スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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ここのキャスティングは悩んだんですが、個人的イケメンランキングのトップはこの子なんですよね。


第15話

『ドニの町がお似合いだ』的な事を言われた一行は、修道院に来ていた巡礼者達に話を聞いて、修道院のすぐ先に旅人用の宿が構える小さな町がある事を知った。

「じゃあそこに行くしかなさそうね。ここには泊まる所ないんでしょ?」

「さっきの話聞いて、凛もここにいたくなくなったにゃー!」

顛末を聞いて激怒する凛に、私も同じよ、とにこも賛同する。

「こんなふざけた見た目じゃなかったら、にこがビシッと言ってやったのに……!」

「期待してたよー」

「感情がこもってない! ……それに、ドルマゲスに関する情報も何も無かったんでしょ? だったら、人が集まってるそっちのドニの町に行った方がいいと思うわ」

そんだけ警備が厳重ならドルマゲスだって入れないでしょ、と付け足す。

「そろそろ暗くなるし、一旦ドニの町に行って考えようか」

曜の言葉に、全員頷く。

 

 

 

 

マイエラ修道院からドニの町は、本当にすぐだった。

「うーん、そんなに人いる訳じゃないね」

「建物も少ないし、仕方ないのかもねー」

ドニの町は、中央の道の脇に宿屋と酒場、小さな教会が建ち並ぶだけのかなり小規模な街だった。

「とりあえず暗くなる前に、酒場に行ってみよっか」

「だね〜。情報収集は大事だし」

「見た感じ、ほとんどの人は酒場に集まってるっぽいじゃん?」

静かな街だが、二階建ての酒場からは絶えず喧騒が漏れてくる。

三人が酒場のドアを開けると、

「──真剣勝負だとぉ〜⁉︎ てめぇ、イカサマやりやがったな!」

三人を怒鳴り声が出迎えた。

「うひっ⁉︎」

思わず首を縮めた穂乃果がそちらを見やると、ガタイのいい男が立ち上がって肩を震わせていた。テーブルにはトランプが散乱している。

「まあまあ、落ち着きなって。何があったのか話してくれる?」

まったく臆する事なく、その肩をポンポンと叩きにこやかに話しかける愛。

「おお、流石は愛ちゃん」

「……愛ちゃんがたまに恐ろしく感じる時があるよ」

苦笑いで二人も歩み寄る。すると男は、

「何だてめぇ! ……そうか、分かったぞ」

逆ギレして愛を睨みつけた。

「てめぇらコイツの仲間だな! オレの気を逸らして、その隙にイカサマしようって魂胆だろっ!」

「…………ん〜? 何を言ってるのか分からないなぁ?」

笑顔に迫力が増した愛を、

「あ、愛ちゃん、落ち着いて……」

曜はなだめる。

「…………」

そしてずっと黙っていた、『コイツ』呼ばわりされていた対戦相手──穂乃果達と同い年くらいの少女──は無言で立ち上がると、テーブルに転がっていた空の酒瓶を壁に向かって投げた。

