復讐の舞姫   作:梨善

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初めまして!うみみと申します。
長年遊んできたこのモンスターハンターの小説を投稿していきます。
是非ともよろしくお願いします。


新たな大陸

青い空と眩い海がどこまでも続く。

ハンターズギルドから新大陸と呼ばれる地に向かって複数の船団が航海を続けていた。

 

新大陸への航海は不安定で時期を見定め、船団が派遣され、未知のモンスター、そしてそこでの生態系の調査がギルドより命令されている。

この船団は5回目の派遣。つまり、5期団となる。

 

「・・・ん、んん・・・」

 

腰まである銀の長髪と並のハンターでは入手が不可能な『キリンXシリーズ』が目に付く1人の女性ハンターは甲板で座り込み、うたた寝をしていた。

通常のキリンコルノ、頭にあたる防具はキリンのたてがみを使用したウィッグが付いているのだが、オーダーメイドで作ってあるそれには付いていない。代わりにたてがみを素材としたミサンガが付いているのだ。

ハンターの名はミレイナ。

このハンターは5期団として、新大陸の地へ向かっていた。

 

「何事よ・・・」

 

うたた寝から起きたミレイナは船団の慌ただしさを見て、顔をしかめる。

 

「そろそろ目的地に着くみたいニャ」

 

赤を基調とした『レウスXネコシリーズ』を身にまとった黒い毛並みのアイルーがミレイナに今の状況を説明する。

 

「だからなのね。・・・ふぁ・・・、起きて損した。ありがとう、クリス」

 

このアイルーはクリスタル。愛称はクリス。

ミレイナのオトモアイルーだ。

 

「お目覚めにこれはいかがかニャ?」

 

三毛色の『レイアXネコシリーズ』を身につけたアイルーが頭に木のジョッキが乗ったお盆を持ってミレイナの元へやってきた。

 

「うん。頂くわ」

 

ミレイナはジョッキを受け取り、一気に飲む。

 

「これ!ビールじゃないじゃないの!?」

「それはワタシ特性の眠気も1発で覚める、しかも眠りにならないマンドラゴラ配合の元気ドリンコニャ!」

 

三毛のアイルーは得意げに渡したドリンクを説明する。

 

「そういうこと聞いてるんじゃないの!バカマイラ!」

 

ミレイナの専属の食事係でオトモでもあるマイラ。

 

「今から上陸だって言うのに酔っ払ってたらご主人様の威厳に関わるニャ」

「そんなのどーだっていいわ。今の立場だって私は望んでない」

 

ミレイナはギルドから特別な認定を貰ったハンター。

本来ならばギルド本部周辺で活動し、不測の事態に備えなければならない。

その見返りとして自由な狩猟、調査の許可が降りている。

とても派遣などに選ばれるハンターではない。

だが、このミレイナは自らこの派遣団へ志願している。

 

「ようやくギルドのうるさい連中から逃げれたんだから少しは我儘も許しなさいよ」

「そうは言ってもだニャ・・・」

 

文句を言いながらも『特性元気ドリンコ』を飲み干す。

するとピクピク、とクリスタルとマイラのヒゲが動く。

 

「ご主人様!」

「ご主人!」

 

2匹が揃って声をあげる。

 

「どうしたの、2人とも」

 

ミレイナは異変に気づく。

つい今まで明るかった空が、暗雲に覆われている。

次第に海も荒れ始めていた。

 

「なんなの、これ・・・。クリス!マイラ来なさい!」

「「はいニャ!」」

 

1人と2匹は船内の自室に駆け込み、愛刀を掴む。

『召雷剣【麒麟帝】』

蒼い刀身が7つの棘を作っており、そのフォルムは雷を連想させる。武器カテゴリーは大剣。

その愛刀を担ぎ、再び甲板に飛び出す。

 

「船長!これは!」

 

ミレイナは出て、すぐそこにいたこの船の船長に声をかける。

 

「ああ、あんたか!あれを見ろ!」

 

船長が指を指した方を見る。

 

「これって・・・」

 

海面に浮き出していたのは火山。

紅く、猛々しく燃えている。

しかもそれは動いている。

 

「あれはゾラ・マグダラオス。新大陸に移り住んだハンターたちが追いかける古龍。古龍渡りの鍵だ」

 

