スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
あ、新キャラ出ました。
城の中に入った四人だが、様子は外とあまり変わらなかった。入ってすぐにある石畳の泉には綺麗な水がたたえられていたが、その隣に立つ衛兵はとても暇そうである。
「毎日お祈りばっかで、ろくに仕事も無いからねぇ。どうしてこの国を訪れたんだい?」
衛兵は肩をすくめて、天井を見上げる。
「国王なら、そこの階段から行ける最上階の部屋に閉じこもってるよ。……肝心の国王があれじゃあね」
国王に会える望みは薄いと察しているのか、衛兵もあまり多くは語ってくれない。
四人の目的は国王ではなく小間使い。それとなく訊いてみると、
「ああ……今の時間なら、多分最上階で国王の説得をしてるんじゃないかな。毎日毎日、気の毒になってくるよ」
どうやら城の人間には周知されているようで、これまたため息と共に教えてくれた。
衛兵に礼を言うと、階段を登る四人。
「なんだかなー。王様は人望があるんだか無いんだか分からないね」
「一人で抱え込んでも、いい事無いのにね」
さらに階段を登ると、広い空間に出た。
「ここは謁見の間です。今は国王の代わりに、大臣が対応しております」
二年間も大変だ、と曜は思ったが、勿論声には出さない。
「──ほほう、旅の者とは珍しい。アスカンタによくぞ参った。……すでに存じているとは思うが、我が国は亡くなられた王妃の喪に服しておるため、王には会えんのだ。すまぬがお引き取り願おう」
晴れない表情で、大臣は淡々と言葉を紡いだ。
「何度も言ってきたんだろうなぁ……」
察しのいい曜は、聞こえないように呟く。
「ねえ大臣さん、この上の部屋には行ってもいいの?」
愛が天井を指差す。
「それは構わぬが、王は頑なに部屋から出ようとしない。“あの子”の言葉ですら届かないのに、失礼ながら見知らぬ旅人の言葉が響くとは思えん……」
「ちょっと興味あるだけだから、そんな気にしなくていいよ。絶対に粗相もしないから」
許可を取った愛は、
「そんじゃ行ってみよ〜」
スタスタと階段へ向かう。
「……愛ちゃん、ドア壊すとかしないでよ?」
「しないしない。愛さんを何だと思ってるの。──それに、曜の方が前科あるじゃん?」
「あ、あれは非常事態だったし!」
聞いている大臣が不安になるような会話をしながら、四人は最上階へと向かう。
──最上階は、真ん中に部屋が一つあるだけだった。入り口も一つだけだが、当然、そのドアは閉ざされている。
「──っと、ちょい待ち」
先頭を歩いていた愛が、三人に制止をかける。
「どうし──」
たの、と口を開きかけた穂乃果も、聞こえてきた足音に口を閉じた。
少し戻って階段から様子を伺うと、
「──お加減はいかがですか?」
赤みがかった茶色の髪の毛の少女がドアをノックしていた。
「もしかしてあの子が──」
「──私です。小間使いの歩夢です。……お昼にお運びしたお食事も召し上がられなかったようですね。夕食は、王様の好物を作りますので……」
歩夢と名乗った少女は、ドアに向かって話しかけると、小さく俯いてしまう。
「王様、お願いです。せめて、お返事を……。お元気かどうかだけでも……」
すがるような口調の願いも、ドアは沈黙を守り続ける。
「……失礼致します」
分かっていた事なのか、歩夢は頭を下げるとそのままうなだれて階段を降りていった。
『…………』
すぐ真横にいる穂乃果達には一瞥もくれずに。
「……あんまり、見たくない所を見ちゃったね」
「だねー。ちょっと言い出しづらいかも」
「お爺さん達が心配してるのと同じ……いや、それ以上に、歩夢って子は王様を心配してるみたいだし……」
「とりあえず、一応王様に挨拶だけしておこうかな?」
愛はドアノブに手をかけるが、当然鍵がかかっている。
「アスカンタの王様〜。旅人さん達がご挨拶に来ましたよ〜」
反応は無い。
「国民みんな、心配してましたよ〜」
反応は無い。
「ドア、壊していいです?」
「ちょちょ⁉︎」
反応は無い。
「ダメかー」
「色々な意味でダメだからね!」
「冗談だって。そんな本気にしないでってば」
冷や汗をかいた曜を、愛は笑い飛ばす。
「……ここの景色、綺麗だよね」
ふと、千歌が呟いた。三人が視線を向けると、
「こんな綺麗な景色の国を治める王様なんだから、きっと優しい王様なんだと思う。もう一度、景色眺めてみませんか?」
千歌の問いかけにも、やはり反応は無い。
「ダメかぁ」
「まあ仕方ないよ。私達は、私達のできる事をしよう。あの歩夢ちゃんに、伝言を伝えないと」
穂乃果は千歌の背中を叩くと、階段を降りていく。
すると、そこに先ほどの歩夢と大臣が何やら話をしていた。
「お食事もほとんど手つかず。ゆうべも、一晩中玉座の間で泣き明かしていらしたご様子。王妃様がご存命の時は、あれほどお優しくて賢い王様でしたのに……。お側仕えでありながら、何の役にも立てず、申し訳ございません……」
