スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
やる気あります?
ちなみにバトルロードはやる気ありません。
四人が慌てて川沿いの教会へ戻ると、
「…………遅い!」
案の定大激怒のにこが待っていた。
「もう昼前よ! 今まで何やってたのよ! しかも、何でお城の方から来た訳⁉︎」
「ま、まあまあ落ち着いてキニコちゃん。もう全部終わったからさ」
「……はあ?」
首を傾げたにこと凛に、顛末を報告する四人。──ご馳走を振舞われた事は、秘密にしておいた。
「……世の中、不思議な事があるものねぇ……。まあ、解決したんなら良かったわ」
と言いつつ、にこの表情は晴れない。
「変に待ちぼうけ食らった挙句、パパッと説明されて終わりじゃ晴れやかにはなれないわねぇ……。ヤケ食いでもしたい気分だわ」
「でもにこちゃん……」
「分かってるわよ」
にこはため息を吐く。トラペッタのような事態になっては、ヤケ食いどころか食事もできない。加えて四人は満腹なのでうまいフォローもできない。
「──あ、それなら良い所があるよ」
ポンと手を打ったのは、愛だった。
全員が愛に注目すると、
「私が昔住んでた、パルミドって町があるんだけど、そこは来る者拒まずな町なんだよね。きっとあそこなら、キニコちゃんの見た目でも中に入れると思うよ」
「そ、そんな魅力的な場所があったのね。早く言いなさいよ」
「ここからそんなに遠くないし、ちょっと寄って行こうか。──し、か、も、実はパルミドの魅力はそこだけじゃないんだな〜これが」
愛は得意げな表情。
「あの町には、かなり優秀な情報屋がいるんだよ。きっとあの人なら、ドルマゲスの行方も分かるんじゃないかな? 今のところ手かがりゼロな訳だしさ」
「……確かに、今は目的地すら定まってない状態よね……。──よし、じゃあそのパルミドって町に行きましょう!」
「にこちゃん、ご飯食べたいだけじゃないかにゃ?」
「ちっがうわよ! てか、あんたも同じようなものでしょうが!」
「凛はにこちゃんと違って可愛いから、そんな困ってないにゃ」
「り〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜?」
「おばけきのこが怒ったにゃ〜!」
「誰がおばけきのこよ! コラ待ちなさい凛!」
唐突に始まった鬼ごっこに、四人は肩をすくめる。──内心、満腹感にツッコまれなかった事に安堵しながら。
アスカンタ城を左に見ながら、一行は南に下る。はぐれ者達の街故なのかは不明だが、街道は存在しない。森の中を、愛の先導で進んでいく。
いつかと同じように左手には海が見えるが、切り立った崖で降りる事はできない。できたとしても、前に痛い目を見ている穂乃果は大人しい。
「──結構距離あるのねー」
太陽が大きく西に傾き始め、にこがぼやいた。
「まー元々流れ者が行き着く場所だからね〜。他の街からは離れてる訳よ」
愛しか道を知らないので、穂乃果達はついていくしかない。
世界が宵闇に包まれそうになった頃、
「ん〜そろそろだと思うんだけど──お、あったあった!」
「着いたの?」
「いやーパルミドはまだ先なんだけどね。ここら辺に宿屋があったと思って」
愛が指差した先には、木組みの小さな宿屋があった。
「この宿屋が、大体半分の目印」
「げー……。こんだけ歩いて、まだ半分なのね……」
あからさまに肩を落としたにこに、
「呪いを解く為だもん! にこちゃん、ファイトだよっ!」
穂乃果がグッと拳を握る。
「アンタ達はいいじゃないのよ。ちゃんとベッドで寝られるんだから……。こちとら野宿よ野宿」
「まあまあ。そのパルミドって街に行けば、きっとにこちゃんも宿屋に泊まれるだろうからさ。もうちょっとだけ我慢しよ?」
千歌になだめられ、そもそも文句を言っても何も解決しないと分かっているにこは、「分かったわよ」と少しだけ口を尖らせて宿屋の裏手へ回った。
翌日、宿屋を出発した一行は、しばらく歩くと木の板で仕切られた関所に到着した。そばに立っている看板には『←パルミドの町 アスカンタ城→』と書かれている。足元には、整備こそされていないが人が歩く事によって形成された街道が伸びている。
「ここから先が、パルミド地方って呼ばれてる場所だね。一応、アタシの故郷って感じかな。懐かし〜。パルミドの街もすぐそこだよ」
愛は楽しそうに笑うと、変わらず先陣を切って歩き出す。
「愛ちゃん、嬉しそうだね」
「故郷に帰れるってなったら、そりゃ嬉しいんじゃない? ──私は、あんまり嬉しくないけど」
千歌がポツリと呟き、マイエラ修道院での複雑な関係を思い出したメンバーは押し黙る。
「あぁぁ、そんな気にしないで! 今はこうして一緒に旅できて嬉しいから、この話はおしまい! うん!」
