Digimon/Grand Order 作:LAST ALLIANCE
僕自身はオメガモンをかっこ良くさせるつもりはありません。
ただ皆のイメージのオメガモン(神々しい程に美しく、圧倒的に強い)を再現できるよう、頑張っているだけです。
今回も文字数少なめ(1万字未満)で、第11節:グランドオーダーの特異点解決までの内容が中心となっています。カルデアでの話は次回に回します。
「これが大聖杯……」
「そしてセイバーもいる」
洞窟の一番奥の場所に到着したオメガモン達一行。目の前にあるのが大聖杯。超抜級の魔術炉心。大聖杯はアインツベルンと言う錬金術の大家が制作した。魔術協会に所属しない、
オメガモン達の前にいるのはセイバーのサーヴァント。アーサー王。セイバーオルタ。漆黒の重厚感のある鎧を身に纏い、生気を感じさせない青白い肌をし、金色の髪と瞳をしている少女の姿をしている。膨大な魔力を身に纏っている。
彼女は右手に黒い聖剣を携え、大聖杯を守るようにして立っている。オメガモン、キャスター、マシュの3騎が前に一歩踏み出す。
―――凄まじい魔力だ! 彼女がアーサー王なのか!?
オメガモンは目を細める一方、白兜の中では笑っている。強敵と戦える歓喜なのか。それとも真っ向勝負が出来る相手だからなのか。
伝説とは性別が違うが、何らかの事情があって男装していたのだろう。男性ではないと王様にはなれなかったから。オメガモンの世界におけるアーサー王のように。
「私の世界でもアーサー王は女性で、しかもデジモンに転生して仲間となった。こういう事は私の世界だけなのかと思っていたが、まさかこの世界でもそうだったのか……」
「そうかよ。アンタの世界も面白そうだな。見た目はかよわいが油断するなよ? あれは筋力ではなく、魔力によるパワーの化け物だからな。一撃一撃はすげぇ重い。油断すると上半身ごと吹き飛ばされる」
「面白い。相手が強ければ強い程燃えて来る。奴を倒せばこの特異点の異変も解決されるのだろう?」
「あぁ。後はお前さん達の仕事だ。何が起きるか分からないが、出来る仕事をやんな」
「ほぅ……面白いサーヴァントがいるな。それに神霊の聖騎士もいる」
「何!? テメエ、喋れたのか!? 今までだんまり決め込んだじゃねぇのか!?」
オメガモンとキャスターが話し込む中、セイバーオルタはマシュとオメガモンを見て、面白いと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。
その様子を見たキャスターは驚いた。初めてセイバーオルタが話した所を見た。それに対し、セイバーオルタは肩を竦めながら答える。
「何を語っても見られている。故に案山子に徹していたが、面白い。その宝具と聖騎士は面白い」
「面白いのは貴女もだろう、アーサー王。可愛らしい女性が騎士王だったとは……事実は小説より奇なりと言ったものだ」
「フッ、中々言うではないか。構えるが良い、小娘と聖騎士よ。その力が真実かどうか、この剣で確かめてやろう!」
―――いきなり宝具を解放するつもりか!
