Digimon/Grand Order 作:LAST ALLIANCE
今回は第7節から第8節までになりますが、本来は登場しない”あのサーヴァント”が登場します。さて一体何トリアなんだ!?
次の日。リヨンの情報を集めようとオメガモンは一度地面に降り立ち、マリーとエミヤが街の人々に聞き込みを行った結果、様々な事が分かった。
目的地たるリヨンは少し前に滅ぼされた。自分達が今いる街は、リヨンから逃げて来た難民が住み着いている。今のリヨンには地獄から来たような化け物がいるとの事。
それまでリヨンでは大剣を持った騎士がワイバーンや骸骨兵を蹴散らしていたが、複数のサーヴァントとの戦闘の末に行方不明になった。
そのリヨンに到着したオメガモン達が目にしたのは、かつて美しい街だったリヨンと徘徊するリビングデッド。生きる屍。
街の住民の変わり果てた姿に心を痛めつつ、このような外道な行いをした“竜の魔女”への怒りを燃やしながら、オメガモン、アルトリア、エミヤの3人はリビングデッド達を斬り伏せていった。
「これで終わったかな?」
「否、それはまだだ。私はファントム・オブ・ジ・オペラ。“竜の魔女”の命により、この街を私の絶対的な支配下に置きに来た」
リビングデッドの掃討を終えたのを確認した立香が一息付くと、彼の目の前に1騎のサーヴァントが現れた。呪わしい異形の顔を、髑髏仮面で隠した怪人。
明らかに敵としか思えないサーヴァント。オメガモン達が立香達を守るように前に進み出たのに合わせ、ファントム・オブ・ジ・オペラが名乗りを上げる。
ファントム・オブ・ジ・オペラ。19世紀を舞台とした小説『オペラ座の怪人』に登場した怪人。或いはそのモデルとなった人物。
「そうはさせるか! アルトリアさん、エミヤさん! 頼みます!」
「死力を尽くしてくるがいい!」
「期待に答えるとしよう」
「歌え……歌え我が天使。『
「目には目を。歯には歯を。音楽には音楽だ! 聴くがいい! 魔の響きを! 『
立香の言葉に応じて、アルトリアは不可視の聖剣を、エミヤは両手に握る干将・莫邪を構える一方、ファントムは宝具を発動させる。
ファントムの隣に出現したパイプオルガンに似たような形をした巨大演奏装置。それは彼が殺した人々の死骸を組み合わせて作り上げた物。異形の発声器官から放たれる自分の歌声と併せて演奏し、立香達に不可視の魔力攻撃を放射する。
ファントムの宝具に対抗するのはモーツァルト。彼が指揮棒を振りながら演奏するのはもちろん宝具。死の直前、死神に葬送曲の作成を依頼されたという伝説に由来される魔曲。
魔曲が不可視の魔力攻撃の威力と勢いを抑え込む中、オメガモンはメタルガルルモンの頭部を象った右手の手甲からガルルキャノンを展開し、照準をファントムに合わせながらエネルギーの集束を始める。
「これで終わりだ!」
「二度……二度、と……」
撃ち出された青いエネルギー弾が直撃し、内包されていた生命エネルギーが炸裂。青いエネルギーに呑み込まれながら、ファントムは光の粒子に変わりながら消滅していった。
戦闘が終わって一息つき、オメガモンがガルルキャノンを戻したのと同時に、立香が着ている制服の内ポケットから電子音が鳴り響く。その電子音は通信装置の物だ。
『やっと繋がった! サーヴァントを上回る超巨大の生命反応を探知した! これは……竜種だ!』
『皆逃げて! 凄い速度で迫って来てるから! しかもサーヴァントが3騎いるわ!』
立香が通信に出ると、ロマニとオルガマリーが立香達に逃げるように告げる。サーヴァントを上回る超巨大の生命反応と、3騎のサーヴァントが迫って来ているからだ。
どうすれば良いのか。逃げろと言われても時間がない。何処に逃げれば良いのか分からない。何処にも逃げ場はない。
しかも相手は竜種。ドラゴンこと西洋の竜であり、竜を模した魔獣。幻想種と同様に“魔獣”、“幻獣”、“神獣”の全ランクに存在し、その中で最優良種と謳われる幻想種の頂点。
「私が竜の相手を務める。その間に皆は“竜殺し《ドラゴンスレイヤー》”を探すんだ。この街にあるお城から微かではあるものの、サーヴァントの反応を感じる。そこに“竜殺し《ドラゴンスレイヤー》”がいるはずだ」
『ッ!?』
オメガモンの提案に誰もが驚愕し、目を丸くした。無茶としか言いようがない。相手は竜種だ。幾ら聖騎士が規格外だとしても、単体で挑むのは自殺行為だからだ。
しかし、オメガモンは倒すとは言っていない。時間稼ぎをすると言っている。本人は倒せる上に倒す気でいるが、流石に空気を読んで足止めに徹するつもりなのだろう。
既に覚悟は決まっている。竜殺しは自分の仕事ではない。竜殺しはそのサーヴァントの仕事。だが足止めくらいなら許される。デジモンたる自分なら。オメガモンとなった自分なら出来る。やれる。大丈夫。その自信があった。
「頼む。そこに行ってサーヴァントを探して欲しい。ここは私に任せろ。皆は皆にしか出来ない仕事を果たせ」
「分かった……オメガモン、俺は君を信じる!」