大きな音がして便が砕け散る。当然男含めて客の視線はそちらに向かう。その隙に、三人の手を引いて颯爽と裏口から抜け出した。

「──キミ達、誰? この辺じゃ見ない顔だよね?」

何て答えればいいのか分からず、旅人、とだけ返す。

「ふーん。ま、いっか。とりあえずイカサマがバレずに済んで良かったよ。ありがと」

「あ、やっぱりイカサマしてたんだ……」

「まあね〜」

少女は舌を出して、服からトランプを落とす。

「……誰か知らないけど、ほどほどにね?」

一応曜が注意すると、善処すると言わんばかりのウインク。

「──どこ行きやがった! 出てこい!」

酒場から、ドア越しに大声が響く。

「おっとっと。見つかったら面倒だな〜」

少女はいたずらっぽく笑うと、曜へ視線を向ける。

「忠告ありがと。怪我しなかった?」

「へ? 大丈夫だけど……」

「せっかく助けてくれたんだし、そのお礼と出会いの記念に。──これをどうぞ」

キザなセリフと共に、ピンと何かを指で弾く。

「っと……。……指輪?」

「聖堂騎士団の指輪だよ」

「聖堂騎士団だったの⁉︎」

あまりにも修道院で出会った人間と態度が違いすぎて、本気で驚く三人。

「まあね〜。──あ、そういえば名前言ってなかったね。私は千歌。よろしくね」

「あ、うん……よろしく」

どう反応していいか分からない曜。

千歌と名乗った少女は、小さくウインク。

「その指輪を見せれば、修道院の中に入れる。また会いに来てくれるよね?」

それじゃ、と笑顔で歩み去る千歌。

「「「…………」」」

ポカーンとそれを見送る三人。

宵闇が支配する中、手元に残されたのは聖堂騎士団のエンブレムが彫られた指輪。

「これ、どうする?」

「うーん……くれた、のかな?」

「でもこれって、聖堂騎士団の証みたいなモノなんじゃない? 無いとあの人困るかもよ?」

「それは確かに……」

「それに、これ持っていけば中に入れるみたいな事言ってたじゃん? つまり、あの通せんぼされてた先に行けるんじゃない?」

スラスラと状況を整理する愛に、よく細かく覚えていたものだと穂乃果と曜は感心する。

「あの先に何があるかは分からないけど、やられっぱなしなのは悔しい! あの門番達にこの指輪見せつけて、『どうだ!』って言ってやりたい!」

指輪を突き出して、シミレーションする穂乃果。

「あはは……。でも確かにそれはあるね。あの千歌ちゃんって人にももう一度会いたいし、マイエラ修道院に戻ってみよっか」

「ん〜? もしや曜、言い寄られて惚れちゃった? 女の子同士で禁断の恋だなんて、愛さん感動しちゃうなぁ〜」

「へっ? そ、そんな事ないってば!」

「ホントかな〜?」

「ホントだってば!」

 

 

 

 

翌日。宿屋で一泊した三人と二人は、修道院へ戻ってきた。一応ドルマゲスの情報は聞き込みしたのだが、

「誰も知らなかったね」

面白いくらいに手がかりは無かった。

「となると、今は実質ここだけが頼りって事になるのか……」

建物を見上げた穂乃果は、

「何かありますように」

こっそり祈った。

 

 

先日の門番の前まで行くと、

「……何だお前は」

相変わらず冷たい目で見られる。

「ここの聖堂騎士団の、千歌って人に指輪を返しに来ました」

「……千歌に指輪を?」

「……またアイツか。仕方のないヤツめ」

門番二人はあからさまに気分を害したようだった。だがその矛先は、穂乃果達には向いていない。

「千歌は奥にいる。さっさと通るがよい!」

意外にも、すんなり道を開けてくれた。

「指輪の力って凄いね」

「というか、初めてな感じじゃなさそうだったけどね……」

「自由奔放な感じ、もしかしたら手を焼いてるのかもねー」

扉の奥は、宿舎らしく簡素に部屋が並ぶだけだった。奥にも扉があり、その先は木の橋で小島と繋がっていたのだが、

「この先はオディロ院長がいらっしゃる。用の無い者は会えない規則だ」

そこにもいた門番に門前払いを食らう。

「しょーがない。千歌っちとやらを探しますか」

愛が持ち前のコミュ力を発揮して聞き回るが、

「千歌なら、さっき下にある尋問室に行くのを見たぞ」

「尋問室?」

あまり穏やかでない単語に、三人は眉をひそめる。

「ああ。そこの階段から下に降りると、規律違反を犯した者を閉じ込めておく牢屋とそいつらを取り調べる尋問室があるんだ。果南団長が降りていくのも見たから、きっと今頃ドニの町へ行った事がバレてお説教中だろうな」

男が指差した先には、地下へと続く階段。湿った空気が上がってきている。

「うーん、お説教は嫌だよねぇ……」

「助けられるか分からないけど、とりあえず行ってみよっか」

「指輪返さなきゃだしね」

三人が階段を降りると、そこは先ほどの石畳とはうって変わって土が露出した場所だった。

鉄格子の扉が並び、壁には水が流れた跡が散見される。

「いやーな所だね……」

穂乃果は顔をしかめ、一番奥にあるという尋問室を目指す。

「──またドニの町で騒ぎを起こしたんだって? これで何回目?」

「ありゃ、もうバレてるのか。流石は聖堂騎士団の──」

「どこまでマイエラ修道院の名を落とせば気が済む訳? まるで疫病神だよ」

何やら、言い合う声が響いてくる。

「…………」

「はぁ、まあいいや。──聖堂騎士団員千歌。団長の名において、当分の間謹慎を謹慎を言い渡す。どんな理由があっても、この修道院から外に出る事は許さないからね。一歩たりとも、ね。それさえ守れないんだったら、いくら院長が庇ったとしても修道院から追放するから。分かった?」