「ここは私に任せて下さい! 宝具、展開します……!」
セイバーオルタは右手に握る漆黒の聖剣を両手に持ち直し、下段に構えながら先制攻撃への準備に入った。聖剣から光を飲み込む闇が満ち溢れる。
それを見たマシュが前に進み出る。自らの盾でセイバーオルタの攻撃を防ぎ、道を切り拓こうとしている。彼女は自分の役割が相手の攻撃を防ぎ、味方の攻撃をアシストする事と理解している。サッカーで言うディフェンダー、もしくはゴールキーパー。
「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!『
「『
セイバーオルタが聖剣を振り上げると共に漆黒の奔流が放たれ、マシュが構えている十字架型の盾が光り輝く。それはほぼ同時だった。彼女の盾から光の壁が形成され、セイバーオルタの必殺奥義を防ぎきった。
キャスター以外の5騎のサーヴァントを葬った攻撃。それを防ぎ切った。その事実に立香とオルガマリーが喜ぶ中、オメガモンが動き出す。背中に羽織っているマントを翻し、セイバーオルタに向けて突進を開始する。
ーーーーーーーーーー
「ほぉ、今の一撃を防ぐとはやるものだな。次は貴様だ、聖騎士!」
「なっ!? また宝具を……!」
「まずい! オメガモン、気を付けろ!」
再び黒い聖剣を下段に構え、刀身から光を呑み込む漆黒の闇を放射し始めるセイバーオルタ。それを見たオルガマリーが驚き、立香が声を張り上げる中、オメガモンはウォーグレイモンの頭部を象った手甲からグレイソードを出現させる。
ウォーグレイモンの頭部の目の部分が光り輝くと共に、グレイソードの刀身から太陽の火炎が放出される。触れる物全てを焼き尽くす熱量を持ち、その輝きで相手の目を眩ませる事も可能な太陽の火炎。
「『
「ウオオオオォォォォォォーーー!!!!!」
再び放たれた黒く染まった極光。それに対抗するのは太陽の火炎。オメガモンはグレイソードを左斜め上に斬り上げ、袈裟斬りから灼熱の斬撃を放つ。
同時に放った攻撃が2騎の中心で激突し、せめぎ合いながら大爆発を引き起こす。爆炎と黒煙が巻き起こり、破壊の衝撃波が拡散される中、オメガモンは爆炎と黒煙を隠れ蓑に使い、一瞬でセイバーオルタとの間合いを侵略した。
「何!?」
「ハアアァァァッ!!!!」
オメガモンは刀身から太陽の灼熱を発するグレイソードを以て、勢いと高揚感と共にセイバーオルタに斬りかかる。
突然の奇襲を予測出来ていたが、余りの速さに反応が追い付かなかったのか、セイバーオルタは黒い聖剣でグレイソードを受け止め、聖騎士との斬り合いに突入する。
視認する事が困難な速度。敵の眼を眩ませる太陽の灼熱。その2つの要素を兼ね揃えた灼熱の斬撃によって、セイバーオルタは徐々に防戦一方に追いやられる。
「す、凄い……あのアーサー王を押している!」
「オメガモン、すげぇ……!」
「このまま行けば勝てる……!」
「いやセイバーだって負けちゃいねぇ。ここからだ」
セイバーオルタ相手に優勢に立っているオメガモン。マシュ、立香、オルガマリーは聖騎士の勝利を確信する中、キャスターは一人冷静だった。
彼の言う通りだ。セイバーオルタはここで終わるような相手ではなかった。最優のサーヴァントであり、騎士王なのだから。
「目障りだ!」
「ッ!!」
突如としてセイバーオルタの全身から凄まじい魔力が放出され、聖剣の刀身に漆黒の極光が纏われた。その状態から繰り出された剣閃がグレイソードを弾き飛ばし、オメガモンを後退させる。
突然のパワーアップは彼女のスキルにある。Aランクの魔力放出。武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事で能力を向上させるスキル。いわば魔力に寄るジェット噴射だ。今のセイバーオルタはロケットみたいな物だ。
後退したオメガモンは右手を前に突き出してガシャン、と言う音と共にガルルキャノンを展開する。同時に横にホバー移動を開始する。
洞窟の内部に存在するエネルギー。それを砲身の内部で集束すると共に砲弾の形に圧縮させ、凝縮したエネルギー弾を3発立て続けにセイバーオルタに向けて撃ち込む。
「喰らえ!」
「蹂躙してやろう!」
セイバーオルタは聖剣を薙ぎ払って3発の青いエネルギー弾をかき消し、返す刀でオメガモンに斬り掛かる。漆黒の極光を刀身に纏わせたまま、先制攻撃として放った一撃と同等の威力を持った斬撃を以て。
