2話目を投稿させていただきます。
個人的な解釈、妄想など多めですが、よろしくお願いします。
「さて。結構採取できたし、マイラたちの元に帰らないと」
あれからまたしばらく探索を続けていたミレイナ。
小一時間ほど時間は過ぎ、すっかり新大陸という未知の土地を満喫している。
『回復薬』などといった必要最低限の物しか入っていなかった彼女のポーチは既に満杯だ。
「頼むわね」
ミレイナはポーチからマイラの毛を一房取り出す。
先程マイラを抱きしめた時に抜け毛を少し取っていたのだ。
その毛を防具の腰についている籠に入れる。
すると籠は緑色に眩しく発光した。
『導虫』
新大陸で活動するハンターの必需品の1つ。
特定の匂い、物質に反応する光る虫で、直前に記憶した匂いへ飛んでいく習性を持つ。
『導虫』は光の帯となって道を示す。
ミレイナは光を追って走りだす。
走ること数分。
マイラたちがいる場所に到着した。
「おまたせ」
「随分長かったニャ」
クリスタルがマイラを出迎える。
「聞いてよクリス!ここすごいわ!1度取った木の実や植物が数分後には生えてるのよ!」
「ご主人の取り忘れだと思うニャ」
「ホントよ!」
嬉々と話すミレイナだが、クリスタルは素っ気なく返答した。
「って、なんか荒れてない?」
地面をよく見ると土が抉れたり、付近の草が毟られている。
「あー。あいつらのせいニャ」
クリスタルが指さした方を見ると黄色い鳥竜種と思われる小型モンスターが2頭倒れていた。
「こいつらか。私の跡をしばらく追ってたわよ。途中からいなくなってたけどね。名前は確か・・・。じゃ、じゃ・・・」
「ジャグラスです」
「そう!ジャグラス!って貴方!」
ジャグラスと教えてくれた声はミレイナが助けた男性ハンターだ。
「目が覚めたのね」
「貴女が助けてくれたんですか・・・。ん?その装備・・・」
男はミレイナの装備をジロジロ見る。
「『キリンシリーズ』に大剣・・・。まさかミレイナ!あのミレイナ!?」
「え、えぇ・・・。そうよ」
「驚いた!5期団に居るという噂は聞いていたけど、まさか本当だったとは!『白銀のヴァルキリー』をこの目で見れるとは運がいい!」
1人で盛り上がる男にミレイナは少し引き気味だ。
「あ、あはは・・・。それは良かったわ・・・。貴方、名前は?」
「おっと、すみません。俺はフレッド。見ての通り、新米です。今の状況はオトモ2人から聞いてます」
「フレッドくんね、よろしく。私はミレイナ、って知ってるか。敬語は使わなくていいわよ」
ミレイナの目からしても5期団は新米ハンターや年齢も若いハンターが多い。
彼もその1人のようだ。
「じゃあ、正直『白銀のヴァルキリー』がこんなに若いとは思ってもいなかったよ。俺と歳はあまり変わらないようだがで20歳くらいか?」
「ご生憎、私はそんなに若くないわよ。27歳。もう少しで8になるわ。このハンターっていう仕事も10年以上続けてる」
「嘘・・・、だろ?」
「本当よ」
フレッドは信じられない、と言った顔で目を丸くする。
「最近鏡を見てはシワが増えたって嘆いてるニャ」
「マイラ!余計なこと言わない!」
笑いながらからかうマイラ。
反対にクリスタルは興味が無さそうだ。
「ところでフレッドくん。怪我は大丈夫?多分、そこに倒れているジャグラスには何もやられてないみたいだけど」
「あ、あぁ。そのオトモ2人がやってくれたよ。あまりの強さにジャグラスが逃げていったよ」
「そうなのね。マイラとクリスもお疲れ様」
ミレイナは2人を褒めると、その2人はふんぞり返ってドヤ顔だ。
