待たせておいて番外編と駄文。本当に申し訳ございません!
しかも矛盾点があるかもしれないのでこの話は飛ばしても良いかもしれないです。
パシャッ!パシャッ!ブッ‼︎チッ‼︎パッ‼︎
大量のカメラから弾き出されたフラッシュ音が流れるテレビ画面、右上にはLIVEの文字。
『私、白鷺千聖は昨日をもちまして…』
そして一番に目につくのは白金の髪と薄紫色の瞳のアイドル、白鷺千聖と…
『入籍しました』
白鷺千聖(30) 電撃結婚と書かれたテロップ。
「……。」
そのニュースを見ている俺、井所タクヤはソファーに座りながら諦めの境地に達していた。
『プロポーズの言葉は?』
『Would you call me if you need my love?と言われて思わずウィー↑って返しちゃいました』
嘘付け。言った覚えは一つも無いぞ。
どこのAgapeだよ
『お相手はどんな方なんですか?』
『会社勤めをしている…ホモです』
そうだよ。ホモだよ。
『ホモなんですか⁉︎じゃあ何で結婚を』
『世界中の誰より一番幸せになって欲しい人が私だと。あらちょっと…恥づかし///』
いやいやいや、ちょっと待って。
『いつからお付き合いを?』
『実は彼とは幼馴染でして。小さい頃からの付き合いなんです。ですけど高校卒業から離ればなれになって、もう会う事は無いだろなって思っていた所を偶然再会して運命を確信しました』
あれを…あれを運命って言っちゃうのか(困惑)
全ての発端は千聖達と離ればなれになる十二年前に遡る。
☆ ☆ ☆
十二年前
激しく鳴り響く胸の脈動。
心臓が絞られた雑巾みたいに捻れられる。血液の代わりに痛みが全身へと巡る感覚に耐え切れず床へ倒れる。
「タクヤッ!タクヤッ!しっかりして!」
俺の両肩を掴んで揺らす白鷺。暗くて見えなくなる視界の中で彼女の顔だけが白く鮮明に映った。
「ごめ…んな…しら、さぎ」
無理やり肺から空気を吐き出し喉を震わせた。死を悟った今だからこそ言わないと絶対に後悔する事になるから。
「昔から…俺…融通…聞かない…バカ…だったけど…」
「もう喋らないで!」
「今言わせて…くれ…!」
俺の千聖に対する本心。
色々衝突が有った…けど笑える時が有った。お前に出会えた、それだけで充分に幸せだと思えることが出来た。
全てが羨ましくて、怖かった小さい頃の俺に温かさを教えてくれた千聖にどうしても言いたかった。
「俺と…白鷺の間に…友情は…無かったのかも…しれない」
幼馴染から始まりレズそしてホモという奇妙な繋がりで終わった。結局千聖にホモを理解してくれなくて名前ではなく白鷺と呼んでいた。
「しかも俺…ホモだから…白鷺に…恋や愛…そんな綺麗もの…抱けなかった」
ノンケだったらと時々考える時、何回も何回も考えた結果…やっぱり誰よりも前に、一番最初に出会った千聖に恋したかもしれない。おそらくメイビー。
「俺は白鷺に…愛も…恋も…友情も…抱けなかったけど…」
千聖の頰に涙が伝う。
違う、違うんだ、違うんだよ、ちーちゃん。
「ただ…有ったのは願い…いや俺の汚い…独り善がり…だけど…ずっと笑っていて欲しい。みんなに…出会う前の…周りに向けてた…薄ら笑い…じゃなくて…本心から…笑って欲しい」
やっと言えた。
そう思った瞬間、体が冷たくなっていく。
「起きて。ねぇ!起きなさい‼︎起きてッ‼︎」
仕事でも私生活でも色んな目で見られて来て癒される時間が無かったちーちゃんに…
どうか…どうか…
幸せだと思える時間を…
一緒にいて幸せだと思える人を…
これからずっと永遠に…
頼む薫、花音、パスパレのみんな
「タクヤッ‼︎タクヤァ‼︎」
大量のホモビのパッケージと丸め込まれた大量のティッシュの中、力尽きた俺を抱き締める白鷺。
そう、俺がこうなった原因はテクノブレイクだった。
気絶した後、緊急搬送され
「ウッソだろwwwお前www」
テクノブレイクした俺を笑いながら必死に手術してくれたお医者さんの頑張りで一時的に助かったがミスが有ったせいで、もう一度手術しなくてはいけない。そこで浮上した問題が
「笑っちゃうんすよね」
笑いを堪えられる医者が日本に居なかった。外国に一人笑いを堪えられる医者がいるらしいのでアメリカに飛ぶ事になって、それが初めての海外旅行だと俺はたまげまくった。
そんなアメリカ行きの準備をしている最中、ある噂を小耳に挟む