咄嗟に背中に羽織っているマントで防御してダメージは受けなかったものの、衝撃までは無効に出来なかった。洞窟の壁まで吹き飛ばされ、壁に激突した衝撃を背中に受けながら、地面に倒れ込んでしまう。
「グァッ!!」
『オメガモン(さん)!』
「キャスター!」
「任せとけ!」
優勢に立っていた筈が、瞬く間に劣勢となったオメガモン。心配するように立香が声を張り上げる中、目の前にいるセイバーオルタは再び聖剣を下段に構える。
止めを刺されそうなオメガモンを見て、心配そうな声を上げるマシュとオルガマリー。立香がキャスターに向けて声を上げると、キャスターは手に携えた杖を構えてルーン魔術を詠唱する。
「消えるがいい!」
「ぐああっ!」
騎士王目掛けて放たれる火炎弾。それをセイバーオルタは聖剣の一閃でかき消し、返す刀で聖剣を薙ぎ払い、キャスターを攻撃する。
咄嗟に防御用のルーンを刻んでダメージを受けずに済んだが、それでもキャスターもオメガモンと同様に洞窟の壁まで吹き飛ばされた。これでオメガモン同様、キャスターも少しの間動けなくなった。
「これで残るは小娘だけとなった……マスターの方を片付ければ自然と小娘は終わる」
「私のテイマーに……手を出すな!」
セイバーオルタはマシュと立香を倒そうと黒い聖剣を構えるが、その直前にオメガモンが立ち上がり、一瞬でセイバーオルタの目の前に姿を現した。
同時にグレイソードを大上段から振り下ろし、セイバーオルタの攻撃を中断させる。何が何でも自分のテイマーを守ろうとするオメガモンの意志。それが空色のつぶらな瞳から感じ取る事が出来た。
「足掻くな、聖騎士よ。貴様の敗北は明白だ」
「戦う気力がある限り、負けたとは言わない!」
オメガモンとセイバーオルタの鍔迫り合い。それは聖騎士の方に軍配が上がった。空色のつぶらな瞳を輝かせ、太陽の火炎を発するグレイソードを最後まで振り下ろし、セイバーオルタを吹き飛ばす。
グレイソードを構え直すと共に刀身から発している太陽の火炎を一度消し去り、刀身に自身の生命エネルギーを注ぎ込んだ。グレイソードに刻まれている『オールデリート』のデジモン文字が黄金に輝き、刀身から純白の聖光が発せられる。
「騎士王よ、一つ良い事を教えよう。人間は時として神を超える力を発揮する! その力の一端が私だ!」
オメガモンは純白の輝きを放つグレイソードを構え、セイバーオルタとの間合いを詰めて斬りかかる。純白と漆黒。対照的な輝きを放つ2振りの聖剣がぶつかり合う。
元々オメガモンは平和を望む人々の強い願いと意志によって、ウォーグレイモンとメタルガルルモンが合体して誕生したデジモン。『
「ふざけるな! 貴様のような紛い物が私に勝てると思うな!」
「紛い物? 私は確かに紛い物かもしれない。だが掲げる信念と振るう力は本物だ。世界中の人々の思いと希望を背負う私は、藤丸立香のパートナーデジモンとして、1体の聖騎士として負ける訳には行かない!」
オメガモンに押されているとは言えど、セイバーオルタは強力なサーヴァント。黒い聖剣から闇の極光を放出しながら、聖騎士の繰り出す斬撃を真正面から受け止める。
先程までのオメガモンであれば、セイバーオルタが繰り出す闇の極光を受け止めきれず、吹き飛ばされていただろう。しかし、今のオメガモンは違う。
聖騎士の心に宿る熱い思いが、『
「何だと!?」
「『オメガソード』!!!」
遂にセイバーオルタの間合いを侵略したオメガモン。大上段に掲げたグレイソードを振り下ろし、純白の聖光と共に繰り出した唐竹斬りで漆黒の騎士王を一刀両断した。
特異点の最後の敵。言わばラスボス。セイバーオルタを倒す事に成功し、オメガモンは背中に羽織っているマントを翻し、立香達の所へと戻っていった。
ーーーーーーーーーー
「凄いよ~凄すぎるよオメガモン!」
「まさかあの騎士王を真っ向勝負で倒すなんて……」
「やりましたねオメガモン!」
セイバーオルタとの戦闘後。自分達の所に戻って来たオメガモンを労う立香達。立香はオメガモンの事を褒め称え、オルガマリーは驚き、マシュは喜ぶ。
光の粒子に変わりながら消滅し始めているセイバーオルタ。彼女は自分の所に歩み寄ったキャスターと話をしている。
「フッ、どうやら知らぬ間に私も力が緩んでいたみたいだな。最後の最後で手を止めるとは……聖杯を守り通すつもりだったが、執着にこだわり過ぎて負けてしまった。結局、例えどう運命が変わったとしても、私だけで同じ結末を迎えると言う事だな……」
「何だと? どういう意味だそりゃあ。テメエ、一体何を知っていやがる?