「さて。お腹も減ったし、何か食べましょう。『生肉』や美味しそうな植物とかいろいろ取ってきたわ」
ミレイナは地面に布を広げ、その上に戦利品を広げる。
中には彼女自身が必要な道具も混じっていた。
「おぉ・・・。これはまた・・・」
予想よりも多かったのか、フレッドは声を漏らす。
「マイラ、調理をお願いしていい?」
「任せるニャ!見たところ香辛料になりそうなものもあるし、今日はアプノトスの『ジューシーこんがり肉』にするニャ」
マイラはポーチから『肉焼きセット』のような物を取り出し、ドン!と大きな音をたて、地面に設置する。
そしてそれは左右に広がり、簡易キッチンになった。
「な、なんだこれ!?」
「あー、そうよね。こんなもの見たことないわよね」
驚くフレッドをおかしそうに笑うミレイナ。
「これね、前に拠点にしてた村の工房のアイルーがマイラのために作ったのよ。・・・今ではないと困るけど、これ作る時は色んなモンスターの狩猟を頼まれたわ」
「そ、そうなのか・・・」
「クリスー」
ミレイナはあぐらをかいて座るとクリスタルを呼ぶ。
「なんニャ?」
「おいで」
「嫌ニャ」
「なんでよぉ!」
手を広げ、クリスタルを呼んだミレイナだが、ふいっ、と顔を背けた。
「どうせマイラみたいにボクも潰されるのニャ」
「そんなことしないわよ!ただちょーっと抱きしめてリラックスするだけじゃない!」
「それが嫌なのニャ!」
ハンターとそのオトモが言い争っている姿を見てフレッドは困惑する。
普通、オトモアイルーというものは主人のハンターに従順ではないのか?と。
「いいから来なさい!」
「嫌だニャ!」
「ああもう!」
いつの間にかドタバタと追いかけっこを始めた2人。
フレッドはあまりの緊張感の無さにため息をつく。
(最年少でギルドお墨付きになった歴戦のハンターにはあまり見えないな・・・。なんというか、覇気とか雰囲気とか・・・)
フレッドが聞いていた話の『白銀のヴァルキリー』はオーダーメイドの『キリンシリーズ』に身を包み、あらゆる狩猟対象を愛用している大剣で叩き切る。その姿は阿修羅の生まれ変わりと聞いていた。
『ヴァルキリー』という通り名も共に狩りを行ったハンターが皮肉を込めて付けたとか。
しかし、今フレッドの目の前にいるミレイナはどうだ。
あの体型で大剣を振る姿など想像もつかない。
現にミレイナは自分のオトモとじゃれあっている。
このどこが阿修羅なのだろう、とフレッドは首を捻る。
「捕まえた!」
「ギニャァァァァァァ!!離すニャ!離すんだニャ!」
ミレイナはようやくクリスタルを捕まえたようだ。
「うるさい!叫ばないの!いい、クリス」
ミレイナはクリスタルの耳元に小さな声で囁く。
「さっきジャグラスは逃げたと言ったわね?」
「そうニャ。4頭いたうち、2頭が逃げたニャ」
「そうなのね。マイラが料理を作り終わったら動くわよ」
「どうしてニャ?」
「きっとドスと呼ばれるモンスターもいるはずよ。私とクリス、それにマイラがいたとしても武器を持ってないフレッドくんを守りきれる自信が無いわ」
「なるほどニャ。マイラにはボクから言っておくニャ」
「ありがとう、クリス」
ミレイナはクリスタルを離し、空を見上げる。
日はまだ出ているが、少しずつ傾き始めていた。
「できたニャ!」
マイラはこんがり焼けた肉を満足そうに見つめる。
ミレイナと簡易キッチンはそこそこ離れているが、食欲を誘う匂いが空腹を刺激する。
「さっすがマイラ!いただきまーす!」
ミレイナはでき上がった肉を1つ掴み、噛み付く。
噛み付いた肉からは透明な肉汁が溢れ出す。
「あっつ!?」