近年各地で古龍種に分類されるモンスターたちの活動が活発化している。

元々古龍の生態自体が謎に包まれている。

しかし、ギルドの調査の結果、古龍はこの新大陸のどこかへ向かう傾向があると判明した。

その行動を古龍渡りと命名し、新大陸に調査団を設立したことがこの派遣の始まりだ。

以前は100年に1度程度と言われていたが、最近では10年に1度の周期でこの現象が起きている。

この現象の特定こそが調査団の真の目的なのだ。

 

「い、いかん!」

 

船長は悲痛の声をあげる。

 

立ち上がったゾラ・マグダラオスの背に1つの船が引っかかり、横転しようとしていた。

 

「クリス!マイラ!行くわよ!」

 

ミレイナは指笛を吹く。

すると船のマストに止まっていた1匹の翼竜が彼女の頭上まで飛ぶ。

ミレイナはその場でジャンプし、左腕に装着されたスリンガーアンカーを射出し、翼竜の足に絡め、ぶら下がる。

ぶら下がったミレイナの両足にクリスタルとマイラがしがみつく。

 

「・・・貴方たち、少し太った?」

「し、失礼ニャ!」

 

マイラが不満の声をあげる。

 

「おい!どこに行くってんだ!?」

「あの船に!すぐに戻るわ!・・・誰かが死ぬのなんて見たくないもの・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒れる海の上空を翼竜にぶら下がり、飛ぶ。

 

「これ。訓練の時も思ったけど、割と楽しいわね」

 

ミレイナはポツリ、と言葉を漏らす。

 

新大陸で生きるハンターは皆、左腕にスリンガーと呼ばれる小さな投擲機をつけている。

アンカーの射出、専用の弾、石ころ、きのみなどを弾として射出することができる。

 

「それ、ボクも欲しいニャ」

「クリスの腕にはつけられないわ。・・・船の上には降りれそうにないわね」

 

ミレイナは周囲を見渡すと、ゾラ・マグダラオスの背に打ち上げられ、倒れている人を見つけた。

 

「あそこね。ほら、着くわよ」

 

アンカーを巻き取り、ミレイナの体は宙に浮く。

そのタイミングでオトモ2匹もミレイナから飛ぶ。

大勢を整え、落下の衝撃を前転で殺し、ゾラ・マグダラオスと呼ばれる古龍の背中に着地する。

 

「キミ、大丈夫?」

 

『レザーシリーズ』に身を包んだ若い男性ハンターがうつ伏せで倒れている。

返事もない。

どうやら、気を失っているようだ。

それに武器も持っていない。

急な出来事で準備ができていなかったんだろう。

 

「よっ・・・と。あちゃー。頭から血が出てる」

 

ミレイナはポーチから『薬草』を取り出し、傷口に当て、布で固定すると男性ハンターを担ぎ、他に怪我人がいないか周囲を見渡す。

目に付く人は皆、ゾラ・マグダラオスの背中を登り、各々で翼竜に捕まり、脱出している。

 

「大丈夫そうね。マイラ、『回復笛』をお願い」

「了解ニャ!」

 

マイラは腰のポーチから緑色の笛を取り出し、演奏を始める。

 

「あ、あれ?」

 

マイラがいくら息を吐き出しても音色が流れない。

 

「何してるの?」

「お、音が出ないのニャ・・・」

「・・・もしかして新大陸特有の影響?」

「分からないニャ・・・」

 

肩を落とすマイラ。

 

「原因はまた考えるとして、今はとにかく急いで離脱するわ」

 

ミレイナは再び指笛を吹き、翼竜を呼ぶ。

頭の上に来たことを確認し、スリンガーアンカーで捕まる。

ミレイナの足が宙に浮き、翼竜はゾラ・マグダラオスを中心に回るように飛ぶ。

 

「それにしても大きい。ジエン・モーランより大きいんじゃない?」

 

率直な感想を漏らすミレイナ。

1つの山が動いているようなものだ。

その巨大さは圧巻だ。

 

「あっ!こら!どこ行くの!」

 

捕まっていた翼竜が突如暴れだし、船とは違う方向へ飛び始めた。

 

「ご主人!なんとかするニャ!」

 

足にしがみついているクリスタルが叫ぶ。

 

「何とかするって言われても!」

「怖いニャ!怖いニャ!」

 

フラフラと飛行を続ける翼竜に振り落とされないように必死に捕まる。

同時に担いでいる男性ハンターも落とさないようにする。

 

「ご主人様!あれを見るニャ!」

 

同様に足に捕まっているマイラが叫ぶ。

 

「あれってどれ!」

「前!前ニャ!」

「前!?」

 

前を見るとそこには雄大な大地が見えた。

その地を覆い尽くすのは木森。

そして一際目を引く巨大樹。

 

「あれが・・・。新大陸・・・」

 

キィエエエエエエエ!!