「貴方も何れ分かる、アイルランドの光の御子よ。『
「オイ待て! それはどういう……クソッ! ここで強制送還かよ!?納得いかねぇがしょうがねぇ。後は任せたぜ! もし次があるなら、その時はランサーのクラスで召喚してくれ!」
そう言い残すと、セイバーオルタとキャスターは光の粒子となって消滅していった。騎士王は何やら意味深な言葉を残し、キャスターは次はランサーのクラスで呼ぶように伝言を残した。彼ららしい消滅だったと言える。
セイバーとキャスターは消滅した。不明な点は数多いものの、任務完了となった。セイバーが異常をきたしたのも、冬木市が特異点になったのは水晶体、もとい聖杯が原因だ。それを回収しようとマシュが一歩前に出ようとした時、何者かが水晶体を回収した。
「いや、まさかここまでやるとは思わなかったよ。イレギュラーの介入があったとは言え、計画の想定外であり、私の寛容さの許容外だ。48人目のマスター適性者。全く可能性を感じられないと言って、見逃した私の失態だよ」
「レフ教授!?」
彼の名前はレフ・ライノール。『人理継続保障機関フィニス・カルデア』の顧問を務める魔術師。オルガマリーが口にしていたその人物だ。
穏やかな好青年であり、近未来観測レンズ“シバ”を制作し、カルデアの発展に貢献してきた。その人物が一体何をしに来たのか。マシュが驚く一方、オメガモンは警戒するように目を細める。彼の中に宿る邪悪な『
『レフ!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのかい!?』
「うん?その声はロマニ君かな?君も生き残ったんだな。すぐに管制室に来てくれと言ったのに……私の指示を聞かなかったのか。どいつもこいつも統率の取れてないクズばかりで吐き気が止まらないよ。人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるのかな?」
「ッ! マスター、下がって下さい! あの人は危険です! あれは私達の知っているレフ教授ではありません!」
「あぁ……そのようだな」
「レフ! あぁ、レフ! 生きていたのね! 良かった……貴方がいなくなったら」
レフから発せられる邪悪な『
しかし、オルガマリーは違った。協力者であり、全幅の信頼を置く相手たるレフが来た事に喜び、彼に駆け寄ろうとするが、それをオメガモンが制止した。
「駄目だ所長! 彼に近付いてはいけない!」
「オメガモン!? どうして……」
「彼はもう貴女が知っている人間ではない……邪悪な存在に成り果てた、いや元から邪悪な存在だった魔術師だ!」
「オルガ、君も生きていたのか。爆弾は君の足元に設置していたのに、まさか生きてたなんて……」
「爆弾!? まさか所長は……!」
「そうだよ。君の気付いた通りだよ……彼女は死んでいる。肉体はね。この場所に転移したのは彼女の残留思念と言う事になる」
オルガマリーがレイシフトの適性が無いのに、マスター適性が無いにも関わらず、特異点レイシフトする事が出来た理由。それは彼女が肉体がない残留思念だから。肉体は既に死んでいるが、精神はまだ死んでいない。
これはレフ・ライノールの仕業。事前に管制室の、オルガマリーの足元に爆弾を設置して爆破し、管制室を破壊しただけでなく、47人のマスター適性者やカルデアの職員、そしてオルガマリーを殺した。
皮肉にも、死んだ事で初めて心から望んだ物を手に入れた事となったオルガマリー。カルデアに戻ったら間違いなく死亡する。カルデアに戻った瞬間に意識が消滅するからだ。
「お前だったのか……カルデアを爆破し、多くの人々を手にかけたのも!!」
「その通りだ。最後に今のカルデアが一体どうなっているのか、それをお見せしよう……そして絶望と共に死ぬが良い」
立香の怒りを平然と受け流し、レフが見せたのは今のカルデアの状況。カルデアスが真っ赤に燃えている。まるで太陽のように。そこには人類の未来を示している青色はない。
そしてレフが右手の人差し指をオルガマリーが向けた瞬間、突如として彼女の身体が宙に浮かび上がり、カルデアスに取り込まれてしまう。