「先輩!?」
「ここはオメガモンに任せよう。誰が何を言おうと、俺はオメガモンを信じる! オメガモンが時間を稼いでいる間に、俺達で“竜殺し《ドラゴンスレイヤー》”を探すんだ! それがマルタさんの、オメガモンの思いだ!」
「私も同意見だ。オメガモンなら必ずやってくれると信じている!」
「頼みましたよ、オメガモン!」
オメガモンが言った場所に向けて走り出す立香達。彼らを見送り、オメガモンは敵が来るであろう方向に視線を向ける。
何があっても皆を死なせない。理不尽な死は許さない。自分は2度死んだ。ディアボロモンに殺され、オメガモンとして復活した後は人間としての死を迎えた。
だから誰にも死んで欲しくない。皆が生きて共に笑い合うその日まで、自分は世界の守護神で在り続ける。そして運命と戦う。戦えない全ての人々の為に。
「誰がいるのかと思えば、この前の聖騎士1人だけですか」
「1人? 違うな。私は1体だ。だが1体に在らず。1体と1人だ!」
「何を言うかと思えば訳の分からない事を……滅びなさい!」
「滅ぶのはお前の方だ! 邪竜もろとも滅ぼしてやろう!」
オメガモンの言った1体と1人。1体は自分であり、1人は八神一真の事だ。彼はオメガモンと一体化する事で命を救われたが、戦いの中でオメガモンの能力を限界まで引き出した代償に、人間として完全に死んでしまった。肉体だけでなく、精神までも。
転生したオメガモンは人間の姿になる事が出来る。その姿は八神一真を模しているが、かつての自分を忘れてはいない。その聖騎士と邪竜の戦いが始まった。
ーーーーーーーーーー
「焼き尽くせ、ファブニール!」
「ウオオオオォォォォォォーーー!!!!!」
竜種―ファブニールの口に灼熱の火炎が見えた。膨大な熱量が周囲一帯を覆い尽くすと共に、ジャンヌ・オルタの命令と共に放たれる。全てを焼き尽くす。竜のブレス。
それに対し、オメガモンはファブニールと同じ大きさに巨大化した。そしてウォーグレイモンの頭部を象った左手の手甲からグレイソードを出現し、横薙ぎに構えると共に一閃する。聖なる剣閃によって、ファブニールのブレスは瞬く間に四散された。
「嘘……でしょう……ファブニールの炎を……腕の一振りでかき消した!?」
「私の番……と言いたいがどうやら間に合ったようだな。真打ちの登場だ」
「久しぶりだな、ファヴニール。二度蘇ったのなら、二度滅ぼすまでだ!」
「ファブニールが怯えている!? あのサーヴァント、まさか……!」
「蒼天の空に聞け! 我が真名はジークフリート! お前をかつて打ち倒した者だ!」
オメガモンの隣に並び立ったのは1騎のサーヴァント。灰色長髪の端整な顔立ちで、胸元と背中が大きく開いた鎧に身を包んだ長身の青年。
ファブニールがそのサーヴァントを見て怯えるのも無理もない。彼の真名はジークフリート。“ニーベルンゲンの歌”に謳われる英雄。ネーデルランドの王子であり、邪竜ファヴニールを打ち倒した伝説持ち。
ジークフリートは凄まじい魔力が発せられる大剣を大上段に掲げ、ファブニールに向けて振り下ろす。宝具が開帳され、伝説がここに再現されようとしている。
「行くぞ! 『
「クッ……ファブニール、躱しなさい!」
(凄い……!)
ジークフリートが振り下ろしたバルムンク。その大剣から放たれたのは半円状に拡散する黄昏の剣気。目にしたオメガモンですら驚く威力を内包しているが、ファブニールはそれを上空に跳び上がる事で躱した。
そのまま飛び去っていくファブニール。何とか退ける事に成功した事を確認すると、ジークフリートはその場に崩れ落ちた。
「……! 済まない。これが限界だ。奴が戻って来ない間に逃げてくれ」
「今の内に撤退しましょう、皆さん!」
ジャンヌの言葉に全員が頷くと、オメガモンは巨大化してジークフリートを含めた全員を乗せ、その場から飛び立った。
同じ頃、ジャンヌ・オルタはファブニールに乗ってオルレアンに戻っている。その内心では考え事をしている。これからの戦略の事を。
先の事を考えると、ファブニールを酷使する訳には行かない。天敵となるジークフリートと、それ以上の力を持つオメガモンがいるのだから。しかし、ジャンヌ・オルタは不敵な笑みを浮かべている。自分にはファブニールを超える切り札、皇帝竜がいる。
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「ファブニールのような巨大な反応ではないが、サーヴァントの反応を2騎確認!」
追って来るワイバーンやゾンビの軍勢をガルルキャノンから撃ち出す砲撃で、悉く粉砕していくオメガモン。彼がサーヴァントの反応を察知すると、前方に2騎のサーヴァントが現れた。バーサーカーとアサシン。
バーサーカーは黒甲冑を身にまとった騎士。アサシンは黒の外套を纏った青年。立香達はオメガモンから降りると、2騎のサーヴァントと戦う為に身構える。
「Aurrrrrrrr!!!!」
(何だこのサーヴァント……気配が読めない!)
