スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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これにてマイエラ編完結です!
次回冒頭で少しだけ触れて、新章突入します!


第18話

 

修道院に着くと、今にも落ちそうな橋が目の前で燃えていた。

「う……」

一瞬尻込みしたが、

「でぇぇぇぇぇいっ!」

意を決して全速力で渡りきる。幸いにも橋が落ちる事はなかったが、すでにあちこち崩れ始めていた。

穂乃果達が建物へ突撃しようとしたその直前、宿舎の扉が勢いよく開け放たれる。

「果南ちゃん、どこ行ったの……⁉︎」

「千歌ちゃん!」

千歌は院長の建物を見つめると、

「禍々しい、気……? ううん、そんなレベルじゃない……。こんなのまるで、地の底の悪魔みたいだ……!」

絶望的な声で呟く。

「オディロ院長……っ!」

千歌は、すでに半ば崩れかけている橋を強引に走り抜ける。

「うっ……うわわっ……!」

千歌が走り抜けるとほぼ同時に、限界を迎えた橋が大きな水柱を上げて崩れ落ちた。

「ハァ……ハァ……ハァ……!」

間一髪で橋を渡った千歌は、建物の扉に飛びつく。だが、その扉はビクともしない。

「中からカギが……⁉︎ そんな……」

千歌は思いっきり扉を叩くが、そんな行為を拒むかのごとく扉は微動だにしない。

「果南ちゃん達は中にいるの……⁉︎ 分からない……! とにかく、早くしないと……!」

焦る千歌の耳に、

「──どいてっ!」

大声が届いた。

「へ? ──うわぁっ!」

慌てて跳んだ千歌の目の前で、

「でりゃあ!」

曜の斧が振り下ろされた。千歌の侵入を拒んだ扉も、強引な物理攻撃には耐えられない。木屑を撒き散らして、粉砕された。

「非常事態だから許してね!」

「勿論だよ! ありがとう!」

建物の中へ飛び込んだ六人は、目の前で倒れていた騎士団員へ駆け寄る。

「はやく……院長さ、まを……」

「何があったのか、詳しく教えてよ!」

「やつは、強い……。果南さま……も、あぶな、い……」

そこで、騎士団員の意識は途絶えた。

「くっ……果南ちゃん……オディロ院長……!」

千歌はすぐそばの階段を見やると、

「上にいる。みんなも来て!」

一気に駆け上がる。

「──うわあぁあぁぁぁっ!」

すると、階段から騎士団員が一人転げ落ちてきた。

「うわっ!」

「あ、の道化師……誰か……院長を……っ」

意識を失った騎士団員を介抱したい気持ちを抑え、階段を駆け登る。

二階に到達して最初に見たのは、宙に浮いて杖を構える道化師──ドルマゲス。そして、

「かはっ……!」

不可視の攻撃によって壁まで吹っ飛ばされた果南の姿。

「果南ちゃん!」

「やら、れたよ……。全部、あの道化師の、仕業……。あいつは……強い……。ゲホッ! ……だからって、あいつの思い通りになんて……!」

駆け寄った千歌に、果南はか細い声で伝える。

「……命令だよ、千歌……! 院長を連れて、早くここから……」

「果南ちゃ──」

ドルマゲスが、杖を振るう。

「ぐぅ…………っ!」

先ほどの果南と同じように、壁に叩きつけられる千歌。

「クックック……。これで邪魔者はいなくなった」

不気味な笑顔を浮かべるドルマゲス。

「オディロ、院長……!」

「案ずるな、果南。わたしなら大丈夫だ」

狙われの身であるオディロは、落ち着いた声をかける。

「わたしは、神に全てを捧げた身。神の御心ならば、わたしはいつでも死のう。──だが、罪深き子よ。それが神の御心に反するならば、お前が何をしようと、わたしは死なぬ! 神のご加護が、必ずやわたしとここにいる者達を悪しき業より守るであろう!」

