スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
三人はリーザス像の塔の手前まで来ると、右側に伸びる街道へ視線をやる。
「こっちの道だね。確かに、どこに繋がってるか気になってはいたんだよね〜」
「ポル君マル君の話だと結構遠いみたいだから、気合い入れて進もうじゃん?」
「だね〜」
ほんの数分進むと、
「──海だ〜!」
穂乃果が叫んだ通り、目の前に砂浜の海岸線が現れた。
「ねえねえ、ちょっと行ってみようよ!」
目をキラキラさせて、穂乃果メンバーへ振り向く。
「ったく、初めて見た訳じゃあるまいし、子供じゃないんだから。私達にはドルマゲスと、ついでに鞠莉とかいうのを追いかける用事が──」
「ヨーソロー!」
「ひゃっほー!」
呆れたにこの説明は、無情にも元気な声に遮られる。
「……あんたらねぇ……」
にこが深々とため息をつくのと、
[シーメーダ達があらわれた!]
魔物が姿を見せたのはほぼ同時だった。
「うわっ、こんな所にも!」
穂乃果は慌てて剣を抜くと、細い腕のような触手をたなびかせる一つ目のモンスターへ斬りかかった。
[穂乃果のこうげき! シーメーダAはひらりと身をかわした]
「むむ、また素早いタイプか……」
穂乃果が予感した通り、
[シーメーダAのこうげき! 曜は4のダメージを受けた!]
[シーメーダBのこうげき! 愛は5のダメージを受けた!]
[シーメーダCのこうげき! 曜は5のダメージを受けた!]
一拍遅れた曜と愛は、シーメーダ達に先手を取られてしまう。
「痛てて……やられっぱなしじゃいられないよー!」
[曜のこうげき! シーメーダBに16のダメージ! シーメーダBをたおした!]
「お、素早い分、体力は低い感じかな?」
あまり感じない手応えに、曜は少し拍子抜けする。
「だったら愛さんにお任せあれ!」
[愛はメラを唱えた! シーメーダAに20のダメージ! シーメーダAをたおした!]
呪文なら避けられまい、と火の玉をぶつけた愛。
「お〜、二人ともやるなぁ。よーし、穂乃果だって!」
[シーメーダCのこうげき! 穂乃果は4のダメージを受けた!]
[穂乃果はかえんぎりを放った! シーメーダCに21のダメージ! シーメーダCをたおした!]
[魔物のむれをやっつけた!]
「ふ〜、大したことなかったね!」
清々しい笑顔を見せる穂乃果に、
「……しれっと先手取られてるんじゃないわよ」
誰も言いそうにないので、にこが小声で漏らした。
──海岸には見慣れない手強いモンスターが潜んでいるかも、と先の一件で学んだのか、大人しく街道を進む一行。
若干名残惜しそうに砂浜へ視線を送る穂乃果は、小さな標識を見つける。
『←リーザス像の塔 港町ポルトリンク→』と書かれた質素な標識を見て、
「遠いって言うからどれほどかと思ってたけど、そこまででもなさそうね」
にこは安堵の言葉。
「にこちゃん歩くだけなのに、言う事調子いいにゃ」
「アンタだって同じでしょうが。歩くのも面倒なのよ」
律儀に言い返したにこだったが、先ほどの認識が甘かった事を思い知る。
──右へうねり、左へうねり、大きく坂を下り、すぐに登る。そこに設置された標識に、『この先港町ポルトリンク』と書かれているのを見たにこは、
「距離を書きなさいよ距離を……! もしくは所要時間!」
大きく息を吐いた。
「結構歩いたよねー。モンスターの強さがあまり変わらないのは救いだけど、もうちょっとしっかり準備した方が良かったかも?」
曜は減りつつある“やくそう”を確認しながら呟く。
「大丈夫だよ! もうちょっとだと思うから! 多分!」
「……うん、いや、穂乃果ちゃんが無鉄砲に突っ込んで、必要以上の攻撃受けちゃうからなんだけど……」
曜の控えめな主張は、
「そんなんじゃほのほのには届かないっしょ〜」
「……だよね」
曜は肩を落とす。携帯品は、気持ち多めに準備しようと心に決めながら。
「もうちょっと頑張ろー! おーっ!」
先頭で拳を突き上げる穂乃果。
「……何であんなに元気なのよ」
「穂乃果ちゃんだから?」
「ほのほのだからでしょ」
「穂乃果ちゃんだからにゃ」
「……アンタ達、順応してるわね……。いいえ、にこが正常なのよ……」
──結局一行がポルトリンクに到着したのは、空が赤みを帯び始めた頃だった。入り口手前の右側にも道が続いているようだったが、
「少し前に地震があってな。その時の衝撃で土砂崩れが起きて道が塞がっちまったんだ。急ぎの用が無いなら、こっちは諦めるんだな」