"アメリカで短パン履いて歩いてるとホモに目を付けられる"と
運命…いやガイヤ、そして自由の女神とトラ◯プが囁いた。
おいでよ桃源郷へ
「よっしゃああああ‼︎俺は勝つぞお前!」
速攻で海を越え、体を治して貰いそのままアメリカの大学へ入学。は?なんちゃら大学(曖昧)というクソ難しい大学だったが、ご当地のゲイビでスピードランニングしたお陰で何とかなった。
そこから俺は弾けた
「ジャパニーズさん⁉︎マズイですよ‼︎」
「お前のことがアイラブユーだったんだよ‼︎」
ホモである俺の無双状態。爛れた大学生活を謳歌し一生分のホモセ◯クスをしたと満足したので無事大学卒業し日本へ帰還。
そして手軽に、より安全に、より早く昏睡レ◯プさせる紅茶を作りたいと志し飲料メーカーへ就職した。
普通にホモビ会社に就職しようと考えたが、そもそもテクノブレイクした原因が高校卒業後ホモビ会社に勤めて男優とイチャイチャしようとしたが未成年という理由で断られた怒りを股間にぶつけたという馬鹿らしい理由だった。
だけど散々ホモセ◯クスをしたので少し冷静になり普通にホモビを見る方が楽しいと考えを改め、股間に捕らわれる事無く仕事先を見つけた。
充実した私生活
やりがいの有る仕事
上司と居酒屋のハシゴする夜
そんな日々を過ごして数年経ったある日、会社から帰宅途中に寄ったコンビニで
「「あっ…」」
伊達メガネにマスクをした白鷺千聖と再会した。
* * *
結局タクヤの本音を聞けたのは高校卒業間近、彼が倒れた時だった。
彼の過去はあの時二人で帰宅する途中で聞いた。
小学校三年生の頃に彼の母親が失踪していた。それから一人で生活していたこと。
それでも彼は悲観することは無かった
「俺が捨てられたのを引きずってたら…また会った時に母さんが後悔するかもしれないから」
そう言って必死に今を楽しむバカでお人好しだった。
でも…
「あらタクヤ。貴方バイオリン弾けたの?」
「おう。右手をより早く上下運動する為、左手は玉袋を揉む為に訓練がてら練習してたら上手くなってた」
でも…
「何で…ちくわでVOODOO KINGDOMが吹けるのかしら(困惑)」
「◯ェラの練習がてら吹いてたら上手くなってた」
せっかく再会した息子がそんな変態に成長してた方が後悔するに決まってるじゃない…。
ああ…そうだ。やっと本音を聞けたのもテクノブレイクで倒れた時だった。イカ臭い部屋で真面目な話をされるこっちの身にもなって欲しい。
情熱を向ける方向を完全に間違えてしまったタクヤだったけれど
「ごめ…んな…しら、さぎ」
「しかも俺…ホモだから…白鷺に…恋や愛…そんな綺麗もの…抱けなかった」
「俺は白鷺に…愛も…恋も…友情も…抱けなかったけど…」
「ただ…有ったのは願い…いや俺の汚い…独り善がり…だけど…笑っていて欲しい。みんなに…出会う前の…周りに向けてた…薄ら笑い…じゃなくて…本心から」
下心無しで純粋に私を想ってくれる優しさが好きだった。
汚い独り善がりでも一緒に居てくれるだけで幸せだった。
見返りを求めない彼が好きだったけど寂しかった。
タクヤがホモになった原因が"初めて拾ったエロ本がゲイ雑誌だったから"と言ってたけど本当は違うんじゃないかと思う時がある。
"また会った時に母さんが後悔するかもしれないから"
本当はもう会えないと諦めている。
愛した女性が母親みたいに消えてしまうって怖がっているんじゃないかって
でも答えは得られない。
何故なら…
「彼のテクノブレイクは深刻な状態です。一時は何とかなりましたが再び手術が必要です。ですけど…」
「ですけど?」
「笑いを堪えられる医者が日本にいません。まぁアメリカに俺は大丈夫と自信満々に答えた猛者がいましたので、そっちに移動すれば助かりますよ」
「良かった…」
「後は成功率0.114%の手術を乗り越えれるだけです。ついでにその医者腕はクソザコナメクジですけど根性は一流なんで安心して下さい」
彼はアメリカから帰って来なかった。
もう彼は居ない。
過去は聞けたけど、本音は聞け無かった。
フィクションでよくある聞かなくても通じ合える関係だと勘違いしていた。
早く本音を聞けば良かった。もっと早く本音を言えば良かった。
過去を振り返ると好きって言ってなかった。
そんな後悔ばかりしてたある日
「「あっ…」」
タクヤと再会した。
後編へ続きます