「野郎……!」
「まぁ、何て奇遇なんでしょう。貴方の顔は忘れた事はないわ、気怠い職人さん?」
オメガモンが何度も目を凝らしてみても、バーサーカーの漆黒の甲冑は常にぼやけ、時には霞み、二重三重にぶれて見える。幻覚なのだろうか。視覚だけでなく、能力にまで影響を及ぼしている。バーサーカーは自らの素性を悟らせない何かを持っている。恐らくは彼の固有スキルだろう。
一方、アサシンと相対したモーツァルトは表情に苛立ちを浮かべ、マリーは笑顔を浮かべる。どうやら顔見知りのようだ。
「それは嬉しいな。僕も忘れた事など無かったからね。懐かしいお方。白雪の如き白いうなじの君。そして同時に、またこうなった事に運命を感じている。やはり僕と貴女は、特別な運命で結ばれている、と。そうだろう? 処刑人として一人の人間を二度も殺すなんて、絶対に有り得ないと思うんだ。」
「生前のみならず、今回もマリアを処刑するつもりか……シャルル=アンリ・サンソン。どうやら本気でいかれてたって事か」
モーツァルトが見抜いたバーサーク・アサシンの真名。それはシャルル=アンリ・サンソン。パリにおいて死刑執行を務めたサンソン家四代目の当主。彼は四代目にあたる。
暮らし向きは貴族並みに優雅で極めて豊かだったが、その職業故に蔑まれることも多々あり、若きシャルルは苦悩していたという。
国王と王妃を敬愛し、彼らが治める国民をこよなく慈しんでいた。処刑することによって培った最先端の医療技術を、貧しい人々に無償で提供することも行ったという。その為、彼の副業は医者だった。
フランス革命が起きた時も処刑者としての仕事を押しつけられた彼は、やがて最愛のフランス国王ルイ十六世と、その妃マリー・アントワネットの処刑に立ち会うこととなる。だからマリーの事を知っている。処刑に立ち会ったのだから。
「人間として最低品位の男に、男女の関係を語られるのは不愉快だね。アマデウス。君は人間と言う生き物を汚物だと言った。僕は違う。人間は聖なる物で、尊い物だと考えている。だからこそ、処刑人は命に敬意を払う。僕とお前は相容れない」
「クッ……!」
「セイバー!」
「ありがとうございます、シロウ」
サンソンとモーツァルトが睨み合う中、バーサーカーとアルトリアは斬り合いを行っている。バーサーカーは手にしている木の枝で何度も斬り掛かり、アルトリアを防戦一方に追いやっている。
そこにエミヤの援護が入る。手にした双剣で木の枝を受け止め、返す刀で斬り掛かると、バーサーカーはバックステップで後退する。
今はオメガモンがワイバーンの軍勢を掃討し、ジャンヌがフランス軍を援護し、マリーとモーツァルトがサンソンと、アルトリアとエミヤがバーサーカーと戦っている。
「守っている相手に散々な言われようですね、聖女様。彼らが呑気に見物出来ているのは、ワイバーン達を貴女と聖騎士が引き付けているのに」
「貴女は……!」
そこに現れたのは茨を思わせるドレスを纏い、仮面をつけた淑女。バーサーク・アサシンのカーミラ。ジャンヌを嘲笑いに来たようだ。
敵サーヴァントの襲来に表情を険しくさせるジャンヌだったが、この時から戦いの様子が変わった。オメガモンが単独で相手をしたワイバーンの軍勢を、フランス軍も掃討し始めた。要はオメガモンの援護を始めた事となる。
「Aurrrrrthrrrrr!!」
「その様子だと私を知っているみたいですね……拾った物や武器で敵を退け、変装が上手な騎士は貴方しかいません。ランスロット卿、貴方はまたバーサーカーで召喚されましたか」
「ランスロット卿!? 彼がバーサーカーで!? しかもまたって……!?」
アルトリアの言葉に答えるように、バーサーカーの黒い靄状の魔力が消え失せ、漆黒の甲冑の細部をアルトリアに見せていく。
そして鞘込めのまま持っている黒い剣の柄に手をかけ、ゆっくりと引き抜く。それがバーサーカー、もといランスロットの宝具。『無毀なる湖光(アロンダイト)』。絶対に刃が毀れることのない名剣。
立香が驚愕するのも無理はない。本来であれば、ランスロット卿はセイバーやライダーといったクラスで召喚されるべきだ。しかし、ギネヴィアを巡る葛藤で狂気に陥った事が多々あるので、バーサーカーのクラス適正は妥当としか言えない。
ランスロット。円卓の騎士の中でも最強と謳われた“湖の騎士”。しかし、王妃ギネヴィアとの不倫の恋がキャメロットを破滅にまで導いてしまった。まさしくアーサー王伝説の負の象徴たる人物。“裏切りの騎士”という烙印を押された。
「アルトリアさん……かつての仲間と戦いにくいなら遠慮しないで下さい」
「セイバー。マスターの言う通りだが、君は昔の私と出会って大切な事を教えられたのだろう? 迷う事はない。俺が援護する」
「シロウ……分かりました。私は自分の思いを正直に伝えようと思います」