通行止めを強いられていた。
「まあ、どのみち用があるのはポルトリンクだからねー」
何があるのか気になりつつ、穂乃果達はポルトリンクへ急いだ。
──道中で鞠莉に出会う事は、無かった。
港町らしく石畳で舗装されたポルトリンクだったが、すでに陽は暮れており出歩く人影も無い。
「ひとまずは宿に行って、明日になってからにしようか」
曜の提案に、穂乃果と愛も頷く。
朝から親子ゲンカを見せられた上に、長距離を歩いてきた三人の疲労はピーク。あてがわれたベッドに沈み込むと、そのまま眠りに落ちた。
宿屋のラウンジで「海の上を歩く人間が──」という話が聞こえたが、三人はあまり聞いていなかった。
翌朝。ようやく街の捜索を開始した三人だったが、街中をウロウロする船乗りらしき人物の数に首を傾げる。
「何だか……みんなヒマそうだね」
「船乗りっていつも忙しそうで、『船上こそが生きがい!』ってイメージだったんだけどなぁ……」
「こりゃーここでも何かトラブルの匂いてすな〜」
『港町』に期待していた曜のあからさまなローテンションを慰めながら、三人は定期船の受け付けを行なっているという巨大な灯台のような建物へと入った。
「──もういい加減待てないわ!」
そして聞こえてくる、聞き覚えのある美麗な声。
「この声って……」
三人は顔を見合わせると、駆け足で受け付けのカウンターへと向かう。
「──今すぐ船を出して! 私は急いでるの!」
「いやぁ、いくら鞠莉お嬢様の頼みでも、そればっかりはできねえです……。海には危険な魔物がいるので……」
「そんなの、私が退治してみせマース!」
「いやいやいや、鞠莉お嬢様にそんな事させたら、後でオハラ家から何を言われるか……」
「勘当したのでオハラ家は関係ないのよ!」
「そう言われましても……」
船乗りに詰め寄る鞠莉の後ろ姿。
ああもう、と振り返った鞠莉と、
「うぇ?」
穂乃果はバッチリ目が合った。
「あら、ちょうどいいところに。塔ではSorryね。──でも今はいいわ」
駆け寄ってきた鞠莉は、
「私のお願い聞いてもらえないかしら? ちょっと来て」
穂乃果の手を掴むと、有無を言わさず引っ張った。
「うわわわわっ」
為すがままの穂乃果と、仕方なく後ろへ続く曜と愛。
先ほどの困惑する船乗りの前へ引っ張り出すと、
「その危険な魔物を倒すのに、私が手を出さなければいいのよね?」
「はあ、そりゃまあ……」
「だったら、魔物退治はこの人が引き受けてくれるわ。これならOKよね?」
勝手に話を進める。
「え?」
「はい?」
「ん?」
状況が飲み込めない三人は揃って疑問の声を上げたが、
「魔物を倒してくれるなら、こっちも願ったり叶ったりですが……」
「じゃあ決まりね!」
問題の状況は待ってくれない。
「あなた達も、それでOK?」
考える暇すら与えない鞠莉の問いに、
「う、うん……。うん?」
思わず頷いてしまう穂乃果。
「Thank you!」
次の瞬間には、鞠莉に両手を握られていた。
「よろしくお願いするわね! 準備が終わったら、私に話しかけたちょうだい。船を出してもらうわ」
そして、手を振って離れていく鞠莉。
「「「…………」」」
三人はポカンとしたまま、固まっていた。
「──街の人に、話を聞いてきたよ」
一度宿に戻った三人は、今現在ポルトリンクがどういう状況なのかを把握する。
第一に、ポルトリンクは北と南の大陸を繋ぐ連絡航路の玄関口である。
第二に、海を歩く道化師のような男が目撃された。
第三に、突如として航路上に巨大な魔物が現れ定期船を襲撃するようになった。
第四に、魔物の襲撃により定期船は急遽運休。南の大陸へ渡るすべが断たれてしまった。
「──そして、その魔物退治を私達がやると」
「その道化師みたいな男って、きっとドルマゲスだよね。つまり、どっちみち南の大陸へ行かないとドルマゲスの手がかりは掴めないって事じゃん?」
「そうそう! 文字通り、乗りかかった船って事だよ! 頑張ろう、二人とも!」
勢いよく立ち上がった曜。
「おお、曜ちゃんがやる気だ」
「船に乗れるからかな〜。何にせよ、やらなきゃドルマゲスは追えないんだし覚悟決めよ?」
愛も元気よく笑うと、曜に倣って右手でピッと敬礼。
「うん、そうだよね! よーし、頑張るぞ〜!」
・穂乃果
LV13
どうのつるぎ
うろこのよろい
皮の盾
皮のぼうし
金のブレスレット
・曜
LV13
石のオノ
たびびとの服
うろこの盾
皮のぼうし
スライムピアス
・愛
LV13
ブロンズナイフ
皮のこしまき
うろこの盾
皮のぼうし
ーーー