スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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初見でかまいたちでゼシカが即死した時は、コントローラーぶん投げそうになりました。


第21話

城を出ると、

「遅いわよ」

にこが腕を組んで立っていた。

「にこちゃん?」

「穂乃果の話だと、その歩夢って子かなり苦労してるみたいじゃない。──努力は、報われるべきものなのよ」

「へえ、にこにー言うじゃん」

「でもいいの? 寄り道になっちゃうのに……」

千歌の少し申し訳なさそうな声は、

「だったら、急いでパパッと片付ければいいじゃない。簡単な話よ」

にこにスパッと返される。

「よーし、じゃあ急いで頑張ろう! まずは、歩夢ちゃんのおばあちゃんに話を聞きに!」

元気に手を突き上げた穂乃果を見ながら、

「にこちゃん珍しいにゃ」

「……何がよ」

「『呪い解くのが最優先』とか言いそうなのに」

「それは変わらないけど、トラペッタにいたユリマの時も思ったのよ。尽くしてる人間が報われないのは、見て見ぬ振りしたくないの」

「──にこちゃ〜ん、凛ちゃ〜ん、早く早く〜!」

「あいつらだって、見捨てるとは思わないし」

「穂乃果ちゃんに、感化されてきてるにゃ〜」

「うっさいわよ」

 

 

 

 

橋のそばに建つ一軒家まで戻ってきた穂乃果達。

「一本道とは言え、アスカンタ城からここまでは結構距離あるよね〜。確かに簡単には里帰りできないわけだ」

「だからって、二年はやりすぎだと思うけどね」

そう言いながら、老婆の話を聞く。

「え? ええ、お城のメイドの歩夢なら、確かにわたし達の孫娘ですよ。その様子ですと、無事に会えたようですね」

「あー、その事なんですけど……」

曜は簡単に要件を伝える。国王の事と、おとぎ話の事を。

「はあ、まあ年寄りですからねぇ。アスカンタの古い昔話の事なら何でも知っておりますよ」

老婆は意図を汲み取れないまま、それでも話はしてくれた。

「願いを叶える昔話なら、この家の前を流れる川の上流にある不思議な丘の話ですねぇ。満月の夜に一晩あの丘の上でじーっと待ってると、不思議な世界への扉が開くと言いますがねぇ」

「不思議な世界?」

「ただのおとぎ話ですし、本当かどうだか分かりませんよ。王様が元気になって欲しい気持ちは分かりますがねぇ……」

案の定、というほど曖昧な内容だったが、

「何も無いかもしれない。でも、何かあるかもしれない!」

「ま、ほのほのならそう言うと思ったよ」

「他に方法も無いもんね」

「よし、ダメ元で行ってみようよ!」

四人は老婆に礼を言うと、建物から出る。そしてそこで待機していたにこと凛に顛末を説明。

「──願いの丘? そこがおとぎ話の舞台って訳ね。ここから近いんでしょ?」

「うん、この裏手の土手を歩けばすぐだって」

「じゃ、ちゃっちゃと行って来なさい。魔物が出るんなら、私と凛は留守番だわ」

「ベッドで寝て待ってるにゃ〜」

川向こうにある教会に視線を送る凛。

「くぅ〜、ずるいなぁ」

「いつもと逆なんだからいいでしょ。はいはい行ってらっしゃい」

抗議の目を向けた穂乃果を軽くあしらい、にこは手を振る。

「所詮おとぎ話なんだし、期待はしてないわよ。こっちはこっちで作戦考えるから、気楽にやって来なさい」

「にこちゃん……。うん! 分かった!」

穂乃果は大きく手を振ると、土手を下って歩き出した。

 

 

 

 

土手をしばらく進むと、

「もしかして、ここかな?」

崖にぽっかりと空いた空洞に辿り着いた。

「……どう見ても洞窟だよね」

「丘って言うから軽いハイキングな感じかと思ってたけど……」

「ちょっと気を引き締めた方がいいかなぁ」

四人は装備を確認し直し、洞窟内に足を踏み入れた。

 

 

洞窟、とは言うものの内部が空洞になっているだけなので、あっちこっちから光が差し込み視界は意外にも明るい。そして簡易的に作られた石段を登ると、今度は完全に丘の上。

「へー、見晴らしいいね〜」

大自然を一望できるその景色に、愛ははしゃぐ。

「これ、瓦礫だよね。こっちには欄干……?」

曜は、周囲に散らばる人工物に怪訝な顔をする。

「昔は誰か住んでたりしたのかな? あの旧修道院みたいにさ」

愛の言葉に、三人は顔を曇らせる。

「あーごめんごめん。そんな暗い意味じゃないって。魔物が住み着いちゃったから、ここにはいられなくなったんじゃないかって話だよ〜」

朗らかに言いながら、愛は武器を構えた。

「──こうやって出てくるから、ね!」

 

[サイコロンがあらわれた!]

