「で?今回はどういう良い訳を聞かせてくれる訳?」
ペットショップが半壊、乗用車5台が爆発炎上、犯人逮捕のためだと市民に説明するのは市長の仕事で、その市長が納得する様説明するのが私の仕事なの。
消火活動も終わらぬ店舗を背景に身動ぎ一つせず一人と一匹?一体?が説教を受けていた。
「じゃ、喋っていいわよ」
説教をするヒスパニック系のむしゃぶりつきたくなる様な女がこの街の次元犯罪調査課課長。アリッサ・アドソン
「……犯人達は全員逮捕しました」
当たり前よ!と怒鳴られ不貞腐れた顔をしている若い男がサク・ケイジ
そして、もう一人。
「ごめんなさい、私のせいです」
白い体毛に桃色の、いや、少し白の混じった桜色の四つの瞳。ケイの膝より少し大きいぐらいのサイズの蜘蛛が第五次元出身の捜査官サクラ。詳しい者ならハエトリグモにその姿が似ていることに気付いただろうが、そんなことは些事である。
彼等二人は次元犯罪調査局の検挙率第一位にして、逮捕時に発生する被害総額第一位のバディであった。
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同所、3時間前
薄暗く暖かく調整された倉庫の中、髭面のメキシカン男が蜘蛛に話し掛けている。
「セニョリータ、君の雇い主が決まりそうだ」
優しげなその声の相手、人間など簡単に殺せる大きさの女郎蜘蛛が答えた。
「本当ですか?良かった、これで弟たちに楽をさせてやれます」
異界間で違いはあれど基本的に貨幣やそれに準ずる概念はある、だが、珍しい事に女郎蜘蛛、この次元の人間には発音出来ない名前を持つ彼女の暮らす第五次元は深い森と魔術を基にした物理法則の次元であり物々交換を主としていた、長く続いた戦乱の中で両親は死に、侵食する資本主義により森の管理者としての地位は何の意味も無いものとなり。生活に困った結果
今はただ弟たちの為、変態に奴隷同然で買われるのを待つ身であった。
「あぁ、優しそうなヤツだよ、アンタの事を伝えたらとても喜んでた」
酷いことはされないさ、給料も弾んでくれるだろう。そう言う男の耳に、部屋に入ってきたスキンヘッドの年若いメキシカンが耳打ちする。
来客だ、ちょっと待っててくれよぅ
そう言って消えた男の背中を見送り、彼女は小さな木彫りのトーテムを背中の鞄からとり出した。故郷を離れるとき弟たちがくれた蜘蛛を模したお守り。二度と会えないだろう弟たちと自分繋ぐ最後の絆、思い出。
「……お姉ちゃん頑張るからね」
ひどく凶暴なその爪が優しくトーテムを撫でた。