かつて、アルトリアは別の時間軸でバーサーカーとなったランスロット卿と戦った事がある。『第四次聖杯戦争』の時の話だ。
当時は色々な事があって答えを見出せず、ランスロット卿を倒す事しか出来なかった。しかし、『第五次聖杯戦争』で衛宮士郎と出会い、答えを見つけて今に至る。大切な人と出会えたから今の自分がいる。
「ランスロット卿、私は貴方を許します。かつての私は優しすぎた。過ちを犯した家臣を罰することが出来なかった……本当に裁きを受けるのは私でしたから。でも私は貴方を罰します。それは貴方が同じ理想を抱き、それを叶えられなかった事に対する弱さではない。バーサーカーとなって現実から目を背け、狂い続ける事しか出来ない貴方を罰します」
「アルトリアさん……」
「私のせいでこれ以上誰かを苦しませたくありません。ランスロット卿、本気で来なさい。円卓最強と謳われたその力……見せてもらおう!」
アーサー王とランスロット卿の剣戟が始まった。先制したのはランスロット卿。アルトリアとの間合いを詰め、下段に構えたアロンダイトを勢いよく振り上げる。
それを大上段から振り下ろしたエクスカリバーで受け止めると、地面が粉砕され、轟音が巻き起こり、衝撃波が拡散されていく。
横薙ぎに振るわれたアロンダイト。それを左下から振り上げるエクスカリバーで弾き、返す刀で斬り掛かるが、ランスロットはそれをアロンダイトで弾き返す。
(あぁ、そういう事だったのですか。戦う事でしか語り合えない事もある……そういう事もあるのですね)
アルトリアはそう思いながら大上段からエクスカリバーを振り下ろすと共に、魔力放出を上乗せしてアロンダイトを弾き飛ばし、返す刀で黄金の聖剣を一閃する。
その斬撃がランスロットの漆黒の甲冑を斬り裂き、致命傷となった。光の粒子に変わりながら消滅を始めるランスロット。彼はアルトリアに向けて手を伸ばす。
「王よ、私は……」
「ランスロット、私は貴方を許します」
アルトリアは微笑みながらランスロットに言葉を送ると、ランスロットは一筋の涙を流して静かに消滅していった。
味方のサーヴァントが1騎消滅した。その事実に歯噛みしながら、カーミラはサンソンと共に生き残っているワイバーンに乗って撤退していった。
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放棄された砦に到着し、一休みする事となったオメガモン達。ジークフリートの傷は思っていたよりも深刻で、傷と言うより呪いに近いレベルだった。
ジークフリートの話によると、彼は比較的早い段階で召喚されていた。マスターもいなくて放浪していた時、リヨンが襲われているのを見て、助けに行った。しかし、複数のサーヴァント相手はきつかった。
その中の1騎―マルタがお城に匿ってくれた。傷は治らず、誰かに助けを求める事も出来なかった。その傷は相当高位の洗礼詠唱でないと、解呪出来そうになかった。ジャンヌ単独では解呪出来ない程だ。
「ジークフリートには複数の呪いが掛けられています。複数の呪いを一気に解呪するには、聖人が後1人必要です」
「聖人がもう1人必要か……でも聖人がそう簡単に召喚されているのかな?」
「可能性はあるな……確かジャンヌ・オルタが聖杯を持っているのならば、抑止力として聖人が召喚されている可能性はある。探してみても良いと思うのだが……」
「ならば探すしかないか……」
砦での一休みを終えると、オメガモンは再び飛行を始める。もう1人の聖人がいないと、ジークフリートにかけられた呪いを解呪する事が出来ない。
オメガモンが聖人がいるであろう場所を探知しながら飛行していると、難しい顔をしているジャンヌが話し掛けて来た。
「オメガモン。私は生まれてから神の啓示を受けて走り出し、後ろを振り返る事なく進んできました。死して英霊となり、ルーラーとして召喚されました。その事は当然のように受け止めていますが、“竜の魔女”と言う言葉には何一つ身に覚えがありません。彼女は一体何者ですか?」
「……私にも分からない。私は未来を視る事は出来るが、それは戦闘限定。しかも能力を発動しないと視る事が出来ない。だが考えられるとしたら、何者かが聖杯を使って造った偽物。君が亡くなってまだそんなに経っておらず、百年戦争も終結していない今、君の死を受け入れたくない何者かによって造られたとしたら……?」
「成る程。でもその人物は一体?」
「それが分からないのだよ……」
オメガモンとジャンヌが話をしているのと同じ頃、彼らはティーエルと言う街に到着しようとしている。刃物の街の様子を見るに、まだ崩壊している訳ではない。