 

捕まっていた翼竜がさらに暴れ、その反動でアンカーが外れる。

 

「あっ」

 

つまり、遥か上空からの自由落下の始まりだ。

 

「ご、ご主人!!」

「ご、ごめぇぇぇえええええん!!」

 

落ちていく中でミレイナは何かないかと必死に考える。

ミレイナたちと地面の距離はどんどん縮まっていく。

そして、視界の端にキラリ、と光る何かを見つけた。

 

「お願い!届いて!」

 

ミレイナは再び、アンカーを射出する。

カキン、とアンカーが何かを捉える。

 

「よっしっ!」

 

そのまま振子のように弧を描きながら、勢いを次第に弱めていく。

動きが完全に消えると、さらにアンカーを伸ばし、ゆっくりと地に足をつける。

 

「・・・んはぁ!よかったー!死んだかと思ったわ!」

 

声を上げ、即座に周囲警戒を始めるミレイナ。

男性ハンターを近くの木に座らせ、一息つく。

どうやら先程見た森の海岸沿いに降りたようだ。

 

「流石ご主人ニャ・・・。よく生きてるニャ、ボクたち・・・」

 

クリスタルが防具の兜を脱ぎながら座り込む。

 

「コラ。まだここが安全とは決まってないのよ。・・・まあ、あれのお陰ね」

 

ミレイナが上を指さす。

それを追うようにクリスタルとマイラも上を見る。

 

「『楔虫』ニャ?」

 

そこにいたのは木にしがみついている、黄色く光る大きな虫だ。

 

「そ。この新大陸だけに生息する変わった虫ね。どうやらフックのような性質を持っているらしいの。あらかじめ新大陸の生物を調べておいてよかったわ」

 

ミレイナは背中にかけている大剣を置き、その場に腰を下ろす。

 

「ここは大丈夫そうね。マイラ、おいで」

 

マイラはトコトコとミレイナに寄って行き、彼女の膝の上に乗る。

 

「はぁ〜。マイラは温かいわね」

 

ミレイナはマイラをぎゅーっ、と抱きしめる。

 

「ご主人様、少し苦しいニャ」

「気にしないの」

 

しばらくマイラを抱きしめ、リラックスしたミレイナは少し周囲を探索することにした。

 

「じゃあ、私は少しこの辺りを見てくるわ。クリスとマイラはその子を見てて」

「「了解ニャ!」」

 

敬礼した後、手を振る2匹。

ミレイナも軽く手を振り、『召雷剣【麒麟帝】』を担ぎ、歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し歩くと木が生い茂り、陽の光が届きにくい広地に出た。

付近にはアプノトスと呼称される草食竜の群れがいた。

 

「少しお腹も減ってきたし・・・。うん。そうしよう」

 

ミレイナはアプノトスに近づく。

特に身を隠している訳ではなく、普通に歩み寄っても逃げる素振りがない。

どうやら、この地に住むアプノトスはハンターに対する警戒心が薄いのかもしれない。

 

「ごめんね。弱肉強食だから仕方ないの」

 

ミレイナは愛刀を掴み、抜刀からそのまま振り下ろす。

 

刀身はアプノトスの身を削り、武器から発生した雷はその場で青白い閃光を散らし、一瞬でアプノトスの全身へ駆け巡る。

そして、アプノトスの活動は終わりを迎えた。

 

「うん。では、早速」

 

腰の剥ぎ取り用の短刀で生肉を剥ぎ取る。

 

「さて、もう少し見て回らないと」

 

ミレイナは死んだアプノトスに手を合わせ、その場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミレイナが離れた直後、アプノトスの死体に群がる影が4つ。

不穏な空気に気づくことなく、ミレイナは進む。




新大陸に降り立ち、ここから新たなハンターライフが始まる
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