「そうか……王は今日も……。お前は何も悪くはない。ご苦労だったな、歩夢。──だが、なんとしても王に元気を取り戻していただかなければ……。このままでは国が傾く……しかし、一体どうすればいいのだ……」
案の定、明るい内容ではなさそうである。
「話しかけづらいなぁ……」
穂乃果が呟くと、
「もしかして、旅のお方?」
ようやく気が付いたのか、歩夢が振り返った。
「我がアスカンタの王は、誰にも会おうとはしません……。夜になるとこの玉座の間へ降りてきますが、誰の言葉も耳に入らないのです……」
歩夢は小さく首を振った。
「話しかけにくいだけじゃなくて?」
「もし信じられないというのなら、一度ご覧になるといいと思います」
歩夢は顔を伏せ、歩み去ってしまった。
「……どうする?」
「うーん、ここまで来ちゃったし、一度王様の姿を見てみたくはあるかな」
あまり気は進まないものの、全員その意見には賛成。一度城を出ると、宿屋で夜になるまで待機する事にした。
「こんな国に泊まろうなんて、お客さん変わってるね……。やめろとは言わなけどさ」
店主に奇異な目を向けられたが、四人は各々休む。
「私、にこちゃん達に報告してくるよ」
と、一度穂乃果は街の外へ向かった。
──夜。意外にも開城されているお城へと戻った四人。
「不用心なのか、そもそも守る必要が無いのか……」
大体の現状を知ってしまった今、後者の可能性が濃厚だと感じてしまう。
謁見の間へと続く階段まで来ると、何やらすすり泣く声が聞こえてきた。
『…………』
四人は一度顔を見合わせると、階段をゆっくり登る。
「──…………何故だ?」
部屋を除き込むと、立派な玉座の前で崩れ落ちる人影を見つけた。
間違いなく、あれが噂のパヴァン王だと思われた。
「──あのー、もしもし?」
ひとまず、穂乃果が話しかけてみる。
「どうして……シセル、君は僕をひとり置いて天国へ行ってしまったんだ……」
「皆さん、心配してますよー」
「あれから二年。僕の時計は止まったままだ……」
「はるばる、旅人さんがご挨拶に来ましたよ〜」
「何一つ、心が動かない……」
「えーっと……お腹、空きませんかー……?」
「せめてもう一度だけ……夢でもいいんだ。もう一度、君に会いたい……」
思い思いに話しかける四人だったが、聞こえてくるのは独り言のみ。返事が返ってくる事は、ついに無かった。
「どうしよっか……」
「こりゃー愛さんでもお手上げ。仮にも王様だから、あんまり手荒な真似はできないしなぁ」
どうしようもないので諦めて階段を降りると、
「──あっ」
反対側から、階段を登ってきた歩夢を見つけた。
「もしかして、玉座の間で王様とお会いになりましたか?」
「会ったというか……」
「見ただけというか……」
昼間言われた通り、会話は成立しなかった事を伝えた。
「旅の方、我がアスカンタ王は、今は誰の言葉も耳に入りません。無礼を許して下さい」
頭を下げた歩夢に、これ幸いと四人は質問をぶつける。
「あ、はい。『シセル』というのは、二年間に亡くなられた王妃様の名前です」
「もう一度会えたら、って言ってたよね」
「突然の病死でしたから……。もし、シセル王妃がもう一度目の前に現れたら、王様も元気になってくれるかもしれないのに……」
「まあ、会えないからこその死者だもんね……」
暗く沈む空気。
「──!」
不意に、歩夢が顔を上げた。
「そういえば、私のおばあちゃんが、昔沢山お話しをしてくれました。不思議なお話を、沢山。その中に、どんな願いも叶える方法があると聞いた気がするのに……思い出せない……」
再び、俯いてしまう歩夢。
「おばあちゃんに会いに行けば、簡単に分かるだろうけど、私にはお城の仕事が……」
「お婆ちゃん、心配してたよ」
サラッと、本当にサラッとアスカンタ王国を訪れた目的を果たす穂乃果。
「……今は、お城を離れられません。──お願いです。面識があるようですし、私のおばあちゃんに今の話を詳しく聞いてきて欲しいんです。ただのおとぎ話かもしれない……。でももしそれが本当なら、私は王様の願いを叶えてあげたい……!」
強くなる声色。そんな歩夢の手を、穂乃果は握った。
「私達に任せて! 一緒に王様を元気にしてあげようよ!」
「ほ、本当ですか⁉︎」
「ま、ほのほのならそう言うと思ったよ」
他の三人も、特に驚かない。まだ付き合いの浅い千歌も、大きく頷く。
「お願いします……! どうか、お願いします……」
・穂乃果
LV18
はがねのつるぎ
うろこのよろい
せいどうの盾
ターバン
スライムピアス
・曜
LV17
鉄のオノ
せいどうのよろい
せいどうの盾
ヘアバンド
金のブレスレット
・愛
LV18
ダガーナイフ
くさりかたびら
せいどうの盾
とんがりぼうし
金のロザリオ
・千歌
LV17
ロングスピア
騎士団の服
騎士団の盾
はねぼうし
聖堂騎士団の指輪