この街に2騎のサーヴァントがいる事を聞いて接触を図ろうとしたが、突如として街から炎が上がった。嫌な予感がする。嫌な予感しかしない。それでも行ってみよう。そう思った立香達はティエールの中心部に入った。
「……何これ?」
「出来れば無視したいのだが、そうはいかないか……」
「このっ! この、この、このっ! ナマイキなのよ! 極東のド田舎リスが!」
「うふふふふ。生意気なのはさて、どちらでしょう。出来損ないが真の竜であるこの私に勝てるとお思いで? エリザベートさん?」
オメガモン達が目にしたのは2騎のサーヴァントの戦闘。頭部には角が2本、お尻には先が割れた竜の尾のような物があるフリフリの衣装に身を包んだ美少女。緑髪の幼い白拍子風の格好に竜の角が生えた少女。
初めて見るサーヴァントで、2騎共に美少女。一体何があったのか。少しの間見守る事にしたが、その内容は思っていたより低レベルだった。
「うーーっ!ムカつくったらありゃしないわ!カーミラの前にまずはアンタを血祭りにしてあげる!この泥沼ストーカー!」
「ストーカーではありません。“隠密的にすら見える献身的な後方警備”です。この清姫、愛に生きる女です故」
「アンタの愛は人権侵害なのよ!」
「血液拷問フェチのド変態に言われたくありませんね!」
「良い加減にしろ!!」
エリザベートと清姫。2騎のサーヴァントによる苛烈な戦闘と言い争いを止めたのは、意外にも立香の大声だった。
突如として聞こえて来た大声にエリザベートと清姫が手を止めて立香の方を見ると、立香は全身からオーラのような物を出しながら2騎に歩み寄る。
「シロウ……マスターからオメガモンのようなオーラが視えます!」
「何時の間に出来るようになったんだ?」
「私に影響されたみたいだな……良い事だ」
「済まない。俺には良い事のようには思えないのだが」
「2人共、そこに正座!」
立香の全身から放たれているのはオメガモンを模したオーラ。強大なパートナーデジモンと一緒に居たからか、或いは元々の才能なのか。それは分からないが、オメガモン張りの貫禄と威厳を以て、立香はエリザベートと清姫に向けて声を張り上げる。
目の前にいるのは一般人。普通ならば瞬殺出来る筈の相手が物凄く怖く見える。2騎のサーヴァントは言葉に従い、おとなしく正座をする。
「さっきから聞いていればうるさいなもう……君達はサーヴァントなんだろう? 子供みたいな低レベルな喧嘩して恥ずかしくないのか? それに街中で喧嘩をするな! 町の人々に迷惑をかけるな!」
『すみませんでした……』
「分かればよろしい。話は変わるけど、一つ聞きたい事がある。俺達は事情があって聖人を探しているんだけど、何か知っている事はない?」
「聖人? この国に広く根付いた教えの聖人ならば、一人心当たりがあります。ゲオルギウスと言いますが、こちらでは有名な聖人だと聞いています。残念ですが、西側に向かいました。エリザベートに出会う前に会った事があります」
「情報ありがとう。西側か……思っていたより遠くはないな。実は俺達は“竜の魔女”を成敗しようと味方を集めてオルレアンに向かっている。味方は少しでも多い方が良いと思うけど、もし味方に加わってくれれば今回の件は帳消しにする。どうする?」
ゲオルギウス。聖ゲオルギウス。聖ジョージとして名高き聖人。聖剣アスカロンを持ち、ドラゴンを退治した逸話が有名。そのゲオルギウスがいれば、ジークフリートにかけられた複数の呪いは解呪される事間違いなしだ。
立香はエリザベートと清姫に提案をして彼女達を仲間に加えてオメガモンに乗り、ゲオルギウスがいるであろう西側にある街に向かった。そこでゲオルギウスに会って話をした所、快く了承してくれた。
彼らがいる街はジャンヌ・オルタとファブニールに一度襲撃されたが、ゲオルギウスのおかげで何とか凌ぐ事が出来た。街の人間はたった今避難完了した所だ。タイミングはちょうど良かった。
「ッ……! まずい! ジャンヌ・オルタとファブニールが近付いている! 街の外側で迎え撃つ!」
オメガモンがジャンヌ・オルタとファブニールが近付いている事を告げると、ゲオルギウスとジャンヌにジークフリートの呪いの解呪を任せ、残りの面々と共に街の外側にある広大な草原に向かった。
これで街への被害を気にする事なく、思う存分戦う事が出来る。ジャンヌ・オルタとファブニールへの迎撃準備をしていると、マリーの目の前に、サンソンが姿を現した。
「サンソン、やっぱり来たのね」
「来たとも。処刑にはする側も、される側にも資格がある。君を処刑できるのは僕だけだ。君も実感しているだろう?」
「え~と、ちょっと待ってね、サンソン。貴方が素晴らしい処刑人である事は知っているわ。確かに残忍で冷酷で非人間だけど、貴方は決して罪人を蔑まなかった。深い敬意を持ってギロチンの番人をしていた貴方を、私は確かに信頼しています。でも貴方が私を処刑出来る資格があるのはおかしな話じゃないかしら?」
