ダンジョン転生   作:ppが足りない

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お気に入りが急に増えて心臓が止まったゾ。
高評価貰えるように頑張るんだぜぇ〜


第7話

 

 

 

 

 

───ここは───

 

 

心地よい風が通り抜ける。

少し冷たい風が身体を通る度に陽射しに暖められた身体に涼しさを与えてくれる。

目の前に広がるのは青い、何処までも青い天井。

何故かゆっくりと動いている白いものが心を落ち着かせる。

 

 

これはなんだったっけ……

……そう、確か…………思い出した。

これは……空だ。

外の世界に広がっていて何処までも続く世界。

ありふれたものだけど、とても大切だったもの。

外にはどうやって行くんだっけ……

分からない、でも、きっといつか……

いや、違う。

私は今外にいる……ほら、だって目の前には青い空が……あれ?さっきまであったのに……

……空?空ってなんだ?

この世界にあるのは見上げればすぐ上にある天井だけ。

この世界にはそんなものなんてない。

だけど……人間の世界に行けばある気がする。

そうだ、人間の世界だ。

私は人間の世界には行かなければならない。

例え……どんな手段を使ったとしても……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「必ず………………んぁ?」

 

 

 

……何だろうか……今……大事な夢を見ていた気がする……私にとって……とても大切な……

 

 

「まぁ……いいか」

 

 

人間の世界だ。

人間の世界に行けば何か分かる気がする。

外がどうなっているかは分からないが、とても素敵な所なのは何となくだが知っている気がする。

 

 

「……狩りの時間だ」

 

 

地面に手をついて上半身を起こす。

もう見慣れた灰色の世界は相変わらず音も何もない。

まるで死んだ世界だ。

この世界には命がない、何もない。

あるのは私という存在だけ。

でも、それでいい。

この世界に他のものは不要だから。

 

 

膝を曲げて伸ばしゆっくりと立ち上がる。

最初の頃はそれだけでふらついたが今はそんな事はない。

もうこの身体にも慣れてきた頃だ。

近くにある手頃な影に移動する。

影から顔だけだして視界と音を確認する。

近くに人間特有の足音はない。

が、何か駆けるような足音がする。

この絶え間なく続く地面を蹴る音……荒い息遣い……ヘルハウンドか。

 

 

『ガルルルルルル……ガァッ!』

 

 

いきなり目の前に現れた私に驚いたのか目を見開き毛を逆立てる。

すぐさま臨戦態勢に入るのはこの環境故か。

常に敵が近くにいるという環境はやはりそこにいる生物を強くさせるのだろう。

が、それはこちらも同じ事。

 

 

「今日の初めてはお前だ、犬」

 

 

私は地面に脚を突き立てる。

それはまるで地面から生えるように奴の腹の下から現れて気づく頃には串刺しにしていた。

 

 

「便利だな……これは」

 

 

犬が灰になって出てきた魔石を拾い食う。

いつ頃からだろうか、魔石を食っているといつの間にかこんな事が出来るようになっていた。

影の世界を介さずに繋がっている影の間を移動する力。

影が繋がってさえいればいいから一歩も動かずに仕留める事が出来る。

視認したまま戦えるのは便利だ。

魔石をもっと食えばやれる事は増えていくのか?

 

 

「あれから……どのくらいたった?」

 

 

もう……魔石を食い始めてから何回も寝た気がする。

今までに危ない時は何度もあったが何とか生き抜く事は出来た。

ダンジョンに潜る人間……冒険者は数が多かった。

一人、もしくは少人数が多いが偶に20人以上の数で来る時がある。

そんな団体はもれなく道中に出会ったモンスターは借り尽くされていた。

ミノタウロスもそいつらの獲物に成り果てている。

まるで馬鹿馬鹿しくなってくる。

強さの差とはこんなにも隔絶されたものだったろうか?

私はまだ一度もミノタウロスを殺した事などないというのに……

 

 

「が、それも今日までだ」

 

 

機は熟した。

身体に力を込める。

以前よりも圧倒的に力が強く感じ、身体が軽く感じる。

魔石を食ったばかりのせいか力が込み上げてくる感覚に酔いしれそうになる。

魔石を食うといつもこうだ。

自身が強くなっているのを実感出来るせいか妙に気が大きくなる。

 

 

「ミノタウロス……お前を殺す事で私は先に進む事が出来る」

 

 

重い足音を聞き逃す事がないように耳をすませながら歩く。

ミノタウロスに遠慮はいらない。

最初から……全力でいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いた」

 

 

ずっしりと響く様な重い足音。

曲がり角を曲がった先にある場所から聞こえる。

ここは……まさか。

 

 

「お食事中……か」

 

 

ミノタウロスは透明な木から出ている蜜を吸っていた。

その姿はまるで無防備で周囲を警戒している様には見えない。

実際していないのだろうな。

この階層の最強はミノタウロスだ。

警戒する必要性がないのだろう。

余裕な事だ……今、貴様のその余裕を消し去ってやる。

 

 

 

「……」

 

 

奴の周りに影は……ない。

木自体が輝いているせいか影が出来ていない。

勝負を仕掛けるには……移動してもらうしかない。

 

 

『……ブオッ?』

 

 

バレないように慎重に部屋の影のある場所から手を出して内側の壁を叩く。

幸い部屋の外と影が繋がっていた。

これを利用しない手はない。

案の定ミノタウロスは音につられて壁に寄っていった。

まだ距離がある、あともう少し……もうすぐ……

 