 

ずんぐりむっくりな青い体型に、変なお面を被ったようなモンスター。

「先手必勝っ!」

槍を構えた千歌は、猛スピードで突っ込む。

 

[千歌は疾風突きをはなった! サイコロンに26のダメージ!]

[サイコロンの目がサイコロのようにグルグルと動き始めた!]

 

お面のような部分が六つ目となり、目まぐるしく開閉する。そして、

 

[──6!]

 

六つ目全てが開眼。

 

[サイコロンはかまいたちLV6をはなった! 穂乃果は60のダメージを受けた!]

 

「ぐぅっ……⁉︎」

強力な一撃に、穂乃果の足元がよろける。

「ほのほの大丈夫⁉︎」

 

[愛はホイミをとなえた! 穂乃果のキズが回復した]

 

「ありがとう愛ちゃん。油断ならない強敵だよ……!」

穂乃果は剣を構え直すと、地面を蹴る。右下から斬り上げ直後に左下から斬り上げる。

 

[穂乃果ははやぶさ斬りをはなった! サイコロンに42のダメージ! サイコロンをたおした!]

 

「っふ〜……」

武器を戻した穂乃果は、大きく息を吐いた。

「あんなモンスターがいるんじゃ、確かにここにいた人は逃げ出すよね……」

「願いを叶えてくれる何かは、逃げてないといいなぁ……」

不穏な事を呟いた曜を軽く叩き、四人は頂上を目指す。

 

 

 

 

「──ここ、かな?」

坂道を登りきった一行は、頂上らしき場所で足を止めた。

時刻はすでに夜。煌々と輝く満月が、世界を照らしていた。

「家の残骸っぽいものはあるけど、これが願いを叶えてくれるとは思えないなぁ」

千歌は一つだけ残っている窓枠を撫でながら、反対側のボロボロの壁を眺める。

「隠し扉的なものも……ある訳ないよね。ただの地面だ」

曜も念の為辺りを散策するが、収穫は無い。

「やっぱり、ただのおとぎ話って事かぁ……。しょーがない。戻ってにこちゃん達と作戦会議を……って、愛ちゃん?」

普段は一番賑やかな仲間が沈黙している事に気付いた穂乃果は、首を傾げる。

「どうしたの?」

「……魔法だ」

「え?」

「この丘と、満月。何か強い魔力を感じる。ここ、何かあるよ。今、ここから離れちゃダメな気がする」

「何も感じないけど……」

「でも、四人の中で一番魔法が得意なの愛ちゃんだからね。愛ちゃんが言うなら、何かあるのかも」

謎のパワーを受け取る構えをする穂乃果と、その行動に苦笑しながら愛のフォローをする曜。

「でも、何かって何だろう? そろそろ夜も更けてきたし……。ほら、窓枠の影もあんなに伸びて」

千歌は、月光によって伸びる窓枠の影に視線を送る。

「そろそろあの壁に届きそうだね。まるで壁に窓ができたみたいに──」

千歌の冗談めかした声は、そこで途切れる。

壁に差し掛かった窓枠の影は、そこから本来あり得ない速度で動き出す。そして実物と同じ形の影を形成すると、そこで動きが止まった。隙間から、うっすらと光を漏らして。

『…………』

突然発生した超常現象に、四人は言葉を失う。

「──どう、する……?」

真っ先に言葉を発した千歌は、他の三人を見やる。

「どう、しよっか……?」

「どうもこうも、何が何だか分からなすぎて……」

穂乃果も曜も、未だ混乱した状態。

「邪悪な魔力は感じないし……調べてみる価値はあると思うよ」

愛は、いつになく真剣な眼差しで窓枠の影を見つめた。

「…………分かった。愛ちゃんがそう言うなら」

穂乃果もその視線を受け止めて頷くと、壁の前に立つ。──不思議な事に、月光を背にしているはずなのに、穂乃果の影は壁に映らない。足元で歪な形に崩れるだけである。

「──じゃあ、行くよ」

穂乃果は壁に手を当てると、強く力を込めた。

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV18

はがねのつるぎ

うろこのよろい

せいどうの盾

ターバン

スライムピアス

 

・曜

LV18

鉄のオノ

せいどうのよろい

せいどうの盾

ヘアバンド

金のブレスレット

 

・愛

LV18

ダガーナイフ

くさりかたびら

せいどうの盾

とんがりぼうし

金のロザリオ

 

・千歌

LV17

ロングスピア

騎士団の服

騎士団の盾

はねぼうし

聖堂騎士団の指輪

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