「おかしくないとも。僕は処刑人の家に生まれ、処刑の事だけを教え込まれた。それは妥協や心構えの話……何より殺し方に拘った。処刑の技量だよ。良い処刑人は罪人に苦しみを与えない。それは当然だけど、僕はその先を目指した」
サンソンの生前を知っているマリーは彼の変貌に戸惑っていた。バーサーク・サーヴァントとして召喚されて思考が歪められていたのを含めても、彼女にかなり過激なアプローチをしている。これは弁解できない。
生前に最も敬愛していたマリーに対してだけ感情を爆発させてしまう事もあるが、最早これは救いようがない。
「快楽だよ。死ぬほど気持ち良いと思える快楽。僕はそんな斬首を心掛け、生涯最高の一振りが君に向けた斬首だった。だからこれは運命だ。どうしても君に会って尋ねたかった。僕の断頭はどうだった?」
「貴方が本気で私に敬意を表しているのは分かったわ、サンソン。でもごめんなさい。二度度目の口付けは受けられないわ」
「うん、知ってる。だから、次はもっと上手くやれる。だからこそサーヴァントとして召喚された。君にもう一度、最後の恍惚を与えよう!」
「止めろ!」
サンソンは罪人を断ち、また救うその刃を抜き放ち、マリーに斬り掛かる。それをオメガモンが制止しようと駆け出す。
目の前で大切な仲間が失われようとしている。自分の命より仲間を重んじるオメガモンらしい行動だったが、彼の心配は杞憂に終わった。何故ならサンソンの刃はマリーによって弾かれたからだ。
「そんな馬鹿な!? 僕が打ち負けた!? あの時から何人も殺し、何倍も強くなったのに!?」
「残念ね、サンソン。再会した時に言ってあげれば良かった。……あの時、既に貴方との関係は終わっていた。貴方の刃は錆びついていた。貴方はこの間違ったフランスで多くの人間を殺す度に、殺人者としての切れ味を増した」
殺人者と処刑人は違う。かつて処刑人だったサンソンは今では殺人者となった。人を殺す事が上手くなればなる程、処刑人から遠のいていく。殺人者に近付いていく。
バーサーク・アサシンとして召喚された時点で、サンソンは変わってしまった。かつての面影を失っていた程に。
「違う! 嘘だ! そんな事はない! 君が来ると信じて、腕を磨き続けた! もう1度君に会って、もっと上手く首を刎ねて、最高の瞬間を与えられたら……僕は君に許してもらえたと思っていたのに!」
「もう、本当に憐れで可愛い人なんだから。私は貴方を許していない。だって、私に許される必要は何処にもないのだから」
その言葉を聞いたサンソンは突然消滅した。命を失ったのではない。戦意を失った。オメガモンが何処か切なそうな様子でマリーを見ていると、彼らの目の前にファブニールが降り立った。
マリーを庇う様に前に立つオメガモン。ファブニールから降り、地面に着地したジャンヌ・オルタ。彼らは睨み合う。
「これで3人目。見込んだ者から脱落するのは、皮肉ですね」
「あぁ。戦場ではまともな奴から死んでいくのがルールだ。最後まで残っているのはお前が一番嫌っている吸血鬼の2騎かもしれないぞ?」
「ごきげんよう、“竜の魔女”さん。随分と遅いご到着なのね?」
「サーヴァントを数騎仲間に入れた程度で、私に勝てると? 私にはファブニールを超える切り札があるのよ?」
オメガモンはジャンヌ・オルタの発言に眉を顰めた。ファブニールを超える切り札。恐らくそれは自分に対する抑止力。
デジモンにはデジモンで対抗するのが合理的だ。ならば誰が召喚されたのか。聖騎士が考えている目の前で、ジャンヌ・オルタは話を続ける。
「フランスに殺された貴女が。ギロチンに掛けられ、嘲笑と共に首を刎ねられた女がフランスを守る? 理解出来ませんね」
「確かに私は処刑されたわ。嘲笑されたし、蔑まれたわ。でもそれがフランスを殺し返す理由にはならない。私は民に乞われて王妃となった。民なくして王妃はない。だからあれは当然の結末だった。彼らが望まないのなら、私は自分から退場する。それが国に仕える人間の運命。私の処刑は、次の笑顔に繋がったと信じている」
「マリー殿……!」
マリー・アントワネットの思いに胸を打たれたオメガモン。歴史の教科書に書かれた王妃ではなく、フランスと言う国の為に在り続けた1人の女性。それが本当のマリー・アントワネットの姿だった。
確かに生前には悲劇があり、悲しみはしたが、彼女は決して民を恨みはしなかった。愛する家族が死に、自分が忘れ去られたとしても、それが愛する民の笑顔に繋り、国は永遠にあり続ける。彼女の生き様はそれを伝えようとしている。