高らかに言い切ったオディロに、ドルマゲスは変わらぬ不気味な笑みを浮かべる。

「……ほう、随分な自信だな。ならば試してみるか?」

「──このままじゃ危ない……!」

飛び出そうとした穂乃果を遮って、

「──ちょっと待ちなさいよ!」

にこが大きな声を出して進み出た。

「久しぶりじゃない、ドルマゲスッ!」

「これはこれは、トロデーンの城にいた、素晴らしい踊り子さんではありませんか。あの可愛らしかった姿の面影もない、変わり果てたお姿で」

皮肉にも慇懃な態度を取るドルマゲス。それが、にこの神経を逆なでする。

「うるっさいわよ! 誰のせいだと思ってんの! いいから元の姿に戻しなさいっ!」

ドルマゲスはそれには答えなかった。魔力を解放し、切っ先の鋭い杖をにこ目掛けて振りかぶった。

穂乃果も曜も愛も飛び出すが、一瞬間に合わない。

「──死ね」

発射された杖は、寸分違わず飛来すると、その身体を易々と貫いた。

──にこの前に立ち塞がった、オディロの。

「え……な、ん……」

引き抜かれる杖。既に、オディロはピクリとも動かない。

「……悲しいなあ。お前達の神も運命も、どうやら私の味方をして下さるようだ……。──キヒャヒャ! 悲しいなあ、オディロ院長よ。──これで、ここにはもう用は無い」

ドルマゲスは魔力を放つと、窓の一つを粉砕する。

「さらば皆さま。ご、き、げ、ん、よう。キヒャヒャヒャハハハッ!」

そして、気味の悪い笑い声を残して夜の闇へ消えていった。

 

 

 

 

翌日。降りしきる雨の中、オディロ院長の葬儀が執り行われた。

 

 

果南がその夜にあった事を全て公開してくれたおかげで、穂乃果達の疑いは晴れた。しかし、それとは対照的に穂乃果達の表情は暗い。

「……オディロ院長は救えなかったし、ドルマゲスも逃しちゃった」

「……毎回、後手後手に回っちゃう」

「今回は、何とかしてやるって思ってたんだけどなぁ……」

修道院の宿舎で一晩過ごした穂乃果達は、深くため息をついた。

「──みんな、起きてる?」

そこへ、千歌が部屋を覗き込んだ。

「あ、千歌ちゃん」

「……昨日も言ったけど、オディロ院長の事は、みんなのせいじゃないからね。それどころか、みんなが駆けつけてくれなかったら、果南ちゃんもどうなってたか分からなかった。ありがとう」

「そんな、お礼を言われる事なんて何も……」

「かもしれないけど、言わせて欲しいの。──ありがとう」

深く頭を下げた千歌に、穂乃果達は顔を見合わせる。

「それで、その団長の果南ちゃんが呼んでるよ。部屋まで来て欲しいって」

それじゃ、と部屋から出ていく千歌。

用事は分からないが、とりあえず果南のいる部屋へ向かう。

「よく来てくれたね。あらぬ疑いをかけて、本当にごめん」

頭を下げた果南に、疑いが晴れたのなら、と穂乃果も軽く流す。

「……真の敵は、ドルマゲス。あの道化師が全ての元凶……。何としてでも仇をとりたい……けど、私はマイエラ修道院の新しい院長。旅になんて出られない」

果南はかぶりを振ると、穂乃果を見つめる。

「──そこで、なんだけどね。キミ達も、ドルマゲスを追って旅をしているんだってね?」

「えっと、うん」

「非常に不躾なお願いで申し訳ないとは思うんだけど、私の代わりに、オディロ院長の仇をとってきてくれないかな」

「それは、勿論!」

穂乃果は、即答する。

「ドルマゲスを追う理由が、一つ増えた!」

「それを聞いて、安心したよ。……よろしく」

最後の言葉に込められた重みを、穂乃果は肌で感じ取った。

 

 

 

 

修道院の出入り口まで向かうと、

「あ、やっと来た!」

そこに、千歌が立っていた。

「千歌ちゃん、どうしたの?」

「……あー、えっとね……」

千歌はしばらく視線をウロウロさせながら言葉を濁していたが、

「──私も、旅に同行させて欲しい」

穂乃果の目を真っ直ぐ見て、そう言った。

「果南ちゃんは、院長としての仕事が忙しいけど、私はそんな事ない。むしろ、今自由に動けるのは私だけ。──だから、お願い!」

頭を下げる千歌。その揺れるアホ毛を見ながら、三人はどうするかと一瞬目配せ。そして、三人の答えが一致していた事を確信する。

「──千歌ちゃん」

穂乃果は一歩進み出ると、

「──よろしく!」

右手を差し出した。

「…………! ありがとうっ!」

パァっと顔を輝かせた千歌は、その手を強く握り返した。

「千歌っち、闘えるの〜?」

愛が軽口を叩くが、

「任せてよ! こう見えても、聖堂騎士団の一員なんだから! 絶対活躍してみせるよ!」

千歌はドンと胸を叩く。

「お、それは頼もしい」

「これからよろしくね、千歌ちゃん!」

 

[千歌が仲間になった!]

 

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV17

どうのつるぎ

うろこのよろい

せいどうの盾

ターバン

スライムピアス

 

・曜

LV16

石のオノ

たびびとの服

うろこの盾

ヘアバンド

金のブレスレット

 

・愛

LV17

ダガーナイフ

くさりかたびら

せいどうの盾

皮のぼうし

金のロザリオ

 

・千歌

LV15

ロングスピア

騎士団の服

うろこの盾

はねぼうし

聖堂騎士団の指輪

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