 

ミノタウロスと壁の距離が近くなる。

まだ、まだだ……まだ足りない……あと……少し…………………………今

 

 

壁の音のなった部分にミノタウロスの顔が近づく。

必然的に近くなった首に……勢いをつけて指を突き刺す。

完全に死角から放った攻撃は……硬い皮膚に弾かれた。

 

 

『グオオオッ!!!』

 

 

喉に直撃を食らったミノタウロスは苦しそうに仰け反る。

モロに入った筈だ。

それが突き刺さりもせずに仰け反るだけ……

規格外だよ、お前は

 

 

『ガァッ!』

 

 

手に持っていた鉈を壁に振り下ろす。

鉈が振り下ろされた壁は壮大な破壊音を伴って切り裂かれ破片が飛び散る。

それは一つ一つ悪意を持って早い速度で飛んでいく。

まるで見えなかったそれは頬を掠める感触で破片なのだと気づいた。

 

 

「一振りで壁を破壊する膂力に本気の一撃を食らっても傷一つ負わない耐久力……なるほど、強い」

 

 

今の私の力ではいくら攻撃した所で傷付ける事は出来ないだろうな。

が、やれる事がないわけでもない。

私はすぐさま走って奴の目の前に躍り出る。

私を視認したミノタウロスはその口を凶悪な笑みに歪め突進体勢に入る。

私は壁に寄りかかりミノタウロスが突進してくるのを待つ。

大事なのはタイミング、早くても遅くてもダメだ。

無傷でやれるとは思ってない。

だが、お前にもそれ相応の傷は負ってもらうぞ、ミノタウロス。

 

 

『ブモオオオオオオオッ!!!』

 

 

一瞬。

地面を蹴り上げたミノタウロスは加速し、気づけば目の前にいた。

 

 

「はや」

 

 

ボギャギッ!!

 

 

すぐさま地面を蹴り後ろの影に入り込む……よりも先にミノタウロスの拳が私の左腕にめり込んだ。

それはそのまま壁を突き破り私の身体は弾き飛ばされ嫌な音と共に腕はひしゃげ骨は皮膚を突き破り見るに堪えない程にグチャグチャになる。

 

 

私の身体は灰色の世界へと突き飛ばされた。

腕に走る激痛は腕だけに留まらず身体中に襲いかかる。

それでも、その痛みは何故か心地良かった。

やってやったという気持ちからだろうか?

何はともあれアイツの腕が出来るだけ入り込むまで影に触れていた私を褒めて欲しいものだ。

 

 

私は自分の脚を褒めながら目の前に転がる肩ほどから切断されたであろう腕を眺めた。

 

 

 

『ヴモオオオオオオオ!!!』

 

 

 

自身の腕が切断された痛みに目を見開き絶叫するミノタウロスは滑稽だ。

今まで自身こそがこの階層にて最強なのだと思っていたのだろうがその慢心がこんな目に合わせたんだ。

ミノタウロスの背後の影から顔を出し見やる。

アイツが混乱している内に決める必要がある。

 

 

すぐさま飛び出し右腕に力を込める。

私の力では奴の硬い皮膚を貫けないであろう事は予想しておいた。

だからこそ左腕を失ってもここに賭ける必要があった。

失った右腕の痛みに喘ぐ奴の肩からは赤い肉が露出している。

例え外が硬くても……中はそんな事はないだろう?

 

 

右腕を突き出し揃えた手から突き出る指に生えた爪は鋭利で、例えミノタウロスであったとしても直接内側に攻撃してしまえば防ぐ事は出来ない。

それは吸い込まれ様に奴の肩に触れ、肉を抉る生々しい音と共に私に勝利を齎した。

 

 

 

 

 

 

……筈だった。

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

指が半分程めり込んだまま私の右腕は動かない。

何故か?ミノタウロスの左手が私の腕を握りしめていた。

ミノタウロスの顔は興奮に赤く染まり鼻からは白い空気が息とともに吐き出されているを

その口は……私を簡単に絶望に落とす程に歪みきっていた。

 

 

 

「やめ……」

 

 

ぐしゃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何の音だろうか?

柔らかいものと硬いものが潰された様な音がした。

それと、何故か右腕の肘から先の感覚がない。

何でだろう?

 

 

右腕を見てみる。

そこには私の肘の先に大きい手が握りしめられていた。

おかしいな、そこには私の腕がある筈なのに……

 

 

「……?」

 

 

何か足に当たった気がする。

柔らかい何か?

下を見ると見覚えのあるものが転がっていた。

 

 

腕の途中から黒く染まり赤い筋が幾つも通っている。

手は頭を覆えるほどに大きく頑丈そうだ。

すぐに分かった。

こんな特徴的な腕を忘れる奴はいないだろう、ましてや自分の腕なら尚更に決まってる。

 

 

 

 

「……あ」

 

 

 

何かが身体中を駆け回る。

左腕と右腕から来る何かは強く、私の中の何かを壊すには十分だった。

 

 

 

 

「いっ、が、ガァアァアァアアアァァアアア!!!!!」

 

 

 

『ヴモオオオオオオオ!!!』

 

 

 

 

そのミノタウロスの雄叫びは、私の心を簡単にへし折った。

 

 

 

 

 

どこからか、ポキッという音が聞こえた気がした。

 

 

 




あに濁点ってどうやってつけるんだゾ?(池沼)
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