「(そうだ……例え私と言う人間が亡くなっても、それが人間とデジモンの笑顔に繋がり、世界の未来を明るく照らしている。マリー殿、貴女は大切な事を私に思い出させてくれた。お礼を言うよ、ありがとう)この国の未来を、これからの世界をお前が焼き尽くそうと言うのなら……このオメガモンがそれを阻止する! フランスと言う国の、マリー殿の愛する場所を守る為に!」
「オメガモン! ありがとう!」
「礼には及ばない。来い、ジャンヌ・オルタ! 邪竜もろともここで消し去ってくれる!」
「黙れ! 貴方達の方こそ、ここで消し去ってあげましょう!」
「待てえええぇぇぇぇぇぇい!!!!!!!」
『ッ!?』
オメガモン達とジャンヌ・オルタの戦闘が始まろうとしたその時、突如として何者かの声が聞こえて来た。
アルトリアに似ている声だが、何処か違う声。その声が何処から聞こえたのか。一体声の主は誰なのか。そう考えながら誰もが周囲を見渡していると、大きな岩の上に1騎のサーヴァントが立っている。
黒い帽子に短パン、青いジャージの上着とマフラーが特徴的な女性。何処かで見たような顔をしているが、誰も思い出す事が出来ない。
「力と力のぶつかり合う狭間に、己が醜い欲望を満たさんとする者よ、その行いを恥じと知れ!人、それを……“外道”と呼ぶ!」
「あ、貴女は誰だ!?」
「貴女に名乗る名はない! 謎のヒロイン……X!!!」
『名乗ったァァァァァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』
そのサーヴァントの真名は謎のヒロインX。ジャンヌ・オルタの言葉に“名乗る名前は無い”と言っておきながら名乗った。これには誰もが突っ込みを入れた。
オメガモンやマリー、ジャンヌ達ですら素の性格を忘れる程の突っ込み。どうやら彼女は独特の雰囲気を発する事が出来るみたいだ。
「セイバー!」
「み、味方なのか……!?」
「クッ! こうなったら一時撤退です!」
何処からともなくエクスカリバーを召喚して握り締め、ファブニールに斬り掛かる謎のヒロインX。その姿に立香は圧倒されているが、何処からどう見ても彼女は味方だ。
ビームを纏うエクスカリバーの二刀流。素早さと手数で勝負する戦い方に、流石のファブニールも圧倒されている。これはまずいと悟ったジャンヌ・オルタが命令を下すと、ファブニールはその場から飛び立っていった。
「誰かは知らないけど、助けてくれてありがとう。名前は?」
「コードネームはヒロインX。昨今、社会的な問題となっているセイバー増加に対応する為に召喚されたサーヴァントです」
『セイバー増加……!?』
「私以外のセイバー死ね!」
嫌な予感を感じたオメガモン達一行。彼らの予想は正しかった。翡翠色の瞳は新たなる獲物―アルトリアを見定め、再びビームを纏うエクスカリバーを握り締める。
アルトリアの背筋を悪寒が突き抜ける中、謎のヒロインXはアルトリアとの間合いを詰めて斬りかかる。振り下ろされる2本のエクスカリバーを受け止めようと、不可視の聖剣を構えるが、何時まで経っても振り下ろされる事は無かった。
「オメガモン!?」
「私の仲間に斬り掛かるとは、随分と良い度胸だな……!」
「あれっ? コスモ時空の法則とか関係なしに殺される気配が濃厚なんですけど……」
「面倒な事になったな。世界が大変なんだ。味方である筈の英霊が世界の危機を前にして、どうしてこんな所で争わないといけないんだ?」
振り下ろされた2本のエクスカリバー。それを受け止めたのはオメガモン。左手となっているウォーグレイモンの頭部を象った手甲を以て、謎のヒロインXが繰り出した斬撃を防御し、弾き返した。
オメガモンから放たれる殺気に謎のヒロインXが震え上がっていると、聖騎士は溜息を付きながら謎のヒロインXに話し掛ける。その言葉に立香達が頷き、自分が悪かった事を悟った彼女は謝罪した。
「……済みませんでした。私情に巻き込んでしまって……お詫びと言っては何ですが、その世界を救うのに協力させて下さい」
「いや、分かってくれれば良いよ。でも協力してくれるのは嬉しいな、ありがとう。これからよろしくね」
「しかし、これでかなりの数の戦力となったな。何だかここにいる皆を見ていると、勝てない相手はいないと思えてくるよ」
謎のヒロインXが仲間に加わり、改めて見るとかなりの数のサーヴァントが揃った事となる。マシュ、アルトリア、エミヤ、マリー、モーツァルト、ジャンヌ、ジークフリート、清姫、エリザベート、ゲオルギウス、謎のヒロインX。
これにオメガモンを加えると、合計で12騎のサーヴァントが揃った事となる。オメガモンの言う通り、勝てない相手はいないと豪語出来る。
「あぁ、そうだねオメガモン。良し! 皆、明日オルレアンに攻め込もう。目指すはファブニールと“竜の魔女”の打倒。行きますか!」
オメガモンの一言を聞き、味方の顔を1人ずつ見てから立香は宣言した。明日にオルレアンに攻め込み、一気に勝負を終わらせると。その宣言に全員が頷いた。