何とか一口飲み込むも、肉汁は口を伝い、胸元へ垂れる。
「最悪・・・。胸に垂れた・・・。マイラー、拭くものある?」
「ご主人様は相変わらずせっかちニャ」
マイラは小言を言いながら布巾をミレイナに渡す。
「ごめんねー。フレッドくんも食べましょう?」
「あ、ああ・・・。いただきます・・・」
フレッドも肉を受け取り、一口かじる。
「美味い・・・!こんなに美味い肉、食ったことない・・・」
「お口に合ってよかったニャ」
「マイラの料理は1級品よ。さて、みんな肉は持ったわね。片付けて食べながら移動しましょう」
ミレイナは立ち上がってみんなを促す。
「どうして?」
「日が暮れる前に本来、無事にたどり着く予定の拠点に行きましょう。夜は視界も悪くて危ないから」
「場所は?」
「目星は付いてるわ」
「分かった。貴女がそう言うなら」
フレッドも立ち上がる。
オトモ2人は協力してあっという間に片付けを終わらせた。
「こうしてお肉食べながら森を歩くってピクニックみたいね」
『こんがり肉』を食べながら呑気に呟くミレイナ。
「そんなこと言ってる場合じゃないニャ。知らない土地の知らないモンスターが沢山いるから油断はダメニャ」
「分かってるわよ、クリス。全く似てるんだから・・・」
クリスに注意され、ため息をつくミレイナ。
「・・・こんなに美味しいお肉食べてるのにビールがないなんて・・・」
「またお酒・・・。少し控えた方がいいニャ」
「ワタシもクリスに同感ニャ」
「マイラもー?」
いつものような話をしながら歩みを進めていく3人。
そんな3人の少し後ろをフレッドは歩く。
「ミレイナさん」
「なーにフレッドくん」
「拠点の位置なんだが・・・」
「多分、あれ」
ミレイナは上を指さす。
「船?」
森の奥に見えるのは巨大な船。
遠目だからはっきりとは見えないが、船からは何かが出ている。
「とりあえずあそこへ向かいましょう」
ミレイナを先頭に4人はまた進み始めた。
しばらく進むと開けた場所に出た。
アプノトスの群れが水を飲んでいた。
そして、そこには。
「待って。静かに。身を屈めて」
ミレイナは手でフレッドたちを止め、岩に隠れる。
「あれ、見て」
顔だけ覗かせ、行き先にいるものを見据える。
「あれが、ドスジャグラスね」
黄色い巨体。
発達した鬣と腹。
大きすぎる腹は地面に引きずり、ゆっくりと歩みを進めている。
そして、その付近にはジャグラスも5頭付き添っている。
「このまま気づかれないようにすり抜けましょう」
「ああ・・・」
ミレイナたちは身を低くし、壁を沿うように進む。
ドスジャグラスは水を飲んでいるアプノトスにゆっくり近づく。
アプノトスも異変に気づいたのだろう。
ドスジャグラスを視界に入れると同時に鳴き声をあげ、その場から逃げ出した。
ドスジャグラスも目の前の獲物を逃がすまい、と駆け出す。
「ラッキーね。捕食中ならやり過ごせる」
ミレイナの言葉に3人は頷き、速度を少しずつ上げる。
しかし・・・。
「嘘・・・」
ミレイナは目の前の光景に息を呑む。
ドスジャグラスはアプノトスに噛みつき、動きを止める。
そして、アプノトスを頭から丸呑みにした。
「デタラメしてんじゃないわよ・・・」
ドスジャグラスはアプノトスの2回りほど大きい。とはいえ、丸呑みにしたアプノトスも大型だ。
それをドスジャグラスはあっという間に丸呑みにした見せた。
そのドスジャグラスの腹部は膨れ上がり、捕食前と比較すると2倍程の大きさになっている。
「丸呑みとは・・・」
フレッドも今の光景に驚きを隠せない。
「ご主人様!急ぐニャ!」
