お前らがレズって言うなら俺はホモだ   作:ワラスペ

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今回はシリアスな感じで申し訳ないです。
例えるならオルフェンズ43話以降ぐらいのヤバイです。


なん…だと…‼︎

カフェテラスで倒れた俺は救急車で運ばれ緊急手術を受ける事になったが

 

”先生。この患者足が攣ってるだけです”

”ふざけるな…ふざけるな…バカヤロォォ!”

 

ある医者の言葉のお陰で難を逃れ健康体だと証明された俺は無事退院した。

病院まで来てくれた三人に足が攣っただけだと伝えた後、丸山と氷川とはその場で解散し白鷺と家路に着くことにした。

 

「ごめんなさいタクヤ。余計な事を聞いたかしら…」

「いやお陰で少し何かを思いだせたような気がする、助かった。」

 

そう白鷺から過去の事を聞かれて時、頭の中に流れて来たあの記憶。変な男が家に入り込んで小さい俺と一緒に料理したり遊んだりして、最後には男と離別した記憶。

 

「何を思い出したの?」

「変な人と暮らしてた」

 

今はそれしか言えない。

だって、その男は俺の親じゃない。ましてや兄でも叔父でもない。

 

「なあ、小さい頃遊んでた時に俺達以外の誰かが居たか?」

「いや居なかったわ」

「そうか」

 

やはり白鷺と瀬田は知らない事、そして俺も覚え出せない事。

 

「なんか凄い犯罪臭がする記憶だな」

「タクヤは知りたいの?その記憶について」

「もちろん知りたい」

 

でもそれが怖いとは思わない。むしろ知らなきゃいけない気がする。

 

「まあ地道に思い出す」

「その時は教えてくれる?」

「内容によっては言えないかも」

 

恐らく白鷺は俺が気付けなかった事に気付いたから、あんな質問をしたのだろう。なぜ彼女は知りたいんだと疑問が襲う。

 

「なんで、そんなに聞きたがるんだ?」

 

隣で真剣な瞳で見つめる彼女。その瞳が更に謎を残す。

彼女は俺の何を見ているんだろう?それを見て、どう思っているんだろう?

 

俺はそれが知りたい。

 

「タクヤの事を教えてくれるなんて無かったから」

「俺の事?」

「ほらホモ以外で自分の事を他の人に言うこと少ないでしょ?」

 

いや聞かれなかったからだ。それに丸山の時も氷川の時も結構自分の思ったことや、自分自身の事は言ってた。

 

「それは勘違いだ。聞かれたから言っている」

「でも今日タクヤのこと聞いたらどうなったかしら?」

「‼︎」

 

的を射た答えに心臓の鼓動が速くなる。

 

「ほら自分の核心的な事を言ってないじゃない」

 

早くこの緊張をどうにかしたい。早く楽になりたい。

 

「分かった。今まで言わなかった分、今言うから」

 

こうすれば楽になれる。そんな浅はかな希望に縋り付く。

 

「そう、ならタクヤは…なんで男の人が好きなの?」

「……ん?」

 

やばい事聞かれるんじゃないかと呼吸が一瞬止まるかと思った。けど白鷺からの質問はかなり拍子抜けだった。これなら答えをすぐ出せる。麻雀で例えるなら天和状態だ。

 

「そりゃもちろんホモだから」

「ふざけないで」

 

互いに足を止めた、その瞬間に何かが壊れる。

彼女の真顔が逃げられないと物語っていた。

頼む。いつもの様に、は?って言ってキレるなり首輪を着けようとするなり何なりしてくれ。

 

「タクヤは私のこと嫌い?」

「違う。嫌いだったら何しても全力で無視する」

 

そこに嘘は無い。むしろ嫌いじゃなくて怖いが正直な気持ちだ。

 

「なら、教えて?ホモだからとか言い訳しないで」

「……。」

 

怖くて堪らない。普段の白鷺は他人の領域にズカズカと入るタイプしゃない。むしろ気に入らない人間相手には全力で距離を置くタイプの人間だ、白鷺の中で俺は気に入らない人間だと思う。

だって彼女が演技で悩んでいた時いつもの様に話をしただけ。俺は演技の事なんて知らないから力になれなかった。

だから、そんな俺の家に来たりする白鷺が白鷺じゃない他の人間じゃないかと思えて怖くて堪らない。

 

「頼みがあるんだ、白鷺」

「何かしら…」

 

彼女とちゃんと向き合うのが久しぶりな感じがして、どんな顔をして良いか分からない。

けど、これだけは言いたい。

 

「俺の事を知っても軽蔑しないか?」

 

彼女は一瞬驚いて、ゆっくりと微笑んだ。

 

「もちろんよ」

 

昔と同じ笑顔。それが彼女を信じられる様な気がした。

 

やっぱり君は素敵だ。

 

 

* * * *

 

 

小さい頃から芸能界に入って色んな事があった。そこで活躍するには他人との関係を慎重にしなければならない。

けど、そんな事をしなくても平気な人が小さい頃にいた。

 

「オレはちーちゃんの味方だもん!何すればいいか分からないけど、話だけでも聞くよ!」

 

笑顔の彼を見るとなぜか明るい気持ちになれた。

高校生になって演技の事でプレッシャーを感じてた時、彼はいつもの様に話を聞くだけ…

 

「そいつヤベーな。病弱な妹という設定なのに熱くなれよとか矛盾しすぎだろ。絶対に修造もどきだな」

「いや結構有名な演出家よ?」

「本当か!一度会ってみたいな。写真見せて」

「はい」

「ああ(絶望)、なるほど。…それよりも松原遅くない?」

「あっ」

 

でも、それが彼なりの優しさのように感じて凄い嬉しかった。

 

だけど私でも知らない事が彼には沢山ある。

なんで朝早く家に行っても、あなたしか居ないの?

なんでホモビを燃やしに行った時、家の中に誰も居なかったの?

 

だから少しでも教えて欲しい。

 

「俺の事を知っても軽蔑しないか?」

 

優しいあなたに何があるの?

 

 

 

 




次の話はなるべく明るい話にしたいと思います。
ラブアンドピース、それが一番ですからね。
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