超密度の情報体。次元が異なる領域。魔術師とは言えど、只の人間に過ぎない彼女が取り込まれたら一体何がどうなるのか。それを予測する事が出来たオメガモンは素早く動き出した。レフを確実に抹殺し、オルガマリーを助ける為に。
「絶望と共に消え去るのはお前だ、レフ・ライノール!」
「何!? グアアアアアァァァァァァァァッ!!!!!」
「今のは奥義ではない。ただの剣圧だ。お前が瀕死においやったマスター適性者と、命を落としたカルデアの職員の分の落とし前を付けさせてもらったぞ」
オメガモンは即座にグレイソードを出現させ、大上段から振り下ろして青白い刃の形をしたエネルギー波を飛ばした。レフは咄嗟に右手を前に突き出して魔術防壁を作り出すが、世界を滅ぼせる聖騎士の力には無意味だった。
魔術防壁は一瞬でかき消され、青白い刃のエネルギー波によって右腕を切断された。肩から大量の血が流れると共に激痛に顔が歪み、苦痛に満ちた叫び声を辺り一面に響かせる。
その時にレフの左手から水晶体が手放されたが、それを見たマシュが素早く駆け抜けて水晶体をキャッチし、マスターの所に戻る。
その隙にオメガモンはカルデアスに飛び込み、オルガマリーを助けに向かう。太陽、ブラックホールと同様の領域。人間が触れれば分解されるが、オメガモンは人間ではない。デジモンだ。全身に伝わる激痛を物ともせず、オルガマリーの右手を掴む。
「オメガモン!?」
「助けに来たぞ! 必ず助けるからもう少し耐えてくれ!」
「何!? カルデアスに飛び込んだ!? だ、だがこのままだとお前も分解されるぞ!!」
「分解? ハッ、笑わせるな! 私を本当に分解させたくば、本物のブラックホールと太陽を持ってこい!」
レフの言葉を笑い飛ばしながら、オメガモンはオルガマリーの右手を掴んでカルデアスから助けようとする。
しかし、オルガマリーはオメガモンに自分を捨てるように言った。聖騎士と言う存在の大きさと大切さを理解しているから。
「私の事は良いから貴方は生きて! 立香君とマシュの為に、人類の為に、この世界の為に!」
「断る! 言った筈だ……私は生前全てを失った。当たり前の日常も、歩むべき人生も、そして自分の命も! だから誰かが悲しんだり、大切な物を失ったりするのを見たくない!」
オメガモンの真剣な瞳と共に言われた言葉。それを受けたオルガマリーの心に一筋の光が灯った。心から信頼していた人に裏切られても、カルデアスの内部に取り込まれても、目の前の聖騎士は自分を助けようと、命を投げ出そうとしている。
生前に失った物を二度と取りこぼさないよう、自分と同じ思いをする者が出ないようにする為に。聖騎士は自分を助けに来た。
それに比べて自分はどうなのか。誰にも褒められていない。認められていない。何もしていない。それにも関わらず、助けようとしている聖騎士がいる。その事実が彼女の心を勇気づけ、オメガモンの右手を掴む力を授けてくれた。
「ハアアアアアァァァァァァァァッ!!!!!」
オメガモンは『
カルデアスは“高密度霊子の集合体”であり、オルガマリーは残留思念の状態となっている。肉体は滅んでいるが、精神は滅んでいない。
それを利用してオルガマリーの精神のデータを解析し、自身の生命エネルギーとカルデアスが持つ膨大なエネルギーを使い、彼女の肉体の再構築を始める。
生前は八神一真と言う人間であり、オメガモンと言うデジモンだった。この特性を利用し、デジモンの姿から人間の姿に戻る過程を応用し、オルガマリーの肉体の再構築に成功した。
「所長!」
「オルガマリー所長!?」
「大丈夫。カルデアスの力を利用し、私の生命エネルギーと共に所長の身体を再構築させ、魂を定着させた。今は疲れて眠っているだけだ」
「す、凄い……!」
「やっぱ凄ぇやオメガモン……!」
カルデアスから飛び出し、地面に危なげなく着地したオメガモン。彼の左手にはオルガマリーが眠っている。マシュと立香が駆け寄り、オルガマリーの無事を喜ぶと共に、オメガモンが成し遂げた奇跡を喜び合う。
オルガマリーが欲しがっていた物。それは理解者だった。彼女に生命エネルギーを分け与えている時、偶然オメガモンは彼女の歩んだ人生を見てしまった。自分が理解者になろうと思いながら、レフと対峙する。
ーーーーーーーーーー