マイラに呼ばれ、呆気に取られていたミレイナはゆっくりとドスジャグラスから距離をとる。
もう少しでこの場所を抜けられると思ったことが悪かったのか。
それとも、捕食行為に目を惹かれていたのがいけないのか。
ミレイナはドスジャグラスと目が合ってしまった。
「・・・ごめんね、クリス、マイラ。目、合っちゃった」
ドスジャグラスはゆっくりミレイナとの距離を詰める。
「いい、みんな。ゆっくりよ。背を向けずに後ずさりなさい」
そう言いながらミレイナは大剣に手をかけながら、立ち止まる。
「ミレイナさん、貴女は?」
フレッドが今のミレイナの行動に疑問を持ち、話しかける。
「なるべくこいつの足を止めるわ。頃合いを見て追いかけるから安心して」
ドスジャグラスとミレイナの距離が縮まり、仕掛けられる間合いに入る。
その距離、約3m。
しかし、ドスジャグラスは敵対する意思がないらしく、威嚇の声をあげる様子もない。
「・・・あ、あれ?」
意外な行動にミレイナはキョトン、とする。
後ろにいるフレッドやマイラたちにも興味が無さそうだ。
「クリス、マイラ、フレッドくん!走って!」
拠点と思われる船の真下も近づいてきた。
目の前には入口と思われる関所が見える。
一か八か、ドスジャグラスに敵意を持たれないことに賭けて走る。
ミレイナの声で3人も走り出した。
茂みを抜け、海岸沿いに出る。
ドスジャグラスはミレイナたちには興味を示さない。
「おい!こっちだ!」
前方に大剣を担いだ男性ハンターが手を大きく振り、こっちだ!と誘導する。
木で作られた関所を転がるように4人は通る。
「フン!」
ハンターはレバーを力強く引くと関所の門は激しい音と共に降りた。
門が降りる瞬間、ミレイナは別の大型モンスターを見た。
赤い皮膚に青い毛皮。
二足歩行の恐竜のようなモンスターを。
(そんなこと、今はどうでもいいか・・・)
ミレイナは座り込み、息を整える。
「大丈夫か、お前たち」
「え、えぇ・・・。助かったわ」
ハンターはしゃがんで手を差し出す。
ミレイナはその手を取り、立ち上がる。
「お前たちが昨日行方不明になった5期団で間違いないな?」
「多分ね。私たちの以外にもいなければ」
「それは問題ないよ。5期団の名簿は確認済みだ。君たち2人で最後だ」
フレッドも何とか立ち上がる。
「着いてきてくれ。案内しよう」
「ほ、本当に拠点があるニャ?」
「ああ。あるぞ」
マイラの質問に笑顔で答えるハンター。
オトモ2人もそれを聞き、元気に立ち上がる。
「よし、じゃあ行こうか」
「ここは・・・」
海の上に建築された街は複数の階層に分かれていた。
その頂上には巨大な船。
圧倒的な規模に驚きを隠せない4人。
案内してくれたハンターはミレイナたちを見据える。
「ようこそ。新大陸の活動調査拠点、『アステラ』へ」
「拠点というよりは街ね。まあ、ここで生活しないといけないから当然か」
ミレイナの呟きにハンターは頷く。
「ああ。その通りだ。ここの指揮を執る総司令の元に案内する」
再びミレイナたちは彼の後ろをついて行く。
「じいちゃん。連れてきたよ」
ミレイナたちが案内されたのは会議に使われる大きな机が置かれたスペースだ。
そこには白髪頭の初老の男性が立っていた。
「ああ。ご苦労。私はこの『アステラ』を指揮する者だ」
「貴方が総司令ですね。私は」
「ミレイナ。噂は常々聞いている。君の『古龍渡り』調査参加には驚いたが、これはチャンスと受け取る。君の成果に期待する」
「まあ、頑張ります・・・」
少し気だるげに返事をするミレイナ。
「君たちに青き星の導きがあらんことを」
その言葉でミレイナたちは解散となった。