慌てて話題を打ち切った千歌は、大きく身振りする。
「──何かあったの?」
先行していた愛が戻ってきて、首を傾げる。
「みんなで旅できて嬉しいって話!」
「おっ、そりゃ愛さんも同じ気持ちだよ!」
「ホラそこ、盛り上がるのはいいけど目的忘れんじゃないわよー。さっさとドルマゲスに呪いを解いてもらわないといけないんだから」
テンションについていけないにこは、冷めた目で先を急ぐ。
「あ〜にこにー冷めてるなぁー。もうちょっと余裕持たないと、将来ハゲちゃうかもよ? ──あ、今は髪の毛無いんだっけ」
「ぶっ飛ばすわよ!」
「──ん……?」
小さな森を歩いている途中、凛が唐突に足を止めた。
「どうしたの?」
「あれ、何かにゃ?」
凛が指差した木々の隙間から、明らかな人工物が見えた。
「あれは……建物? ちょっと行ってみよっか」
近付いてみると、直径十メートルほどの小さな円形の建前だった。正面には扉があるが、
「んぐ…………っ!」
鍵がかかっていて開かない。
「愛ちゃん、これ何?」
土地勘がある愛に訊いてみるが、
「いや〜……アタシも始めて見たよ。少なくとも、アタシがいた頃にはこんな建物無かったね」
本人も知らないらしい。
「──ねぇ、こっちから上に登れるよ」
千歌が建物の横にある坂道を発見し、近寄る。
「屋上に通じてるのかな? 登ってみようよ」
一抹の不安はあったが、みな好奇心には勝てず恐る恐る建物の上を目指す。
建物の屋上に到着するも、簡素で特に物も無い。が、
「……誰かいるね」
ちょうど扉のあった真上、一段高くなった場所に、人の姿があった。
風でなびく黒髪が、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。
「ど、どうする……?」
「何しろパルミドが近いから、ちょっと不安は……ある」
話しかけるか否か悩んでいると、
「──クックック……」
『『『!』』』
謎の人物が声を発した。
「我が名はヨハネ。ここで、風と会話をしていたの」
目元に手を当てた、少しばかり痛々しいポーズで、ヨハネと名乗った少女はこちらに微笑んだ。
『…………』
一同揃って呆気に取られ、
「……こういうのは関わらないのが一番よ。さっさとパルミドに行きましょ」
にこは我関せずとばかりに踵を返す。穂乃果や曜はいいのかなぁ、と思いつつ、にこにつられる。
「ま、待ちなさいよ! 変な事言って悪かったから! 本当の名前は善子! ごめんなさいってばぁ!」
先ほどの芝居がかった口調はどこへやら。今度は善子と名乗った少女は若干涙目でこちらに手を伸ばした。
『…………』
一同顔を見合わせ、
「……まあ、話だけでも聞いてみよっか」
という結論に落ち着いた。
「──風の精霊が、私に囁くのです。『まもなくここに、素晴らしき才能を持った存在が訪れる』と……」
「あ、戻った」
「あなた方は、旅人ね?」
「そうだけど……」
「あなた方に、一つ頼みがあるの。聞いてくれるかしら?」
そう言った善子は返事を聞く前に、三枚の紙を穂乃果に手渡した。
そこには、モンスターのイラストと生息場所のメモが綴られていた。
「そこに載るは、我が眷属の詳細。その眷属達を見つけ出し、撃破してもらいたいの」
「えっと……何で?」
「時が来たら、分かる事よ……」
状況と意図が把握できない穂乃果だったが、何か頼まれ事をされたという事実だけは理解できた。
「ここに書いてあるモンスターを倒せばいいんだね。分かったよ善子ちゃん!」
「だからヨハネよ!」
「ヨハネちゃんなの?」
「いや……っ、えっと……善子だけど……。──と、とにかく頼んだわよ! 三体全部倒したら、またここに来てちょうだい!」
「分かった! 待っててね善子ちゃん!」
「ヨ・ハ・ネ〜っ!」
謎の建物と謎の人物に手を振りながら、一行は再び歩き出す。
「面白い子だったね」
「アレはかなりイタいタイプね……。私には分かるわ」
「似た者通しってヤツにゃ!」
「私をあんな変なのと一緒にするんじゃないわよ!」
「見た目は、何倍も変だけどね……」
「ああん?」
「じ、冗談であります」
「ま、思い出したらついでにやっておこうよ。それよりもパルミドはもう目の前だよ〜」
「やっと着いたのね……。いつぶりか分からないけど、フカフカのベッドで寝たいわ……」
・穂乃果
LV20
はがねのつるぎ
うろこのよろい
せいどうの盾
ターバン
スライムピアス
・曜
LV19
鉄のオノ
せいどうのよろい
せいどうの盾
ヘアバンド
金のブレスレット
・愛
LV19
ダガーナイフ
くさりかたびら
せいどうの盾
とんがりぼうし
金のロザリオ
・千歌
LV18
ロングスピア
騎士団の服
騎士団の盾
はねぼうし
聖堂騎士団の指輪