これは思いっきりやったものね」

 

「これでも加減はしました」

 

「わかってる。そもそもしてなきゃとうに沈んじゃってるし」

 

 ここまでなっても生きているのは、自分で近い状態を経験したためにやったギリギリの塩梅だ。最も、満足にうめき声さえ上げられないのは想定外だが。

 

――実力を見誤っていましたか。もう少し下方修正してあげないといけませんね。次があれば、ですが。

 

 結果を受け止めつつ、次回のことを考えて首を振る。もう二度と挑んでくることはないだろうと。もし再び目の前に立つ気骨があるならば、こんなことにはなっていないはずだからだ。

 

『終わったか』

 

「はい。これ以上続行は不可能でしょう」

 

 通信を飛ばしてきた剣造に演習の終わりを告げる。

 

『わかった。ご苦労だ。後は俺に任せて暫く休憩しておけ。恐らく直ぐに再開はできないだろうからな』

 

「了解しました。何か必要があればお呼び下さい」

 

『その必要がないことを願う』

 

 剣造との通信を終え、周囲を見れば先程まで側にいた明石と陸奥が消えていた。浜を見れば丁度簡易ドッグに陸奥を放り込んでいるところだった。

 

 一人取り残された鳳翔は今は人の多いところに戻る気にはなれず、その場で空を眺めることに。

 

「伊勢さん。私は少々大人気なかったでしょうか?」

 

 意味のない呟きは誰が拾うでもなく、見ている方向とは逆に、ただこぼれ落ちるのみ。

 

 もう狂おしいまでの怒りはない。消してしまいたいほどの殺意も。

 

 燃え上がった感情の後は焼け野原が広がるばかり。燻った気持ちは自分の行いを責めるようだ。

 

 そんな心境の最中に風がさわりと吹き抜けていく。それが自分を慰めてくれているようで、悲しくて、けれどどこか嬉しくて、一滴涙がこぼれ落ちた。

 

 

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