「はー・・・。ここまで来てあんなこと言われるなんて思ってもなかったわ」
3階の食事エリアでミレイナはビールを飲みながら項垂れる。
「せっかくギルドの目が届かない場所に来たのに・・・。なんでこうなのよ・・・。期待してるとか言われたらやるしかないじゃないの・・・」
テーブルに頭を擦りながら愚痴をたれている。
「ミレイナさん・・・。飲みすぎ・・・」
愚痴に付き合わされているのはフレッドだ。
テーブルにはビールジョッキが散乱していた。
「らいたい私はさー。『古龍渡り』の解明のためにここに来たわけひゃらいのよー」
アルコールが回ってきたのか、ミレイナの呂律はあまり回っていない。
「じゃあ、何のために?」
「言わない・・・」
「・・・はぁ。もう酒は終わりだ。料理長、もう酒は出したらダメだからな!」
「あぁ」
フレッドは料理長である隻眼のアイルーに頼む。
「クリスタルとマイラが居れば・・・」
「あの2人は荷物整理中よー。新しい家、どんな感じなんだろー」
サイコロミートをフォークでつつきながらミレイナは呑気に呟く。
「ここの料理はマイラの味に負けてないわね!美味しい!」
「もう、それ言うの何回目?」
「だって美味しいんだもの!」
「もう・・・。俺はそろそろ行くから。自分のこともやんないといけない。一緒に来たオトモと妹を探さないと」
フレッドは立ち上がると伸びをした。
「妹さん?」
「ああ。双子のね。俺と同じで新米さ」
「コンビでやるの?」
「それは分からん。まあ、お互い頑張ろう」
フレッドはそう言うと下の階層に降りていった。
「・・・なんか覚めちゃったわ」
ミレイナはジョッキを置き、サイコロミートをたいらげる。
「下の広場でも見ましょう」
少し千鳥足気味にミレイナは下の階層に降り始めた。
『アステラ』の1階層は主にハンターのための市場となっている。
ミレイナは1軒ずつ回りながら品物を見ていく。
「・・・ん?何か騒がしいわね」
港の方で何やら揉め事が起きているらしい。
「やだやだ。帰りましょう。確か、食事場の下の通路から部屋に行けるんだっけ・・・」
帰り道を思い出しながら歩き始めた。
が。
「お姉様!?やっと見つけました!お姉様ぁ!!」
馴染みのある声にミレイナの足がピタリ、と止まる。
「ま、まさかね。あっはは!飲みすぎたかもなぁ」
「私!私ですよ!ミレイナお姉様ぁ!!」
どうにもミレイナの聞き間違いではないようだ。
「おい!静かにしないか!」
「離してください!」
恐る恐る振り返ると女性が船員に取り押さえられていた。
「やっぱりあの子か・・・」
ミレイナは頭を抱えながらそこへ向かう。
「いいかしら?」
「ん?ああ、あんたは5期団の」
「ああ・・・!お姉様!」
ミレイナを見た少女は喜ぶ。
彼女の反応にミレイナはため息をつく。
「その子がどうかしたんですか?」
「こいつ、船に密航してたんだよ。とりあえず総司令にどうするか指示を貰おうと思ってる」
「密航などしていません!私はお姉様の相棒として乗り込んだまでです!」
「誰が私の相棒よ!確かに私のクエスト一覧は貴女が持ってたけど!なぜかね!」
「よく分からんがこいつはアンタに任せていいのか?」
「ええ。行くわよ」
ミレイナは少女の手をとり、人の通りが少ない路地裏のような所へ連れていく。
「シェリー!何をしてるのよ!」
「言ったじゃないですか!私はお姉様についていく、と!ミレイナお姉様あるところにシェリーありです!」
このシェリーという少女は以前ミレイナの拠点で受付嬢をしており、かなりミレイナを慕っている。