「はいはい、分かりましたよー」

どう考えても険悪な雰囲気に、

「……指輪、ちょっと返せそうにないね」

「流石の愛さんも、この空気に突っ込める度胸は持ち合わせてないなぁ」

「タイミングが悪かったかなぁ……」

三人は仕方なく階段を登る。

「──客人なんていつ以来だろうな?」

「最近ご無沙汰だったからな」

「院長もさぞ楽しみにしている事だろう」

すると、聖堂騎士団員達の会話が耳に入ってきた。

「へー、こんな陰気な所にも客人って来るんだねー」

「愛ちゃん聞こえるってば!」

周りを憚らない愛の嫌味に、曜は冷や汗を流す。

幸いにも団員達には聞こえなかったようで、会話を続けていた。

「しかし、あの道化師は随分不気味な格好だったな」

「最近の流行りなのかもしれんな」

その内容に、

「「「…………!」」」

三人は息を飲む。

「不気味な道化師って……」

「もしかして……」

「嫌な予感するじゃん」

三人が顔を見合わせた直後、

「──あ、キミ達!」

背後から声がかかった。

「ドニの酒場で会った人達だよね? どうしてこんな所に……?」

階段を登ってきた千歌が驚いたように目を丸くしていた。

「どうしてって……」

そっちが会いに来てって言ったんじゃん、という呆れ声を飲み込む三人。

「指輪があれば会えるって言ったから来たのに……」

「指輪……?」

千歌は思案顔になると、

「…………そっか、まだその手があるんだった!」

何やら一人で納得する。

「ねえ、頼みたい事があるの。話聞いてくれる?」

「いきなり何? 酒場のお金なら払わないよ?」

「そんな事どうでもいいんだってば!」

ただならぬ千歌の様子に、冗談めかした愛は口を閉じる。

「……感じない? もうメチャクチャ禍々しい気が修道院の中に紛れてるのを」

穂乃果は首を傾げる。

「特には……」

「聞いた話だと、院長の部屋に道化師が入っていったらしいじゃん。この気の持ち主、多分そいつ!」

「禍々しい気の……」

「道化師……」

「って事はやっぱり……!」

先ほどの団員達の会話を思い出し、同じ結論に至る三人。

「! もしかして何か心当たりが⁉︎」

三人の反応を見て、千歌は駆け寄る。

「う、うん多分……」

「狙いは分からないけど、オディロ院長が危険なのは間違いないと思う……! お願い! 修道院長の部屋まで行って、中で何が起こってるのか見てきて欲しいの!」

深く頭を下げた千歌に、

「そうしたいのは山々なんだけど、さっき見張りが通してくれないんだよね……」

そもそも自分で行けばいいのでは、と思ったのだが、

「自分で行けるならそうしたいよ! でも今はちょっと、ワケありっていうか……」

尋問室でのやり取りを思い出した三人。わざわざ口に出す事はしないが、納得する。

「お礼なら、後で必ずする! だからお願い。部屋の様子を見てきて!」

「うん、できる事ならそうしたいんだけど……。見張りが……」

道化師が危険かもしれないからよそ者だけど通して下さい、と言ってあの見張りがはいそうですかと通してくれるとは思えない。

「あの橋は石頭が塞いでるから、通るのは無理だと思う。でも、かなり遠回りになっちゃうんだけど、もう一つだけ院長のいる島まで行く方法が残ってるの」

「それは?」

「一度この修道院を出て、川沿いの土手を進むの。そうすると、大昔に使われて廃墟になった修道院の入り口がある。その廃墟から、院長の部屋があるあの島まで道が通じてるらしいんだって」

「らしいって……」

「私も実際に行った事はないから、本当かどうかは分からない。……でも、今はそれしかないの! ──廃墟の入り口は、その騎士団員の指輪で開くらしい。だからそれはもうしばらく持ってて」

穂乃果は、手元の指輪に視線を落とす。

「とにかく、修道院長の事、お願いっ!」

「──うん、分かった。任せて!」

穂乃果は、力強く頷いた。

「お願い。オディロ院長の事、任せるから……!」

 

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV16

どうのつるぎ

うろこのよろい

せいどうの盾

ターバン

聖堂騎士団の指輪

 

・曜

LV15

石のオノ

たびびとの服

うろこの盾

ヘアバンド

スライムピアス

 

・愛

LV15

ブロンズナイフ

くさりかたびら

うろこの盾

皮のぼうし

金のブレスレット

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