その夜。野営地で夕食を取り、それぞれが思い思いの夜を過ごす中、星空を眺めているオメガモンの所にマシュが来た。
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「おや、マシュさん。明日の決戦で眠れないのかな?」
「いえ、実はオメガモンさんに聞きたい事があって……」
マシュがオメガモンに相談を始めた。その内容はモーツァルトとの会話。その中で彼が言った“人間は好きな物を自分で選べる”と言う言葉。それがマシュには分からない。
言葉の意味は分かる。でも“選ぶ”と言う行為が分からない。好意を持つべき物は道徳的に正しく、否定するべき物は社会的に悪い物。それがマシュの考えだった。
「そうか。なら……君は正しいと思う?」
「それは……多くの命を救い、多くの命を認める事でしょうか?」
「それもそうだが随分と大雑把だな……ならば、もし私や立香が間違えていたとしたら?」
「……その間違いを正します」
「そうだ。それで良い。その思いを忘れないで欲しい。答えるのに少し悩んだのは迷いや不安があるからだと思う。マシュさん。貴女は自由を得たばかり。自分の好きなように生きて、好きな事が出来る。何処にだっていける。何にだってなれる。そういう貴女が羨ましい……オメガモンとなり、聖騎士の生き方しか出来ない私に比べれば、貴女は眩しく見えるよ……」
オメガモンが星空を見上げる眼には、様々な感情が渦巻いている。マシュへの羨望。過ぎ去った日々の回顧。もう二度と戻れない日常と世界に馳せる思い。
マシュはそんなオメガモンを見上げる。この聖騎士は一体どういう思いを抱えているのか。何故自分を羨ましく思うのか。
「選ぶ事は成功する時もあれば、失敗する時もある。その恐ろしさに足がすくみ、これから形成される自分の在り方に迷い悩む。それは当然だよ。私だって、それこそオメガモンになる前……人間だった頃もそうだったから」
「私はその……外の世界を知りませんでした。ましてや、デジモンと言う種族が存在するのも貴方に出会えて初めて知りました」
「それは良かった。でも何かを好きになる資格がないと思ってはいけない。何かを好きになるのは資格なんかではない。義務……でもないな。権利だ。そうだ。マシュさん。貴女の手には真っ白い切符が握られている。色んな電車に乗れ、色んな所に行ける権利が貴女にある。それを忘れないで欲しい」
オメガモンはマシュに大切な事を教えた。例え彼女が戦う為だけに造られたとしても、何かを好きになる義務はある。自由はないかもしれないが、義務はある。
かつての自分もそうだった。ディアボロモンに襲われ、オメガモンとなるあの日までは何処にでも行けて、何にでもなれた。しかし、あの日から自分の運命は大きく狂った。彼女にも自分と同じ思いをしないで欲しい。その思いがオメガモンの根幹にある。
「何を愛し、何を憎み、何を思うか、何を考えるか。それは自分自身で決める事。他人の言いなりになったり、周りに合わせる必要もない。それで良いんだ。何時の時代、何処の世界でも同じ人間はいない。多くの景色を見て、多くを学ぶ。そうやって人生と言う名前のキャンパスを描いていく。貴女が世界を作るのではない。世界が貴女を作る。その中で貴女にしか作れない世界を作れば良い」
そして成長した時は自分が作った世界を乗り越えていく。自分がいたと言う証を残す為に。そうやって皆は生きている。
オメガモンが守った世界と未来は多くの人々に希望を遺したが、一部の人々に悲しみを遺した。その一部の人々は自分の仲間や家族だ。
「人間は誰しも素晴らしいとは言わない。醜いし、汚らわしい人もいる。だがそうやって世界は成り立っている。この悲しくも美しい世界を一緒に守っていこう」
「はい!」
オメガモンの言葉に笑顔を浮かべながら頷くマシュ。世界に作られた彼らは世界を広げ、その中で成長していく。多くの物を世界から受け取り、その後に返せば良い。
それでも世の中、殆どの場合は公正な評価と相応の結末が待っている。それを受け止めなければならない。例えそれがどんな結果だったとしても。そう思ったオメガモンとマシュは、仲良く皆の所へと戻っていった。
LAST ALLIANCEです。
後書きとして、本編の裏話を話していきます。
・ヒロインXの口上
皆大好きロム兄さんです。個人的にヒロインXは好きです。
ヒロインXオルタことえっちゃんも好きです。
以上になります。
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それでは次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!