『お姉様』呼びもその現れだ。
ミレイナの専属ではないはずなのだが、ミレイナへの依頼は全てシェリーが管理していた。
「無茶があるわよ!だいたい向こうの仕事は?」
「頼れる私の後輩が引き継いでくれましたよ!ここではハンター1人に大して1人、専属の受付がつくみたいですし、それにここに来た以上、帰れませんし」
全て計画しての行為だったようだ。
「はぁ・・・。仕方ないわね。総司令の元に行きましょう。私の受付にしてもらうわ」
「さっすがお姉様!」
シェリーはミレイナに勢いよく抱きつく。
「お姉様はやめて!恥ずかしい!」
「お酒くさ・・・」
「なら離れなさい!」
シェリーを引きはがすミレイナ。
「あぁ!お姉様の温もりが!」
「置いていくわよ!」
「待ってくださーい!」
とにかくミレイナはシェリーを連れ、総司令の元へ再び向かった。
再び総司令の元へ訪れた。
「おや?どうした。・・・その子は確かここへ密航してきたと報告を受けているが」
「ええ。送り返すのも難しいので私の受付嬢にしたいのですが」
「ほう」
総司令は興味深そうな目でミレイナを見る。
「以前拠点にしていた村の受付嬢をしていました。私の依頼も彼女を経由していたので心強いのですが・・・」
「ふむ。ならばいいだろう。君、名は?」
「シェリーです」
名前を聞くと総司令は頷く。
「では、ここの4階層の『星の船』で手続きを済ませるといい」
「ありがとうございます!」
そういうとシェリーは走って行ってしまった。
「折角だ。君には1つクエストを依頼したい」
「はぁ・・・」
「手続きはこちらで済ませる。内容は戻ってきた彼女から詳しく聞くといい」
「分かりました。では、失礼します」
お辞儀をし、ミレイナは離れようとする。
「ああ、後」
「はい?」
「酒は程々にな」
「・・・善処します」
「おー。ここが私の部屋ね」
ミレイナがやってきたのはマイルームと呼ばれるハンターの自室だ。
ミレイナに支給されたのは特等クラスの最上級の部屋だ。
「すっごい豪華ねー」
キングサイズのベッド。
大きなハープをアイルー2人で演奏している。
オマケに小さな庭と池もある。
「あ、ご主人様おかえりニャ」
荷物の整理をしていたマイラがミレイナに気づき、出迎える。
「マイラありがとう。クリスもありがとうね」
クリスタルはミレイナの武器防具を整理していた。
「前の部屋みたいに並べておいたニャ」
「流石クリス!さて、そろそろ騒がしいのが・・・」
「お待たせしましたー!!」
扉を勢いよく開けてシェリーがやって来た。
「もう!置いていくなんて酷いですよ!『星の船』の人たちにここを教えて貰ったんですからね!」
「ニャ!?シェリーだニャ!」
「なんでここに居るニャ!」
ここにいることを知らないマイラとクリスタルは驚きの声をあげる。
「クリスタルさんとマイラさん!こんにちはー!」
「本当にシェリーニャ?」
イマイチ信じていないクリスタル。
「もちろんです!お姉様の側にいるのはこのシェリーなのですから!」
「・・・間違いなくシェリーニャ」
クリスタルもため息をつく。
「それで、手続きは?」
ミレイナは本来の目的が終わったのか確認する。
「はい!ご覧の通り!」
シェリーが見せたのは分厚い本。
「それが?」
「はい!クエストの一覧です!バインダーみたいになってて、依頼書を貯めれるようになってますよ。中はまだペラペラです」
シェリーは中を見せるがページは少ない。
「そして、早速依頼ですよ」
「・・・いよいよね」
シェリーが開いたページを見るミレイナ。
その表情は薄く微笑んでいた。
新大陸での初狩猟が始まる。