「私はレフ・ライノール・フラウロス。お前達人類を処理する為に派遣された。お前は何者だ?」
「フラウロス……ソロモン七十二柱の魔神の一体か。私はオメガモン。デジタルワールドを守る聖騎士だ」
「何!? オメガモン……オメガモンだと!? まさかあの方が最も恐れているデジモンが来たと言うのか!?」
「(あの方……誰だ? 私の名前を知って動揺した所を見ると、恐らく同じデジモンだろう。それこそ『七大魔王』か?)お前の主の所に戻ったら、そこにいるであろうデジモンに伝えておけ。“お前が一番恐れている聖騎士が来た。腹を括れ”と。これは私、オメガモンからの宣戦布告だ!」
「おのれ……お前がいなければ全ては順調に進んでいた所を!」
「フン。残念だったな。お前の主と思われるデジモンが来た時点で、私の介入は決まっていたような物だ。私を倒したくば、お前の主であろう魔王型デジモンを連れて来い。それこそ世界を単独で滅ぼせる力を持った魔王を。所長の思いを踏み躙り、カルデアの人々の命を奪ったお前を絶対に許しはしない」
オメガモンによって右腕を一刀両断され、目的の結晶を奪われたレフ・ライノール・フラウロス。オルガマリーを消滅させようとしたものの、オメガモンに妨害され、肉体を再生されてしまった。最早踏んだり蹴ったりである。
凄まじい怒りと憎しみで顔を歪ませるが、聖騎士の名前を知った途端に動揺した。それを見たオメガモンは自分がこの世界に転生された理由を薄々感じ取った。黒幕は恐らく『七大魔王』で、対抗する為に自分が呼ばれた。そう解釈した。
レフが姿を消し去ると同時に大空洞が音を立てながら崩れ始めた。地響きが鳴り響き、天井から破片が降り注ぐ。
空間が安定しない。ロマニがレイシフトを開始させるが、それが間に合うかどうかさえも分からない。そうなるとやる事は決まっている。
「皆、私の所に集まれ!」
大空洞が崩壊している中、オメガモンはマシュ、立香、オルガマリーを背中に羽織っているマントで覆い包みながら、右手から蒼く煌めく絶対零度の冷気を発すると、地面に打ち付けて自分達の周りに絶対零度の氷壁を展開した。
全てを瞬間凍結される絶対零度の冷気。それで自分達を覆い包み、氷結世界を作り上げる事で空間を安定させ、レイシフトしやすいようにする。そのオメガモンの考えは成功し、彼らは無事にレイシフトに成功した。
LAST ALLIANCEです。
後書きとして、本編の裏話を話していきます。
・オメガモンVSセイバーオルタ
セイバーとオメガモンの戦闘は互角でしたが、セイバーのエクスカリバーは”神霊レベルの魔術行使を可能とする”とあったのと、ラスボスという事もあって強めに設定しました。
・紛い物と本物
このオメガモンは本物かと聞かれたら、恐らく偽物だと思います。中身の話では。
ですが信念と力は本物です。ジーク君がなったジークフリートみたいな感じです。
・聖騎士の行動理念
本編でこれからもくどい程出ますがこれが真実です。
二度と自分のような思いをする人が生まれない為に、オメガモンは戦い続けるのです。
・所長復活!
本編では序章で亡くなりましたが、ここでは生存しました。
やり方はオメガモンの生命エネルギーの付与と肉体の再構築。
生前の自分の特性を応用させました。人間であり、デジモンだった頃の。
・黒幕のデジモンは?
本編でも言及しましたが、『七大魔王』の誰かです。
出来ればゲーディアが持つ大罪に関係している魔王にしたいです。
以上になります。
皆さん。よろしければ感想・評価・お気に入り登録の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメント、作品の質を向上させるようなアドバイスや、モチベーションが上がるような応援メッセージや高評価を頂くと、作者のやる気が究極進化します。それが執筆意欲に繋がります。
それでは次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!
次回予告
カルデアに帰還したオメガモン達一行。
ロマニとオルガマリーから告げられる事実に立香はある決断を下す。
そして待ちに待った英霊召喚。果たして誰が現れるのか?
第5話 聖杯探索の開始